発達障害による学習障害は、脳の機能がバランスよく使われないために学習の理解が進まず、問題への回答が困難になっていることが指摘されています。そのために落ちこぼれが起こりやすいということだけでなく、高度な知的能力を持っているために授業が面白くない子どもの存在についても触れました。それはアメリカでは落ちこぼれ(drop out)に対して、吹きこぼれ(boil over)として認識されていて、特徴的な用語としてギフテッドが使われています。
ギフテッド(Gifted)は先天的に平均よりも高度な知的能力を持っている人を指す傾向で、アメリカでは「同世代の子どもと比較して、並外れた成果を出せるほど突出した才能を持つ子ども」と連邦教育省が1993年に定義しています。まず、驚かされるのは定義されていることで、定義があれば、それに対応する支援も行うことができます。
ギフテッドはIQ(知能指数)が高く、特定の学術分野(数学、言語、芸術、音楽など)で高いレベルの潜在能力を持っていることが認められています。アメリカでは子どもの6%ほどにみられるとされています。吹きこぼれは13%ほどとされているので、実際には半分ほどが優れた能力の持ち主として支援対象と考えられています。
アメリカではギフテッドの能力を最大限に引き出すための特別教育プログラムが設けられていて、潜在能力を発揮させるカリキュラムが開発されています。共通のプログラムに当てはめるようなことはなくて、それぞれの生徒の学習能力や突出した才能に合わせてカリキュラムが進められるという特徴があります。そのカリキュラムも、学習の進み方を見ながら、学習レベルや教材を変えていくということも行われています。
これに対して日本はどうなのかというと、そもそもギフテッドの定義がありません。そのために教育に進む前に、医療機関で発達障害と間違った診断をされることさえあります。アメリカのギフテッドの割合(6%)を日本に当てはめることはできないとしても、ギフテッドの可能性を常に意識しながら学習の支援を実施すべきだと認識しています。