発達障害児の支援の必要性を岡山から考える

岡山県には発達障害児支援施設が146事業所あります。1日の利用定員数は10人の事業所が多く、週に1回の利用とした場合の定員は50人となります。稼働率が100%であった場合には約7300人の受け入れが可能となっています。岡山県内の児童数は約24万人であり、発達障害児の割合が10%とすると約2万4000人と推定されます。この計算から、発達障害児支援施設を利用できるのは全体の3分の1以下で、残りの3分の2以上は通所しての発達支援が受けられない状況であることがわかります。
病児、障害児、発達障害児を支えるのは福祉施設や医療機関のスタッフと同時に、家庭において支える家族、その中でも対象者の親や子どもの立場で支え続けなければならない母親には大きな負担がかかっています。
次世代を支える子どもを支えている母親を、さらに支えるためにするべきことは数多くありますが、家庭の中での支えを応援するために重要なこととして母親への健康教育が注目されています。母親本人も重要性を認識しているものの、肉体的にも精神的にも、そして経済的にも大きな負担がかかっている母親には、無理なく無駄なく身につけて実践できる教育が求められています。
福祉、医療、教育で高水準にある岡山県には、あらゆる分野で支援のための研究が進んでおり、情報も蓄積されています。しかし、それを的確に母親に届け、充分に理解して、それを子どもと家族のために活かすところまでには達していないと認識しています。
その実現のために、多くの知識と知恵を伝え、実生活で活かせるようにするシステムの構築が重要であり、その目標に向かって、岡山県で広く健康づくりに関わっている医師、保健師、看護師、介護福祉士、薬剤師、管理栄養士、運動指導者などの専門家が集うことが求められています。そして、専門知識を組み合わせによって、地域における包括的な支援が実施できるような環境づくりも強く求められています。
このような認識から岡山県内で活動する実績がある社会福祉法人(福祉施設)、医療法人(医療機関)との連携を進めていますが、これをモデルとして全国で同じような動きが起こることを願って、社会福祉法人と医療法人との連携をはかることによって家族を支える活動を現実化させるように動いているところです。まずは、日常生活の中で実践できる食事、運動、休養に関する教育と情報の発信から取りかかっています。