善玉コレステロールとも呼ばれるHDL(高比重リポ蛋白)は、血液中で余分となったコレステロールを肝臓まで運んで処理する働きがあることから、HDLを増やすことが動脈硬化を予防するのに役立ちます。そのために摂るべきものとして前回はEPAとDHAについて紹介しました。
これ以外の方法としてHDLを増やすこととしては、運動、食事管理、内臓脂肪の減少、禁煙などがあげられていますが、この中で最も効果が高いのは運動です。その運動の中でも有効とされているのは有酸素運動です。
定期的に有酸素運動のウォーキングやジョギングなどを行っている人は無酸素運動をしている人よりもHDLが多いことが知られています。また、1日の歩行数が多いほどHDLが多いことも確認されています。ウォーキングの中でも中強度の負荷がかかる早歩きではHDLが有意に増えたことが報告されています。
どうして有酸素運動によってHDLが増えるのかということについては、いろいろと発表されているものの、これといった決め手となる理由は明らかにされていません。厚生労働省の国民健康・栄養調査の結果でも、多く歩く人ほどHDLが多くなる傾向があることが発表されていて、特に男性では効果が高いことがわかっています。別の調査ですが、LDLが多い男性ほど有酸素運動によってHDLが増えやすい傾向があります。
理由は明らかではなくても、ウォーキングには効果があり、1日8000歩の歩数のうち、20分間は中強度の早歩きをすることによってHDLが増えることは多くの後追い調査で明らかになっています。中強度の歩行というのは、なんとか会話ができるくらいの負荷を指しています。20分間の早歩きは歩数では2000歩前後となっています。毎日でなくても、週に3〜4日の実践でもHDLが増えるので、早歩きはLDLが多い人には是非とも続けてほしいことです。