身体を動かすエネルギーは、全身の細胞の中にあるミトコンドリアで作り出されています。ミトコンドリアはエネルギー産生の小器官で、一つずつは小さな存在ですが、数が多くて、部位によって200〜2000個ものミトコンドリアが存在しています。
小さな存在ではあるものの、全身の細胞のミトコンドリアの重量を合わせると、全体重の10%にもなります。それくらい重要な器官であり、エネルギーが多く作り出されないと正常な働きができないということです。
あまり目立たない小さな個々の力であっても集まると大きな力になる、という組織の力を思い起こさせるような存在です。
ミトコンドリアの数が数多いのは多くのエネルギーが必要な肝臓、脳、筋肉などの細胞で、全身のエネルギー消費のうち肝臓は約27%、脳は約20%、筋肉は約20%、腎臓は約10%、心臓は約7%とされています。これだけで約84%にもなります。筋肉の量は個人差が大きく、筋肉が多いほど多くのエネルギーを作り出していることになります。
ミトコンドリアでエネルギーを作り出すのはTCA回路というエンジンのような働きをする部分で、三大エネルギー源(ブドウ糖、脂肪酸、アミノ酸)はTCA回路で使われる高エネルギー化合物のアセチルCoAに変化します。
そして、アセチルCoAがTCA回路の中で9段階の変化を経て別々の酸になり、一周してくるとATP(アデノシン三リン酸)が発生します。これがエネルギー代謝として、一般に説明されているメカニズムです。
ATPが発生するというと、何もなかったところからATPが作り出されるようにイメージする人もいるようですが、化学的な変化が起こっているだけです。ATPはアデノシンにリン酸が3つ結びついた形をしていて、その一歩手前ではリン酸が2つ結びついたADP(アデノシン二リン酸)となっています。
TCA回路では複雑な変化をしながらリン酸を1つ増やしているだけということも言えるわけで、ATPからADPに変化するとき、つまりリン酸が1つ離れるときにエネルギーが発生しています。ATPはエネルギーではなくて、あくまでエネルギー物質というエネルギーを含んでいる物質だということです。
ATPからADPになるときには酵素が必要で、その酵素を働かせるためには補酵素のコエンザイムQ10が必要になります。補酵素は酵素を働かせるために欠かせないもので、補酵素が不足していると酵素の働きが低下して、エネルギー代謝も低下することになります。
コエンザイムQ10はサプリメントの成分でもあって、ダイエット成分としても知られていますが、実際には全身の細胞でエネルギー産生の最終段階で必要になる代謝促進成分だったのです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕