厚生労働省から、「健康づくりのための睡眠ガイド2023」が発表されました。
以下に、「健康づくりのための睡眠ガイド2023」の高齢者版の「床上時間と健康との関係」を紹介します。
〔床上時間と健康との関係〕
定年退職などを迎え、自宅で過ごす時間が増えるとともに、育児などの家庭内での役割も徐々に減少するため、必要な睡眠時間に対して床上時間が相対的に過剰となる傾向がみられます。
65歳以上の高齢世代では、睡眠時間と総死亡率の関連は明確にならず、床上時間が約8時間以上の場合に総死亡率が増加することが報告されています。さらに、活動量計を用いて床上時間を測定した別の調査研究でも、長い床上時間が総死亡率の増加と関連することが示されています。
これらは、高齢世代では睡眠時間の長短よりも、床上時間が長すぎると不良な健康状態をもたらしうることを示しています。
さまざまな健康上の問題(心血管疾患、呼吸器疾患、腰・膝などの関節疾患など)から、寝床で過ごす時間を減らすことが難しい人もいますが、前述の研究結果は、必要以上に活動を控え、寝床で過ごす時間を増やしすぎると、長期的な寿命短縮リスクは、むしろ増加する可能性を示しています。
〔睡眠休養感の欠如による健康へのリスク〕
アメリカの地域住民における調査では、65歳以上の高齢世代では、床上時間が長く(8時間以上)、かつ睡眠休養感(睡眠で休養がとれている感覚)が欠如している場合に死亡リスクが増加することが示されています。
何らかの病因により2年以内の死期が迫り、やむなく床上時間が増加してしまった可能性がある人を除いてもなお、死亡リスクと床上時間、睡眠休養感の関係は同様な傾向が示されました。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕