発達栄養学71 早食いで特に太りやすいタイプがある

早食いをすると太りやすいのは、脳の満腹中枢が働くまでに10〜15分ほどかかり、その前に胃が膨らんで満腹感を得るまでに多くの量を食べてしまうからだと言われています。糖質(ご飯、麺類、パンなど)に含まれているブドウ糖を多く、しかも早く摂ることになり、血糖値が急上昇することでインスリンが多く分泌されます。インスリンには肝臓で脂肪合成を進める働きがあり、それが盛んになって、脂肪(中性脂肪)が多く合成されると代謝しきれないために脂肪細胞の中に蓄積されていくようになります。
早食いによって特に太りやすいのは、胃で消化液が分泌されやすく、小腸でブドウ糖を取り込みやすい人であって、ご飯を多く食べることで太りやすい、いわゆるリンゴ型肥満の遺伝子タイプです。肥満に関わる遺伝子は40種類以上あり、さらに発見が続いていますが、そのうち日本人に多いのは糖質によって腹部に脂肪がつくリンゴ型と、脂肪の摂取によって下半身に脂肪がつく洋ナシ型に大きく分けられます。この他に肥満遺伝子としては、本来は代謝が高いので太りにくいのに、筋肉が少ないために一度太ってしまうと、なかなかやせにくいバナナ型もみられます。
洋ナシ型肥満のタイプは、ご飯よりも脂肪を摂ることで太りやすく、早食いをしても太りにくいとされます。早食いで太る一番の原因は、糖質を多く、早く摂ることによって血糖値が上昇しやすいことなので、ご飯の量を減らす、消化と吸収に時間がかかるようにしてくれる食物繊維を多く摂るということをしたほうがよいわけです。そもそも早食いをしないように噛むのに時間がかかる硬い食材にする、食材を大きく切って歯ごたえを高めるようにする、硬めに調理をする、食べている途中で飲み物を何度も飲むといったように、食べるのにかける時間を延ばすようにするのが正しい選択です。
ご飯を食べると脂肪に変わりやすい人は、早食いをすると吸収しやすくなる特徴があります。ブドウ糖が多く吸収されると血糖値が急上昇して、膵臓からインスリンが多く分泌されて、肝臓で脂肪が多く合成されるようになります。このタイプの人は食事にかける時間を少しでも長くすることから始めるべきです。
脂肪が多い食事をすることで脂肪が蓄積されやすい人は、食べた脂肪の量が問題になるため、おかずの内容を考え直す必要があります。脂肪を早く胃の中に入れても、吸収が早くなることはありません。このタイプの人は早食いをして、満腹を感じにくいために多くの量を食べかねないので、おかずは決めた量しか出さないようにすることです。