ソムリエ(sommelier)といえば、レストランで料理に合うワインを選び、提供する専門家を指しています。そのためのワインの管理も提供の準備もソムリエの役割で、ワインそのものを美味しく味わってもらうだけでなく、料理を美味しく味わえるようにすることが重要な役割です。
そういったことを教えていただいたのは桑山為男先生です。桑山先生が私のワインの師匠だと言ったら叱られてしまいそうですが、桑山為男先生といえばワインの世界では知らない人がいないソムリエの重鎮中の重鎮です。
桑山先生と談義をしているときに、「そのうちワイン以外でもソムリエを名乗る人や団体が出てくるのではないか」との話をしたことを覚えています。
今は日本酒が世界に評価される時代だけに、日本酒ソムリエがいてもおかしくはないのですが、野菜ソムリエが浸透してきた影響なのか、“日本酒のソムリエ”を標榜する唎酒師が日本酒サービス協会によって資格認定されています。
このほかに酒ソムリエという資格認定もあって、この資格の酒は日本酒を指しています。酒ソムリエ協会はイギリスのロンドンに本部があって、世界を対象とした日本酒の品評会の開催と流通普及が目的です。
どちらも販売する側の業界のための資格で、ソムリエのように料理と日本酒をともに美味しく味わうためのアドバイザーではないと感じています。
日本酒ソムリエに該当する役割の人は、京都の花街のお茶屋で活躍しています。お茶屋は店舗で料理を作るのではなく、すべて仕出しです。仕出し料理に合う日本酒であり、料理を味わう人を満足させる日本酒を選択して供する専門家は、台屋(仕出し屋)の主水(もんど)と呼ばれます。
主水は古くは皇室の飲料水を調べて、最良の水を提供する役職で、そこから飲み物全般、格の高い方に捧げる飲み物を選ぶ人へと変化してきました。
台屋と主水をつなげると「だいやもんど」となり、いかにも価値が高い、もてなしの席での有り難い存在に感じます。
〔小林正人〕






