NPO法人制度が始まった1998年当時は、事業を行う場合には会社(株式会社、有限会社など)を設立する必要があり、それ相当の資本金が必要でした。
今でこそ株式会社の資本金は1円以上とされていますが、当時は株式会社の設立には1000万円以上の資本金が法律で義務づけられていました。
株式会社に比べたら、資本金が少なくて済む有限会社でも300万円以上が必要でした。
この株式会社と有限会社の最低資本金の規制が廃止されたのは2006年のことでした。
1998年から2006年までは、株式会社と有限会社の資本金の規制があるために、本来なら会社組織を設立して始めるべき事業を、NPO法人で始めるところが相次ぎました。
市民活動のボランティア組織としてNPO法人を設立して運営していくのは、それまで法人の設立を経験してこなかった人にとっては大変な作業のように感じるかもしれないことでした。
しかし、株式会社を設立して運営をしてきた立場の人にしてみれば、NPO法人の経理や活動の報告は簡単なもので、「わざわざ税理士に依頼することもない」と言われるくらいのことでした。この言葉は会社経営者からではなくて、税理士が当時から口にしていたことです。
その上、会社の設立に必要な資本金がNPO法人では必要がないということで、「金がなくても設立できる法人」ということを大きな利点と考える経営者も少なくありませんでした。
そのために、安易にNPO法人を設立する人が増えることになり、実態を伴わないNPO法人、株式会社が支払うべき税金を減らすための便利な法人といった使われ方もされてきました。
株式会社に比べて財務監査の目が届きにくい点があることから、「NPO法人は胡散臭い」と言われることもありました。中にはマネーロンダリングや反社会勢力の隠れ蓑に使われる例も出てきて、“NPO悪人説”まで飛び出すようなことがあったのは事実です。
〔小林正人〕






