抗酸化コラム1 きっかけはポリフェノールの健康効果

活性酸素という言葉が日本で知られるようになったのは、赤ワインのポリフェノールの健康効果がメディアによって伝えられたことと関係すると一般に認識されているようです。

日本で赤ワインブームが始まったのは1997年のことで、それはフレンチパラドックスの研究が根底にありました。

フレンチパラドックスは、フランス人は飽和脂肪酸が多い食事をしているにも関わらず、心臓病(中でも虚血性心疾患)に罹患することが比較的少ないという逆説的な観察を指しています。

虚血性心疾患は、動脈硬化や血栓で心臓の中の血管が狭くなり、心臓に酸素と栄養が行き渡らなくなり、前胸部などに痛み(いわゆる心臓の痛み)や圧迫感といった症状が生じる状態です。

動脈硬化の最大の原因は悪玉コレステロールとも呼ばれるLDL(低比重リポタンパク質)の酸化です。

赤ワインを飲むと動脈硬化を予防することができるという話題があり、赤ワインの健康成分はポリフェノールだということから、“赤ワインポリフェノールブーム”と呼んだほうがよいかもしれません。

この時期は脂肪の過剰摂取で動脈硬化が増えていたこともあり、その当時の死因は心疾患(心臓疾患)が第2位で、それは今も続いています。脂肪の摂取を減らすのか、動脈硬化を抑える効果があるものを摂ればよいのかという論議があり、楽な方法としてメディアなどでポリフェノールの摂取がすすめられるようになりました。

赤ワインの健康成分を摂るには何を選べばよいか、という発想をしてもらえばよかったのですが、飲酒習慣がない人が健康のためと思って赤ワインを飲んで、かえって健康を害したということも起こりました。

ポリフェノールは植物の苦味、渋み、アクなどの成分で、紫外線を浴びた結果の光合成によって作られます。

この動脈硬化予防の仕組みと、酸化を防ぐ抗酸化物質として赤ワインのポリフェノールについて研究を通じて、赤ワインブームの立役者となったのは板倉弘重先生(医学博士)で、知り合ったときには国立健康・栄養研究所の臨床栄養部長でした。

当時の私は、臨床栄養の病院栄養管理HDS研究所の主任研究員を務めていて、月刊情報誌『健康日本』の編集委員でもありました。

板倉先生の一般向けの書籍は、私の親しい出版社が発行していて、その作成にもテレビ広報にも協力をさせてもらいました。

日本メディカルダイエット支援機構のオリジナルの食生活チェック表は、板倉先生の監修によって完成させたもので、それぞれの人の食傾向が簡単にわかり、改善法も理解しやすい調査法で、今も健康づくりセミナーなどで活用しています。
〔小林正人〕