日々邁進173 「無知の知」の理解

「無知の知」は古代ギリシャの哲学者ソクラテスが提唱したと伝えられている金言で、「自分は何も知らないということを自覚していることこそが、真の地への第一歩である」という考え方を示しています。

このことは今から50年も前に東洋大学の哲学講座で学んだことです。それを今更ながらという感覚で思い出しているのは、今もって同じことをやっている、それも繰り返している人が多くて、その影響を受けて苦労している人が多すぎるからです。

よく言われることに「バカは死ななきゃ直らない」とか「バカは死んでも直らない」という言葉がありますが、何も知らないことを自覚していないと、たとえ死んだとしても、その影響(ほとんどは悪影響、それを長引く悪影響)を後々まで与えてしまうことになります。

言語学的には「無知の知」ではなく、「不知の知」と表現するのが正しいとの説もあるのですが、これは“不知の知”というよりも“不知の自覚”がしっくりとくる感じです。

どちらを使うにしても、伝えたいのはわかっていないことを認めないことには、思考が停止したままで、邁進は望めないのではないか、ということです。

そんな哲学的なことよりも、心に残って、理解しやすい言葉がテレビドラマの中でキーワードとして使われていました。そのセリフはNHKで放送された法廷ヒューマンドラマ『テミスの不確かな法廷』の中で、松山ケンイチさんが演じる発達障害の特性を抱える裁判官が発しました。

「わからないことをわかっていないと、わからないことはわかりません」

何がわかっていないのかを自覚しないことには、真相究明のスタートラインにも立てないということで、これは多くの人に意識してもらいたかったことです。

ところが、そのドラマを見て、「面白いことを言うね」で済ませてしまった人がいて、『あなたにこそ理解してほしかった』と心の中で言いたくなりました。

あくまで“心の中”でのことで、それを言っても理解してくれそうもない人が相手では無駄な時間になる(自分にとっても相手にとっても)という感覚で、その場を離れました。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕