金言の真理128「物心一如」1

物心一如は、経営の神様と称された松下幸之助さんの座右の銘として知られています。パナソニックグループの創業者だと説明することもないくらい、松下幸之助さんは知られています。

PHP研究所で単行本の書き手として私が加わったのも、松下政経塾の塾長の講話を読める形として発行する仕事であったからです。

PHP研究所では15年間、合計で150冊の書籍に関わったので、「物心一如」は何度も書いてきました(当初は本当に原稿用紙に書いていた)。

一如(いちにょ)は、仏教用語に由来していて、「二つのものが区別なく、一つの真実の姿であること」を指しています。心身一如、生死一如などとして仏教の書に現れていて、その中に「物心一如」(ぶっしんいちにょ)も登場します。

仏教思想としては、物質的な豊かさと精神的な豊かさ(安定)が調和して、一体となってこそ真に幸せや繁栄が得られるということです。物(物質)だけ、心(精神)だけでは真の幸福は実現しないということを示しています。

“モーレツ社員”が称賛されるような時代には、物質的繁栄を求めることは精神的な充足とは相容れないとの考えが蔓延(はびこ)りがちでしたが、そんな時代に「物質的繁栄と心の充足は相反するものではなく、相互に高め合うべき関係である」との考えは、経営哲学であると同時に、人生哲学であるとも認識されるようになりました。

その思想は、PHP(Peace and Happiness through Prosperity)、「繁栄によって平和と幸福を」の根幹となっています。

このことは、現在のパナソニックグループの経営基本方針の中にも掲げられています。

『私たちは、今の場所から「物心一如」、すなわち物と心の両面での豊かさに満ちた「理想の社会」の姿を再び思い描き、その実現に向けて邁進していかなければならないのです。』
〔小林正人〕