「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、生活習慣病とエネルギー・栄養素との関連について説明しています。その中の骨粗鬆症と特に関連の深いエネルギー・栄養素の「たんぱく質」を紹介します。
〔たんぱく質〕
たんぱく質は、骨の重要な構成要素です。
成人の骨は骨代謝回転(remodeling)によって継続的に再構築されていますが、骨吸収によって分解されたたんぱく質の全てが骨形成に再利用されるわけでなく、たんぱく質の摂取は骨形成に必須です。
コホート研究のシステマティック・レビューによると、追跡開始時のたんぱく質摂取量とその後の骨密度には関連を認める研究結果が多くなっています。
ただし、個人間差が比較的小さいというたんぱく質の摂取量の特徴を踏まえると、多くのコホート研究で用いられている食物摂取頻度調査法等の食事調査法では、骨密度の向上に効果的なたんぱく質の摂取量の閾値を評価することは難しくなっています。
また、食事として13.2〜45g/日のたんぱく質を付加したり、食事内容の変更でたんぱく質を90g/日以上を確保する等の介入効果を検討した無作為化比較試験のメタ・アナリシスは、介入群では腰椎骨密度が対照群に比較して良好であったものの、その効果はわずかであり、大腿骨近位部や大腿骨頸部の骨密度には有意な効果は認められていません。
なお、推奨量以上の量のたんぱく質を付加することによる骨密度の増加は、少なくとも臨床的に有用といえるほど大きなものではないと考えられます。
さらに、たんぱく質摂取量と骨折リスクの関係を検討したコホート研究のメタ・アナリシスでは、たんぱく質の摂取量と大腿骨近位部骨折リスクとの間に負の関連が認められましたが、椎体骨折や全骨折では有意な関連は示されておらず、他のメタ・アナリシスでも結果は一致していません。
以上より、たんぱく質の摂取量不足の回避は重要ですが、現時点での骨粗鬆症の予防の観点から、たんぱく質摂取量の影響の程度について一定の結論を出すことは難しくなっています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕






