メディカルダイエットについて教育をしていると、大人になってから対策をしても間に合わないと感じることも多く、小児とはいかなくても、せめて10代のうちには正しいダイエット知識をもって食事や運動に取り組んでほしいと思っています。メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)という肥満対策でもある健康基準があるので、これを活かして若い世代のダイエット対策をしてほしいのですが、大人のメタボリックシンドローム診断基準については比較的知られていても、小児のメタボリックシンドロームについてはほとんど知られていません。
大人のメタボリックシンドロームの診断基準は、腹囲が男性は85cm以上、女性が90cm以上になった場合に、検査数値の中性脂肪値が150mg/dl以上かHDLコレステロール値が40mg/dl未満の片方か両方を満たす、収縮期血圧が130mmHg以上、拡張期血圧が85mmHg以上の片方か両方を満たす、空腹時血糖値が110mg/dl以上となっています。
これに対して小児期(6〜15歳)のメタボリックシンドロームの診断基準は、腹囲は小学生が75cm以上、中学生が80cm以上、もしくは腹囲を身長で割った数値が0.5以上になった場合に、中性脂肪値が120mg/dl以上かHDLコレステロール値が40mg/dl未満の片方か両方を満たす、収縮期血圧が125mmHg以上、拡張期血圧が70mmHg以上の片方か両方を満たす、空腹時血糖値が100mg/dl以上となっています。
この診断基準が発表されるまでは小児期の肥満度は、実際の体重から標準体重を引いた数値を標準体重で割って、これに100をかけて計算していました。
肥満度(%)=(実測体重−標準体重)÷標準体重×100
この計算式によって、幼児では15%以上が肥満児、学童期以降では20〜30%が軽度肥満、30〜50%が中等度肥満、50%以上が高度肥満と判定されていました。
子どもが太るのは本人の責任というよりも、食事を作って食べさせている親のせいであり、孫を甘やかして余計に食べさせている祖父母のせい、そういった注意をしない周囲のせいというのは当然のことです。小児期メタボリックシンドローム診断基準があるということを知って、これに該当すると生活習慣病のリスクが急激に高まること、大人と同様に生活習慣病に苦しむようにしてしまうということを家族が認識して対応しなければ、大切な子ども、可愛い孫の一生を左右するということを強く意識してほしいのです。
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ニンニクの魅力はアリシンです。ニンニクにはアリインという硫黄を含むアミノ酸とアリナーゼという酵素が含まれていて、切ったり擦りおろしたりするとアリインとアリナーゼが反応してアリシンとなります。アリシンには強い抗菌作用があり、ニンニク特有の臭いの素となっています。アリシンはビタミンB₁と結びつくとアリチアミンになります。ビタミンB₁はチアミンとも呼ばれるので、アリシンとチアミンでアリチアミンというわけです。このアリチアミンが元気の元となります。
ビタミンB₁は吸収率が50%ほどですが、アリチアミンになると吸収率が2倍近くにも高まります。そして、体内に吸収されたあとにアリチアミンはビタミンB₁とアリシンに分解されるので、体内のビタミンB₁を大きく増やすことができます。ビタミンB₁には糖質をエネルギー化させるために必要であることから、糖質の代謝が進み、発生するエネルギー量が多くなるということです。
「それなのに、なぜニンニクを加熱して酵素が破壊された無臭ニンニクを食べるのか」という疑問は当然のように生まれることで、それを雑誌記者からも聞かれました。それに対する私たちの回答は、「もともとアリインが少ないニンニクを使っているから」。もっと言えば、「ニンニクではないものを使っているから」ということを伝えさせてもらいました。
無臭ニンニクとして販売されているものの材料はジャンボリーキです。ニンニクはネギ科ニンニク属ですが、ジャンボリーキはネギ科リーキ属で、一般には西洋ネギと呼ばれています。その根の部分がニンニクのような形となるのですが、ニンニクの8〜10倍もの大きさとなっています。だからはジャンボと名づけられ、エレファントガーリックという別名もあります。そんなにも大きいのに、アリインの量は60分の1でしかありません。
もともとアリインが少ないので、加熱しても問題がないということです。そもそも無臭ニンニクという名称は、ニンニクには特有の臭いがあって、それに対して臭いがないものを作って、無臭ニンニクと呼んでいたものです。それなのに、もともと臭わない材料を使って無臭ニンニクとして販売するのは「不当表示ではないか」と言ってきた人もいました。
ここまで読むと、ジャンボリーキの無臭ニンニクは効果がないような印象を抱かれがちですが、そんなことはありません。アリシンの効果は期待できなくても、サポニンが多く含まれています。サポニンは免疫と肝機能の強化で知られる成分です。また、イヌリンも多く、これは血糖値の上昇を穏やかにする成分として知られています。無臭ニンニクを食べると健康になるといわれる理由は、アリシンではなくて、これらの成分にあったのです。
無臭ニンニク製品の中には、アリシンが含まれることを記載してあるものもあり、強調しているものも見かけます。これは「不当表示では」と疑われても仕方がありません。
前回の歩数計の歩数記録を信じてよいのか、という話を受けて、何人もから同じ質問がありました。「歩数計と書かれているということは万歩計なら大丈夫か」という内容で、万歩計の由来を知っているからの連絡でした。以前に万歩計をつけてウォーキングに来るようにと知らせたときに、歩数計を持っているのに、わざわざ万歩計を探し歩いて買ってきた人がいました。万歩計は山佐時計計器の登録商標です。一般には歩数計と呼ばれていて、これは化学調味料と味の素の関係と同じです。つまり、歩数計というときには万歩計も含まれていて、万歩計といったときには歩数計ではダメと考えられたようですが、そこまで深い意味で集合をかけた人は万歩計という言葉を使ったわけではなくて、自身が持っているのが万歩計だったので、そのまま万歩計と書いただけのことです。
万歩計が登場したのは、1964年(昭和39年)の東京オリンピックをきっかけに日本歩け歩け協会が設立され、翌年に「1日1万歩運動」が始まってからです。この年に初代の万歩計(万歩メーター)が発売されています。その後は各社から歩数計が販売されて、精度も高まり、歩数計をつけて歩くことで運動量を増やすモチベーションづくりに貢献しました。
中之条研究では1日に8000歩を歩き、そのうち20分間は早歩きをするのが健康づくりによいという成果も、歩数計の精度の高まりがあったからです。歩数と健康状態の研究をするときに、精度に大きな誤差があったのでは結果も正確には出ません。各研究では、私たちが行っているのと同じように、歩数計をまとめてつけて歩いて、その誤差を確認してから配布する、ということは、もちろんしているはずです。
1日に1万歩を歩くのが健康によいと長い間、言われてきましたが、今では中之条研究の成果を受けて8000歩でよいという話が広まっています。1万歩運動が始まった当時は食生活の欧米化が進み、運動量も減ったことから、1日の摂取エネルギー量が消費エネルギー量を300kcalほど上回っていました。この過剰分を運動で消費するには3000歩の歩行が必要で、当時は7000歩ほどを歩いていたことから合わせて1万歩となったわけです。
現在の歩数の目標は、厚生労働省による国民の健康づくり運動の「健康日本21」で示されています。第一次の健康日本21では1997年(平成9年)の調査をもとにして10年間の目標が定められました。当時の1日の歩数は男性が8202歩、女性が7182歩であったのを10年かけて1000歩ずつ増やすことが目標とされました。しかし、実際には800歩ほどずつ減ったという結果でした。そこで第二次の健康日本21では10年間で男性が9000歩、女性が8500歩を目標として示されてします。その結果が出るのは2022年です。
コレクションのように歩数計を複数持っている人がいます。今日は、これをつけて歩こう、服装によって変えよう、という時計のコレクションとは違って、複数の違った機種を持ち歩いて、歩数記録を見比べている人です。歩数計のメーカーの人なら、自分の会社の歩数計と他社のものを比べる、自社のものであっても精度を測定するというのはよくあることです。しかし、日本メディカルダイエット支援機構の理事長は常に3個は身につけて歩いています。というのは、ウォーキングに参加する人に、自分の歩数計を信じ切ってはいけないという話をするための証拠として、です。
歩数計を複数持って、実際に歩いてみて、歩数記録の違いをレポートしている人はいます。1回だけの計測で、こちらの商品のほうが正確だ、というようなことを書いている人もいますが、歩数計には精度の差があって、3%未満の誤差は許容範囲です。実際に1日に1万歩を歩いたとすると、9700歩から1万300歩、最高で600歩の違いがあっても許されて出荷されているということです。
歩数計は過去には振り子式という揺れを感知する装置が主流でした。これは電車などの乗り物の揺れもカウントしてしまうことから、今では3軸で移動を感知する3D加速度センサーが主流になっています。スマホにも歩数計のアプリがあり、便利ではあるのですが、スマホの歩数計は歩いていないとき、靴を履いているときもカウントされるものがあります。
3D加速度センサーによる歩数計は歩行していないときにはカウントされないように、10歩以内はカウントしない、6秒以下はカウントしないといった機能がつけられています。それはよいのですが、弱点もあって、すり足のような歩き方では反応しない、小走りでは正確には計測できないということもあります。
誤差が3%未満の精度に優れた歩数計であるという前提条件で、集団で全員が同じ歩数計をつけて歩いたときに、かなり歩数記録が異なっていたことがあります。正確に測定できない分がマイナスされているならまだしも、かなりプラスに表示されるものもありました。保証期間の1年が迫ってきたものではなくて、新品にも関わらず、です。
こんなことが起こっているのに歩数計の精度を信じっぱなしで、自分は1日に推奨されている8000歩を歩いているから大丈夫と思い込んでいて、実は誤差の範囲の7760歩だったというのではなく、5000歩も歩いていないのに8000歩と記録されたら、これは運動不足になってしまいます。当方人の理事長の歩数計で最も激しい差だったのは新品で1万5000歩を超えていました。実際の歩数は5000歩程度だったのに、です。1年以上使い続けたも同じ種類(色違い)も身につけているのですが、そちらは2万歩を超えたことがありました。
こんなことも起こるということを伝えるために、ズボンの左右のポケットに同じ種類のものを入れ、別にベルトにもつけて歩いています。使い続けたものが極端に多く記録されると決まっているなら話はわかりやすいのですが、日によっては古いほうが少なかったり、新品が急に歩数記録が増えたりと、不安定なことも、皆さんに歩数計を信じすぎないようにという話のネタにしています。
前回の糖質制限の危険性の話は、文字数不足もあって中途半端に終わってしまったことがあり、すぐにメディア関係者から続きの催促がありました。動物試験による危険性の話を特に知りたがっている方が多く、それについて紹介させてもらいます。試験に使われた動物はマウスで、極端な糖質制限を継続すると30%ほど老化が進み、寿命では20〜25%も短命になっていたという結果です。
何が老化に影響を与えたかということですが、インターロイキン6というレクチンで、免疫細胞のT細胞やB細胞、白血球のマクロファージから産生されるサイトカインの一つです。炎症性サイトカインとも呼ばれていて、免疫を制御する作用が確認されています。レクチンは糖鎖に結合するタンパク質で、インターロイキン6が増えると免疫の低下から病気が増えることが知られています。
長寿研究から、寿命に大きな影響を与えるのは臓器の炎症であることがわかってきていて、その炎症の原因がインターロイキン6で、それを増やすのが長期間の糖質制限だということになると、糖質制限を危険視する人が増えるのも当然との考えです。
これに対して、どれくらい増えているのかという質問がありました。増えているといっても、身体に影響がない程度の増加では、それを評価していいのか迷うところです。特に免疫に関することでは、過去にも免疫を強化する成分が話題になったものの、よく調べて見たら1%も高まっていなかったことから急に話題から消えるということがあったからです。
国内の大学での試験結果では、糖質制限をしたマウスでは通常の食事(エサ)にしたマウスに比べて1.5倍にもなったということです。これは明らかな差で、老化に影響を与えるレベルとなっています。
どうして糖質制限でインターロイキン6が増えるのかということについての詳細の研究はこれからとなるのですが、免疫細胞が正常な働きをしていないことが考えられます。糖質に含まれるブドウ糖は重要なエネルギー源で、すぐにエネルギーとして使われることから全身の細胞はブドウ糖をエネルギー源として最優先させています。最優先といっても、他にエネルギー源となっているのは脂質の脂肪酸、たんぱく質のアミノ酸だけです。
ブドウ糖が充分になり、それが細胞に取り込まれることによって細胞の中で充分なエネルギーが作り出されます。このエネルギーを使って細胞は本来の働きをしています。免疫細胞も細胞と名がついているように、細胞そのものです。免疫細胞もブドウ糖が不足していたら本来の免疫の働きができなくなり、さらに本来なら多くは産生されないはずのインターロイキン6を多く作り出すことになります。こういうことにならないように、免疫細胞もそのほかの全身の細胞も正常に働くように、必要なレベルの糖質は絶対に摂らなければならないことを発言しているのですが、糖質は少ないほうが健康になれると強調している方々の前では、それを正しいことのように伝えているメディアが多い中では、なかなか理解されないことではあります。
糖質制限の有効性と限界については、講演でも頻繁に取り上げ、その一部は最新情報の中でも繰り返し語ってきているので、今のまま紹介していてよいのかと考え始めているメディア関係者も増えてきました。このサイトを見ている、私たちに近い方々だけかもしれませんが。糖質制限は血糖値の上昇が抑えられることから膵臓から分泌されるインスリンが減り、インスリンには肝臓での脂肪合成と脂肪細胞への脂肪の蓄積を進める働きがあることから、太りにくいことは当然のことです。摂取したエネルギー量で太る、太らないが決まるのではなく、インスリンの分泌量にかかっていることは随分と知られるようになってきました。
三大エネルギー源のうち、脂質(脂肪)は多く摂取すると健康被害が起こるものの少なすぎても健康被害は起こります。必須脂肪酸という体内では合成できない脂肪酸があり、これだけは食事で摂らないことには健康維持ができないからです。糖質を摂ると体内で脂肪が合成されるといっても、必須脂肪酸が合成されるわけではないのです。
たんぱく質はアミノ酸で合成されています。アミノ酸の中には必須アミノ酸という、これも体内では合成されないために食事で摂らなければならないものがあります。たんぱく質は身体を構成する成分であり、ホルモンや免疫物質などの材料でもあるので、少ないと身体の状態が保たれなくなります。たんぱく質を多く摂りすぎた場合には腎臓に負担をかけることになります。
糖質はどうなのかということですが、必須ブドウ糖という名称はありません。必須も何もブドウ糖が重要なエネルギー源で補わなければならず、脳の唯一のエネルギー源はブドウ糖だけなので、欠かすことはできません。つまり必須であることから、わざわざ必須ブドウ糖というようなことを言う必要がないわけです。ブドウ糖が含まれる糖質を多く摂りすぎると糖尿病になる危険性は高くても、ブドウ糖が減った場合には特に大きな害は起こらないとの考え方から、糖質制限をすすめる専門家が増えることになりました。
ブドウ糖が大きく不足した場合には、体内に蓄積されているタンパク質からブドウ糖を作り出す糖新生が起こることから生命維持に問題があるほど不足することはないというのも糖質制限をすすめる専門家が口にすることです。
しかし、これまで糖質制限で語られてきた危険性は短期間しか見ていなかったことで、長期間に何が起こるかは触れてこなかったのが事実です。なぜ長期間で調べられていないのかというと、動物試験によって危険性が確かめられていることを人間で試験することができないからです。動物と人間は違うという考えがあるかもしれませんが、危険性があると疑われることを人間で試験をすることは倫理的に許されていません。だから、危険性を示すデータがないわけで、それをもって安全だということはできないのです。
運動をしたり、頭脳労働をし続けていると、疲れを感じます。疲労感は心身の疲労を感じることだと思われていて、疲労感を感じたときには疲労を解消するために身体を休めることが必要だとも考えられています。しかし、実際には疲労がたまってきた結果として疲労感を感じるとは限りません。身体は疲れていないのに、脳で疲労を感じるということもあります。ありますというよりも、むしろ脳で疲労を感じていることのほうが多くなっています。
脳で疲労を感じることができないと、疲労の原因となっている心身の活動をストップさせることができなくなって、疲れはたまる一方となります。身体が疲れているときには、細胞の中で発生した疲労物質の乳酸が多く蓄積された状態となっています。乳酸は悪いことばかりではなくて、エネルギー物質にもなるので、悪者扱いしないでほしいという風潮もありますが、乳酸がたまりすぎると筋肉の動きが制限されるようになります。これによって身体を休ませるのが乳酸の役割でもあります。
脳が疲れてくるとしたら、脳を休ませるのが一つの方法となるわけですが、脳は身体を休めれば、それに応じて休んでくれるものではなくて、ピークに近づくほど興奮状態になった脳は眠ったとしても元の状態にすぐには戻ってくれません。では、どうしたらよいのかというと、興奮がピークに達する前に、これまで続けてきたことを止めるか、別のことをして脳の別の機能を働かせることで、興奮状態を抑えるようにすることです。
疲労感があるからといって身体を休めてばかりでは、かえって疲労が蓄積していくことになります。乳酸を分解する効果があるのは有酸素運動です。有酸素運動をすると、ブドウ糖と脂肪酸を材料にしてエネルギーが発生します。エネルギーを作り出しているのは全身の細胞の中に存在しているミトコンドリアです。ここで作り出されたエネルギーが、それぞれの細胞を働かせます。エネルギーは他の細胞では使われないので、いわば地産地消の状態となっています。
簡単にできる有酸素運動はウォーキングです。歩くことは足で地面を感じ、状況に合わせて身体を変化させ、あらゆる情報を刺激として受けながら脳をフル回転させています。フル回転したら脳が疲れるのではないかと思われるかもしれませんが、歩くと脳に酸素が多く運ばれ、脳で発生するエネルギーも増えていきます。このエネルギーが脳の疲労を取り、正常に働かせるための源になります。
疲労が蓄積しつつある脳細胞が、それぞれ回復をするためにエネルギーを作り出すためには、酸素と同時にエネルギー源が必要です。脳のエネルギー源になるのはブドウ糖だけなので、疲れたときには甘いものを食べたり飲んだりすることは大切なことだということがわかります。
咀嚼についての記事を書こうとしているという新聞記者から、「固食についての情報を」という依頼がありました。どんな情報を求めているのかと聞いたところ、「具体的に身体によい固い食べ物の種類を教えてほしい」とのこと。
勘違いしていることはわかりましたが、固い食べ物ということで、「20回以上は噛んで食べるように言われているが、軟らかいものを20回も噛んだらグチャグチャになるので、20回以上を噛める食品を食べるのが正しいのでは」という話をして、具体的な食品として食物繊維の中でも不溶性食物繊維が多く含まれる食品について話をさせてもらいました。
勘違いということを書きましたが、“固食”というのは固い食べ物のことではなくて、固定的に食べている食事のことを指しています。どこかで固食という言葉を見て、固い食べ物と思ってしまったようです。固定的というのは、いつも朝食は同じ内容、昼食で外食するのは同じ店、夕食はお酒と一緒なのでおかずの種類が決まっている、というようなことを指しています。決まっている食事というのは食べやすい料理が多く、固いものというよりも逆に軟らかいものばかりを食べがちになってしまいます。
軟らかい食事というと、ご飯、パン、麺類などが多くなりがちで、これらは“粉食”と書いて“こしょく”と読みます。粉食は噛む回数が減るので、固いものを食べる健康効果とは逆の結果になってしまいます。糖質制限がヒットしている時代に、糖質が多く含まれる粉物を多く食べることになるわけですが、これでは肝心な栄養素が摂りにくくなります。
粉物が増えても、ビタミンやミネラルが豊富な食品を多めに食べていれば、糖質や脂質が多めになっても、これを燃焼させる効果が落ちることはなくなります。しかし、若い女性は食事量が減りがちで、もう一つの“こしょく”が起こっています。漢字では“小食”と書きます。ダイエットのために食べる量を減らすときであっても、代謝に必要なおかずの量は減らすことなく、主食のほうを減らすことを考えるようにしたいものです。
中でも必要なものは、糖質の代謝に必要なビタミンB₁、脂質の代謝に必要なビタミンB₂ですが、体脂肪を代謝によってエネルギーにするためにはビタミンB₁、ビタミンB₂、ビタミンB₆、ビタミンB₁₂がセットで必要になります。これらのビタミンB群については、このサイトの「サプリメント事典」を参照してください。
前回の塩飯の話を受けて、すぐに問い合わせをしてきたのは、毎日チェックしてくれている雑誌記者です。「そのまま記事にはならなくても、発想の参考になる」などと言って、気にしてくれています。食塩の過剰摂取を避けるためにコンビニやスーパーなどの塩飯を食べないようにしたくても、それを食べるしかないということもあります。また、外食にも塩飯を使うところが増えつつあるので、知らないうちに食べているということもあります。
となると、食塩を身体の中に入れない工夫、余分が塩分を排出する方法を考えなければならない、ということで、持ち帰りや外食で何を一緒に食べればよいのか、別の食事の機会であってもよいので何を食べればよいのかということを聞かれました。
胃の中に入った塩分(ナトリウム)の吸収を抑えるためには、水溶性食物繊維が有効です。水溶性食物繊維は水分を吸って膨らみ、ゲル状になって余分な成分を吸着する作用があります。水溶性食物繊維は消化も吸収もされないので、吸着された成分は胃から腸を通過していきます。そのまま排泄されるのかというと、水溶性食物繊維は大腸では腸内細菌によって分解されます。大腸からもナトリウムは吸収されます。
吸着されたナトリウムは排泄されるというようなことが書かれた書籍も目にしますが、実際には小腸からは吸収されず、大腸から吸収されるだけなので吸収量を減らす効果があるというのが正解です。どちらにしても水溶性食物繊維はナトリウムの吸収を抑える作用があるので、水溶性食物繊維が多く含まれるキノコ、海藻、果物です。果物の水溶性食物繊維はペクチンというジャムになる部分です。この他にコンニャクも水溶性食物繊維として紹介されるものの、凝固剤で固めたコンニャクは不溶性食物繊維と同じ性質になって、吸着作用はなくなってしまいます。
体内に入ったナトリウムを排出するために有効になるのはカリウムです。カリウムにはナトリウムが腎臓で再吸収されるのを減らして、尿からの排出を進める作用があります。カリウムは野菜や豆、いもなどに多く含まれています。普通の食事で不足することはないのですが、ナトリウムが多いと排出のためには多くの量が必要になります。野菜の摂取量が少ない人は、どうしても足りなくなります。サラダを毎日食べていても、煮野菜に比べると少ない量でしかありません。では煮野菜を食べればよいのかというと煮汁の中にカリウムが含まれるので煮汁まで摂るようにするか、生野菜を多く食べるようにしないといけないことになります。
知らないうちに塩分が多くなっている食生活では、水溶性食物繊維とカリウムの摂取を心がけないといけないということを伝えさせてもらいました。
「なぜ持ち帰りや外食の料理はおいしいのか」ということが、メディア関係者との懇談の中で話題にのぼりました。料理を考える人が頑張った結果、という簡単な話ではなくて、なぜの理由を解説する前にコンビニ、スーパーの店舗を回って、簡単な現場リサーチを実施しました。
ご飯をおいしく食べるためのお供は、どれも塩味が強いものです。塩味はおいしい食事の基本中の基本です。塩味は舌の表面の味蕾で感じるので、おいしく食べるためには料理した素材の表面に軽く振るだけでも充分です。それでも、塩を加えて煮たり炒めたりするのと同じように味わうことができます。だから、塩分によって血圧が上昇しやすい人には、料理の最後に塩を振る調理法がすすめられています。
店舗で買って持ち帰る弁当やおにぎり(おむすび)には塩が使われていますが、塩分は血圧を上昇させるということが知られていることから、しょっぱい感じの味付けにはなっていません。しかし、塩分は保存料の役割をしています。塩分を少なくすると、安全のためには食品添加物の保存料を使わなければならなくなります。保存料を使っていない無添加への関心が強いので、保存料も使いにくくなっています。それを解決するために使われているのが、塩飯です。
塩飯というのは、あまり聞き覚えがない言葉かもしれないのですが、コンビニやスーパーなどで販売されているご飯物の米飯に、白米ではなく塩飯が使われているものもあります。原材料表示を見れば塩飯と書かれています。塩飯は水に食塩を入れて炊いたものです。ご飯の中に食塩が浸透しているので防腐効果はあるのに、表面の食塩は少ないので、しょっぱくは感じません。むしろ適度な塩味がおいしさを高めてくれます。
店舗から持ち帰って食べるものなら持ち帰り弁当でもよいのかというと、その場で詰めたものには原材料を表示する義務はありません。だから、どんな食材なのか、どんな食品添加物が使われているのかということを知ることができません。
塩飯を使っている場合にも、塩分量は「食塩相当量」と表示されています。血圧上昇に関わるのは塩分の中のナトリウムなのですが、ナトリウムは表示されていません。厚生労働省による塩分摂取量の目標は男性が8g、女性が7gとなっています。食塩相当量が2gと書かれていると、「1日に摂っていい量の4分の1の量か」と思いがちですが、食塩相当量はナトリウムの量であり、ナトリウムは食塩の半分以下の量です。ナトリウム量から食塩量を計算するには2.54倍します。ということは2g×2.54で5gを越える量となることです。
本人は食塩の量を気にして、しょっぱいものは避けているつもりでも、中に食塩が浸透する調理法をされたら塩分の摂りすぎで、血圧を上昇させることにもなります。最近は外食でも塩飯の手法は使われてきているので、家でご飯を炊いて食べている人でないと、どうしても食塩摂取量が多くなりがちだということです。





