投稿者「JMDS」のアーカイブ

学校給食で「いただきます」と言うことに対して、「給食費を払っているのだから言う必要はない」と学校に文句を言ってきた親がいるということが教育の研究発表会であり、それが食事に関する学会でも取り上げられたことがありました。いただきますというのは、食べさせてもらっているから言っているのではありません。このことを講演で話したときに、「食事を作っている人に対しての言葉」と発言した母親世代の人がいました。母親に感謝して、ということを言いたかったのかもしれませんが、これも違うような感じがします。
私たちが生命を維持するために、動物や植物の生命をいただくことに対して言っているのだという考えや、自然の恵みをもたらしてくれた自然環境に対して、さらに神様に対してと、さまざまな考えがあります。どれが正解ということよりも、少なくとも今、目の前にある食べ物がいただけることに感謝して、という気持ちで「いただきます」と言っています。
「いただきます」と言って食べ始めて、食べ終えたときに何と言うのが正しいのかと聞かれたら、普通は「ごちそうさま」とか少しだけ丁寧に「ごちそうさまでした」となるはずです。しかし、“長野県”ではいただきました」と言っているということが広まってきました。これは全国の特徴を紹介するテレビ番組で取り上げられてから、「いただきました=長野県」というのが定説として広まってきました。
それを見て、なるほどと言うのではなく、本当かと疑問を投げかけるのが私たちの特徴で、さっそく長野県の栄養関係者に問い合わせたところ、その通りとの返答でした。この話を日本メディカルダイエット支援機構の理事長が義父に話したところ、「岐阜でもいただきましたと言う」と話していたということです。ひょっとすると、と思って静岡の同年輩の研究者に連絡をしたら、やはり「いただきましたと言う」とのこと。長野県だけではなく周囲にも広がる方言ではないかと若い世代にリサーチしている機関に聞いたら、若い人は「ごちそうさまが当たり前で、いただきましたは聞いたことがあるが使っていない人が多い」とのこと。
理事長は長野県と隣接する新潟県の生まれですが、高い山が地域を隔てている影響なのか、新潟県は“いただきました文化圏”ではなかったとのことです。
しかし、よくよく考えてみると、「いただきます」という言葉の対語(対義語)は「いただきました」が正しい組み合わせで、食べ物を生命維持、知的活動のエネルギー源と考える立場にとっては、食事をしてエネルギー源を体内でエネルギーとすることができたので、エネルギーをいただきましたという気持ちもあります。
実際に、どんな言葉で食事を締めくくっているのかというと、当法人のメンバーは「ごちそうさまでした」と少しだけ丁寧な言葉にしていますが、理事長は「いただきました、ごちそうさまでした」と言葉を重ねて、奥さんに感謝を述べているとのことです。

ブレイク(break)は、壊す、中断する、離れるなど、使われる場面によって意味合いが違う言葉です。ボクシングでブレイクと言われたら選手はクリンチから離れなければなりません。テニスではサーブ権がある選手がセットを勝つことです。ビリヤードでは初めのショットです。音楽では音やリズムが一時的に止まった空白部分を指します。そして、なかなか芽が出なかったことが急に人気が出ることをいいます。最後の意味は「ブレイクする」と表現されることもあります。
このブレイクするの語源はブレイクスルー(breakthrough)です。障壁を突破することを意味する言葉なので、ブレイクするは語源と同じ使い方をされていることになります。チェンジするとかチャレンジする、アレンジする、ストップするという日本特有の和製英語と同じ使われ方をしているものの、ひょっとしたら聞き間違えが、定着したのかもしれないと感じています。
スルーというのは、通過するというのが本来の意味です。LINEでは既読にならないのは「未読スルー」といいますが、無視するという意味として使われています。LINE世代と話をしていたときに、ブレイクスルーのことを切り出したところ、「壊して無視する」という意味だと思ったと話していて、ただ無視をするだけではなくて友達関係を壊すくらいの無視とは凄いとも思ったものです。
こんな話を持ち出したのは、朝食を食べないと体調を崩しやすい、脳の唯一のエネルギー源のブドウ糖が不足して頭が回らないという話をしたときに、雑誌記者から「なんで朝食のことを英語でブレックファースト(breakfast)というのか」という疑問が出されたからです。
fastは通常は速いことを指しています。しかし、食事の場合には絶食や断食を指します。夕食を食べ終えてから朝食までの絶食状態を破壊するのが朝食となります。だから、breakfastで意味が合っているわけです。「朝食は空腹状態を壊すために初めて食べる食事」ということを栄養士の教育の中で話していた先生がいましたが、firstと勘違いしていたのかもしれません。
空腹状態を脱して、1日を始めるためのエネルギー源、活力源をいただく重要なタイミングの朝食であるのに、これを抜いてしまう人が少なくありません。
脳の唯一のエネルギー源のブドウ糖は脳の中に充分に保持されるのは15時間ほどです。夕食を19時に食べ終えて、朝食が7時なら12時間の空腹時間で、まだ3時間の余裕があります。それにも関わらず、朝食を抜いて12時に昼食を食べるとすると15時間となって、2時間ほど不足した時間があります。
これでは脳の働きが低下するだけでなく、脳が全身の働きをコントロールしているので全身の機能低下を起こすことにもなりかねません。空腹状態をブレイクするのは朝食でなければならないということを雑誌記者に話しました。

前回の褐色脂肪酸の活性化については、各方面から意見や感想が寄せられました。褐色脂肪細胞は量が多いほど体脂肪の燃焼が進むものの、褐色脂肪細胞は増やせないので、活性化させるものとして香辛料やカテキン、DHAを摂るのがよいというテレビ番組に対しての感想を述べたものです。それに対して、活性化させるものを摂っているのに褐色脂肪細胞が充分に働いていない人は、どうすればよいのかという質問を受けていましたが、「それこそヒトケミカルの出番じゃないか」と意見を寄せてくれる方が数多くいました。
ヒトケミカルは細胞のミトコンドリアのエネルギー産生を促進する成分で、その中でも天然型のα‐リポ酸であるR‐αリポ酸、L‐カルニチン、コエンザイムQ10を三大ヒトケミカルと呼んでいます。ミトコンドリアの中で発生したエネルギーのうち50%ほどは体熱を高めるために使われています。すべての細胞でエネルギーが作り出されて、それが熱になっているのですが、50%というのは基礎代謝が70%ほどの割合を占めていて、基礎代謝の70%ほどが体熱となっているので、70%×70%で約50%として計算されています。
熱に多く変換される細胞と、それほどでもない細胞とがあり、前者のほうは筋肉が主にはあげられています。それと並んで熱への変換が高いのが褐色脂肪細胞です。となると、褐色脂肪細胞でもミトコンドリアが多くのエネルギーを作り出しているため、それを促進する三大ヒトケミカルが重要で、多く摂取するほど多くのエネルギーが作り出されることになります。もちろん、三大ヒトケミカルが体内で多く合成されている20代、中でも20〜24歳くらいは外から摂取しても効きにくくなっているのですが、体内での合成が減り、蓄積量も減ってくる25歳以降には効果があることになります。
代謝の低下によって蓄積される脂肪量が増え始める40代以降は、三大ヒトケミカルが大きく減ってくることになり、褐色脂肪細胞の働きの低下は、三大ヒトケミカルの減少曲線と、ほぼ合致しています。代謝を低下させないためには、三大ヒトケミカルを摂ることが大切になるわけです。褐色脂肪細胞の働きの低下による体熱の減少だけが問題ではなくて、すべての細胞でエネルギー産生が行われていて、そして加齢によってエネルギー産生が低下していきます。
どんなものを取り上げたとしても、細胞の働きの話になったら三大ヒトケミカルは重要になるものの、エネルギー代謝に関わる話では欠かすことはできないということです。
α‐リポ酸、L‐カルニチン、コエンザイムQ10については、このサイトの「サプリメント事典」を参照してください。

脂肪を燃焼させる働きがある褐色脂肪細胞についてのテレビ番組が放送されている最中に、他局のプロデューサーから問い合わせがありました。「褐色脂肪は鎖骨にあるのですか」という質問でした。褐色脂肪細胞が正しいのですが、番組で褐色脂肪と表現していました。褐色脂肪は褐色脂肪細胞の中に蓄積された脂肪なので、褐色脂肪細胞を使って進めることにします。
褐色脂肪細胞は肩甲骨の周りと、肩甲骨と肩甲骨の間、首の周辺、脊髄の周辺、脇の下に蓄積されています。鎖骨の周りにも蓄積されているのですが、テレビ番組では鎖骨をサーモグラフィカメラで測定して、温度が高いことを示して、褐色脂肪細胞の活性度を測定していました。測定する場所が鎖骨であって、褐色脂肪細胞が多いところではないのに、そんな取り上げ方をされたために鎖骨にあって、鎖骨を冷やせば褐色脂肪細胞が活性化すると勘違いさせることになってしまいました。
番組では褐色脂肪細胞は増やせないけれども、温冷刺激によって第三の脂肪細胞であるベージュ脂肪細胞を増やすことができると紹介していました。白色脂肪細胞と褐色脂肪細胞の中間的なベージュ色をした脂肪細胞で、白色脂肪細胞から変化します。温冷の差の刺激を与えることでベージュ脂肪細胞が増えるということを新たな発見として紹介していたものの、その存在が知られるようになったのは1年以上前のことです。
そのときの発表は、亜鉛を輸送するタンパク質が白色脂肪細胞をベージュ脂肪細胞に変化させるということでしたが、そのタンパク質を活性化させる医薬品の開発が進められているということで、番組向けの情報とはなっていなかったのです。
今回のテレビ番組となったのは、褐色脂肪細胞を刺激するトリップチャネルが明らかになってきたことからで、香辛料と青魚のDHAがよいと紹介されていました。さらにカテキンにも効果があるので、緑茶を飲むことでもよいとのことでした。
これを受けて、プロデューサーから「自分は全部やっているのに背中が温まりにくいのだけれど、どうしたらよいのか」という話がありました。確かに、健康を気づかう人なら、すでにやっていることで、そんな人は、どうすればよいのかというのは、当然のように出てくる疑問です。
これ以上の量は摂れないだろうということで次に考えられるのは成分が多く含まれたものを摂ることです。ということで、番組の中でもトクホ(特定保健用食品)のお茶を飲めばいいのか、という質問が出ましたが、公共放送らしくスルーされました。
有効成分が多くなるほど味が強くなりすぎて摂りにくくなります。そこで包接技術としてγ‐シクロデキストリンが使われています。これについては別の機会に紹介させてもらいます。

専門分野のことになると詳しすぎるくらいに深いところまで知っている専門家が、一歩でも専門から離れると、とんでもないことを口にするというのは、よくある話です。専門ではない、よくわからないと言ってもよいはずなのに、メディアから取材を受けたり、テレビ番組や聴衆を前にすると言えなくて、「えいや!」で話してしまう先生がいます。メディア関係者から「こんな発言があったのですが、本当ですか」という質問があるのは、その多くは「えいや!」で話してしまったことの確認のためです。
私たちの専門はメディカルダイエットですが、これを実践するためには食事、運動、休養、入浴、睡眠、喫煙、健康食品まで幅広い知識が必要で、しかも対象者によって異なってくるために、性別、年齢、環境などによる変化を知っておかないといけないので、生理学、医学、薬学、栄養学、食品学、東洋医学、科学、環境学、社会学、文学、そして場合によっては法学まで範囲は広がります。要は雑多な知識で、それを確保するために多方面と付き合っているので、情報源として便利な存在ということかもしれません。
納豆の健康効果について、よく知っている先生がメディアにコメントをして、その裏付けを聞かれたことがあります。知っている先生だけに、できれば恥をかかせないように返答したかったのですが、専門外にはみ出しすぎて、フォローは大変でした。納豆の食べ合わせの話で、ゴマ(胡麻)をプラスするのは腎臓によいという話をされたとのことでしたが、高齢者や腎機能が低下している人の場合には、たんぱく質の摂取が制限されることもあるので、納豆を多く食べればよいというわけではない人もいます。それを先生も承知していて、だから食べ合わせに腎機能を高めるゴマを加えるとよいという話をされたようです。
なぜ腎臓にゴマがよいのかと聞かれても、ゴマのセサミンには特に腎臓によいというデータはありません。セサミンの抗酸化作用がよいのではないか、とメディアの方から聞かれました。抗酸化は、健康機能については全体的によいとされるので、簡単な結論になりそうですが、セサミンはゴマに含まれていても、普通に食べてもゴマの中から出てきません。出てこないものは吸収することはできません。そこで先生は、どんなゴマが特によいと言っていたのかを聞いたところ、黒ゴマと話していたということ。これなら東洋医学で返答できる範囲です。
東洋医学では腎(西洋医学の腎臓に相当)には五行でいう黒い食べ物がよいという話は広まっています。五臓は肝、心、脾、肺、腎で、それぞれ色が振り分けられていて、肝は青、心は赤、脾は黄、肺は白、腎は黒となっています。腎が悪くなると皮膚が黒くなりますが、これを治すのが黒い食品というのが東洋医学の考えです。となると黒ゴマだけでなく、きくらげ、海苔、ひじきでもよくて、そもそも黒豆で作った納豆でもよいことになります。
こんな後始末のようなメディア対応も、私たちの役目の一つとなっています。

日本メディカルダイエット支援機構の役員は、他の団体の役員も引き受けることがありますが、たまたま理事長、副理事長を含めた3人の理事が、同じ団体で理事を務めることになりました。その名も「ヒトケミカル研究会」という一般社団法人です。一般社団法人というのは、公益社団法人ではない社団法人が名乗るのですが、一般向けにヒトケミカルの活用法を広く伝えていくということでは一般社団法人という名称まで含めて、よいネーミングだと感じているところです。
ヒトケミカルについては、これまで何度も説明してきていて、情報発信をしているメディア関係者からは諄い(くどい)と言われていて、さらにヒトケミカル研究会に参加すると、ますます諄い情報が伝えられるのではないかと半分(半分以上?)煙たがられるような反応もあります。その反応のとおりで、ヒトケミカル研究会の発足と時期を同じにして、ヒトケミカルの広報になる書籍が発行されました。
今回の表題が後半に入った『日本人の体質に合った本当に老けない食事術』(宝島社刊)という書籍名です。著者は当法人の理事であり、ヒトケミカル研究会の理事でもある寺尾啓二さん(神戸大学医学部客員教授ほか)です。前書の『本当は健康寿命が短い日本人の体質』(宝島社刊)の内容を受けて、では具体的に何をすればよいのかを私たちの体質研究に基づいて記されています。その「本当に老けない食事術」のメインテーマはヒトケミカルです。ヒトケミカルは書名にもサブタイトルにも入っていないのですが、帯には堂々と「ヒトケミカル」と大書されています。
ヒトケミカルとは代謝に関わる成分のことで、ホルモンも酵素も、補酵素としてのミネラルなども含まれていますが、ここで取り上げているのと同じく「三大ヒトケミカル」のα‐リポ酸、L‐カルニチン、コエンザイムQ10です。科学の世界ではα‐リポ酸といえば天然型のR体ということは当然に知られていますが、サプリメント商品の多くにはR体と非天然型のS体が組み合わされて使われています。体内でヒトケミカルとして使われるのはR体だけで、S体には有害性のデータもあります。
それなのにR体とS体を組み合わせているのはR体が胃液で分解されて、α‐リポ酸として吸収されないからです。S体を組み合わせると分解されないわけではなく、分解されにくくなるからですが、R体のα‐リポ酸だけを吸収させる方法が開発され、有効に使われていることからR‐αリポ酸という名称で紹介しています。ヒトケミカル研究会でもR‐αリポ酸の研究と普及を行っていきます。
R‐αリポ酸を有効に体内に届けることを可能にしたのはシクロデキストリンのγ型で、γ‐シクロデキストリンと呼ばれています。書籍の中ではγオリゴ糖と表記しています。
α‐リポ酸とシクロデキストリンについては、このサイトの「サプリメント事典」を参照してください。

本人は冗談で言っているつもりなのに、聞いている方が冗談と思わず、これがきっかけで認知機能の低下がわかった、という話を前回したところ、これを見て、納得できるという反応がありました。いつもは即座の反応はネタ探しをしているメディア関係者に多いのですが、今回の反応はセミナーを開催している公益法人の事務局の方でした。講演者が話したことが冗談なのか、本当の話なのかを理解しておかないと、後になってトラブルを起こしかねないといいます。
運動科学の先生が「心臓がドキドキするのは身体によくない。ドキドキしていいのは女性の前だけ」という話をしたとのこと。なかなか面白い冗談ですが、話をしていた先生が運動の専門家だけに、「心臓がドキドキする運動はよくない」という話をしたのだということになってしまい、「健康によいのは心拍数が高まらない軽い運動」という話が広まってしまったといいます。
どれくらいのドキドキが健康によいのかということは、対象者や年齢などによって違ってはくるものの、心拍数が高まらないようなものは運動とは呼べないというのが大半の考えです。心拍数が高まらなくても健康効果が高められるなら、それはよい方法で、そのノウハウを是非とも知りたいと私たちも思うところです。
しかし、後になって、その先生に聞いていたら、そんなつもりで話していないということで、冗談は言い方に気をつけないと、とんでもないことになるとの話をさせてもらいました。主催者は冗談で言っているのか本心なのかを見極めなければならないのは当然のことで、次に参加者が真に受けていないかを確認するのも必要です。そのため、私たちのスタッフは講演者の顔を見るよりも、参加者の表情に気を使うようにしています。
日本メディカルダイエット支援機構の理事長が、機能性表示食品の広報を行っていたときのこと、講演の中で、機能性表示食品につけられるマークの鮮明な画像がなかったようで、ボケた画像を出していた先生がいました。そのことを伝えてくれればよかったのに、その先生は「機能性表示食品のマークは、パッケージに表示することができるだけで、こういった場ではボカさないといけない」という話をしました。もちろん冗談で、事実ではないのですが、あとになって事務局に「なぜマークをボカさないといけないのか」という質問があって、困ってしまったということがありました。
こんなことがあると、冗談を言う前に、「これから冗談を言います」とか「これは冗談ですけれど」と断りを入れないといけなくなってしまうのではないかと感じています。このような勘違いを引き起こすのは、あまり冗談を言い慣れていない方が、場を和まそうとして口にすることが多く、言い慣れていない人は冗談を言わないほうが得策かもしれません。

日本メディカルダイエット支援機構の理事長が講演の中に入れ込んでくるギャグは、まず通じないということはなかったのですが、高齢者の中でも認知機能が低下してくると、ギャグをギャグとして感じてくれないことがあります。これが認知機能の検査の一つになるからと、連発してくれと言われることもあります。しかし、連発すると聞いている方は構えてしまい、検査の意味がなくなります。思いもしないところで、いきなり繰り出すので効果があるわけです。
そのギャグの一つに「お刺身ぶり」というのがあります。東京にいるとぶり(鰤)の刺身を口にする機会はあまりありません。それこそ講演先で食べる機会があると、「お久しぶり」の再会で、これを「お刺身ぶり」と言っているわけです。ところが、これを言ったときに、「ぶりは刺身以外でもおいしい」と真顔で言われることもあります。
理事長は東京では「お刺身ぶり」だったぶりを、岡山で活動をするようになってから価格の面からも食べる機会が増えて、「お刺身ぶり」ではなくなってから、いろいろな料理で食べるようになり、他の調理法による味わいを実感するようになっています。しかし、いろいろな方法で食べてみても、やはり刺身がうまいとの話をしています。今の理事長にとっては「お刺身ぶり」ではなくなっていますが、それでも講演では「お刺身ぶり」は頻繁に使っています。
もう一つ理事長がよく口にするのは「身から出たサービス」です。これを言ったときに、「サービスではなくてサビ(錆)ですよ」と注意をしてくれた親切な(?)な方がいました。理事長は講演やセミナーなどで質問に答えるときに詳しく説明しすぎるところがあり、サービスで話したことが自分に苦労をさせることがあり、これを自虐的に「身から出たサービス」と話しています。このギャグの前の話を聞いていればわかるはずなのですが、ギャグだと気づかないのは、よく聞いていなかったのかもしれません。
講演の参加者の皆さんが聞き疲れをしてくるタイミングを見計らって、「ただ聞いているだけでは時間がもったいないので、姿勢を正して腹筋を鍛えながら聞きましょう」と話すこともあります。「特に面白くない話を聞いているときに実践しましょう」というと、参加者も理解をしてくれて、そろって姿勢を正してくれることもあります。ところが、一人だけ頬杖をついて聞く方がいて、これも理解して、わざわざパフォーマンスをしてくれたのかと思って、講演のあとに聞いてみたら、「面白い話なので姿勢を変えずに聞いていただけ」という返事。ギャグに真面目に反応する人はいるもので、これが真面目さから発しているのか、それとも認知機能の低下なのか判断がつきにくいところです。
以前に理事長がコラムの中に「大人気ない」と書いたときのこと、「“大人気”と“ない”は一緒に使わない、人気がないが正しい表現」とメールをくれた方がいました。理事長が書いたのは大人気(おとなげ)で、これを大人気(だいにんき)と読んでしまったようです。そのようなことを言ってくるような方ではないので、このことを家族の方に伝えたのをきっかけに、軽度認知障害が見つかったということを話していました。ギャグとは異なる話ですが、この結果を踏まえて、理事長は新たなギャグの一つに加えています。

断定をしたがるのがメディアの特徴だけに、今回のテーマにあるように「害になる」と断定するような表現は本来なら慎むべきところでしょう。「害になることもある」と書かなければならないところを、あえて断定をしてみました。この文をきっかけに、メディアの問い合わせがあり、問題提起ができればと考えているからです。
健康によい食品といっても一時のブームで終わってしまうようなものではなくて、きな粉や納豆、朝バナナなどは、基本的な栄養素が摂れる食品で、機能性が確認された成分も含まれているところから、ずっと続けるものという認識です。しかし、高齢になって機能が低下してきたところに摂ると害になるものがあるのは事実です。機能が低下してきているのなら、なおさら健康機能がある食品を摂らなければならないと考えるところでしょうが、機能の低下で特に注意すべきは腎臓の排泄機能です。
腎臓は体内に必要なものと不必要なものを分別して、必要なものは血液中に戻して、不必要なものは排泄します。その機能が正常に働いているので、それほど食品の内容に気を使うことなく食べても、健康は保たれているわけです。ところが、年齢を重ねて腎臓の機能が低下してくるとカリウムの排泄が充分に行われなくなります。カリウムは、ほとんどの食品に含まれていることから、あまりカリウムの機能を考えることもなく、特に多く含まれる食品も意識しないで食べているはずです。
しかし、カリウムが多く含まれる食品を強く意識しなければならないタイミングがあります。それは高カリウム血症が指摘されたときです。腎臓の機能が低下するとカリウムの排泄がうまくいかなくなり、カリウムが血液中に多くなったことによって不整脈が起こることがあります。そこでカリウムが多い食品を減らそうということで、大豆製品やバナナが禁止され、野菜も茹でこぼしによってカリウムを減らすように指導されます。
高齢になってカリウムに注意しなければならない人に、実は健康に気を使っていた人が多くて、それがきな粉や納豆などの大豆製品、バナナ、そして生野菜を多く食べていた人に多いのです。いまだにメディアでは健康によい食品として頻繁に取り上げられ、これらの食品を多く摂るためのレシピが紹介されて人気となっています。健康に特に敏感な高齢者が目にする機会が多くて、これを見て健康のためといって多く食べるようにするのは全般的にはよいことです。しかし、年齢や条件によっては危険を伴うことも告げておかないと、健康のための情報であったはずが、健康被害を引き起こすきっかけにもなりかねません。
健康食品のテレビコマーシャルが、小さな文字で注意書きを示しているのを目にしますが、少なくとも、これと同じように表示してほしい、できることなら大きく表示する、さらに司会者が一言だけ注意喚起をしてほしいと考えます。しかし、そんなことをしているのは、NHKくらいで、民放では目にしたことがありません。私たちが、注意に注意を重ねて凝視していても、見逃しているだけかもしれませんが。

糖尿病についての番組を企画しているディレクターから、「食事面での新しい切り口はないか」との問い合わせがありました。新しいと言われても、糖尿病の食事療法は過去に語られるだけ語られてきたので、正しいことだと患者に間違って認識されていることについて取り上げることを提案しました。それは、このコーナーでも述べていることで、「血糖値を上昇させるからとご飯の量を減らすのではなく、糖尿病は細胞がブドウ糖を充分に取り込めない疾患なので、ご飯はある程度は食べないといけない」ということを指しています。
これだけでは足りないかもしれないと思って、糖尿病について感じていることを話しましたが、その中にヒントがあったようです。
糖尿病は糖質の摂りすぎだけでなく、脂質の摂りすぎによっても起こりやすくなっています。というのは、膵臓から分泌されるインスリンはブドウ糖だけでなく、脂肪酸が過剰になっても分泌が高まることから、膵臓に負荷がかかり、働きすぎによって分泌量が急に減ることにもなるからです。そこで糖尿病の治療には、ご飯を減らしすぎるのではなく、脂肪が多く含まれる肉を減らすほうがよいということになりそうです。しかし、糖尿病は血管の老化が進む疾患なので、血管の材料になる動物性たんぱく質を摂ることが必要になります。となると、肉を食べても脂肪を摂らないということをしなければならないこととなって、食材選びは面倒なことになります。
肉の脂肪が問題となると糖尿病には和食が向いていることになるのですが、この和食が糖尿病を悪化させるという考えもあります。和食の調味料といえば「さしすせそ」で、砂糖がトップにきていて砂糖を初めに使うことで味の基本としています。洋菓子は和菓子に比べて砂糖が多く使われるのは、洋食には砂糖が味付けに使われないので、その分をデザートで摂るようにしています。和食は砂糖が使われているので、デザートには砂糖が少なめになっていてよいわけです。
和食で砂糖を摂って、デザートに洋菓子を食べると砂糖の摂りすぎになります。本人は糖尿病にはよい和食を食べていたつもりなのに、洋菓子を食べたら、和食がよくない食事になってしまうこともあるわけです。一つひとつの料理や食品が良いの悪いのというのではなく、全体的に見ましょうという話をしました。
和食の味付けに血糖値が上昇しない人工甘味料を使えばよいのでは、という話が出ました。人工甘味料の基本の成分は胃では分解されないので血糖値が上昇しないということはよいのですが、人工甘味料を使った調味料には人工甘味料以外の糖分が使われたものもあります。だから、私たちは「人工甘味料は血糖値が上昇しない」ではなくて、「血糖値が上昇しにくい」という表現をしています。