「糖質制限をすると脳のエネルギー源となるブドウ糖が不足するのでよくない」と批判する人がいます。ブドウ糖は脳の唯一のエネルギー源で、脳が消費するエネルギー量は全エネルギー量の約20%であるので、少なくとも1日の摂取する三大エネルギー源(糖質、脂質、たんぱく質)のうち20%はブドウ糖が含まれる糖質を摂らなければならないということが理由として掲げられています。
この批判に対して、「ブドウ糖が不足したときには糖新生が起こるので大丈夫だ」というのが糖質制限を推奨する人が理由として掲げていることです。
糖質制限というのは、ブドウ糖が不足したときにアミノ酸を材料としてブドウ糖を作り出す仕組みで、分解された体内のタンパク質がアミノ酸に分解され、これが肝臓に運ばれて糖新生が起こります。だから、ブドウ糖は不足することがないということで、ブドウ糖の摂取量を減らすときには、たんぱく質を多く摂ることが重要ということも掲げられています。
「しかし……」と私たちが考えるのは、「たんぱく質が含まれる食品を摂るだけでよいのか」ということです。アミノ酸のうち体内で合成されない必須アミノ酸が豊富に含まれる食品は肉、魚、卵、牛乳・乳製品、大豆・大豆製品で、これらの食品を食べていれば大丈夫と言われていますが、糖新生のために使われるのは身体を構成するタンパク質です。必須アミノ酸を多く摂っていれば、タンパク質が分解されても、それが補われるので身体を構成するタンパク質が大きく減ることはないとも言われますが、タンパク質が分解されるのは間違いないことです。
ここで用語解説をしておくと、食品に含まれるのは“たんぱく質”で、身体の中で合成・蓄積されたものは“タンパク質”と使い分けています。
身体を構成するタンパク質の中でも特に多くの量が蓄積されているのは筋肉で、中でも大きな力を発揮する骨格筋の中に多くが蓄積されています。筋肉をつけるには運動をすることが重要で、だから糖質制限をして、たんぱく質を摂るときには筋肉運動をすることも必要だということがわかります。
アミノ酸がブドウ糖に変化するときにはエネルギーが必要になります。ブドウ糖1分子を新生するためにはエネルギー物質のATP(アデノシン三リン酸)が6分子必要になります。ブドウ糖1分子が細胞のミトコンドリアの中で代謝されるときにはATPが38分子作られます。せっかくのATPが減ってしまうので、その分のATPを作り出すためにミトコンドリアの中でのエネルギー産生を盛んにしなければなりません。
そのためには筋肉運動をすることですが、筋肉運動をしてエネルギーを作り出すときには、エネルギー源のブドウ糖や脂肪酸が必要になるので、このエネルギー源が減りすぎないように、糖質制限によってブドウ糖が不足するときには脂肪が摂れるように肉や魚を食べることが必要になってくるわけです。肉はダイエットの大敵だと思っている人がいますが、そうではないことを知っておいてほしいのです。
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脂肪は細胞内で燃焼しているわけではなく、TCA回路でのエネルギー代謝によって二酸化炭素と代謝水が発生する分以外はリン酸が移動するだけということが理解できると、湧いてくる疑問があります。それは運動をしても体脂肪の減少は少ないのではないか、ということです。ダイエットのために運動をしても、なかなか体脂肪が減らないのは、脂肪がそのままエネルギーとなって減少しているわけではないからということですが、そうなると食事の量を減らしたほうがやせられるのではないかと考えがちです。
運動を継続することと食事の量を減らすことを比較すると、食事を減らしたほうが体重は減らしやすいかもしれません。しかし、食事の量を減らすと、代謝に必要な成分も不足することになります。食品の栄養価が低下している現状を考えると、食事の量を減らすことには抵抗感があります。
代謝にはビタミンB群をはじめとした水溶性ビタミンが欠かせません。活性酸素が体内で多く発生することは代謝の低下につながりますが、活性酸素を消去する作用があるビタミンA、ビタミンC、ビタミンEのうちビタミンAとビタミンEは脂肪に溶けてから吸収される脂溶性ビタミンで、これらのビタミンを摂取することも代謝促進のためには重要になっています。
運動をすることは糖質や脂質をエネルギー源として活用するだけではなく、運動をすることによって筋肉の量を増やすことができます。筋肉は基礎代謝のうち35〜38%を占めていることから、運動をして筋肉が増えることは代謝量の増加にもつながるわけです。筋肉には無酸素運動をすることで強化される速筋と有酸素運動によって強化される遅筋に大きく分けられていますが、脂肪の代謝が進むのは遅筋であり、遅筋は有酸素運動を継続することによって増やしていくことができます。
遅筋は赤い色をしていることから赤筋とも呼ばれますが、これは酸素を多く取り込んでエネルギーを作り出すためにミトコンドリアとミオグロビン(筋肉中の色素タンパク質)が多いためです。ミトコンドリアが少ない速筋は白い色となっていて白筋と呼ばれていますが、主に無酸素運動に使われることからミトコンドリアを多く必要しないことが関係しています。
運動することによって筋肉細胞の中での代謝が促進され、多くのエネルギーを作り出すことができるようになります。多くのエネルギーを作り出すには、エネルギー源になる糖質、脂質、たんぱく質を充分に摂り、運動などで体を動かすことが大切になってきます。
多くのエンルギーを作り出すためにはミトコンドリアの数が多いことも有利になります。細胞の中のミトコンドリアの数は部位によって差があるのですが、必要に応じて増えていくという特徴があります。運動をして筋肉量が増えると、それに比例してミトコンドリアの数も増えていくようになるのですが、代謝が盛んになることによって現在の数では必要とするエネルギーが作り出せなくなると、数を増やして対応するようになっているというわけです。
運動をやり慣れていない人は体力が続かなくなりますが、運動を続けていると徐々に体力が高まり、以前よりも苦しさを感じずに運動をすることができるようになってきます。これは運動によってミトコンドリアが増えたために代謝が高まったことを示しているということです。
ダイエットの話をするときに「脂肪が燃焼する」という表現がよく出てきます。私たちも一般向けに話をするときには、わかりやすいように「燃焼」という言葉を使っていますが、実際には脂肪が燃焼してなくなるようなことはありません。燃焼するためには、かなりの温度の上昇が必要で、紙に火をつけて燃やす程度でも200〜450℃の温度が必要になります。模造紙でも400℃以上の温度が必要で、一番燃えやすいティッシュペーパーでも200℃もの温度が必要になっています。
それに比べて間の体温は37℃前後で、最高でも42℃以下の温度でしかありません。というのは、人間の身体はタンパク質で構成されていて、タンパク質は42℃を越えると変性するので、細胞が凝固することになります。体温計の目盛りが42℃までしかないのは、これが人間の体温の上限値となっているからです。牛乳を加熱すると膜が張るのも、卵を茹でると白く固まるのも、たんぱく質が変性した結果で、これと同じことが起こると考えることができます。
それほどの熱が発生していないのに、燃焼したかのように変化させるために使われるのが触媒です。触媒は特定の化学反応を速める物質で、それ自体は反応を起こしても変化しないものをいいます。使い捨てカイロは燃えてはいないのに熱を発生させています。これは鉄の酸化反応を利用したもので、鉄粉と水、食塩、活性炭によって酸化反応が起こりやすくしています。鉄粉以外の材料が触媒となっているわけですが、体内で、この触媒の役目をしているのは酵素です。
細胞のミトコンドリアの中にはTCA回路があり、このTCA回路では酵素を用いて代謝が起こっています。糖質はブドウ糖に、脂質は脂肪酸に、たんぱく質はアミノ酸に変化した後、どれもミトコンドリアの中でアセチルCoAとなってTCA回路へと入っていきます。TCA回路では酸素を使ってアセチルCoAはクエン酸から始まって、次々に別の酸に変化していくわけですが、TCA回路ではブドウ糖1分子につき32分子のATPが作られます。
TCA回路でエネルギー物質のATPが発生するときには、二酸化炭素と水も発生します。代謝によって発生した水は代謝水と呼ばれ、1日に300mlほどが作られています。二酸化炭素と水が発生するのは、食品に含まれる脂肪を燃やしたときも同じで、化学の実験として脂肪に火をつけたら燃焼して、燃えかすの他には二酸化炭素と水が発生します。この燃焼の場合には煙として出ていく分もあるのですが、燃えた脂肪も減っていきます。
それに対して、TCA回路のエネルギー代謝では、物質として減っているのは二酸化炭素と水だけとなっています。エネルギー物質のATPは発生しているので、その重量もあるように思われがちですが、エネルギー代謝によってATPが発生しているわけではないのです。わかりにくい話なので少しだけ詳しく説明をすると、TCA回路のエネルギー代謝によってリン酸が発生しています。
ATPはアデノシン三リン酸(adenosine tri-phosphate)の略で、アデノシンにリン酸3個が結びついたものですが、ATPの2個目と3個目のリン酸は高エネルギー・リン酸結合と呼ばれる結びつきをしていて、リン酸が1個離れるときにエネルギーが発生する仕組みになっています。ATPからリン酸が1個離れたものがADP(アデノシン二リン酸)で、ATPからADPになるときに発生したエネルギーが細胞を働かせる活力源となっているわけです。
ADPはTCA回路のエネルギー代謝によって発生したリン酸を結びつけてATPとなります。つまりエネルギー代謝によって発生するATPというのは、ADPにリン酸が結びついた結果であって、新たに発生して移動しているのはリン酸だけということになります。
温暖な地域というのは、ポカポカとした日差しのイメージがあって、カーッと照りつける灼熱でもなく、冬も気温が下がったとしても寒くて仕方がないとか、家の周りに霜が降りているということはないと思っていたら……というのが日本メディカルダイエット支援機構の理事長が、新たな活動地として加えた岡山で夏と冬を過ごしてみて発したことです。
岡山の気候というと多くの人が感じていること、特に岡山から離れた地域の人が抱いていることと同じだと思いますが、「ところが……」と理事長は続けます。ところが、とんでもない勘違いだと思ったとかで、夏には暑さを少しでも弱めるために日陰を求めて歩き、冬は日が当たるところを歩いてというくらいで、特に冬の最低気温は東北並みとなっていました。最低気温がマイナスの日が10日以上も続くのは山ならわからないでもないのですが、平地で瀬戸内海まで歩いていけない距離でもないところで連続マイナスは想像がつかなかったということです。
冬に思った以上に寒くなるのは日本海側の山陰地方に雪が降り、その寒気(“さむけ”ではなく“かんき”)がやってきます。何しろ中国地方は幅がなく、高い山もないので寒気は簡単に県境を越えてきます。四国の山地にも雪が降り、瀬戸内海の狭い部分をはさんで前後が寒い地域となっているのですが、日が昇ってくると急に気温が上昇してきます。
岡山の名物というと、吉備団子(きびだんご)を別とすれば、フルーツがあげられます。桃太郎のイメージから桃が知られていますが、ブドウも梨も柿も特徴的なものがあります。あたご梨や大内柿という名前は聞き慣れないかもしれませんが、その世界では高級品種として超有名です。岡山に暮らしていても、そうそう食べられないもので、ギフト用として並んでいるのを見るだけということも少なくありません。
理事長は、その産地の近くにいる特権で、さらに地元の方々に健康づくりを通じて交流しているおかげでギフト市場に回らないものが手に入ります。ギフト市場に回らないといっても、ギフト用は少しでも形が悪い、色のばらつきがある、傷がついている、場合によっては中身ではなくて箱などのパッケージの問題で地元では驚くほどの価格となっています。
ノルディックウォーキングで歩いている途中でプレゼントされることもあります。セミナーを無料でやっていると、申し訳ないと言って参加者の方々が自分で作ったものを持ってきてくれることもあります。へたにセミナー料をいただくよりも、無料にして物々交換ならぬ“話物交換”にしたほうがメリットありと言いたいくらいです。
「冬が寒く、夏が暑いという寒暖差、冬には1日のうちに寒暖差があるから、おいしいフルーツが育つ」という説明をした農業関係者もいました。その話を、いただきものをする農家の方に話したところ、「それは違う」といきなり否定されました。私たちも農業関係者の説には“なるほど”と感じていたこともあり、見事な否定の理由を説明してもらいましたが、その返答は実に単純でした。
昨年の夏の暑さは地元の人も経験したことのない状態だったということでした。そして、冬は何日もマイナスが続くことも初めてのこと、という話です。この裏付けを取るために、地域の多くの人に聞きましたが、どの方からも同じ反応がありました。
「寒暖差がフルーツをおいしくしてくれるというなら、今年は大豊作」という期待とともに揶揄するような言葉があり、専門家の話と地元の反応の違いは、これからも注意して受け止めていかなければならないと感じているところです。
タバコとダイエットについては何度も触れてきているのですが、いまだに「タバコをやめると太る」「太るくらいならタバコを吸い続ける」ということを言う人がいます。タバコを吸うと太りにくくなるのは確かです。しかも食後の一服は胃が楽になって、さらに食べた割には太らないので、タバコに依存したくなる気持ちはわからないでもありません。しかし、これは正常な身体の反応ではなくて、タバコの健康被害の分も加味すると、あまり口にしてはほしくないことです。
タバコに含まれるニコチンやタールなどの有害物質は、できることなら早く身体の中から追い出したいものなので、胃が激しく収縮して腸へと送り出そうとします。食事の後にタバコを吸うと胃の収縮によって、食べたものが送り出されます。食後の一服で胃が楽になるのは、このためです。まだ消化が進んでいない状態で小腸に送られたら、吸収が充分にできなくなります。だから、太りにくくなるのです。
タバコを吸って太りにくくなるなら、タバコを吸わなければ普通の状態になるだけです。それで太るということはないはずですが、それでも太るというなら、それは食べすぎ、エネルギーの取りすぎであった証拠です。食べすぎていても、タバコを吸えば普通の状態になる、普通よりもやせられるというのは嬉しい身体の反応ではあっても、それと引き換えにタバコの害を考えないようにすることはしてはいけないことです。
タバコを吸うと活性酸素が多く発生して、これが血管の老化を進めることになります。動脈硬化ということですが、血管の弾力性が失われていくと血流が低下していきます。それが代謝の低下にもつながります。ということで、ダイエットにはマイナスの結果となります。
また、タバコを吸うと血圧が高まり、血管が萎縮して、これも血流を低下することになります。こういったことが重なると、全身の隅々にまで血液とともに酸素、栄養素が運べなくなるので、どうしても代謝低下、エネルギー不足になってしまうということです。
タバコをやめると「口寂しい」ということを言う人もいます。これは言い訳だとされていますが、タバコを口に咥えていないと寂しい気持ちになって、その代わりとして口に食べ物を入れてしまう人がいます。口が寂しい感じがするだけなら、食べ物でなくて飲み物でもよいはずです。その飲み物もエネルギー量が高いものではなくてエネルギー量ゼロのお茶や水でもよいはずです。
ダイエットということでは、ストレスがつきまといます。ストレスの解消にタバコを吸っているという人がいます。タバコを吸うと気分が落ち着く、タバコを吸うと疲れにくくなる、疲れが取れる、頭らスッキリする、仕事がはかどる、集中力が高まる……と、よくもこんなにもと思えるほど次から次へとメリットが並べ立てられます。しかし、これは中毒患者が口にする言葉と同じです。タバコを吸ってプラスの結果が得られるとしたら、すでに中毒状態となっている証拠で、そんなことを言わなくても済むようにするのが正しいことではないでしょうか。
ダイエットのために食べていたのに、飲んでいたのに、かえって太ったという話は、この業界ではよく耳にすることです。スポーツ飲料は脂肪燃焼のためのエネルギー補給になるという話があって、ある程度の糖分を摂ってから運動をすると、この糖分(ブドウ糖)が運動時の代謝を高め、その後に脂肪の代謝が続くので、ダイエット効果があるのは確かです。
しかし、スポーツ飲料という名前が示すように、運動をするときに飲むものであって、何もしないときに飲むとエネルギーの摂りすぎになります。というのは、スポーツ飲料にはブドウ糖が多く含まれていて、これが身体を激しく動かしたときには優れたエネルギー源となってくれるのですが、運動をしないと、そのエネルギー源が余分なものとして肝臓で脂肪に合成されることになります。
寝る前の風呂上がりの後にスポーツ飲料を飲むと喉の渇きが解消されて、汗として出た水分も補給されるので心地よいものです。しかし、寝る前ということは身体を動かす機会がほとんどないので、エネルギー源の摂りすぎになります。ブドウ糖で血糖値が上昇して、インスリンが分泌されます。インスリンには肝臓での脂肪合成を進める作用があり、合成の材料になるブドウ糖をたっぷりと飲んでいるので、太るための条件が揃っています。そもそも寝る前の時間帯は自律神経の副交感神経の働きが盛んになっていて、インスリンの分泌は副交感神経によって促進するので、太りたい人にとっては好条件が整いすぎていることになります。
アミノ酸飲料も同じようなことがあって、脂肪を分解して代謝を進めるアミノ酸のBCAAが含まれた飲料を飲んでから運動をすると筋肉の中で脂肪の分解が進み、筋肉の中の必須アミノ酸も約35%はBCAAであるので筋肉を増やす効果もあります。BCAA(branched-chain amino acid)は分岐鎖アミノ酸のことで、必須アミノ酸のバリン、ロイシン、イソロイシンの3種類です。
このBCAAだけが含まれていればよいのですが、飲みやすくするために糖分が含まれています。この糖分はスポーツ飲料での役割と同じで必要なものですが、これが運動をしない人の場合には必要どころか不必要と言っていいくらいのもので、太りたい人にはもってこいのものです。
前置きが長くなりましたが、炭酸水も同じようなことが起こります。炭酸水は炭酸ガスを含んでいる飲料で、炭酸ガスが胃を膨らませて食べる量を減らす効果があります。炭酸ガスは二酸化炭素で、胃腸から吸収されて血液中に入ると血管が拡張して血流が盛んになります。というのも二酸化炭素は全身の細胞が代謝によって発生させるもので、早く肺に送って排出すべきものです。その二酸化炭素が血液中に増えたことから血流が促進されるわけですが、これによって全身に運ばれる酸素と栄養が増えて、身体も温まるようになります。これはダイエットにはプラスの効果です。
この効果が得られるのは甘くない炭酸水の話で、甘くて飲みやすい炭酸水は糖分が含まれています。甘い炭酸水を飲んで運動をしなければ、やはり太る原因となります。メディアが炭酸水の効果を打ち出した番組や記事を作るときには、この点の注意喚起をしてもらいたいものです。
メディカルダイエットという名称のために得をすることもあれば損をすることもあります。「ダイエットとメディカルダイエットは違う」という説明を、いちいちしなければならないことなどは別に損と感じることもありません。
メディカルダイエットが示す中身は、やせるダイエットから生活習慣病予防のための健康法、体質改善まで守備範囲は広いほうです。例えば、日本人特有の体質の弱点をカバーして、生活習慣病に関わる検査数値が基準値を超えていても、元気で長生きできる方法を学び、実践する場を提供するサービスの提案を団体や自治体にしてきたときも、損と感じるような発言が参加者からありました。
「病気が心配な人の多くは太っているので、それを解消する方法を教えてほしい」という内容で、太っている人がやれば生活習慣病が予防できて、元気で長生きできるのだから……ということは大筋では間違っていません。しかし、「やせるために何を食べればいいのか」とか「うちの町の農産物なら何を食べればいいのか」という話が出てくると、ちょっと、というよりも、かなり違和感を覚えることにもなります。人によっては何をプラスして食べるかの前に、何を減らすかを考えなければならない人がたくさんいます。
糖質制限は歯止めが効かなくなって極端に走る人もいるので、パーソナルトレーニング式でないとすすめにくいこともありますが、この人に限っては、まず糖質制限をして食べる量を減らして、肝臓での脂肪の合成も抑えたほうがよいのでは、と思える場合も多々あります。
もちろん食べることは重要で、特にメディカルダイエットの実践のためには、脂肪の代謝促進によって体脂肪を減らしていくために欠かせない栄養素や成分を摂ることが、まずは第一条件となります。食べる量を減らしているのに、なかなかやせないという人の多くは、食べすぎというよりも、代謝成分が不足しているために他人と同じことをしているのに結果が出ないという人も少なくないのです。
体脂肪として蓄積している脂肪を細胞のミトコンドリアの中で代謝促進させるためには、つまり一般に言われる脂肪燃焼のためには、ビタミンB群のビタミンB₁、ビタミンB₂、ビタミンB₆、ビタミンB₁₂は欠かすわけにはいきません。この4種類のビタミンB群がセットでエネルギー代謝機関のTCA回路で使われることで代謝は完成します。一つでも欠けてしまったら、代謝は大きく低下することになります。
この4種類のビタミンB群を、たった一つの食品でカバーしようと思ったらレバーを食べるしかありません。レバーは好き嫌いもあり、特産物として提供するのにも抵抗があります。1日に1回だけ出すのなら、まだメニューの考えようもありますが、ビタミンB₆、ビタミンB₁₂は半日ほどしか体内で保持されないので、朝食と夕食に出す必要があることから、もっとメニュー作りは大変になります。これは極端な例ですが、特産物だけでダイエット効果を出すのは難しいことです。
あるダイエットの専門家が、「活性酸素を減らせば代謝が高まってやせられる」と言い切っています。そう言い切れる人は、羨ましくて仕方がないのですが、活性酸素で代謝が低下するのは事実であっても、だから活性酸素を消去すれば代謝が高まるとは言いにくいところです。活性酸素が過剰になければ代謝の低下はなくなったとしても、平常状態よりも高まるということを証明するのは困難なことです。
活性酸素を消去するビタミン、抗酸化物質は数多くあるので、さまざまな食材を組み合わせることは可能です。それによって色鮮やかさにも味にもバリエーションがつけられるのですが、目的であるダイエット効果が期待するほどでなかったら、工夫して、苦労してメニューを開発する意味がなくなります。
特産物といっても、どこでも買えるような食品であったら、それを目的に足を運んだり、買っていったり、その食品がある地域に住もうという移住意欲が湧くことは困難かもしれません。そこも意識して特産物の中からメニューに入れ込むものを決めなければならないということです。
サプリメントは食品です。だから、「いつでも、好きなだけ摂ってもよい」ということを表示している販売会社もありますが、これは、ほとんどの場合、間違いです。厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」では上限値も定められています。もともとは不足しないように推奨量を知るために活用されるものですが、多く摂りすぎると健康被害が出ることもあります。過剰摂取が懸念される脂溶性ビタミンの場合には推奨量の2倍程度までに抑えるようにされているものもあります。
これに限らず、多くの量を摂れば摂るほど有効性が高まるプラス面だけというわけではなく、かえって健康被害などマイナス面が出ることも当然のように起こることです。中には医薬品との相互作用が起こりやすい栄養素もあり、多く摂るほど相互作用が高まって、血管が切れる、命に関わるという危険性も高まってきます。
水溶性ビタミンなら毎日排泄されるので問題は起こりにくいようですが、多くの量を摂取することによる健康効果がメディアで紹介されてから、急に摂取量が増えたものがあり、それが気になって仕方がありません。それは葉酸です。葉酸が不足すると細胞分裂が起こりにくくなり、貧血になりやすいということで1日に240μgの摂取が推奨されています。ところが、海外のデータを見ると400μgとなっています。これは葉酸の抗酸化力に注目しての摂取量で、葉酸には活性酸素を消去する作用があり、それが動脈硬化や認知症の予防につながるということで、できるだけ多くの量を摂ろうという人も増えています。
葉酸が摂れるのはよいことであっても、葉酸が多く含まれる野菜には多くの量が体に入ってくると害となる成分も含まれています。
これに対して、過剰摂取の問題がなく、副作用も起こらないサプリメント成分があります。それはα‐リポ酸、L‐カルニチン、コエンザイムQ10です。あえて言うとサプリメント製品に使われているα‐リポ酸には過剰摂取の健康被害が起こるものもあります。それは非天然型のα‐リポ酸であり、詳しく分類するとS体のα‐リポ酸です。S‐αリポ酸と呼ばれることがあります。
S体と対比される天然型のR体のものはR‐αリポ酸と呼ばれますが、R‐αリポ酸は体内で合成されていて、20歳をピークに年齢を重ねると徐々に減少していきます。もともと身体の中にある成分なので、多くの量になっても問題は起こりません。
このことはL‐カルニチン、コエンザイムQ10についても同じことで、R‐αリポ酸、L‐カルニチン、コエンザイムQ10は三大ヒトケミカルと呼ばれています。三大ヒトケミカルは医薬品としても使われていて、これが食品としても許可されて、サプリメントに使うことが可能となりました。医薬品の成分の大半は化学合成されていますが、三大ヒトケミカルは体内で合成されているものと同じで、これほど特徴的な成分はありません。
サプリメントと健康食品は同じものという考えと、違うという考えがあります。日本メディカルダイエット支援機構では、サプリメントの知識の検定を実施しており、このサイトにはサプリメントを解説する「サプリメント事典」を掲載しています。これを見て、「サプリメントと健康食品は同じものと考えているのか」との質問をメディア関係者から受けたことがありますが、これはタイトルとして使っただけで、同じではなく、違うものという認識をしています。
健康食品は健康の効能がある食品で、一般の食品とは違うものという共通認識があります。形状も食品そのものではなく、食品の成分を凝縮・濃縮して錠剤やカプセルにしたもの、液体にしたものがあげられます。そのために医薬品と勘違いする人も出てきて、それを防ぐために薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)によって、医薬品と勘違いさせるような表示をして販売することは禁止されています。
健康食品の範囲は糖質・脂質・たんぱく質のエネルギー源、ビタミンやミネラル、食物繊維という六大栄養素から、ファイトケミカル(フィトケミカル)のように植物に含まれる機能性成分も含まれています。これに対して、サプリメント(supplement)は補助、補完、補充という意味がありますが、一般のイメージにあるサプリメントはアメリカの栄養補助食品を指すダイエタリー・サプリメント(dietary supplement)から来ています。
Dietaryという文字を見て、「ダイエットのサプリメントのことですか」という質問をセミナーの中でされたことがあります。ダイエット(diet)からの発想のようですが、これは食品を指しています。食物繊維はダイエタリー・ファイバーといいます。これからいうとダイエタリー・サプリメントは食品を補うものということで、通常の食事からでは充分に摂取できない成分を摂るものを指すことになるわけです。
「ちゃんとした食事をしていれば、すべての栄養素は確保できるのでサプリメントは必要ない、食事に偏りがある人だけが摂ればいい」という考えもあります。そう主張している栄養専門家もいます。サプリメントが食品からは充分に摂れない人のものとなると、栄養バランスがよくない人のためだけのものという印象にもなりますが、そうとは限らないというのが今回の話です。
私たちが研究しているα‐リポ酸、L‐カルニチン、コエンザイムQ10は、食品に含まれている成分ですが、これが含まれている食品を多く食べたとしても充分に摂ることはできません。というのは、体内で合成されるために吸収がよくないからです、確かに、合成されて不足することがないから、わざわざ食品から摂る必要もないので、吸収率が低くなったというのは理解できることです。ちなみにα‐リポ酸の天然型のR‐αリポ酸、L‐カルニチン、コエンザイムQ10は三大ヒトケミカルと呼ばれています。
体内で合成されるのに、なぜ補うサプリメントとなっているのかというと、体内で合成されるピークは20歳代で、最も合成量が多いのは20歳となっています。20歳を過ぎたら減少していくということは、今のように長生きの社会では「合成されるから摂らなくてもよい」という成分ではなくて、「着実に減少していく成分なのだから摂らなければならない」成分だということになります。
α‐リポ酸、L‐カルニチン、コエンザイムQ10というと、ダイエット用の健康食品に使われることが多い成分ですが、あえてサプリメントと位置づけて、摂取の重要性を呼びかけているのです。
α‐リポ酸、L‐カルニチン、コエンザイムQ10については、このサイトの「サプリメント事典」を参照してください。
リラクゼーションというと身体を休めることが主になり、そのためにできるだけ身体を動かさないようにするものと思われています。しかし、身体を動かすことによってリラクゼーション効果を高める方法があり、これはアクティブリラクゼーションと呼ばれています。
一般的なイメージのリラクゼーションは休養です。「1日に30分間の休養時間を作ろう」という目標が厚生労働省から示されたことがあります。いつ休養してもよいのではなく、夕食から就寝までの間に30分間ということでしたが、この時間帯に身体を積極的に動かすことは難しく、身体を休めることが休養そのものと認識されました。
30分間の根拠について、後に担当者に聞いたことがあるのですが、時間の長さには意味はなく、他国を例にしたとのことでした。30分間ということでは、「1日に30分間の運動時間を作ろう」という目標も示されました。休養と運動を合わせて1時間もの時間を活動時間の中に作らなければならないので、寝る時間も削って生活している忙しい人には実施も継続も難しいのでは、と言われたものです。
健康の三要素は栄養、運動、休養ということで、栄養担当部署にも30分での目標を定めてはとの話があり、「夕食にかける時間を30分以上に」ということも考えられましたが、現実的ではないということで代わりに掲げられた目標が「1日30品目」で、30という数字だけが一致していました。
その30品目の食品を食べるというのは今では使われなくなりました。
休養と運動の30分間ずつ、合わせて1時間で実施することを一つにまとめて30分間でこなす方法はないものかと考えられた結果、採用されたのがアクティブリラクゼーションでした。身体を動かして頭を休め、リラックスする方法ということですが、今どきのリラクゼーションは身体よりも頭を休める、肉体的なストレスではなく、精神的なストレスの解消が主になりつつあります。運動などで一生懸命に身体を動かしているときには“頭の中がカラッポ”とまではいかなくても、かなり忘れ去ることができます。
脳が興奮状態になり、限界点を越えてしまうと、仕事をストップさせ、身体を休め、さらに睡眠をしても脳の興奮レベルは、なかなか下がってくれません。脳の興奮した部分を休めるには、興奮していない部分の脳を刺激することです。それによって、興奮レベルを急速に下げることができます。別に刺激した部分が興奮の限界点に近づいては仕方がないので、興奮状態になる前にやめて、身体を横にするか仮眠を取るようにします。すると、興奮がおさめられて、脳をリラックス状態に導くことができるようになります。
軽く汗をかく程度の運動をすると寝つきがよくなり、熟睡もできるようになりますが、これは身体が疲れた結果と一般には説明されています。しかし、運動をすることによって脳のストレスが弱められてリラックス状態になることから、自律神経の副交感神経が盛んに働くようになり、そのために眠りが得やすくなり、深く眠ることができるようになるのです。
脳がよりリラックスした状態で眠ると、脳神経の伝達経路のニューロンの結びつきが減って、脳の疲労回復がはかられることが東京大学から発表されています。





