投稿者「JMDS」のアーカイブ

“土が痩せる”という表現があります。実際に土が太ったり痩せたりすることはなくて、水分を吸った分だけ量が増えるし、乾燥すると量が減ることはあっても、これで土が痩せるわけではありません。痩せるというのは健康的なダイエットを心がけている人には良いイメージかもしれませんが、栄養不足の時代には痩せるのは栄養が足りていないということで、土も栄養が足りなくなっていることを指しています。
そんな痩せた土で植物を育てると、土の中の栄養素が植物の中に入ってこないので、植物も太らないことになるので、肥料を畑に撒くという方法が取られました。昔は動物の糞や藁などの有機肥料でしたが、今では窒素、リン酸、カリウムなどの化学肥料が多くなりました。これらを入れてあげることで土を肥えるようにすることができますが、それが良くなかったのだと言う人もいます。
しかし、植物にとって悪いものではありません。有機肥料の中には必ずしも植物の栄養になるものだけが含まれているのではなく、余計なものも含まれていて、これを除いたものと同じものが化学肥料となりました。
しかし、こういった肥料を使い続けたことで、植物の栄養は低下しました。特に低下したのはミネラルです。この不足したミネラルを畑に撒けばよいのかというと、いくら撒いても植物の中に取り込まれる量は期待したほどには増えてくれません。というのは、ミネラルはイオン化してから植物の根から吸収される仕組みになっているからです。
土が自然の状態でない痩せた状態になると、土の中の微生物が少なくなり、ミネラルのイオン化は低下します。ここを解決しないと植物の中のミネラルは増えていかないのです。動物の糞には余分と思われていた微生物がたくさんいて、これがミネラルをイオン化させるのに役立っていたのです。
ミネラルは体内の酵素に欠かせない補酵素であり、有害物質が身体の中に入ってくると、これを分解するために酵素が働くときにミネラルが多く使われます。植物から摂るミネラルが減ったうえに、身体の中のミネラルも減っているわけです。
これは動物だけの話ではなく、植物も有害物質が入ってくると、それを分解するためにミネラルを使い、そのためにミネラルが減っているわけです。ミネラルはおいしいものではなく、量が増えるとまずくも感じさせます。そこで、おいしい野菜にするためにミネラルの少ない品種というのもあります。
痩せた土ではなく、太った土の植物、実際には肥えた土地と表現されていて、肥えた土の植物となりますが、誰もが口にできるものではありません。少なくともミネラルが減っていることを意識して、野菜や果物などの植物を多く食べるように心がけることから始めるべきです。

「L‐カルニチンは胃薬の成分なんですか」との質問がありました。L‐カルニチンは医薬品の成分であったものが食品にも使えるようになり、サプリメントの有効成分として使われている、という話は何度かしてきました。どんな医薬品の成分なのか気になる人も多くて、それについては以前に紹介していますが、胃薬なのかという質問が来ることは想定していませんでした。なぜ胃薬という発想になったのかというと、DL‐カルニチンが胃薬の成分に使われているからです。しかし、L‐カルニチンとDL‐カルニチンは違う成分です。
もう一つ違うカルニチンがあって、それはD‐カルニチンといいます。LとDが混在していて、なんともややこしいところですが、D‐カルニチンはL‐カルニチンと構成される成分は同じであっても、構造が左右逆になっています。逆の構造のものは体内では使われないので、D‐カルニチンはカルニチンの活性がありません。つまり、L‐カルニチンに特有の細胞のミトコンドリアの中に脂肪酸を取り込む働きがなくて、代謝を高めることもないということです。
体内で合成されるカルニチンと同じであること、活性があるカルニチンであることを示すために、わざわざL‐カルニチンと表記しているのです。
L‐カルニチンと同様に医薬品の成分であったものが食品として使うことが許可されたものにα‐リポ酸があります。カルニチンのLが頭につくように、リポ酸にもαがついているので同じような意味でαが使われているとも思われがちですが、「α‐リポ酸」で一つの言葉です。このα‐リポ酸にもカルニチンと同様に逆の構造のものがあって、一つはR‐αリポ酸、もう一つはS‐αリポ酸です。体内で合成されているのはR‐αリポ酸で、天然型となっています。これに対してS‐αリポ酸のほうは非天然型と呼ばれていますが、要は人工型です。本来ならサプリメントに使用されるものはR‐αリポ酸と記載しなければならないところですが、ほとんどは「α‐リポ酸」となっています。
というのは、多くのサプリメントではR‐αリポ酸とS‐αリポ酸が組み合わされて使われているからです。逆の構造のものを等量、つまり同じ量が使われたものはラセミ体と呼ばれていますが、非天然型は体内で合成されているものとは違うタイプなので、吸収されても使われることがありません。なぜ違うタイプのものを半分も使っているのかというと、天然型のR‐αリポ酸は胃液で分解されるからです。分解されたら、吸収されても有効成分とはなりません。しかし、わざわざ使っているのはR‐αリポ酸とS‐αリポ酸を組み合わせると分解されにくくなるからです。分解されにくくなるだけで、分解されないわけではありません。
R‐αリポ酸だけを使うと分解される、R‐αリポ酸とS‐αリポ酸を組み合わせても分解されないわけではないとなると、どうすればよいかということですが、それを解決したのがシクロデキストリン(環状オリゴ糖)です。輪になった中にR‐αリポ酸が入ると、分解されなくなります。これはカプセルのようなものですが、カプセルと違うのは輪の中に入っているために腸壁に密着すると内部に取り込まれるということです。これによって分解されずに、効率よく取り込むことが可能になったのです。
L‐カルニチン、α‐リポ酸、シクロデキストリンについては、このサイトの「サプリメント事典」を参照してください。

血圧が高い、血糖値が高い、中性脂肪値が高い、LDLコレステロール値が高いということから、医療機関の医師などから運動をするように指示される人は増えています。指示はしても、指導をしてくれないということが多くて、運動をするのはよいとわかっていても、何をしていいのかわからない、だからやらないという人も少なくありません。
糖尿病などは食事療法と運動を続けたうえに医薬品を使うことで血糖値を正常に近づけていくことができます。血糖値を上昇させるのはブドウ糖です。血糖は血液中のブドウ糖のことを指すので、ブドウ糖が減ればよいということでブドウ糖が多く含まれる糖質を減らす糖質制限の食事をすすめる専門家もいます。それが有効な人がいることは認めますが、私たちは有酸素運動をすすめています。
有酸素運動の中でも実施が比較的簡単なウォーキングをすすめるようにしていますが、歩き始めて10〜15分はブドウ糖の燃焼が盛んになります。この時間を過ぎると「脂肪が燃焼する」と言われることが多く、「脂肪が燃えているだけでブドウ糖は燃えていない」と誤った情報も伝わったりしているのですが、10〜15分はブドウ糖だけが燃焼しているわけではなくて脂肪も燃焼しています。ブドウ糖は、すぐにエネルギーとして使われるので多くが使われるようになります。
10〜15分を過ぎたときには、脂肪酸の燃焼のほうが盛んになって、ブドウ糖の燃焼の割合が下がっていくだけで、しっかりと燃焼しています。長く歩くとブドウ糖の燃焼が進まなくなるということではなくて、歩く時間が延びるほど血液中のブドウ糖は減っていくということになります。
こんな話を書いたのは、医療機関から患者の運動が継続できるように協力してほしいという依頼があったからですが、糖尿病だけでなく高血圧にも脂質異常症(高中性脂肪血症、高LDLコレステロール血症、低HDLコレステロール血症)にも対応しなければならないので、大丈夫かと聞かれました。これは私たちに対応する体制があるか、その能力があるかという問い合わせではなく、歩くだけで血圧も血糖値も中性脂肪値もLDLコレステロール値も正常範囲に下げることができるのか、という質問でした。これに対する答えはイエスです。
中性脂肪は脂肪酸3個とグリセロール1個が結びついたもので、ウォーキングなどの有酸素運動によって脂肪酸が燃焼すれば、血液中の中性脂肪は減っていきます。LDLコレステロールは有酸素運動によって燃焼することはなくても、有酸素運動をすることでHDLコレステロールを増やすことができます。HDLコレステロールが増えると、それにつれてLDLコレステロールが減っていきます。
血圧とウォーキングの関係ですが、そのメカニズムは完全には解明されてはいないのですが、血管が拡張して、血管壁にかかる圧力が下がることによって血圧が下がることは認められています。また、ウォーキングによって内臓脂肪が減ると、血管にかかる内側からの圧力が弱まるので、これによっても血圧は低下します。
私たちはメディカルダイエットを団体名に冠していることから、医療的なダイエットの指導の依頼はよくあることです。運動をして血圧、血糖値、中性脂肪値を安定させることは当然のことで、私たちは運動と食事、運動と休養、そして食事と休養のタイミングによって血圧降下、血糖降下、内臓脂肪減少などを実現させています。それこそがメディカルダイエットで、組み合わせることで“無理なく無駄なく”望むような結果を得ることを目指しています。それを理解してもらえるところからの依頼は積極的に受けるようにしています。

「ピリドキサミンって、どんな成分なのですか」という質問がテレビ局のディレクターからあった、そのすぐ後に雑誌記者からも「ピリドキサミンは新しく発見された成分ですか」という質問がありました。このコーナーでも初めて出てきた言葉で、聞きなれない名前なので、新たな成分と思ったようですが、統合失調症に対するピリドキサミンの研究発表があって、メディア関係者のアンテナに引っかかったようです。しかし、ピリドキサミンは実は以前から、よく登場していたもので、ビタミンB₆の一つです。
そんな返答をしたところ、「ビタミンB₆は種類があるのですか」と聞かれてしまいました。一般の認識を、あまり意識しないで、私たちも簡単にビタミンB₆と使っていましたが、ビタミンB₆はピリドキシン(pyridoxine)、ピリドキサール(pyridoxal)、ピリドキサミン(pyridoxiamine)があります。少しだけ詳しく説明すると、この3種類はビタミンB₆活性を持つ化合物です。
ビタミンB₆活性というのは、ビタミンB₆の働きをすることで、代謝の補酵素、ホルモン調節などの活性をするものを総称してビタミンB₆と呼んでいるのです。
3種類と書きましたが、それぞれのリン酸エステル型(ピリドキシン 5́-リン酸、ピリドキサール 5́-リン酸、ピリドキサミン 5́-リン酸)があり、全部で6種類が数えられています。
体内ではピリドキシン、ピリドキサール、ピリドキサミンともにピリドキサール 5́-リン酸に変換されます。そして、ビタミンB₆にまで消化されてから吸収されるので、元々の種類が違っていてもビタミンB₆としてまとめて語られることが多くなっています。
医薬品成分としてのピリドキサミンは特徴的な働きをするとしても、食品から摂取しても最終的に他のビタミンB₆活性がある成分と同じに変化するので、この食品を食べれば、こんな医薬品的な効果があると語っても仕方がないことです。また、ピリドキサミンの有効性が確認されたとしても、ピリドキシン、ピリドキサール、ピリドキサミンは魚や肉に含まれていて、どの魚には、どの成分が多い、どの肉には、どの成分が多いというようなことはなくて、どの成分も含まれています。
では、魚や肉を食べていれば、特に注意することはないのかというと、ビタミンB₆はビタミンB₁₂と並んで、摂取タイミングが重要になります。ビタミンB群のビタミンB₁、ビタミンB₂、ビタミンB₆、ビタミンB₁₂は細胞のミトコンドリアの中で脂肪酸を代謝させるのに欠かせないビタミンです。どれかが欠けたら、代謝が低下します。つまり、いわゆる“脂肪が燃焼する”ということが起こりにくくなるのです。
ビタミンB₁とビタミンB₂は体内では24時間は保持されます。だから、1日に1回、ビタミンB₁とビタミンB₂が含まれた食品を食べていれば、よほど量が少なくない限りは足りなくなるようなことはありません。ところが、ビタミンB₆とビタミンB₁₂は体内では12時間ほどしか保持されません。ということは、朝食と夕食でビタミンB₆とビタミンB₁₂が含まれた食品を食べておく必要があるわけです。
それなのに朝食を食べない人は少なくはなくて、夕食を食べないという人もいます。こうなると食品から補えない人もいるので、サプリメントの使用も考えなければならないことになります。
ビタミンB₁、ビタミンB₂、ビタミンB₆、ビタミンB₁₂については、このサイトの「サプリメント事典」を参照してください。

「代謝の促進に必要な成分だから、それを摂れば代謝が促進される」というのは簡単かつわかりやすいロジックです。このロジックはテレビ番組でも商品のコマーシャル映像でもよく使われていますが、すべてに成り立つわけではありません。代謝に必要な成分であっても、それが充分に足りているヒトなら、サプリメントで補っても余分なものとなって、効果を期待しても無理というものです。
この例としてよくあげられるのはL‐カルニチンです。肉に多く含まれる成分で、脂肪燃焼に効果を発揮することから、肉を多く食べる民族では体内に多く蓄積されています。だから、サプリメントで摂っても効果が出にくくなっています。ところが、日本人のように肉食が歴史的に少なくて、蓄積量が少ないとサプリメントで補ったときの効果が出やすくなっています。
L‐カルニチンが2002年に食薬区分の変更によって医薬品だけでなく、食品としても使えるようになったときには、L‐カルニチンはサプリメントとして効果がないという海外のデータが紹介されたものです。しかし、日本人を対象とした試験では有効性が認められたという経緯があります。
L‐カルニチンは三大ヒトケミカルの一つですが、他のα‐リポ酸、コエンザイムQ10も若いときには充分な量が体内で合成され、充分に蓄積されています。“若いとき”というのは、いつかということですが、ピークは20歳です。しかし、身体に強い負荷をかけるようなことがなければ、20歳代(20〜29歳)で不足することはないはずです。ところが、年齢を重ねていくと減っていく一方なので、サプリメントで補うと効果が出やすくなります。
このことを見ると、代謝に必要なL‐カルニチンを摂ると細胞のミトコンドリアに取り込まれる脂肪酸が増えて、代謝が高まるということがいえます。
三大ヒトケミカル以外でも、酵素は広義のヒトケミカルの一つです。酵素不足が代謝低下の原因と決めつけるようなコマーシャルをよく見かけますが、酵素が不足している人に、酵素が含まれる飲料などを摂って、それで代謝が高まるのかというと、そうとは限りません。酵素は、酵素だけで身体の中で化学反応を起こすわけではなくて、補酵素が必要です。酵素に補酵素が結びつくことによって酵素本来の働きができるようになります。補酵素の多くはビタミンとミネラルです。ビタミンもミネラルも数多くの種類があり、これらの栄養素が補われていないと酵素が充分に働くことができなくなるということです。
そもそも酵素といっても飲料などの酵素は消化酵素です。酵素は細胞の中でしか働かない代謝酵素と、細胞から外に分泌される消化酵素があります。消化酵素が代謝酵素になることはありません。しかし、1日に肝臓で合成される酵素の量はほぼ決まっていて、消化酵素が多く使われると代謝酵素が減ることになります。そこで消化酵素を摂ることで代謝酵素が増えると、あたかも代謝酵素を摂ったのと同じような結果となるわけです。
L‐カルニチンについては、このサイトの「サプリメント事典」を参照してください。

競技力について国民の能力を比較するときには二つの方法があって、一つはオリンピックをはじめとしたメダルや入賞の数で単純に比較する方法です。メダル数が多いほど、中でも金メダル数が多いほど、その国の競技力が高いという評価を受けます。もう一つは国の人口を考慮に入れて評価をする方法で、金メダルが1つしかなくても人口が10分の1だったら10倍に評価されます。あまり採用されていない評価法ですが、金メダルの数が多くて、しかも人口が少ない国だったとしたら、これは物凄い努力をしたのか、それとも国民に優れた能力があるのか、その両方なのかを考えなければならないところです。
オリンピック間近ということで金メダルの話にしましたが、大相撲の横綱も気になる存在です。大相撲の聖地の両国のことを「日本とモンゴル」と、地名ではなく二か国の名前で揶揄した人がいましたが、モンゴル出身の力士の実力の秘密を探りたいというのは運動関係者でなくても抱いている感覚です。人口比較でいうとモンゴルは300万人ほどで、日本は人口減少が始まったとはいえ、その40倍もいます。モンゴルから日本にきて、生活の違いを乗り越え、40倍も努力して横綱1名を出せる確率です。一時期は4横綱のうち3横綱がモンゴル出身ということで、確率的には120倍にもなります。
ニュージーランドの人口は約470万人で、25倍以上の人口差となっています。ニュージーランドといえばオールブラックスで有名なラグビー大国で、巨漢と突進力、展開力を見せつけられるとニュージーランド出身者がラグビーではなく、相撲界に入ってきたら、モンゴルどころの話ではないという感覚にも襲われます。
ニュージーランドの特産物というと羊肉、キウイフルーツ、マヌカハニーが御三家です。マヌカハニーは優れた抗菌力があって、口腔、胃、腸内で威力を発揮していますが、これが巨漢とパワーの源ではありません。キウイフルーツは消化酵素が豊富なことで知られていますが、これは肉の栄養を取り入れるのに最適な食品であることは認めますが、これも違います。となると、羊肉が注目されるところですが、羊肉には肉の中でも圧倒的にL‐カルニチンが豊富に含まれています。羊肉の最も有名な食べ方はジンギスカンですが、これはモンゴルの料理です。
そして、羊肉を食べている人はL‐カルニチンが体内に多く蓄積されています。
L‐カルニチンは細胞のミトコンドリアの中に脂肪酸を取り込むために欠かせない成分で、L‐カルニチンが体内に多くある人ほど、脂肪酸をエネルギーとする力が高くなっています。となると、モンゴルの国民もニュージーランドの国民もL‐カルニチンのおかげで、肉を多く食べると良質なたんぱく質を身体に取り込むことができて、肉と一緒に身体に入ってくる脂肪のほうはエネルギーとして燃焼させられるので、パワーがある上に、体脂肪が少ないスポーツ向きの身体を作り上げることができるということです。
脂肪の燃焼というと燃やすところが注目されがちで、L‐カルニチンはダイエットのための素材とも思われがちです。体内のL‐カルニチンが多ければ脂肪の燃焼が高くなり、その結果として作り出されるエネルギーも多くなります。このエネルギーは細胞一つひとつの活性の源であり、それぞれの特徴的な働きを持った細胞が本来の働きをすることで元気が極められるので、これがモンゴル出身力士の活躍の秘密と言えます。
マヌカハニー、L‐カルニチンについては、このサイトの「サプリメント事典」を参照してください。

似たようなものなのに、片方には名称の前に「お」がつき、もう一方にはつかないものがあります。こんな話題を書くときには、気を引くような話にかこつけて、何か主張をしようと思っているのではないかと、すでに勘のいい人には気づかれていますが、何を主張しているのかは最後まで読んでもらえればと思います。
前に登場したぜんざいは「おぜんざい」、しるこは「おしるこ」と「お」がつけられます。おにぎりとおむすびは、にぎり、むすびとは呼ばないのが通例で、初めから「お」がつけられています。おにぎりとおむすびというと、三角形がおにぎりで、俵型がおむすびという印象があります。これは「おむすびコロリン」と言うことはあっても「おにぎりコロリン」とは言わないので、転がるほうがおむすびと使い分けられています。
しかし、今どきは、おにぎりを買う場所といえば圧倒的にコンビニなので、あまり上品な食べ物というよりも空腹を満たす食べ物というイメージも抱かれがちです。コンビニのおにぎりについて調べていたら、セブンイレブンとローソンはおにぎりと呼んでいるのですが、フォミリーマートはおむすびを使っています。ファミリーマートと経営統合するサークルKサンクスは“おむすび道”という名称でおにぎりを販売しています。こうなると現在では、おにぎりもおむすびも同じものを呼んでいるわけで、中身に違いはないという時代になってきているようです。
日本メディカルダイエット支援機構の理事長は、納豆と豆腐の業界をあげてのPR事業でメディア向けと流通向けの毎月のリリースを手がけていましたが、そのときに「お豆腐」と呼ぶのに「お納豆」と呼ばないことから、その違いは何なのかの提言をしていました。業界からの反応を期待していたのですが、特にはなかったので、“上品なものに「お」がつけられる”と勝手に理解して、リリースでも説明をしていました。豆腐は上品の極みの懐石料理の食材ですが、懐石料理に納豆というのはあまり聞きません。この説には業界関係者から「お油揚げ、お湯葉とは言わないが懐石料理に使われている」とツッコミがありました。
「お大根」と言うのに「お人参」とは言わないし、「お大豆」と言うのに「お黒豆」とは言いません。人参も黒豆も懐石料理の定番食材の一つです。“上品なものに「お」”というのはイメージの問題で、確信を持っての発言ではなく、これをきっかけにして論議が高まればという思いだったので、その意味では成功したかもしれません。
煮しめには「お」がつけられます。それと似たような筑前煮には「お」がつけられません。お煮しめは京料理、筑前煮は九州・筑前地方の料理という分け方もあります。調理法の違いも明らかで、材料はレンコン、ゴボウ、ニンジン、しいたけが共通していますが、お煮しめは一つひとつの材料を別々に煮て、それぞれの材料の硬さに合わせ、味を引き立てるように加熱温度と調理時間が決められています。1時間以上の時間がかかるものもあります。
筑前煮には鶏肉と里芋が使われていますが、お煮しめのようにコトコトと煮ていくというよりも、まず油で炒めて、それから全部の材料を一緒に煮ていきます。そのために30分以下でも作ることができます。
手間暇がかかるものは、それを作ってくれた人への強い感謝の意を示すために「お」をつけたという解釈はどうでしょうか。

気になる言葉は、いくらでもあります。もともとの由来がわからなくなってきていることが多くなり、土壇場のことを「土俵際」というのは相撲から来ているという話がテレビのバラエティー番組で取り上げられても、これは相撲の土俵際の鬩ぎ合いと同じような状況で使われると納得をしているところです。しかし、冬になってテレビで頻繁に流れてくる「冬将軍」と「立ち往生」という言葉は、まだ違和感があります。
冬将軍は天気予報で気象予報士やアナウンサーが、正式の気象用語のように使っています。恐ろしい将軍のように寒波が襲ってくるということを言いたいときに使っているようですが、これはナポレオンにちなんだ言葉です。あまりに有名なので、わざわざ説明することもないかもしれませんが、連戦連勝で、どんな将軍にも負けなかったナポレオン軍が冬のロシア攻めのときに寒さに耐えられずに後退したときに「冬将軍に負けた」ということを言い、その逸話とともに冬将軍という言葉が北極寒波を指す言葉として使われるようになりました。
それほど厳しい寒波なら仕方がないと思えても、普通に寒波が来るときに冬将軍を連発されると、これは違うだろうという気持ちにもなります。すべての人を震え上がらせるレベルの寒波というのは、そうそうはないからです。
もう一つの「立ち往生」は雪が降って、道路が使えなくなり、大渋滞を起こしたときに、よく出てきます。往生というのは困ったことを指すのにも使われますが、亡くなることも指しています。それが立ち往生となると、立ったまま亡くなることを指し、少なくとも生きている人、生き残る可能性があるときに使う言葉ではありません。
由来は武蔵坊弁慶です。弁慶が源義経に付き従って奥州平泉に逃れたものの鎌倉勢に攻められ、義経を守るために薙刀を振るって孤軍奮闘したものの雨のような敵に矢を撃ち込まれて、絶命してからも立って敵を防いだことから生まれた言葉で、「弁慶の立ち往生」と語り継がれました。それくらい壮絶な状況で使う言葉という認識がある身には、渋滞に立ち往生はないだろう、という気にさせられます。
「目的を達成するためには立ち往生も止む無しと考えて健康づくり事業に当たっている」という話をすると、「ダイエットのためには死んでもいい」という女性を批判的に扱うこともある私たちの活動と矛盾していないかと指摘されることもあります。確かに、健康づくりは死ぬことの真反対にあることで、厳しい時代でも生き残るための手段です。それなのに「立ち往生とは」という人の気持ちもわかるのですが、ゆっくり、じっくりと進めていたのでは、お年寄りも子供たちも命を短くしてしまうと強烈な危機感を抱いて当然の食事の内容となっています。
どんな危機感なのかということについては、これから徐々に明らかにしていきますが、健康維持に最低限必要な食べ物の知識もない親が作った食事を、何も危機感を抱くことなく食べている子供たちが、あまりに多いことを知っているからです。その事実を知れば、行動を起こすはずなのに起こしていないのは、事実を知らないから、知らされていないから、もっと言うと隠されているからです。その隠しているところに立ち向かうには、立ち往生も覚悟しないといけないのですが、全面から攻撃すると反撃も全面から受けることになります。
となれば、気づかれないうちに変化を起こしてきた方々と同じ手法で、気づかれないうちに伝えていき、気づかれたときには、もう止められないという状況を作ろうとしています。その一つが、多くの若い人にアプローチできるメディアと、子育てを始めたばかりにママ層にアプローチできるメディアの活用です。

11月はカレンダーには神無月と書かれています。これに対して出雲地方では「神在月」(かみありづき)と呼んでいる、という雑学知識がテレビ番組で取り上げられていました。制作したのは知り合いの会社で、さらに「初めて知った」と素晴らしいリアクションをしていたタレントにも以前に話していたことでしたが、これがテレビというものということで、台本通りに進めようとしても目くじらを立てないようにしています。
神在月のことは一般に言われているだけならまだしも、今では出雲大社の関係者でも「かみありづき」と呼び、その由来として「全国の神社の神様が出雲大社に集まって会議をしているので、神社に行っても神様がいない神無月だが、出雲大社には神様が集合しているので“かみありづき”という」と話しています。これは神在月を前にしたときに、神社の中で聞いてきたことです。
以前に書籍づくりでインタビューしたときに、出雲大社の関係者中の関係者から「今どきの人は神在月と神無月の違いがわかっていない」と言われて、それを書籍の中に盛り込んだものです。違いというのは、両方とも「かんなづき」と読むが、神在月は古くから伝わる表記で、神無月は現在の表記ということです。在は今では「ある」ですが、以前は「なる」と読んでいました。出雲大社に全国の神様が在る(なる)月だから神在月というのは当たり前の表記で、神在月が読めなくなったので神無月と表記されるようになったと教えてもらいました。
そして、今どきの人は……と嘆かれていたのですが、その今どきの人が身内の人になってしまったということで、当時を思って嘆かれているのではないかと思ったりもします。
この神在月(かんなづき)に出雲地方で食べられていたのが神在餅(じんざいもち)でした。小豆を甘く煮て餅を加えたもので、今の“おぜんざい”です。出雲地方は訛りがあるので、「じんざい」が「ずんざい」に聞こえ、それが伝わった京都で「ぜんざい」となり、全国に広まったというのが定説です。日本ぜんざい学会も、それを公式見解としています。
関東では、ぜんざいとは呼ばず、“おしるこ”の一種となっています。小豆が粒のままのものも漉したものも汁粉(しるこ)で、注文をすると、どちらの種類かを聞かれます。ところが、京都を中心とした近畿ではしるこはこしあん、ぜんざいはつぶあんというように完全に区別されています。そうなったことには諸説がありますが、しるこは江戸で誕生した御前汁粉が始まりで、それが京都に伝わってきたので、違うものという認識がされています。いかにも京都風のおしるこが江戸のもので、ぜんざいが出雲のものということです。
その由来が取り上げられるたびに、「出雲大社では神在月(かみありづき)」という話がされると、元来は違うのに、と思ってしまうのは、出雲大社へのお詣りを欠かさない身としては、まだまだ修行・信心が足りないということのようです。

妊娠中は胎児に母親から栄養が送られるので、充分な栄養補給をする必要があります。その話をすると、「だから太ったほうがよいと思って、たくさん食べている」と返答する人がいます。「充分な栄養補給=太る」ということではありません。太るのはいけないということで言っているわけではなくて、妊婦は太ること、つまり脂肪を蓄えることは大切なことです。
母乳の材料が血液です。血液中に多く脂肪が含まれていると、母乳に脂肪が多くなり、これが誕生後の赤ちゃんの重要なエネルギー源になります。血液中の脂肪は体脂肪の中に蓄えられています。この脂肪を分解して赤ちゃんに与える栄養にするわけですが、授乳中に母乳を通じて与えられるエネルギー量は1日当たり500〜800kcalとなっています。だから、少しくらい太っていても授乳によって元の体脂肪に戻っていきます。ただ、授乳によって体脂肪が使われる期間は6か月ほどなので、あまり安心して食べすぎて、太りすぎると、元には戻らないということにもなります。
母乳ではなく、粉ミルクで育てている場合には、母乳による脂肪減少はないことになります。母乳で育てなくても、初乳だけは与えるといことがあります。これは初乳には母親から伝えるべき重要な情報ともいえる成分が含まれています。その一つにラクトフェリンがあります。これは免疫成分の一つです。ラクトフェリンをプラスした粉ミルクも販売されています。
母親から赤ちゃんに伝えられるのは免疫力、抵抗力と同時に体質もあげられます。体質に関わるのは遺伝子や酵素で、これを作るために必要なのはアミノ酸です。20種類のアミノ酸が人間に必要なたんぱく質を作っていて、たんぱく質が含まれる食品を食べると分解されて、身体に必要なアミノ酸が補われます。ということで、妊娠中には赤ちゃんにしっかりと遺伝子を伝えるために、そして授乳中は赤ちゃんのためと同時に、母乳を与える母親の健康のためにも良質なたんぱく質を摂るようにします。良質なたんぱく質というのは、体内で合成されないために食品から摂らなければならない必須アミノ酸のバランスが取れているものを指しています。これに該当するのは肉、魚、卵、大豆・大豆製品(納豆、豆腐など)です。
良質なたんぱく質を摂って、脂肪は増やしすぎないようにしたほうがよいとはいっても、肉や魚には脂肪が含まれています。卵の黄身にも脂肪は含まれています。動物性の飽和脂肪酸は動脈硬化のリスクを高め、植物性や魚の不飽和脂肪酸はリスクを低くすると言われていますが、身体によい脂肪酸であっても、多く摂れば不要な栄養源となって、体脂肪として蓄積されていきます。また、糖質は多く摂ると肝臓で脂肪合成されるので、これも体脂肪を増やすことになります。
妊娠中も授乳中も、できれば妊活中も良質なたんぱく質を摂ることが必要です。良質なたんぱく質は家族の健康にも当然必要です。
ラクトフェリンについては、このサイトの「サプリメント事典」を参照してください。