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運動と乳酸の話をしているときのこと、「乳酸に善玉と悪玉はあるのですか」という質問に続いて、「ダイエットできる乳酸について聞きたい」という声が会場からありました。前者については答えがあります。乳酸は体内で糖質がエネルギーとなるときに不完全燃焼することで発生する疲労物質で、筋肉疲労の原因物質とされています。大量に発生すると分解、排泄しきれずに体内に蓄積され、疲労感だけではなく、肩こりや腰痛、頭痛などの原因になります。これは悪玉としての姿です。善玉の姿の話ですが、乳酸は無酸素運動で発生しやすくなっていて、有酸素運動によって分解することができます。分解するだけでなく、有酸素運動によって乳酸をエネルギーとして使うことができます。乳酸がたまったときに歩くことで多くのエネルギーを作り出すことができるのです。
この説明に多くの人は納得してくれたのですが、質問した人はポカンとしていました。その理由を知っていながら、わざと話をしたのですが、質問者は乳酸菌の善玉と悪玉の質問をしたつもりで、乳酸と言ってしまったようです。
次の質問のダイエットできる乳酸ということへの答えは、初めの返答で出ていますが、これも質問者の勘違いで、テレビ番組で取り上げていた「体脂肪を減らす乳酸菌」のことを知りたかったのに、乳酸まで2文字が同じだったので、間違えたとのことです。
体脂肪を減らす乳酸菌はラクトバチルス・アミロポラス・CP1563株のことです。一般にはCP1563株として知られています。カルピスが開発した乳酸菌で、ヒト由来の腸内に生息している乳酸菌の一つです。内臓脂肪低減 コレステロール値低下、血糖値低下の論文発表があり、これを根拠に機能性表示食品となっています。カルピスの販売であることをいうときに、アサヒビールのカルピスという言い方をしてしまい、これにも追加質問がありました。カルピス社は以前は味の素のグループ会社でしたが、今はアサヒビールのグループ会社になっていることを言いたかったのですが、一部を略していうとカルピスにビールが混じっているように聞こえてしまいました。
話を元に戻すと、CP1563株は死菌となっています。乳酸菌は生きて腸まで届くというのが優良なものの売り文句になっているようですが、死菌というのは死んでしまった菌を、わざわざ選んで使っているというのではなく、生きている菌を殺しています。表現は適切ではないかもしれませんが、乳酸菌は胃液に弱いものが多く、胃で死んでしまったら効果がなくなります。そこで死菌にして効果を固定させて、有効成分として腸へと送り込んでいます。吸収しやすくするために粉砕しています。
生きているよりも死菌のほうがよいと言っているわけではなく、死菌にしたほうが効果が得られるものがあるということを言いたいのです。

このコーナーで何度か登場しているシクロデキストリン(cyclodextrin)は環状オリゴ糖とも呼ばれていますが、これは一般のオリゴ糖とは違うと説明しても、いまだに理解が充分ではないようで、どこが違うのかという質問は続いています。
オリゴ糖は、消化酵素によって分解されないために小腸から吸収されず、大腸内でビフィズス菌などの善玉菌の栄養源になる難消化性の糖です。オリゴ(oligo)は「少ない」の意味で、最小単位の単糖が2~20個、鎖状に結合した構造をしています。代表的なオリゴ糖にはフラクトオリゴ糖(アスパラガス、ニンニクなど)、イソマルオリゴ糖(ハチミツなど)、大豆オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖(母乳や牛の初乳)、キシロオリゴ糖(食物繊維を発酵させた難消化性オリゴ糖)などがあります。
腸内細菌の善玉菌の代表であるビフィズス菌の増殖のほか、便秘や下痢の改善、たんぱく質の消化吸収の促進、ミネラルの吸収の促進、脂質代謝の改善などの作用があります。腸内細菌の善玉菌を増やす働きがあるものをプレバイオティクスといいますが、その代表的なものがオリゴ糖です。通常のオリゴ糖は鎖状ということで、1本もしくは途中で枝分かれした形となっています。
それに対してオリゴ糖の両端がつながって輪になったのが環状オリゴ糖です。6個が輪になったα型、7個が輪になったβ型、8個が輪になったγ型があります。自然に環状になっているわけではなく、工業的に輪にする技術があり、α型とγ型の技術はドイツのワッカー・ケミー社によって開発されました。“ワッカー”が輪っかというのは偶然の名称一致です。原材料はトウモロコシのデンプンです。ブドウ糖は小さなものなので、8個の環状でも直径が1nm(ナノメートル)で、0.000001mm(ミリメートル)という極小サイズです。
細胞の中のDNAの大きさといってもわかりにくいと思いますが、環状になることで、輪の中に成分を取り込む作用があり、それが1nmで勢ぞろいするので溶けやすく、吸収されやすくなります。吸収率が1%でしかないコエンザイムQ10がγ型の環状オリゴ糖の中に入ると、最大で18%にもなるとの研究結果もあります。この技術を活用したサプリメントがDHCなどの包接型のエンザイムQ10です。
輪の中に入った成分は胃液では分解されにくくなり、周りが包まれた形になるので味をマスキングすることができるようになります。緑茶成分が濃い状態になると苦くて飲めなくなりますが、γ型の環状オリゴ糖を活用すると飲めないほどではなくなります。これが花王のヘルシアの技術です。苦いウコンを濃くしたものもγ型の環状オリゴ糖によって飲めるようになります。これがハウスのウコンの力です。黒コショウは苦味と強い刺激がありますが、これをγ型の環状オリゴ糖によって摂りやすくしたのがファンケルの大人のカロリミットなどに使われているブラックジンジャー(黒こしょう)です。
難消化性デキストリンは糖質の吸収をゆっくりとさせて血糖値の急上昇を抑え、脂質の吸収を阻害しますが、これは鎖状のオリゴ糖です。この力が強いのがα型の環状オリゴ糖です。
食べ物以外でも使われていて、消臭剤のファブリーズの中身はγ型の環状オリゴ糖で、輪の中に臭い成分を吸着しています。ペットのためのデオシートは腐敗菌が避ける成分がγ型の環状オリゴ糖に入っていて、徐々に出ている間は腐敗しないので臭いの発生を抑えることができます。
少なくとも普通のオリゴ糖では、このような効果はありません。

緑茶の茶葉の安全性については過去にも紹介していますが、安全なものについての情報を流していても、まだまだ情報提供が足りないようで、これまでと同じように危険な状態のものを健康によいからといってすすめている例が、いまだにみられます。緑茶は飲むもので、その緑茶を入れる茶葉は食べるものではありません。抹茶はお湯を注いで飲むものでもあり、粉のまま食べられるものでもあります。
茶葉には無農薬で育てられたものと、農薬が使われたものがあります。農薬使用よりも無農薬のほうが安心といっても、多くの茶葉には無農薬の表示はありません。ということは農薬が使われていて、茶葉の中にも農薬が残留しているのに、そのことを問題視する声は多くはありません。というのは、茶葉にお湯を注いで、緑茶の味や香りの成分が溶け出ても農薬は溶け出ていないからです。
茶葉に使われているのは水に溶けないタイプの農薬です。水と表現したのは冷たい水という意味ではなく、温められたお湯でも農薬に対しては同じ反応があります。水に溶けない農薬以外は何かというと、それは油に溶ける農薬です。茶葉は露天で太陽光を浴びて育てられるので、雨が降る環境にあります。水に溶けるタイプの農薬では雨が降ったら流れてしまうので、油に溶けるタイプの農薬が使われます。
このタイプの農薬は、お湯を注いでも農薬は溶け出ないので、安心して飲めるというわけです。とはいっても、茶葉の一部は粉になっているので、急須から入れると農薬が含まれた部分が少しは口から入ってしまいます。しかし、それほど多くの量ではないので、危険レベルではありません。
問題となるのは、茶葉を食べる方法です。茶葉は栄養豊富で、お湯に溶け出る部分はほんの少しなので、出がらしの部分を料理の材料のように使って食べようという人がいます。それをすすめている料理研究家もいます。出がらしをお浸しのようにするならまだしも、天ぷらにすることを紹介している人がいました。天ぷらには油を使うので、この油によって農薬が溶け出て、体内に吸収されてしまいます。
粉にして飲む方法もあります。抹茶は緑茶を粉にしたものですが、粉にして全体を飲むことが前提になっているので、もう一つの前提として農薬が使われていません。だから安心して飲んだり、料理にかけたりできるのですが、農薬が使われた茶葉をミルなどで挽いて粉にしたものは、見た目は抹茶と同じようであっても中身がまったく違っています。農薬が残留しているのか、まったく農薬がないのかでは天地の開きです。
茶葉全体の栄養を口から入れたいなら抹茶を飲むことです。およそ口に入れられるものの中で、栄養素の含有ランキングのトップ2は抹茶と海苔です。100g単位の量で比べたら、この二つにかなうものはありません。ただ、100gの価格で比べたら海苔は松坂牛よりも高くなります。そんなにも多くの量を食べないので比較するのには無理があります。それに対して抹茶はというと、100gを摂るには1日に50杯ほども飲まなければなりません。
栄養の摂取というのは無理がある話で、嗜好品として飲むのが一番で、それには美味しさと同時に、安全性も考慮して選ぶべきではないでしょうか。

若い女性のダイエットのための運動の話をしているときに、ノルディックウォーキングが話題にあがりました。あがったというよりも、ノルディックウォーキングの資料を出しての話で、誘導したようなものですが、ノルディックウォーキングは通常のウォーキングに比べて全身の90%の筋肉を使うので、消費エネルギー量が20%ほども高いということに強い関心が抱かれました。そして、専用のポールなしでも20%もエネルギーを多く使う歩き方はあるのか、という質問がありました。
通常の歩行は主に腰から下の筋肉を使っています。下半身には70%の筋肉がついているので、ポールを使って歩くことによって上半身の20%分の筋肉が使われることになります。その分だけで20%もエネルギーが多く使われるということではなくて、ポールをつくことによって勢いよく前進できるので、スピードもつき、エネルギー効率のよい歩き方になります。
ポールなどでは通常の歩き方となってしまうところですが、私たちはポールを使って、正しい姿勢で、歩幅を広げて元気に歩くことによって筋肉を強く刺激する歩き方を身につけたら、ポールがなくても同じようにグイグイと歩くようになり、普通に歩いているつもりでも筋肉強化になり、エネルギーを多く使うウォーキングを目指しています。
ポールを使っても、ゆっくりと歩いていたのでは普通の歩行とあまり消費エネルギー量は変わらないのですが、勢いよく歩くことで20%の効率アップになります。その歩行法で、ポールなしで歩いたときには10%くらいはエネルギー消費が高まることが知られています。
ポールを使って歩いていると、ゆっくり歩きのときには「変わった杖ですね」と言われることがあります。これは筆者が60歳を超えているせいかもしれません。スポーティな格好で勢いよく歩いていると今度は「スキーの練習ですか」と聞かれます。確かにノルディックウォーキングはクロスカントリースキーの夏場のトレーニングとして始まり、それが独自の運動に発展してきたので、スキーの練習と見えるのは当たり前かもしれません。
若い女性だと、ポールを持って歩くのは恥ずかしい、集団でならスポーツに見えても、1人だと変な目で見られるからと、なかなかやってくれません。そこでポールを使った歩き方だけを教えて、自分でやるときにはポールなしでもノルディックウォーキングと同じ方法で歩けるように指導しています。
歩くことを運動にするためには、歩行に使う筋肉を刺激してからにするのがよい方法で、そのために、せっかくポールがあるのだから、ポールストレッチを行います。これはポールをついたままでの屈伸運動、足を前後に開いての後方の足伸ばしなどを行うものです。ポールをついていると普段ではできない深いストレッチ、身体の曲げ伸ばしができるようになり、筋肉の刺激とともに筋肉の中に送り込まれる酸素が増えて、その後にウォーキングをすることで脂肪を多く燃焼できるようになるのです。

カルシウムの摂取量が不足しているという話を紹介したところ、すぐにメディア3社から連絡がありました。すべて主旨は同じで、「不足しているからサプリメントを摂ればよいのか」ということと「カルシウムのサプリメントは、いつ摂ればよいのか」ということでした。これについては、この最新情報のコーナーでも「サプリメント事典」でも紹介しているので、そちらを見てもらうようにしましたが、このコンテンツを見てもらっている方のために、まとめて伝えさせてもらいます。
通常の食事でカルシウムが不足しているなら、サプリメントで補うことを考えるのは当然あることです。ダイエットをして食事を減らしている人なら、平均的な摂取量よりも少ないことも当然に考えられることです。「糖質制限でもカルシウムは不足する」と話していた専門家もいましたが、ご飯は茶碗1杯で3mgのカルシウム量なので、不足している180mgを補えるわけではありません。
生命維持をするためには1日に180mgのカルシウムが必要となります。カルシウムの吸収率は食品では一般に30%とされています。ここから計算して1日に600mgのカルシウムの摂取が推奨された経緯があります。計算式では「600mg×30%=180mg」となります。不足が続く中、今では650mgに引き上げられています。
サプリメントの摂取タイミングについては、日本メディカルダイエット支援機構は資格認定講習や情報発信の中で言い続けていることなので、有効成分の摂取の話になると必ずと言っていいほど質問されます。カルシウムはイオン化してから吸収されます。胃の中に食べ物がないときには消化液によってイオン化されやすいのですが、食べ物があると消化液が使われてイオン化されにくくなります。そのために吸収されにくくなります。
吸収率が高いのは消化液が少ない時間帯で、サプリメントとしてカルシウムを摂るタイミングは起床直後、就寝直前、食事と食事の間のいわゆる空腹時となります。
サプリメントは食事で不足する栄養素を補うものであるので、食事中や食後に摂るものというイメージがあるかもしれませんが、カルシウムだけは摂取タイミングが異なるということはわかってほしいことです。
サプリメントの摂取よりも食事から不足するカルシウムを補えていればよいわけですが、カルシウムはリンとのバランスがよい状態で吸収されやすく、たんぱく質と一緒だと吸収率が高まるので牛乳は50%ほどの吸収率となっています。乳製品のチーズ、ヨーグルトも吸収されやすくなっています。野菜にもカルシウムの含有量が高い小松菜、ほうれん草がありますが、野菜の吸収率は20%ほどとなっています。カルシウムは含有量が多いものを食べれば、それで吸収される量が増えるというわけではないのです。

女性のカルシウム摂取不足は深刻です。平成11年(1999年)の国民健康・栄養調査で40代
の1日のカルシウム摂取量は540mgで、当時の推奨量の600mgに対して「10%も不足している」と、カルシウムをいかに摂ってもらうかの検討が始まりました。カルシウム不足は急に始まったことではなく、おそらく徐々に減っていったと思われますが、その証拠となるデータはありません。というのは、平成10年(1998年)までの調査では男女をまとめた年齢別の数字しか発表されていなかったからです。
調査自体は男女別に基礎データを取っているので調べ直せばわかるのでしょうが、今更それはできないということで、平成11年のデータから比較をして見ています。最新の平成28年(2016年)調査では40代の女性は439mgと現在の推奨量650mgに対して約67.5%と大きく低下しています。他の年齢も20代が約60.9%、30代が約67.5%、50代が75.5%、60代が83.5%、70代が88.5%と不足傾向は明らかで、年齢が低いほど充足率が低いことがわかります。ここでは省略しますが、男性も同様の傾向があり、どの年代も不足していることは違いがありません。
本当に不足しているのかという疑問もあって、全国民に調査しているわけではなくてモニター対象は2万6354人(平成28年)です。そこから得られた結果から国民全体に当てはめて推定しています。
調査の方法が正しいのかという疑問もあります。調査は平日の1日だけのメニューを出してもらい、そこから栄養量を計算しています。調査の日だけ普段より栄養を気づかったメニューにしている人もいて、わざわざ貧しい食事にしている人よりも多いはずです。
こういった方法ではわかりにくいので、日本メディカルダイエット支援機構では1週間分の食品の頻度調査を食生活調査票を用いて実施しています。主食は1日分の摂取量を聞いていますが、おかずは1週間に何回食べているのかを各項目を示してチェックしてもらっています。これで現在の食事の問題点と改善点が見えてきます。見えてくるのは指導する側だけでなく、チェックを行う方々も同じで、チェック項目にある食品を食べていないと、これは食べなければいけない食品であることに気づきます。
栄養学を理解している人なら、多くの食品と比較して1週間に2回食べるのがよいか、3回食べるのがよいかがわかりますが、栄養学の基礎がない人には、どうしてよいのかわからないというのが普通の感覚でしょう。そこで、チェック表を見て確認する人が指導しやすいように、チェック項目を赤・黄・青の3色で示したものを用意しています。3色の使い分けは、赤色が危険、黄色が注意、青色が安全(今のままでよい)というもので、信号の3色に当てはめています。
これを使って指導するときには、いきなり「こうしなさい」とは言わないようにしています。「チェックしてみて、どうでしたか」と聞くようにしています。すると、多くの方は改善点を口にします。そのほとんどは当たっています。では、具体的に、どう変えればよいのかというときになって3色のチェック結果を出します。赤から、いきなり青にするのは食生活を大きく変えなければならないことから、赤の状態は黄色に、黄色の状態になってから青の状態に変えることを指導しています。
この食生活調査票を使ってダイエットのための食事指導を行っていますが、最近では自分の食事の内容を確認するために食生活調査票だけを使わせてほしいという要望が増えています。

入浴することで運動と同じくらいのダイエット効果があるという話は、いろいろなところで論じられています。どれくらいの消費エネルギー量があるのかということも情報源によって異なっています。実測データを示して、「1時間入浴すると100kcalの消費」と示しているところもあれば、10分間で100kcalという情報もあります。10分間で100kcalというのは私たちが最高レベルの入浴法を結果が出やすい人で実施して得たデータでもありますが、誰もが同じような結果が得られるわけではありません。入浴は本来なら疲労回復、健康維持のためのもので、運動の代わりではないはずですが、短期間で結果を出したいからと無理をしてでもというアスリートのための方法を、やってはいけない人もいるのは当然のことです。
入浴の消費エネルギー量については、日本体育協会のスポーツ科学委員会によって発表されています。このほかにも発表データはあるのですが、公式のデータとなると、これが採用されています。入浴による消費エネルギー量は体重1kgについて1分間の入浴で0.0606kcalとなっています。これで計算して基本的な数値を出してから、性別と年齢による補正係数をかけて、それぞれの人の消費エネルギー量を計算します。
補正係数は、20〜29歳の男性を1とした場合に、同年代の女性で0.95、30〜39歳の男性で0.96、女性で0.87、40〜49歳の男性で0.94、女性で0.85です。これで計算すると、20代で50kgの女性が10分間の入浴をすると「0.0606kcal×50kg×10分×0.95」で28.785kcalとなります。20代で60kgの男性の10分間の入浴では36.36kcalとなります。
この数値は40℃の入浴温度で、交感神経の働きが盛んになる42℃になると1.3倍と計算されています。この場合は女性で37.42kcal、男性で42.268kcalです。42℃の湯温では10分以上の入浴は脳が温まりすぎてのぼせの原因となります。そこで半身浴に切り替えます。半身浴では、さらに1.3倍の消費なので、10分間、腰から下をお湯につけて休んでいるだけで女性で48.65kcal、男性で61.45kcalとなります。まだ100kcalには足りないようですが、全身浴に続く半身浴を休憩と考えると男性では100kcalに達成します。体重が多いほど、糖と脂肪の燃焼に必要な栄養素が充分に足りていると男性では、半身浴だけでも100kcalほどにもなるのです。
効率のよい半身浴の方法ですが、先に42℃以上の全身浴で身体を充分に温めてから10分間の半身浴を行います。半身浴は交感神経の働きを盛んにした状態で行うことで、血流が盛んになり、のぼせることもなく続けられます。10分間と言わず、20分間でも30分間でも続けられます。身体が冷えてきたら交感神経の働きが低下するので、再び42℃以上のお湯で全身浴をするか、熱めのシャワーを浴びて再び交感神経に切り換えます。
よく「半身浴は身体が冷えて続かない」と言う人がいますが、正しい半身浴のメカニズムから言うと、そのようなことは起こらないということです。

筋トレというと、重いものを持ち上げたり、勢いをつけて動くことがメインと考えられがちですが、もともと筋肉が少ない人やシニアの場合には筋肉がつきにくく、なかなか効果が現れにくくなっています。筋肉の細胞は細長い形をしていることから筋繊維と呼ばれています。筋肉をつけるというと筋繊維の数が増えていくことがイメージされていますが、筋繊維の数は生まれたときから変化がないとされています。数が変わらないのに筋トレをすると筋肉の量が増えるのは、一つひとつの筋繊維が太くなっていくからです。
筋繊維は細いので、筋肉に負荷がかかると一部が切れます。切れたままでは筋肉を充分に使うことができないことから、たんぱく質を吸着させて修復していきます。この修復のために必要なのが成長ホルモンです。成長ホルモンというと成長期に分泌される印象がありますが、成長期を過ぎてからは筋肉の修復や疲労回復に多くが使われます。大人になってから成長ホルモンが多く分泌されるのは就寝中と運動後です。寝ている間にも筋肉は増えているのです。
年齢を重ねていくと成長ホルモンの分泌量が大きく低下するので、運動をしても筋肉が太くなっていきにくいのですが、高齢者であっても成長ホルモンの分泌を増やしていく方法があります。それは軽い負荷の運動を、ゆっくりと時間をかけて行うことで、これはスロー筋トレと呼ばれています。
ゆっくりと走るスロージョギングと間違われることもあるのですが、スロージョギングは歩く程度のスピードで走る方法で、筋肉の中に取り込まれる酸素量が増えて、脂肪の燃焼効率が高まります。ちなみに全身の筋肉の70%は下半身(ヘソから下)にあります。スロージョギングで主に使われる筋肉が赤筋であるのに対して、スロー筋トレでは白筋が中心となります。赤筋は持久力に適した脂肪燃焼系の筋肉で、白筋は瞬発力に適した糖質燃焼系の筋肉です。
スロー筋トレで一番簡単な方法は屈伸運動です。通常の屈伸運動は膝を深く曲げ、立ち上がるときには膝を伸ばし切ります。これに対してスロー筋トレでは膝は曲げきらず、伸ばしきらず、ずっと負荷がかかった状態で屈伸を繰り返します。これによって強い負荷がかかり続けた同じ状態になって、成長ホルモンが多く分泌されるようになります。
ダンベル運動の場合も、持ち上げるときには肘を曲げきらず、ダンベルを下げるときにも肘を伸ばしきらないように、ゆっくりと筋肉を動かします。実際にやってみると腕の筋肉に相当の負荷がかかったように感じるのですが、筋繊維はそれほど傷んではいないので成長ホルモンが筋繊維を太く、強くすることに有効に使われるようになります。
スロー筋トレによる屈伸運動は、足の筋肉は腕に比べて太い筋肉で、筋繊維の数も多いので、ダンベル運動よりも負荷を感じずに、長く続けることができます。成長ホルモンは筋肉を動かした部分だけでなく全身の筋肉に影響を与えます。それもあって、全身の疲労回復の効果も望めます。

「制限」という言葉は限界を定めることで、禁止することではありません。限界を定めるということは、それを超えたことをやってはいけないという意味であるはずですが、限界を超えるどころか、まったくやめてしまうことを制限と勘違いしている人もいます。その一番ともいっていい例が「糖質制限」です。本来の意味で言えば、食品に含まれる糖質を摂りすぎないようにする、減らすようにすることを指しています。それなのに、糖質が含まれる主食(ご飯、麺類、パンなど)を食べないように指導するどころか、糖質が含まれた調味料も禁止という極端な指導をしている専門家までいます。その専門家がダイエットのスポーツジムであったら「短期間で結果を出すためのことなので仕方がないか」と思わないではないのですが、医療機関の医師となると何を言っているのか、どんな指導をしているのか注目しないわけにはいかなくなります。
糖質というのは炭水化物から食物繊維を除いたものをいいます。食物繊維は消化も吸収もされない特徴があり、炭水化物から食物繊維を取り除いた糖質は胃で消化され、小腸から吸収されて血液中に入ります。この糖質は分解されてブドウ糖や果糖、乳頭などとなりますが、糖質制限でターゲットとされているのはブドウ糖と果糖です。血液中のブドウ糖は血糖といい、この量を示すのが血糖値、血糖が増えた状態が高血糖となります。血糖値が上昇すると膵臓からインスリンというホルモンが分泌されます。
インスリンには大きく二つの働きがあり、一つはブドウ糖を細胞の中に取り込むことで、取り込まれたブドウ糖は燃焼してエネルギーとなります。もう一つの働きは肝臓で合成される脂肪酸を多く作らせることで、脂肪酸は結合して中性脂肪となり、この中性脂肪が多く作られると脂肪細胞の中に蓄積されます。蓄積量が多い人が太っているということです。果糖は効率的に肝臓で中性脂肪となっていくので、果糖の摂りすぎも太る原因となります。
こういった仕組みを知ると、糖質制限をしたくなる人が出てくるのも当然のように思われます。糖尿病の人はなおさらで、血糖値が上昇するのは糖質のブドウ糖なので、糖質を摂らなければ血糖値が上昇しなくなり、血糖値が下がったことで糖尿病が治ったと診断されることがあるからです。このことを前面に出して、「糖質を摂らないことが糖尿病治療の切り札」とまで言っている医師もいるのですが、ブドウ糖は即座にエネルギーになる効率がよいエネルギー源なので、ブドウ糖不足は全身の細胞に影響を与えることになります。全身の細胞のエネルギー源は糖質、脂質、たんぱく質で、これらは三大エネルギー源と呼ばれていますが、脳だけが例外で、脳はブドウ糖の他はエネルギー源とすることはできません。
糖尿病の人は、ブドウ糖を細胞に取り込む力が大きく低下しているので、細胞に必要なブドウ糖が不足した状態になります。それなのに糖質が含まれたものを食べない、極端に減らすということをすると健康維持に必要なブドウ糖どころか、生命維持に必要なブドウ糖も摂れなくなってしまいます。だから、糖尿病になったら、むしろ糖質を摂って、細胞の中でブドウ糖を燃焼させてエネルギーを作り出すことが求められるようになります。
そこで実践したいのは糖質制限ではなく、ローカーボンダイエット、いわゆる「ロカボ」です。カーボン(carbon)は糖質、ロー(low)は低いなので、低糖質となります。糖質の摂取量は少なくしても、必ず摂るという意思表示の言葉です。実際に、どのくらいの量を目指すのかというと、1日の食事では平均300g程度のご飯を食べていますが、これは茶碗で2杯分に相当します。エネルギー量では約150kcalで、3分の1ほど減らすと100kcalになる計算です。そこでロカボで目指すのは、この量としています。
ロカボダイエットのメリットは、ご飯を減らす以外は、おかずは好きなものを腹が満たされるまで食べてよいということです。このように一般には言われていますが、脂肪が含まれた食品は夕食ではなく朝食か昼食で摂るようにして、1日の野菜の摂取量は厚生労働省が推奨する350gは食べるようにしてほしいということを講習などで話しています。

病気の人は自分の状態を少しでもよいように言いたがる傾向があります。認知症患者が自分をよく見せようと思って、介護認定の検査のときに本当の状態を伝えないことから、低い認定となって家族の介護の負担が高まるというようなこともあります。ところが、糖尿病の人となると違った反応をする人がいて、血糖値の高さ、糖尿病の期間の長さ、合併症の苦しさなどを隠さずに話す“糖尿病自慢”もみられます。
糖尿病の治療についても自慢が見られます。糖尿病は食事療法をしっかりと守り、運動療法にも取り組んでいることを前提として治療薬の種類と量が決められます。血糖値やヘモグロビンA1cの数値だけで医療薬が決められているわけではないのです。医師から食事のこと、運動のことを聞かれると頑張っている自分を主張したくて、食事制限もしています、運動もしていますということを言うのですが、これが問題を起こす原因となっています。
食事療法を守っていないのに守っていると言われると、その前提で血液検査の結果を見ます。それで血糖値が治療レベルの高さであったら、しっかりと食事療法を実施しているのに血糖値が高いということで強めの薬が使われることになります。運動指導についても同じことがいえるわけですが、食事療法も運動療法も実施していると言われて、それで血糖値が高かったら、もっと強い薬が使われる可能性もあります。
どうして、そんなことを言って、自分が困るようなことをするのか疑問ではありましたが、インターバルウォーキングの講習の場で糖尿病の方に前述のような話をしてみたところ、「たくさん食べたいからに決まっている」と言う人がいました。強い糖尿病の薬を飲んでいれば、食事の量が増えても、血糖値が抑えられて甘いものを食べても大丈夫と考えているようです。そんな考えをしたくなるほど厳しい食事制限を我慢しているということなのでしょうが、そんな間違った考えが出てくるのは、「糖尿病は死ぬような病気ではない」と思っているからです。
確かに血糖値が高いだけで死ぬようなことはないのは確かで、血糖値が高くなっても特に痛みなどがあるわけではありません。しかし、血糖値が高い状態が長く続くと血管の老化が進み、合併症が起こるようになります。合併症が出てしまうと元に戻ることはできなくなり、三大合併症の腎症では亡くなる人もいます。このまま放置しておくと合併症が起こるという事実を伝えても、「脅かしているだけでは」という反応があるだけで、真剣に対応してくれる人は、あまりいません。というよりも皆無と言ってもよいほどです。
強い糖尿病の治療薬を使うことで血糖値が抑えられていれば合併症は出にくくなることはある話ですが、その治療薬の範囲を超えて、自由に食事をしたり、運動を控えたりするようなことになると、高血糖状態が続くことになり、気づかないうちに血管にダメージを与えることになります。気づかないうちという表現は糖尿病の特徴を示す言葉で、身体の中で起こっている変化に気づく人は、ほとんどいません。
糖尿病は全身病とも呼ばれていて、他の全身病である高血圧、脂質異常症(高中性脂肪血症、高LDLコレステロール血症など)が合わさると死につながる疾患(心血管、脳血管疾患)のリスクが大きく高まります。こういったことを自覚して、血糖値が上昇しても、好きなものを食べられるほうがよいと考えるようなことをしないことを望んでいるのです。