投稿者「JMDS」のアーカイブ

ダイエットの大敵とされる甘いものと脂肪は、なぜ敵視されるのかというと、おいしくて食べすぎるからです。空腹のときには同じ甘いものであっても特においしく感じますが、これは甘いものに含まれているブドウ糖のせいです。ブドウ糖には脳の満腹中枢を刺激して、満腹を感じさせて食欲を抑える働きがあり、すぐにエネルギーとして使われる大切なエネルギー源なので、おいしく感じて食べさせるようになっているわけです。エネルギー量で言えば、甘いものを構成する糖質は1g当たり約4kcalで、たんぱく質とほぼ同じエネルギー量となっています。
エネルギー量だけでいえば糖質もたんぱく質も同じであっても、たんぱく質はエネルギーになるまでに時間がかかり、むしろ身体を構成するための重要な成分です。エネルギーになりやすいものを積極的に摂るというメカニズムの一つが、おいしく感じる感覚ということになります。
脂肪は、そのものの油を飲んでも食べても、おいしいという感じではありません。脂肪が多く含まれる肉と魚は重要なたんぱく源ですが、脂肪が多いほどおいしく感じるという特徴があります。これはサシ(まばらに点在している脂肪)の入った牛肉やマグロのトロを思い浮かべるとわかることです。脂肪のエネルギー量は1g当たり約9kcalと、糖質とたんぱく質の2倍以上のエネルギー量があります。より多くのエネルギーを蓄積するには脂肪が多く含まれる食品を食べたほうがよいので、脂肪がおいしく感じるようになったわけですが、たんぱく質と一緒でなくても、糖質と一緒であっても脂肪が多く含まれているとおいしく感じます。そこで菓子類にも脂肪が加えられます。植物素材と一緒でもおいしいので加工食品をおいしく感じさせて販売を促進するために脂肪がこっそりと加えられることにもなります。
肉や魚の切り身には“注射を打つ”という方法も使われます。普通は肉に脂肪を多く入れるためには品種改良と飼料の工夫が必要になりますが、脂肪を注入する針を刺して、好みの量のサシを入れることができます。これは生の肉として売る場合には精肉ではなく加工肉となるので見抜くことができます。ところが、外食店やマーケットなどで調理品とされたら表示義務はないので加工を知らないまま、おいしい肉、やわらかい肉として食べることになります。
魚の場合には注射を打つことはありません。魚の養殖でエサに脂肪を多く使うことで脂の乗った魚にすることができます。これはエサの工夫であるので問題はなくても、外食店で植物油を染み込ませたりする方法が使われると、これも見抜くことはできません。ただ、脂肪を入れるだけでなく、その脂肪の中にアミノ酸などの旨みを感じさせる調味料を加えているところもあります。
こうなると、本当に素材としておいしいのか、味付けでおいしくしたのか、さっぱりわからなくなります。素材がおいしい肉や魚で太ってしまったら、これは諦めることができたとしても、おいしくするために手が加えられたために脂肪の摂りすぎになったとしたら後悔が残ってしまいます。

旅先で、ご当地の瓶ビールを販売していましたが、瓶(ビン)ビールは一部のものを除くと指では開けられません。新幹線の駅で「栓抜きもついています」と表示して瓶ビールを販売していたので、思わず買ってしまいましたが、よくよく考えると“栓抜き”というのは正しくない呼び名です。栓というのは詰めて使うもので、飲み物でいえばワインのコルク栓が栓です。だから、コルク栓を抜くためにコルクスクリューという回しながら栓に入れて、引く抜くものが使われます。瓶ビールの口の部分に被せてあるのは栓ではなくて“蓋”(ふた)です。飲料業界では“王冠”と呼ばれます。
王冠は英語ではcapやcrownと表示されます。王冠はずしというのが正しいようです。栓抜きは英語ではbottle openerとも呼ばれるので、王冠はずしのほうもbottle openerでよいかもしれません。
明治初期のビールはコルク栓が使われていて、発泡の圧力に耐えて栓が抜けないように、瓶とコルクとが針金で固定されて販売されていました。シャンパンやスパークリングワインでコルク栓を固定するのと同じ方法です。瓶ビールを開けるのに使われてきたのが栓抜きだったので、これがコルクから王冠に変わったときにも「栓抜き」という言葉が使われたということです。瓶ビールを開けるのは栓抜きでもよいとしても、瓶ビール以外の王冠はずしで栓抜きという言葉を使うのは、どうかというのは、これからの議論です。
もう一つ気になる言葉は、これは食品の名称ですが、納豆と豆腐です。日本メディカルダイエット支援機構の理事長は、全国納豆協同組合連合会の納豆の広報戦略に加わったときにメディアと流通向けのリリース原稿を作成して、テレビや雑誌で納豆を取り上げるときのプランも作ってきました。そして、納豆の日(7月10日)のイベントでは納豆の健康効果の講演もしました。この広報が成功して納豆ブームが起こったことから、日本豆腐協会からも同様の展開が求められて、豆腐の日(10月2日)に合わせて、これらも担当しました。両方を手がけたことで、メディアから同じような質問が来ました。それは「納豆と豆腐は名前が入れ替わっていないか」ということでした。
これには即座に返答ができました。というのは、数年前に娘さんから、同じことを聞かれて、調べていたからです。「納豆は豆が腐っているみたいに見えるし、豆腐は豆が収まっているので、本来なら納豆が豆腐という文字で、豆腐が納豆という文字であったのではないか」ということです。中国から日本に伝わるときに入れ替わったのではないか、という疑問です。
これに対する返答ですが、「腐」という文字は中国では、元々は腐るという意味ではありません。軟らかく固まったものを指すもので、牛乳が軟らかく固まったように見えるヨーグルトは乳腐と書かれます。豆腐は豆が固まったものという意味になるので、豆腐の姿形を正しく示していることになります。そもそも中国の豆腐は、日本の豆腐のように水分が多くて軟らかいものとは違って、水分が少なくて硬いものです。煮る、炒めるといった料理をする材料で、日本の冷奴という食べ方はしていません。
納豆の文字ですが、これは奈良時代に寺院で作られたときに、出納事務を行う納所で、桶に豆を納めて発酵させたことから名付けられたという説が有力です。中国では納豆は鼓(し)と呼ばれ、これが日本に伝わって来たときには鼓(くき)と呼ばれています。今の日本の納豆とは違って、乾燥した納豆で、寺納豆や浜納豆と呼ばれる糸を引かない塩味が強い乾燥納豆を指しています。
ここまで知ると、文字が入れ替わったというのは俗説、間違いということが言えます。

歩くことの健康効果について、ウエルネス科学の研究者の大学教授にインタビューしたときのこと、理屈が次々に出てくることを期待していたら、「歩けば健康になれるのだから理屈なしで、とにかく歩けばよい」と言われて驚いたことがあります。理屈ではなく、まずは歩いて健康になって、それから必要ならば理屈を知ればよい……という大局的な話かと思ったら、そうではなくて、本人が健康になればいいじゃないかという考えに「?」が浮かんだものです。
大学で教えている相手は体育の教師の卵で、どうしてなのかという理屈も教えて、身体でも頭でも納得して、それを生徒や次の指導者に伝えていく立場であると考えていたことから「?」が浮かんできたわけです。
この場面に出くわしたとき、ある神社の御利益を思い出しました。(余談ですが、ある局アナが「ごりえき」と読み、その後も番組終了まで訂正も修正もなかったことがありました)
その神社は山の上にあり、長く急な階段を登った先に社殿があり、社務所に御利益が掲示されていました。そこには「足腰壮健」とありました。これを見て思ったのが、ここまで登って来れたら、これは健康そのもの、神社にお参りしなくても来ただけで足腰壮健であることを確認できたのではないか、ということでした。
これを例に考えると、「歩けば健康」というよりも「歩けるから健康」というほうが正しいのではないかという感じもしてきます。逆説的なことを言っているわけではなくて、歩けるということは健康であることの証明のようなもので、歩いて血流がよくなると足腰だけでなく、上半身から頭の先まで全身の血流がよくなり、血液に乗せて新鮮な酸素も栄養素も全身の細胞に届けることができるようになります。
この酸素を使って栄養素の三大エネルギー源(糖質、脂質、たんぱく質)を細胞のミトコンドリアの中で燃焼させていきます。三大エネルギー源を燃焼できる形に変化させるためには各種のビタミンが必要になります。作り出されたエネルギーが細胞を働かせるためには各種のミネラルが必要になります。歩くことは、こういった全身の活力のエネルギーを効率よく発生させていくことになるわけです。
日本メディカルダイエット支援機構の理事長がウォーキングで訪れる和気神社(岡山県和気町)の御利益の第一には「足腰健康」が掲げられています。足腰健康は全身の健康ということで、まず和気神社まで和気駅から45分歩き、階段を上がって本殿に参り、帰りには日本一の鯉のぼり生産(3割シェア)の徳永こいのぼりの展示物を見て、時間があれば工場見学もして、勢いをつけるというコース取りをしています。
元気が続くときには和気駅から和気鵜飼谷温泉まで30分、追加で歩きます。温泉の健康効果についいては何度か紹介していますが、歩いて健康になった先に、もっと健康になれる温泉があれば、こんなによい健康コースはありません。ちなみに和気駅から和気鵜飼谷温泉の近くの和気ドーム(全天候型グラウンド)の横にはウォーキング&サイクリング専用の片鉄ロマン街道が通っていて、安心して歩けるというのも健康づくりにはもってこいの環境です。

日本の伝統的な菓子は和菓子と呼ばれています。和菓子の上生菓子は餡を中心とした材料を用いて芸術性も盛り込んで作られた甘い菓子で、これを和菓子の頂点として干菓子から煎餅、おかき、あられなどの米菓まで、さまざまな種類があります。共通しているのは糖質で作られていることです。糖質にはブドウ糖が多く含まれます。ブドウ糖の名称については果物のブドウから初めて発見されたから名付けられたことを以前にも紹介しましたが、ブドウ糖を多く摂ると血糖値が上昇します。
血糖は血液中のブドウ糖のことで、その量が血糖値なので、ブドウ糖が血液中で多くなった状態を指しています。血糖値が上昇すると、それに反応して膵臓から血糖値を下げるホルモンのインスリンが分泌されます。どうして下がるのかというと、インスリンには細胞にブドウ糖を取り込ませる働きがあって、ブドウ糖が取り込まれた分だけ血液中のブドウ糖が減るからです。
インスリンの働きが、これだけならダイエットとは大きく関係がないのかもしれませんが、インスリンには、もう一つ重要な働きがあります。それは肝臓で脂肪酸を合成させる働きを高めることです。肝臓には余分に摂った糖質や脂質を材料にして脂肪を合成して、これを中性脂肪に変える働きがあります。合成された中性脂肪を脂肪細胞の中に溜め込む働きもあります。合成された脂肪を溜め込むだけならまだしも、そのときに脂肪を食事で多く摂っていると、これも脂肪細胞の中に取り込んでしまいます。つまり、血糖値を上昇させるブドウ糖が多く含まれている上に、脂肪も含まれているものを食べると、脂肪の取り込みが盛んになって“効率よく太る”ことができるのです。
同じ糖質の量であっても、ご飯は急激に血糖値が上昇することはありません。消化液が粒状のご飯に浸透して、分解するまでに時間がかかります。分解に時間がかかるほどブドウ糖の吸収が遅くなり、血糖値の上昇もゆるやかになります。ブドウ糖の吸収される量は同じであっても、吸収が早いほど血糖値は急上昇しにくくなります。ところが、粉になっていると分解に時間がかからず、早く吸収されるので血糖値が急上昇します。急上昇によって血糖値のピークが高くなると、それに応じて多くのインスリンが分泌されます。インスリンの分泌量はブドウ糖の多さだけではなく、上昇の度合いも関係していたのです。
砂糖はブドウ糖と果糖が1対1の割合で結びついた構造をしていて、すぐに分解されます。そして、ブドウ糖の割合が高いので一気に血糖値を上昇させます。糖と脂肪が多い洋菓子、中でもクリームたっぷりのケーキは、とてもおいしいもので、インスリンの分泌を高めて、脂肪細胞に脂肪を取り込むには格好のものです。
マラソン選手はグリコーゲンローディングといって、運動によって筋肉のブドウ糖を減らしてから、糖と脂肪が多く含まれているケーキを食べて一気に脂肪を蓄える方法に取り組んでいます。こうして溜め込んだ脂肪を使って最後まで走り切るエネルギーとしています。マラソンをするわけでもない人が、これと同じようにケーキを食べたら太るのは当たり前のことであり、特に取り込みやすいタイミングは夕方以降です。だから、ケーキを食べるなら、できるだけ早い時間帯にしたほうがよいことがわかります。

やせたいという人がいると、私たちは全体的に体脂肪を減らして、ほっそりとさせることを考えます。そのために、この人には、このダイエット法を、この方法で、というプログラムを提示します。ところが、ダイエットを希望する人から、「そんなに期間をかけなくてよいので、部分やせさせてもらえれば」と言われることがあります。全体やせよりも部分的になら範囲が狭いので簡単だろうということなのでしょうが、部分やせのほうが大変です。例えば、エステのような感覚で、お腹を刺激すれば、お腹がスリムになり、足を刺激すれば足の刺激した部分だけがスリムになると思っているのかもしれませんが、それができるなら苦労はしません。
脂肪細胞の中に蓄積されている体脂肪は、全身の細胞の量が増えると均等に脂肪細胞の中に入っていきます。体脂肪が減るときには同じ割合で減っていきます。だから、一部分だけの体脂肪を減らすことはできないわけです。では、気になるところを細くすることはできないのかということですが、気になるところは大抵、後になって脂肪がついてきたところです。太ったときに、お腹の一部分だけが膨らんできたとすると、その部分だけを細くすることはできます。一部分だけが目立って脂肪がついてくるのは、その部分の脂肪細胞にだけ多くの脂肪が入ったような感じがするものの、実際には、その部分には脂肪細胞の数が多くて、それぞれの脂肪細胞に均等に脂肪が入ることで、その部分だけが膨らんできたようになるわけです。
後から脂肪が多くついた部分ではなく、以前から気になってきた部分の脂肪を減らしたいということも当然の希望として出てきます。それが可能だったら一番よいのですが、どの部分かによって可能性がないわけではありません。CTスキャンを使って腹部を輪切り状態にした画像を見てみると、同じだけの体脂肪が蓄積していても外見的には違いがある場合もあります。その違いを起こしているのは、体脂肪と皮膚の間にある筋肉の量です。筋肉が多く、強ければ筋トレ運動によって鍛えることで引き締められて、筋肉によって脂肪を押さえ込むことができるようになります。これによって見た目的には脂肪が減ったようにもなります。
この引き締め運動によって体脂肪が燃焼して減ってくれればよいのですが、筋トレのような無酸素運動は脂肪燃焼効果があまり高くはありません。脂肪燃焼効果が高いのは有酸素運動です。となると、一番よいのは有酸素運動でありながらも筋肉を効果的に刺激するものです。引き締めたいところが腹部(ウエスト)や臀部(ヒップ)、脚なら、歩き方を変えるだけでも効果を実感することができます。歩幅を広げて歩く、踵から着地して、足裏から爪先に体重を移動させて蹴り出し、勢いよく前進するといった歩き方にするだけでも腹部、臀部、大腿(太もも)脹脛(ふくらはぎ)の筋肉が刺激されます。
歩く前に気になる部分を充分に曲げ伸ばしするストレッチ、しゃがんだり立ち上がったりを繰り返すスクワットをするだけで、その後のウォーキングによる引き締め効果を高めることができます。そして、きついかもしれませんが、特に気になる部分を筋トレによって強めに刺激してあげれば、より引き締めが実感できるウォーキングとすることができます。

危険性があるものは一切摂らないというのは正しい判断なのか、過剰な反応なのかということがメディア関係者との対話の中でよくテーマにのぼります。危険性があることが確認されているものといっても、どれくらいの量と期間かによって健康被害の程度は大きく違ってきます。1回だけで被害が出るようなものでなければ、量が少なくて、使う回数が少ない、もしくは食べる回数が少なければ絶対に摂ってはダメということは言いにくいわけです。絶対に、ということを言い出したら、農薬も食品添加物も使えないことになります。
健康被害は「有害性の度合い×量×回数」という計算式が使われます。有害性は低くても、多くの量を毎回使うものとなると過敏な反応になるのは当然のことです。がんを気にする人が使っていたアガリクスというキノコの健康食品は一時期、大ブームになったのですが、精密な検査によって発がん性が認められる成分が含まれていることがわかり、一気にブームは萎んでしまいました。がん対策のものに発がん性ということでインパクトが強かったのもありますが、がん対策を考える人は多くの量を何回も、しかも長年に渡って摂っているので、これが掛け算の健康被害を高めることが指摘されました。
この健康被害の掛け算では「強さ×距離×時間」というものがあります。電磁波の健康被害の話で、よく使われます。例えばIH電磁調理器は強力な電磁波が出ていますが、使っている時間はそれほど長くはなく、少し離れて加熱調理することもできます。それに対して電気毛布は電磁波が弱くても、身体に密着させて、寝ている間ずっと使うので、掛け算の結果が大きくなります。高圧送電線は50万ボルトの電流で電磁波は強烈ですが、50m以上の高さで、「あまり人がいないところに通されるので健康被害の問題はない」と電力関係者は説明しています。
実際に人の頭や胸の高さでは6〜7マイクロテスラの電磁波です。日本の安全基準は200マイクロテスラなので、大きく下回った数字になっています。ただ、アメリカの州の基準は4マイクロテスラなので、これでは危険だと言う人もいます。どちらにしても高圧送電線の下を通る時間を短くする、少なくとも長時間とどまることは避けることです。ちなみに高圧送電線の真下から100mも離れれば安全な状態とされています。
食べ物の話に戻りますが、有害物質を減らすには同じ食材ばかりを使うことがないようにして、食卓にのぼる食材も種類をできるだけ増やすことによって口に入ってくる量を減らすことができます、このことを私たちは江戸時代の養生書の『養生訓』の中で使われている“御加数”を例示しています。おかずと読みますが、おかずは多くの種類の食材を使うことによって、色々な栄養素を摂ることができると同時に、安全のためでもあるということを伝えています。

少し前屈みの姿勢で歩行すると前進のための勢いがつきやすくなって足の力が路面に伝わりやすく、腕を大きく振ることができる上に、腹筋と背筋が締まって、上半身と下半身の動きを安定させることによって効果的に前進することができるようになります。前に、正しい歩行姿勢を覚えるにはコツがあるので体験しないとわかりにくいということを書きましたが、「その方法を言葉で伝える方法はないのか」ということをネット関係者から言われました。「インターネットは画像で示せるものの、それなしで伝えることは難しくても、口で伝えなければならないこともあるので」という、わかりにくい提案でした。
それに対して、身振り手振りで伝えるのではなく、こうやれば大丈夫という方法を提案を返しました。それは荷物を背負って歩くことです。両手が自由に動かないといけないので、荷物はリュックタイプのバッグに入れて背負います。バッグを背負っているだけでも少しだけ前傾姿勢になります。荷物が重くなるほど足腰の力が必要になるので、前傾の角度がついていきます。1〜2kgくらいの荷物であっても、つまり500mlのペットボトルを2〜4本、バッグに入れて歩くだけでも効率のよい歩行ができる姿勢を体感することができるのです。
荷物を背負って歩くことは、荷物の分だけ体重が増えたのと同じように消費エネルギー量が多くなります。太っているのは一般にはよいことではないとされますが、同じだけの距離を歩いても体重が重いほうが体脂肪を燃焼させる能力が高く、歩くことによって発生するエネルギーを多くすることができるわけです。
消費エネルギーは性別、年齢によって異なりますが、20代の女性を例にあげると、分速60mで荷物を背負って30分間歩いた場合には、1kgにつき約15kcalの消費エネルギー量が増えることになります。これを計算式で表すと「0.0534(分速60mの活動係数)×0.959(20代男性を1とした場合の補正係数)×1kg×30分」となります。4kgの荷物を背負って1時間歩けば、120kcalの消費エネルギー量になります。
これは平らな道を歩いている場合のことで、同じ歩行速度であっても、坂道を歩くと体重による筋肉の負荷が加わり、消費エネルギーが高まっていきます。平らな道を歩いているときの係数を1とすると、傾斜が1%増すたびに係数は0.125ずつ高まっていきます。傾斜の1%は100mで1mの高さに達する角度です。この補正係数で計算すると、1%では1.125倍、2%では1.250倍、3%では1.375倍、4%では1.500倍、5%では1.625倍となります。角度が急になるほど消費エネルギーは増えるものの筋肉にかかる負荷が強くなって長続きしなくなります。ゆるい感じの坂道で、長く歩くほうが消費エネルギーは大きくなるということです。
この具体的な数値と理論、実践の方法については、インターバルウォーキング指導者の講習テキストの中で紹介しています。

ダイエットに取り組んで食べる量が減ると、どうしても便通が悪くなりがちです。便のうち80%ほどは水分で、残りの20%のうち約3分の1ずつが食べカス、剥がれた腸粘膜、生きた腸内細菌かその死骸となっています。カスは食品のうち腸から吸収されなかったもので、その多くは食物繊維が占めています。食物繊維が多く含まれたものを食べていれば便の量は増えていき、食物繊維の量が少ないと便の量が少なくなって便通が悪くなるわけです。
食物繊維というと野菜などに多く含まれています。しかし、含有量は種類によって大きく異なっていて、根菜類や芋類には多く、葉野菜には少なくなっています。食物繊維の量を比較するときに「レタス○個分」という表示がされることがありますが、レタスの食物繊維は少ないので、対象の食品や健康食品の中には多いように見せかけるために使われている表現です。葉野菜は器に盛ると多いように見えても、これを煮ると驚くほど少なくなります。野菜を食べて食物繊維を摂っているようでも葉野菜のサラダでは多くは摂れないのです。
便秘というと便の量が少ないことに加えて、硬くなることがあげられます。大腸は水分を吸収して適度な硬さにする役割をしていますが、大腸にとどまる時間が長くなると吸収される水分が多くなって硬くなります。便の硬さは水分量だけでなく、腸内細菌によっても変わってきます。善玉菌には腸内での発酵を進めて軟らかくする働きがあります。逆に悪玉菌には腐敗を進めて硬くする働きがあります。便通をよくするためには、善玉菌がエサとする糖質と食物繊維、乳製品を多く摂るようにして、悪玉菌がエサとする動物性たんぱく質と脂肪を減らすようにすることです。
食べる量を減らして、身体を動かすとお腹が空くからと、あまり動かないようにしている人もいます。そんなダイエット指導をしていた方もいます。身体を動かすと便通がよくなっていきます。これは「歩いたり運動をすると腰や腹の動きにつれて腸が動くから」と説明している方もいます。それもないわけではないのですが、それよりも大きな理由は腸が温まることです。このことは以前に紹介していますが、腸は皮膚と同じように毛細血管が多い末梢部分で、血管がよくなることで温かな血液が送られ続けることになり、運動することによって腸内が温まっていきます。
腸内細菌の悪玉菌は腸内が温かくても冷たくても増殖していくのに対して、善玉菌は温かな環境でないと増殖しにくく、発酵も進みにくくなっています。腸を温めることが、つまり運動をする機会、歩く機会を増やすことが便通をよくしてくれるわけです。ダイエットを成功させるためには、ある程度は食べる量を抑えたとしても、必要な栄養素は摂って、これを運動によって消費して、そして便通をよくするといったことが大切になってくるということです。

赤ちゃんのための粉ミルクを大人にも飲んでもらおうというので乳業メーカーなどが大人用の粉ミルクを開発しています。そのことを紹介したところ、「大人というのは何歳からのことか」、「まだ大人とは言えない10代の成長期が飲んでもよいのか」という質問が来ました。赤ちゃん用の粉ミルクといっても、誕生時から離乳食が始まるまでの6か月間に使用するものと、離乳食を食べ始めてから使うものがあります。私たちがすすめているのは6か月までのもので、これは糖質、脂質、たんぱく質の三大栄養素も、ビタミンとミネラルもバランスよく含まれ、ビフィズス菌などの乳酸菌も含まれています。
赤ちゃんの腸内にはビフィズス菌をはじめとした善玉菌が非常に多く、「あえてビフィズス菌を入れる必要はないのでは」との疑問を寄せてきた人もいます。善玉菌の割合は青年期も大きくは変わらないものの、悪玉菌のほうは離乳期から急に増えていくので、悪玉菌を抑えるために粉ミルクのビフィズス菌は有効となります。
特にすすめたいのは、若くしてダイエットをしている人です。ダイエットの方法としては食事制限と運動があるわけですが、食べる量を減らすとビタミン、ミネラルも減ることになります。この補給をサプリメントではなく、粉ミルクを使おうという発想です。運動をする人にとってはどうかというと、運動をして代謝が盛んになるときにはビタミンとミネラルが数多く、しかも豊富に必要となります。これを補うことで運動の効率を高めることも考えています。
大人が粉ミルクを飲むことについて「赤ちゃんが飲むもの」と否定的に言う人がいます。そんなことを言うなら「牛乳は牛の赤ちゃんが飲むもの」です。人間の大人が飲んでよいのかという話になってしまいます。「エネルギー過多になって生活習慣病の原因になる」との批判もあります。確かに赤ちゃんには成長のために糖質も脂質も多く必要なので、多くの量が配合されています。完全に主食の代わりに粉ミルクを飲むとしたら過剰になるかもしれませんが、サプリメントのように補うという感じで使うのなら、それほど気にする量ではありません。それよりもダイエットのために食事抜き、主食を極端に減らすということをしがちな若い人のダイエット支援のためには必要な量の栄養素となります。
腸内細菌の善玉菌が栄養源(エサ)とするのは糖質と乳製品の乳糖、食物繊維です。ダイエットのために糖質制限をすると善玉菌の栄養源が不足します。食べる量が減ると食物繊維も減るようになります。善玉菌が減ると悪玉菌が増えやすく、悪玉菌が減ると善玉菌が増えやすいという関係性があり、悪玉菌を増やさないようにすることも腸内環境を保つためには必要となります。悪玉菌が栄養源とするのは主には動物性たんぱく質と脂肪です。洋食を食べる機会が多く、肉を多く食べると悪玉菌が増えやすいので、乳酸菌が多い粉ミルクは若い人たちには有効です。
粉ミルクは牛乳をベースにしているので、乳糖分解酵素が少ない人は下痢を起こす可能性があります。乳糖分解酵素は赤ちゃんは全てが持っていて、20歳を過ぎると減っていく傾向があります。若い人なら、牛乳を飲むと必ず下痢になるという人以外は、特に問題はないと考えています。

三大ヒトケミカルのα‐リポ酸、L‐カルニチン、コエンザイムQ10については何度も説明してきたので、だんだんとメディアの方からの質問は減っていたのですが、雑誌記者から、これまでにない質問がありました。細胞のミトコンドリアの中のエネルギー代謝に必要な三大ヒトケミカルは体内で合成されているもの、加齢によって減少していって、これが代謝の低下を起こす原因となっていることを紹介して、だから中高年以降はサプリメントとして摂る必要があるということを説明してきました。
今回の質問は「若い人なら三大ヒトケミカルを摂る必要はないのでは」、「もし若い人が摂るとしたら、どれが有効か」という内容でした。三大ヒトケミカルが体内で合成されるピークは20歳代です。特に20歳代前半は合成量が多いので、20代までは「わざわざ補うことはないのでは」という考えが出てくるのは当然のことです。三大ヒトケミカルの減少から代謝が低下して、エネルギー産生が低くなっている人だとサプリメントとして補ったときに、疲れにくさ、疲労の回復、元気の度合いなどを実感しやすくなります。
若い人は体内で何も作用していない、ということではなく実感しにくいだけですが、そんな状態なので積極的に摂ろうとはしないと思います。しかし、補ったほうが間違いなくよい結果となるものがあります。それはL‐カルニチンです。体内で合成されるといっても、もともと少ないとしたら、これは補うべきものとなります。三大ヒトケミカルのうち欧米人では高齢になってから摂っても効果が出にくいとされているものもL‐カルニチンです。
どうしてかということですが、L‐カルニチンは肉に多く含まれている成分で、肉食の歴史が長い欧米などの国民は体内で合成される分に加えて、肉から摂る分が合わさって蓄積量が多くなっています。だから不足しにくく、サプリメントで摂っても効果が出にくいわけです。日本人の肉食の歴史が本格的になったのは今(2017年)から72年前の戦後からのことで、高度経済成長が始まった62年前から肉食が一気に増えました。体質的には体内の蓄積量を増やすまでいかなかった短い期間でしかないので、肉食が増えたといっても、まだまだL‐カルニチンは足りない状態です。これは若い人でも同じことなので、効果が出やすいわけです。
では、サプリメントとしてL‐カルニチンを摂れば、それでよいのかというと、摂り方に工夫は必要です。L‐カルニチンは肉に含まれる成分だけあって、動物性のたんぱく質と相性がよく、肉を食べることで、特にL‐カルニチンの含有量が多い羊肉を食べることで吸収されやすくなっています。サプリメントとしてのL‐カルニチンも同様で、動物性のたんぱく質と一緒に摂ると吸収率が高まります。動物性のたんぱく質は肉、魚、卵でもよいわけですが、食事をした後に摂るのがよいということになります。
L‐カルニチンについては、このサイトの「サプリメント事典」を参照してください。