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“別れても好きな人”という歌謡曲がありますが、“別れたら次の人”というギャグもあって、替え歌にも使われています。このギャグのような行動はよくあることで、“次の人”ではなく“次の方法”という例はダイエット法でも健康法でも見られることです。一つの方法に心酔して取り組んだものの、期待するような効果が得られなかったら、急に恋人との別れのようにスッパリと諦めて、次を求めるということですが、やめて次を求めてもよいことと、続けたほうがよいことがあります。
続けることは何かというと、健康の維持・増進の基本となる栄養と運動です。例えば、免疫を高めて病気に負けない身体になることを願っている人が、免疫細胞の栄養源になる多糖類が含まれたキノコなどを食べていて、思ったような効果が得られなかったときに、これをやめるのではなくて、他の種類の免疫に効果のある成分も摂ることを考えるべきです。免疫細胞は血流がよいことで全身の隅々に駆けつけることができます。となると、血流を盛んにする効果が期待される成分をプラスすることも考えたいものです。
免疫細胞の活動は、細胞の中で発生するエネルギーが多いほど高まっていくので、細胞のミトコンドリアで三大エネルギー源(糖質、脂質、たんぱく質)を燃焼させるエネルギー代謝を促進する成分の摂取も考えるべきです。その成分はα‐リポ酸、L‐カルニチン、コエンザイムQ10です。
話は変わりますが、中国の大学病院を取材したときに、免疫が低下した患者のために医薬品や放射線を使うだけでなく、漢方薬、気功、温熱なども利用して複合的に対応していました。中国だから漢方も使うというよりも、漢方の国に西洋医学が後になって入ってきたので、西洋医学が中心となった今でも治療には西洋医学も東洋医学も普通に使っています。医療従事者の目的は患者を治すこと、患者の目的は治って再発しないことであるので、その目標に沿ったことなら、なんでも実施するというスタンスです。
目の前の病気を治すことができても、そのために身体を傷めて、寿命が短くなったとしたら本末転倒です。治った後のことも考えて、負担を軽減するという考え方から複数の方法を取り入れているということも取材を通じて知りました。一つ、二つの方法で対処しようとすると無理がかかることにもなり、副作用が起こりやすくなります。そこで複数の方法でアプローチすることによって副作用のレベルを下げて、組み合わせによる効果を高めようという姿勢です。
これは日本メディカルダイエット支援機構の「無理なく無駄なく」のモットーとも通じるところがあります。例は、がんのこととなりますが、西洋医学に心酔していた人が結果が得られなかったということで、いきなり東洋医学だけに切り替え、これでも結果が出なかったので、また西洋医学に戻ってきたときには手遅れ状態ということがありました。「なぜ、全部をやめるのではなく、必要なところは残して、他の方法も取り入れなかったのか」。これは私たちの意見ではなく、後になって残された家族の方が話していたことです。

健康食品というと、テレビコマーシャルにしても健康雑誌にしても高齢者が登場する頻度が高いことから高齢者が使うものという印象があります。健康食品は医薬品ではなく、食品に分類されるので年齢制限はありません。健康食品の中には科学的根拠のエビデンスが得られている特定保健用食品(トクホ)、機能性表示食品、栄養機能食品は、試験を実施した対象者が限られていて、その対象者に有効であったというデータに従うなら、それ以外の人への有効性は明らかにされていないことになります。高齢者は機能が低下していることから効果が出やすくても、若い人には効果が出にくいということは普通に起こります。化粧品でも同じ傾向があります。
女性を対象にした健康食品の有効性を、男性が期待しても無理かもしれないというのは想像がつくところです。おしっこのキレがよくない人が期待を寄せているノコギリヤシは、男性の前立腺に問題がある人で有効性が得られたものなので、女性が使ってキレがよくなることはないわけです。子供の健康食品の使用も問題視されています。親の姿を見て、太りたくないからとダイエット系の健康食品を使う例もありますが、親が使わせている例が増えています。食事の栄養バランスに自信がないので、不足しがちな栄養素を補うサプリメントならわからないでもありませんが、頭がよくなるとか成長が早くなるといった機能性を求めての使用となると不安もあります。
何が不安なのかというと、一つには、その機能性の研究は子供を対象に行われたものではないということがあります。健康食品の試験は、もしも害が出たときに影響が大きくなる可能性が高い人では実施されません。子供だけでなく、妊娠可能な年齢の女性も、機能が低下している高齢者も対象ではありません。多くは健康な成人を対象にしての試験なので、成果が得られた健康食品であっても、試験対象者以外に同じような結果が出るのかについては、わからないというのが正解です。
短期間で効果があったとすると、長期間では、もっと効果がありそうな印象もあります。しかし、短期間の試験だけで効果があり、長く使っても、それ以上の効果はなかったというものも少なくありません。安全性についても、短期間では安全であったとしても、長期間に使うことの安全性は確認されていないということも多くなっています。健康食品特有の成分ではなく、食品に含まれている栄養素なら多くの量を摂っても大丈夫のようなイメージがあるかもしれませんが、ビタミン、ミネラルは摂取の上限値が定められています。通常の食品では、身体に影響が出るほど多くの量を食べられないということがあっても、成分が凝縮された健康食品・サプリメントでは満腹になるようなことはないので上限値を超えるような量を摂ることも可能です。
子供は有害とされる成分を分解・解毒する肝臓が小さく、発達もしていないので、成分の安全性と摂取量には注意が必要ということで、注意喚起もされています。成人になってからは、こういった注意喚起は見られなくなりますが、高齢になると肝機能が低下していきます。肝機能といえばウコンを摂ればよいということではなく、肝臓の解毒能力が低下していくので、子供と同じように注意しなければならないはずです。肝臓は体重の50分の1の重量があり、女性は男性よりも身体が小さいので肝臓も小さく、解毒能力も低いわけです。
さらに女性は年齢を重ねると肝臓が小さくなりやすいので、有害性への注意は、もっともっと必要になってきます。有効性だけでなく、安全性も年齢、性別などによって異なるということは知っておくべきです。

このコーナーで少し変わった切り口の話を紹介すると、必ずといってよいほどメディア関係者から関連した情報の問い合わせがあります。何もメディア関係者からの問い合わせを期待して掲載しているわけではないのですが、睡眠とアルコールの関係について紹介したら、コーヒーとの関係についての問い合わせが多く来たのですが、その中に夜バナナダイエットと睡眠についてという、あまり想定していなかった問い合わせがありました。睡眠について検索して、メラトニンの関連性が出てきて、メラトニンはバナナにも多く含まれているので、夜にバナナを食べるのは睡眠にも有効ではないのかという考えに行き着いたようです。
まず、夜バナナダイエットについて簡単に紹介しておくと、先に朝バナナダイエットが流行して、それを受ける形でヒットしたダイエット法です。朝バナナダイエットは朝食をバナナに置き換えるか、バナナをメインにして他の食事は少食にします。それに対して夜バナナダイエットは夕食前にバナナ2本を食べ、水も飲んで、その後の食事は普通に食べてもよいというものです。これでは食べすぎにならないか、糖質の摂取量が増えるので太るのではということが言われましたが、胃が膨れて、必要以上のものを食べなくなる、食後の間食がなくなる、さらには腸の働きがよくなってダイエット効果が高いということで今でも人気の方法です。何しろ食べるものを禁止するのではなく、他に食べてもよいというので、効果に間違いがなければ人気が出るのは当然のことです。
睡眠にはメラトニンというホルモンが重要で、メラトニンには睡眠を誘発する作用があります。アメリカなどではメラトニンは町の薬局で簡単に買えるサプリメント並みの医薬品となっています。メラトニンは神経伝達物質のセロトニンから作られます。セロトニンの原料はアミノ酸の一種のトリプトファンです。トリプトファンは大豆・大豆加工食品、乳製品、肉類、魚類、バナナなどに多く含まれています。トリプトファンは必須アミノ酸で、体内では合成されず、食事から摂らなければならないアミノ酸です。しかし、通常に食事をしていれば摂取できるはずです。
セトロニンは太陽光を浴びることによって生成されることから、朝日を浴びること、外出を増やすことが必要と言われています。セトロニンから作られたメラトニンが脳に届くまでには6時間ほどかかります。だから、トリプトファンが含まれる食品は寝る前ではなく、朝に食べたほうがよいことになります。しっかりと朝ごはんを食べるのがよいことだとはわかっていても、作っている時間がない、食べる時間も短いからと簡単に済ます人も多く、朝食抜き、朝食は飲み物だけ、飲み物とサプリメントだけという人もいます。そこで簡単に食べられるバナナは格好の食品ということになります。
睡眠のことを大事にしてバナナを食べるのなら、夜バナナではなく朝バナナということになります。もともとバナナを朝食とともに、もしくは朝食代わりに食べている人は多いので、取り入れやすい方法と言えます。

医薬品嫌いの人は確かにいます。医薬品には副作用がある、一度飲んだら一生飲み続けなければならない、という理由をあげている人もいます。医薬品が怖いから、医薬品と同じような効果があると期待される健康食品を摂っているという人も増えてきています。健康食品の利用者が増えているのは何も高齢者を対象としたテレビのコマーシャルで派手な内容を繰り返し流しているせいだけではないのです。
ちなみに、医薬品では「飲む」、健康食品では「摂る」と使い分けています。これは医薬品医療機器法(正式には「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」)に基づく監視指導マニュアルでは医薬品と間違われるような伝え方をすることは規制されていることから「飲む」という表現は健康食品業界では使わないようにしています。粒状、粉状、カプセル状ではない飲料であっても、健康機能を打ち出して販売されるものは「摂る」と表現されています。
医薬品は怖いから健康食品という人の考えは、以前なら否定できないところもあったかもしれませんが、医薬品も進歩を続けていて、副作用と呼べないようなことが起こる可能性もあるという程度のものもあり、医薬品を飲みながら生活改善に取り組めば、飲まなくてもよい状態にすることもできるようになっています。もちろん、早めの段階で治療を始めて、悪化して手遅れになる前に飲むことが条件になります。
よく例に出される未病状態は、二段階に分けられていて、医学による治療なしでも元の健康な状態に戻れるのが第一段階(未病1)、治療を受けて第一段階に戻れるのが第二段階(未病2)とする考えです。第一段階では診断基準に達していない、いわゆる“高めの状態”ということもあり、健康食品を使って改善するというのは当然の発想といえます。
医薬品は怖いというのを、酒を飲む口実にしている人もいます。充分な睡眠時間、睡眠の質が確保できないことは、疲労が蓄積して血圧や血糖値を上昇させることにもなります。寝つきが悪いからといって睡眠薬に頼るのではなく、自力で眠る努力をする助けとして寝酒を飲むという人も少なからずいます。飲酒をすると寝つきがよくなるのは確かですが、睡眠が浅くなりやすく、途中で目が覚めたり、睡眠時間の割には疲れが取れていないということにもなります。このことは睡眠中の脳波や酸素供給量などの試験でも確かめられています。
自律神経の働きや自然のリズムで眠くなり、レム睡眠(浅い眠り)とノンレム睡眠(深い眠り)を繰り返すという睡眠周期ではなく、アルコールの力を借りて眠ると、リズムが整えられないままの睡眠となってしまうということです。
睡眠薬には依存性が高いという指摘もあります。以前の睡眠薬には依存性があり、中断すると禁断症状が出るということもありましたが、現在の主流の睡眠薬は処方どおりに飲んでいる分にはアルコールよりも安全なものとなっています。アルコールにこそ依存性があります。飲めば飲むほど睡眠の状態が悪くなって、もっと多くの量、もっと強いアルコールを飲まなければ寝つけない状態にもなりかねません。よい睡眠のために最もよいのは、寝酒をしないことです。

糖尿病の人は平均寿命が短い理由を知りたいという依頼が、テレビ局のプロデューサーからありました。番組制作会社のディレクターからの依頼なら、すでに放送が決まっていて、そのままアドバイスが放送されることが多いのですが、プロデューサー、それもテレビ局本体のプロデューサーとなると企画段階のことが多いのが通常です。しかし、これは“種まき”としては有効なことなので、積極的に協力をさせてもらっています。
今回の依頼で気になったのは、小さなことですが、平均寿命という言葉です。平均寿命は、その年に誕生した赤ちゃんが現在の生活環境や経済状況が継続した場合に、これから何年間生存するのかという推定値で、平均余命とも言います。平均余命は、それぞれの人が、あと何年間生きられるかを示したもので、0歳の平均余命が、いわゆる平均寿命となります。今回の依頼は「寿命が短い理由」という意味です。
糖尿病の人の寿命は、一般には10〜12年短いと言われています。何歳のときに糖尿病になったのか、どれくらい糖尿病の期間が長かったのかによって違ってくるのは当然ですが、寿命が短い結果であるのは事実です。テレビ番組では、このように一般には思われているが、実は……という切り口が好きで、話をするときにも、その順番にするようにしています。
糖尿病になった人が短命になる理由として、一般には血管の老化があげられています。たまたま、これを執筆する前にテレビ番組で運動と長寿研究の専門家が「糖尿病は活性酸素が多く発生して、それが血管を老化させるから動脈硬化が進む」と話していました。それをプロデューサーも見ていて、今回の依頼にも関係があったようですが、糖尿病と動脈硬化の関係は活性酸素よりも他の原因が最初にあげられています。それは血液中のブドウ糖(血糖)が増えすぎることによって、血管の細胞にブドウ糖が入り込み、それが糖アルコールに変化して細胞が水膨れ状態になることです。これによって細胞の新陳代謝が低下することになり、血管の老化が進むという説明がされています。
糖尿病になると活性酸素が多く発生するのも事実です。高血糖になると赤血球の中にある血色素のタンパク質であるヘモグロビンにブドウ糖が結びつくようになります。このときに活性酸素が多く発生するため、糖尿病では活性酸素が多く発生します。活性酸素によって動脈硬化が進む理由ですが、活性酸素によってLDLコレステロールが酸化すると、白血球のマクロファージが異物として取り込んで処理する貪食が起こります。多くの酸化LDLコレステロールを取り込んだマクロファージは活動を停止して血管の内膜と中膜の間に入り込むようになり、これによって血管を硬く、狭くする動脈硬化が進んでいくことになります。
糖尿病になると血流が低下します。それは血管の問題と同時に、赤血球が高濃度のブドウ糖によってくっつくようになって毛細血管を通過しにくくなります。毛細血管は赤血球のサイズよりも狭くて、赤血球はつぶれるような形で通過していきます。くっついてしまった赤血球は通過することができなくなるため、毛細血管の先に充分な酸素と栄養成分(栄養素と必要な成分)が送られなくなります。全身の細胞は酸素と栄養成分を取り込んで、それぞれの細胞が充分な働きをすることができることになります。
細胞にはエネルギー産生の小器官のミトコンドリアがあり、酸素と栄養成分を用いて、三大エネルギー源(糖質、脂質、たんぱく質)を燃焼させて、エネルギー物質のATP(アデノシン三リン酸)を作り出しています。このエネルギー物質を使って、細胞がフルに働き、血管の新陳代謝も盛んになり、内臓なども充分な働きをするようになることから、健康が保たれるようになります。これが寿命を延ばす結果となります。
ミトコンドリアにおけるエネルギー産生については、これまでも繰り返し説明して、このサイトに何度も載せているので、参照してもらうようにしています。

コーンスターチはビールの副原料として使われています。原材料の表示を見て、麦芽、ホップに続いてコーンスターチと書かれていれば、麦芽とホップの他にコーンスターチが使われていることがわかります。ビール通の人は麦芽とホップ以外が使われたものを「こんなのはビールじゃない」と言うこともあります。ドイツにはビール純粋令というものがあって、大麦の麦芽、ホップ、水、酵母だけを使って醸造したものがビールと認められますが、日本の場合にはコーンスターチの他に米が副原料に使われたビールもあり、ちゃんとしたビールとされることに違いはありません。
コーンスターチはコーン、つまりトウモロコシを材料にして作ったデンプンのことです。コーン・スターチは、そのまま読むとコーンスターチと同じものと感じるかもしれませんが、これはコーンとスターチを指しています。どういうことかと言うと、コーンはトウモロコシを粉にしたコーングリッツやコーンフレークのことで、スターチはコーンに限らず何かの穀類のデンプンを指しています。ちなみにジャガイモのデンプンは片栗粉です。
コーングリッツはトウモロコシの皮と胚芽部分を除いた胚乳の部分を粉にしたもので、米でいうと白米を粉にした米粉のようなものです。コーンフレークは水で練ったコーンミールを加熱してから圧搾して薄くしたものです。コーン・スターチの表示はコーンスターチと混同する紛らわしい表示だというので、今では「コーン、スターチ」と表示されるようになっています。
日本で流通するトウモロコシの90%ほどが輸入ですが、アメリカのトウモロコシには遺伝子組み換えをされたものが90%以上を占めていることから、ビールにも遺伝子組み換えを心配する人が増えています。納豆や豆腐の場合にはパッケージに「遺伝子組み換え大豆でない」との表示がされています。この表示がないものは遺伝子組み換えの大豆が使われている可能性があるということですが、これは大豆を原材料とする食品の場合で、ビールの副原料のコーンとスターチが遺伝子組み換えであるという意味ではありません。実際のところは、どうなのかというと遺伝子組み換えとは別ルートの流通のものを使用しているとのことです。ただ、途中で絶対に混ざらないという保証をすることは難しく、ヨーロッパに遺伝子組み換えの種が運ばれて、知らないうちに遺伝子組み換えのものが広まっているとの指摘もあります。
価格が高いビールには麦芽とホップだけが材料のものもありますが、通常価格のもの、発泡酒や新ジャンルビール(第3のビール)にはコーンとスターチが使われています。中には大豆たんぱくが使われた発泡酒もあります。コーンスターチではなく液糖が使われているものもあります。この液糖とは何かというと、これは味をビールに近づけるために加えられる甘味料で、コーンスターチを液状にしたものです。また、糖類、ブドウ糖という名前で使われている場合もあります。その材料として、どのようなトウモロコシが使われているのかは、ビールメーカーではなく、液糖などの製造会社に確認しなければわからないことです。

これまで、このコーナーでも抗酸化の話の中でも繰り返し茶葉と粉茶の違いを紹介して、粉茶の選び方を間違ったら大変、自宅で茶葉を粉茶にするのはやめたほうがいいという話をしてきました。これはメディア関係者には、本来のテーマと違うことで会っても、安全性を絡めて必ず伝えてきたので、そろそろテレビでは違う伝え方がされてもよいはずなのに、よく知っているディレクターが所属しているプロダクションが制作している番組でも、注意喚起なしで「ポリフェノールは粉茶で効果的に摂れる」と断定的に取り上げていました。さすがに全国放送の人気番組だけあって、その後に粉茶にするミル(粉砕器)が売れている、うちの店でも取り寄せて店頭に並べたという話を聞くと、まだまだ続けて言わなければならないと思い、今回の文の掲載となりました。
番組では有名な総合病院の嗜好品外来を紹介して、その流れでドクターがチョコレートのカカオポリフェノールが血圧の上昇を抑えるのによいという話をしていました。それに続いて、他のポリフェノールが豊富に含まれる食品の話題となって、緑茶の抗酸化成分のカテキンがよい、抽出されたお茶には茶葉の成分の30%ほどしか含まれていないので効果的に摂るためには茶葉を砕いた粉茶のほうがよいという話に持っていっていました。これが正しい話であることは認めます。
しかし、茶葉から淹れたお茶と、茶葉そのものを飲む粉茶では安全性のためにチェックすることが違っています。茶葉には栽培の段階で農薬が繰り返し使われています。虫食いの茶葉など許されないからです。農薬を使った茶葉には農薬が残ったまま販売されているわけです。
ところが、普通にお茶として飲む場合には問題はありません。茶葉に使われている農薬は2タイプあり、そのうちの水には溶けないタイプの農薬が使われています。もう一つの水に溶けるタイプの農薬だと雨が降ったら流れ落ちるからです。そこで水には溶けずに油に溶ける農薬が使われています。この農薬なら、お湯を注いで飲んでも、お茶の中に溶け出すことはないわけです。お茶の中には少しは茶葉も混じることはありますが、それを避けて飲むか、飲んでしまっても、ごく少ない量でしかないので問題なしのレベルと判断されます。
では、粉茶は農薬が残留していて危険なのかというと、抹茶のように初めから、すべてを飲むものは無農薬で栽培されるのが大原則です。だから農薬の心配はしないでよいわけです。ところが、お湯を注いで飲むための茶葉を自宅でミルを使って粉にしたものは農薬が残っているので、農薬ごと飲んでしまうことにもなります。使うなら無農薬の茶葉を選ばなければならないわけです。
今回の番組ではないのですが、自宅で粉茶にして、それを抹茶のようにして天ぷらにつけて食べることをすすめていた番組がありました。また、出がらしの茶葉には70%の成分が残っているからと、これを天ぷらの材料にして食べるとよいと紹介していたことを覚えています。茶葉に使われている農薬は油に溶けるタイプです。天ぷらにしたら農薬は油に溶けて、吸収されやすくなってしまいます。
この原稿を見てもらうように付き合っているテレビ関係者にも伝えますが、こんなことを再び書かなくて済む日が早く来ることを願っているところです。

“もどき”というのは本物ではない偽物を指す言葉です。がんもどきというと一般には、豆腐に野菜を混ぜて油で揚げたもののことで、雁(がん)の肉に味が似ているところから名付けられたとされています。実際に雁の味に似ているかどうかには異論もあるところですが、もどきには似て非なるものという意味の他に、今では匹敵するものというプラスの意味でも使われるようになっています。
医科学の世界では“もどき”というと別の「がんもどき」が使われています。それは本物のがんではなく、偽物のがんのことで治療をしなくても問題がないものとされています。それなのに治療をしたために、かえって寿命を短くすることがあるとして警鐘を鳴らしている医学者もいます。
今回の話題のもどきは、それではなく“認知症もどき”です。これは正式名称ではなく、軽度認知障害という認知症の前兆状態を指しています。軽い認知症といえるもので、この少し問題がある状態は何もしなければ50%が5年以内に認知症に進み、工夫と努力によって20%は正常状態に戻ることができるものの、その甲斐がなくて30%は軽度認知障害の状態にとどまるとされています。工夫と努力と書いたのは的確な治療法がなく、医師から「適切な栄養、適度な運動、充分な休養」という当たり前とも思える指導しかされないからです。それでも当たり前のことによって5人に1人は正常な状態に戻ることができるのなら、積極的に栄養・運動・休養に取り組む意味はあります。
軽度認知障害については、医療機関で配布しているフリーマガジンの『カルナの豆知識』で記憶力チェックとしてチェック表からリスクを知り、自分でできる改善法のアドバイスを実施してきました。日本メディカルダイエット支援機構の理事長がフリーマガジンを発行する団体の特別顧問を務めていることから実現しましたが、70歳を過ぎた方の場合には自分で認知機能に不安を感じている人は確かに軽度認知障害の疑いもありました.しかし、若い人で不安を感じている人は軽度認知障害としての認知症もどきではなく、別の認知症もどきかもしれないということをチェックへの返答をしながら感じたものです。
認知症の基準では脳細胞の減少か機能低下による脳機能の異常が軽度認知障害のリスクを高めるということですが、それ以外の原因も認知機能に影響を与えます。イライラが募ったり、正常な判断ができなくなったり、当たり前のことをしているはずなのに強い疲労を感じるということが見られるようになっています。その原因として“血管脳関門”の機能が指摘されています。これは脳に血液を送り込む脳の毛細血管で、脳に悪影響を与えるものを入れないようにするための関所のような役割をしています。これが正常に働いていれば余計なものは入らず、脳は正常な働きを維持できると考えられてきました。
しかし、詳細がわかるにつれて、関門を通過させないのは、これまで通過しようとしてきた物質などであって、未知のものがきた場合には通過させてしまうことがあることが指摘されています。未知のものへの対応というと肝臓は過去に経験のない毒性物質に対応できる酵素が完成するまでは、万能酵素が代わりをしています。そのようなものは血管脳関門にはないので、脳までストレートに通過することは当然のように考えられることです。
このようにして起こる可能性が高い認知症もどきは、通常の長谷川式などの認知機能検査では判明することができません。記憶力の低下なら判別しやすくても、判断力の低下となると、個性なのか年齢を重ねて頑固になったのか、それとも脳の機能低下によるものなのかは判別がつきにくいのは仕方がないことです。認知機能の低下防止・向上には有酸素運動に効果があることが厚生労働省の「介護予防マニュアル」には書かれていますが、リーダー格にある人は自らの判断・決断が正しいのか、常に立ち止まって考えてみることは認知症もどきが広まっている時代には必要かもしれません。

男性の平均寿命が80.98歳と81歳に迫り、女性は87.14歳と87歳を超えた今(2016年調査)、男性なら90歳を、女性なら95歳を超えたら随分と長生きだと思われています。しかし、2017年の敬老の日に発表された90歳以上の人口は約206万人にも達しています。そのうち100歳以上は6万7800万人以上となっているので、90歳代は約200万人もいることになります。男性で90歳になった方が「そろそろ」と弱気のことを言っていましたが、90歳代が約200万人という事実を知ると、「まだまだ」と言わなければならない立場だということがわかります。
平均寿命というのは、その年に生まれた人が同じ環境と経済状態で過ごしたときに何歳まで生きられるかの推定値で、0歳の平均余命が一般的な平均寿命となります。年齢が上がるにつれて平均余命は短くなるわけですが、90歳の平均余命は男性が4.38歳、女性が5.70歳です。これに従うと男性は94.38歳、女性は95.70歳と、まだまだ4〜5年は大丈夫という状態になるわけです。
90歳代を無事に通り抜けて100歳まで行くことができるのは6万7800人ほどということで、平均で語るのはふさわしくないことはわかっていますが、1年間に20万人ずつが長生きレースから脱落していく計算になります。90歳まで長生きした人は、もともと身体が丈夫であったので、これからも同じような環境と生活を続けていれば元気でいられる、と考えたいところですが、平均寿命が男性が81歳、女性が87歳の時代となると90歳の大台になったところで急に体力、気力、免疫力、恒常性保持能力などが落ちていく時期だと考えたほうがよさそうです。
ということで、それに心当たりがある人は、まだまだ90歳まで10年、20年、30年あるという段階でも、いろいろと改善に取り組むところがあるはずです。では、ずっと健康のために取り組んできたことがあって、この調子なら90歳を楽々とクリアできる見通しが出てきた人はどうなのかというと、ここで気を緩めてもよいという話ではありません。
内臓の健康も脳の健康も足腰の健康も、その保持には自分の力で歩けて、日常的に身体を動かしていることが前提となっています。身体を動かすことで、生命維持の基本となるエネルギー物質のATP(アデノシン三リン酸)が細胞の中で作り出されます。そのエネルギーを使って、臓器も器官も正常に働くようになるので、エネルギーを作り出すために身体を動かすことが必要条件になります。高齢になってから身体を動かすことは足腰の健康のため、寝たきりにならないためにすること、という消極的な考えではなく、全身を細胞レベルから働かせて、エネルギーを充分に使って好きなことができるようにすることという積極的な考えで身体を動かしてほしいのです。
それもあって、私たちは高齢になっても歩く能力を保持していくことができる2本のポールを使って歩くノルディックスタイルのウォーキングをすすめています。ノルディックスタイルのウォーキングはスポーツ感覚のノルディックウォーキングと高齢者向けのポールウォーキングがあります。高齢者だからといってポールウォーキングだけにするのではなく、体力や健康状態、目標などによって使い分けをしています。

粉ミルクというと母乳の代わりの赤ちゃんが飲むために開発されたものです。生後6か月以内を対象としたものと、離乳食を食べている6か月以降を対象としたものの2タイプがあります。赤ちゃん用のものだから赤ちゃんが飲むもの、赤ちゃんしか飲んではいけないものというイメージもありますが、随分と前から大人も飲んでいました。牛乳がなかったから粉ミルクで代用しよう、ということではなく、あえて粉ミルクを愛用していた大人がいたということです。
粉ミルクは栄養素がバランスよく含まれているので、消化・吸収の能力が低下して栄養摂取がうまくいかなくなってくる高齢者にはありがたい存在といえます。高齢になると腸内細菌のバランスが崩れて、善玉菌が増えにくく、悪玉菌が優位になりやすい状態になります。善玉菌が主にエサとしているのは糖類、乳製品、食物繊維ですが、そのうちの乳製品であり、善玉菌を増やすことによって悪玉菌を減らすことができます。というのは、腸内細菌は総数がほぼ決まっていて、善玉菌が増えると、それに押される形で悪玉菌が減っていくからです。
粉ミルクでネット検索すると「大人の粉ミルク」というキーワードがヒットします。これは大人も飲む赤ちゃん用粉ミルクのことではなく、初めに出てくるのは『大人の粉ミルク』という書籍です。この大手出版社から発行されている書籍の監修者は日本メディカルダイエット支援機構の相談役(元理事)でもある薬学博士です。
粉ミルクは栄養補給とともにダイエット効果、それもただやせるというのではなく科学研究に基づいて健康的にダイエットするメディカルダイエットの手法として使っています。実は粉ミルクはダイエット法の一つとして「粉ミルクダイエット」の名前で古くから知られています。どれくらい前のことなのかというと、年表に記載されているのは1984年(昭和59年)です。この年表は世の中に蔓延しているダイエット法や健康食品に警鐘を鳴らしている研究者が発表しているものですが、この粉ミルクダイエットは先ほどの『大人の粉ミルク』を発行した大手出版社の健康雑誌が初めて紹介したと書かれています。その粉ミルクダイエットの記事の監修者も日本メディカルダイエット支援機構の相談役の薬学博士です。
大手乳業メーカーで粉ミルクの研究をしているときの成果ですが、一時的なブームで終わることが多いダイエット法の中では珍しいロングランです。そのせいもあって、少子化の時代にも関わらず赤ちゃん用の粉ミルクは赤ちゃんの減少よりも販売数が落ちていません。少子化に対して高齢化が進んでいる分だけ粉ミルクを大人というよりも高齢者が飲んでいるということを示しています。
とは言っても、生後6か月までの栄養バランスが取れた赤ちゃん用の粉ミルクは飲みにくいという人もいます。それもあってか、森永乳業から大人のための粉ミルクが販売されています。商品名は「ミルク生活」です。
大人の場合には、すべての必要とする栄養素を粉ミルクだけで摂ることはできません。基本的な栄養素は補給できますが、粉ミルクにも弱点はあって、食物繊維は含まれていません。ご飯の代わりに粉ミルクにしている人もいるようですが、ご飯は糖質が摂れるだけでなく、いろいろな必要な栄養素も含まれているので、食べないではなく食べる量を減らして、それに粉ミルクをプラスするという摂り方を指導しています。