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平成28年国民健康・栄養調査の結果によると、歩行数の全国平均は男性が7779歩、女性が6776歩と男女の開きは1000歩ほどとなっています。女性は家事をする分だけ出歩く時間が減るので、それが歩数の差になっているというのが一般に言われていることです。
日本メディカルダイエット支援機構の理事長が、健康寿命延伸による地方創生に取り組んでいる岡山県の数字を見たところ、男性が8136歩、女性が6042歩と、その差は2094歩となっています。なぜ2倍もの開きがあるのかを探るために、都道府県の男女差のデータを調べてみました。岡山県が特別なのか、それとも他にもあるのかを知るためです。このデータが平成28年国民健康・栄養調査の結果の中で発表されていたら、楽だったのですが。
都道府県の歩数ランキングの第1位は男性が大阪府で8762歩、女性が神奈川県で7795歩です。最もランキングが低いのは男性が高知県で5647歩、女性も高知県で5840歩。その差は男性で3115歩、女性で1955歩となっています。「第47位」ではなく「ランキングが低い」と書いたのは、今回のデータには震災被害を受けた熊本県が含まれていないからです。
歩数の男女差ランキングを見ると、第1位は思ったとおり2094歩の岡山県でした。第46位は男女ともに歩数が少なかった高知県で、しかも女性のほうが歩数が多いので、一般的に歩数が多い男性を主にした計算ではマイナス193歩になりました。マイナスになったのは高知県だけで、第45位の秋田県は男性が6626歩、女性が6541歩で、その差はプラス85歩でした。
一般にはランキングのトップはよい結果が示されているものですが、このデータに限っては、むしろ悪い結果と見ることができます。岡山県のように男女差が大きく開いて全国平均の2倍にもなっているのは決してよい結果ではありません。
高齢社会を考えると、介護される側の足腰が丈夫なことは大切ですが、介護する側の子供世代の足腰が丈夫であることは、ともに大切なことです。もっと大切だと考えることもあります。というのは、今は介護をする側であっても、いつかは介護を受ける側になるのは間違いがないことなので、歩く機会を増やし、歩数を増やすことは親のためでも自分のためでも、そして子供のためでも、場合によっては孫のためでもあるからです。今の状態では、家庭の介護は女性に大きな期待と負担がかかっています。その女性が運動をする機会が少ないどころか歩く機会が少ないということは、それは将来的な体力、筋力、持久力などに影響を与え、自治体単位で考えると健康度が全体的に下がり、介護社会を支えるパワーも低下していくことになります。
話を岡山県に転じると、岡山県の高齢化率は28.66%と全国ランキングは第24位です。第1位の秋田県の33.84%と比べると、まだよいほうに見えるかもしれませんが、市町村別に見てみると高齢化率が40%を超えているところもあります。これは山間地に限った話ではなく、観光・文化・産業で優位性がある地域でも40%に迫っていて、将来的には50%にも近づいているという現状があります。これを見ると、高齢化率が高い地域で、女性の歩く機会を増やすことに、すぐにも取り組まなければと思い、準備を始めたところです。

平成28年国民健康・栄養調査の結果が、平成29年9月21日に発表されました。その前年末には概要が発表されていますが、その間に調査データの詳細が検討されています。その中で注目されて、さまざまなメディアから発表されているのは糖尿病の患者と予備群の数です。
糖尿病患者は、国民健康・栄養調査では「糖尿病が強く疑われる者」となっています。速報で発表したメディアの中には、「糖尿病が疑われる者」と肝心な“強く”を除いて発表していたところもあり、これを見て糖尿病予備群のことだと勘違いした人もいました。実際には糖尿病患者のことです。その糖尿病が強く疑われる者は12.1%で、男女別では男性が16.3%、女性が9.3%となっています。男性のほうが糖尿病患者が圧倒的に多いということです。
糖尿病予備群は「糖尿病の可能性が否定できない者」とされています。糖尿病予備群という言葉を聞くと、普通の印象では少し血糖値が高めの状態の人のことです。ところが、糖尿病患者のことだと思っている人もいます。糖尿病は血液検査をして、血糖値かヘモグロビンA1cが正常値を超えたときに診断されるもので、血液検査をしていない人も含めての推定値となると、“可能性が否定できない者”を糖尿病患者と思う人がいるのは当然のことです。それくらい予備群が、ちょっとしたことで患者になってしまうのが糖尿病の特徴であり、恐ろしさということです。
「糖尿病の可能性が否定できない者」は、「糖尿病が強く疑われる者」とまったく同じ12.1%ですが、男女の割合が違っていて、男性が12.2%、女性が12.1%とほぼ同じになっています。糖尿病は飲食の機会が多く、身体を動かす機会が少ない、そしてストレスがかかり、ストレスに弱い男性のほうが多いのが一般的ですが、予備群だけは男女差がないということになります。その理由については、これから分析して紹介していきます。
国民健康・栄養調査の糖尿病患者と予備群の推移は5年ごとの統計が発表されています。現状の統計では前5回分が掲載されており、平成9年、14年、19年、24年と続き、本来なら29年のデータが30年に発表されるところですが、28年のデータが平成29年に発表されました。これについて問い合わせをしたところ、記念すべきというか驚くべき結果が出たからです。その結果というのは、糖尿病患者と糖尿病予備群がともに1000万人を超えたからです。糖尿病患者は発表のたびに増え続け、糖尿病予備群は19年から減っています。つまり、これまでは予備群のほうが患者よりも多かったのに、糖尿病患者が増えてしまったわけで、これからは糖尿病患者が一気に増えていくことが推定されるわけで、その注意喚起も必要であることから1年前の発表となったということです。
糖尿病は血液検査をすれば、すぐにわかります。しかし、糖尿病患者の推定値と、実際に病院に行って治療を受けている人との数を比べてみると、受診者は76.6%でしかありません。「との結果でした」と書くべきところを、あえて「でしかありません」と書いたのは、もっと受診者が多いとの印象が一般にはあるからです。糖尿病は初期段階では自覚症状がありません。初期段階どころか、合併症が現れるまで何も起こらないという人もいます。それだけに血液検査は、大丈夫だと思っていても受けるべきです。
ちなみに、糖尿病の治療を受けている人の男女比は男性が78.7%、女性が74.1%となっていて、あまり差はみられません。しかし、生活習慣が乱れて血糖値が上昇しやすい40歳代の男性を見てみると、治療を受けているのは51.5%で、受けていないのは残りの48.5%と、ほぼ半々となっているということです。

高齢者の健康のための運動というと足腰の健康維持によるロコモティブシンドローム(運動器症候群)対策という印象がありますが、運動の中でも比較的取り組みやすいウォーキングは脳機能の維持と向上のためにすすめられています。厚生労働省による「介護予防マニュアル」でもウォーキングは脳機能のための実施項目となっています。
脳の機能というと一番に気になるのは認知症です。認知症の発症率は65歳以上の高齢者では10人に1人の割合となっています。これは全体の平均であって、年齢層別にみていくと、65〜69歳は1.5%、70〜74歳は3.6%、75〜79歳は7.1%、80〜84歳は14.6%、そして85歳以上では27.3%となっています。この現状が2025年には65歳以上で5人に1人にもなると予測されています。わずか10年ほどで2倍にもなるということです。
高齢者が増えて認知症の患者数が2倍に増えるというなら理解できないことではないのですが、割合となると何か原因があります。その原因として一番にあげられるのは認知症の予備群である軽度認知障害の増加です。生活習慣病の予備群というと糖尿病では血糖値が高めの人ですが、軽度認知障害は認知症の初期段階が始まっています。軽度認知障害の約20%は元の状態に戻ることができるものの、約30%は軽度認知障害のまま過ごし、約50%は5年以内に認知症へと移行しています。この移行の率が高まると認知症患者は増えていきます。
認知症へと進めないためには栄養・運動・休養が重要となります。というのはピンポイントの治療薬が、まだないからです。栄養・運動・休養をいかに実践するか継続するかで進めないだけでなく改善にも取り組まなければならないということです。この中でも運動不足を指摘する声が大きくなっています。中でも歩く機会は減る傾向にあり、以前の1日に1万歩の目標から今では従来よりも1000〜1500歩を増やすことが目標になり、それでも8000歩を目指程度というような状況です。
ウォーキングは有酸素運動の代表です。多くの酸素を吸い込んで歩くことで、筋肉の動きによって筋肉の中を通る太い血管を収縮されて酸素が全身に運ばれます。中でも多くの酸素が運ばれているのは筋肉です。筋肉細胞は酸素を多く取り込んでエネルギー源の糖質(ブドウ糖)と脂質(脂肪酸)をミトコンドリアの中で燃焼させて、エネルギーを作り出しています。
酸素を多く身体の中に取り込むには身体を激しく動かすほどよいと思っている人もいますが、ウォーキングでも運動量が多くなると有酸素領域から無酸素領域になって、無酸素運動と変わらないようにもなります。これでは酸素を効率よく筋肉細胞に届けることができなくなり、エネルギーも効率的に作られなくなります。適度な有酸素運動が続けられる状態を、あまり身体に負担をかけないようにして継続させるために、日本メディカルダイエット支援機構がすすめているのは2本のポールを使って歩くノルディックウォーキングです。それだけを続けるのではなく、歩くスピードを変化させて有酸素運動と無酸素領域の運動を繰り返すことによって、より効果を高めるインターバルウォーキングを提案しています。

脳の血流が低下することによって起こる症状や疾患があります。ストレスや寝不足などによって脳血管が萎縮すると血流低下が起こり、正常な血流に戻すために血圧が上昇します。若いときには血管に弾力性があり、新陳代謝が盛んなために、血圧の上昇が血管の老化や動脈硬化にはつながりにくくなっています。ところが、年齢を重ねると自然と動脈硬化が進んでいきます。それよりも老化が進んでいる状態が疾病につながる動脈硬化となります。加齢による動脈硬化に他の要因が重なって疾病につながる動脈硬化が進み、動脈だけでなく末梢の血管にも硬化が起こっているために脳の血流が低下したところに血圧が上昇すると弱くなっている血管が切れたり、血栓が詰まったりしやすくなります。
こういったことから症状がみられた人に対しては血圧を下げる医薬品が使われますが、血流がよくないところに血圧が下がると大事な血液が脳に回りにくくなり、それが脳の機能を低下させるというのが高齢者によくみられることで、これは60歳すぎの人にもみられるようになっています。
週刊誌の記者から、ある有名な作家が高血圧なのに降圧剤(血圧降下剤)を使わなかった理由として「頭が回らなくなるから」と言い、結局は脳梗塞になったとのことのコメントを求められたことがあります。なぜ血圧が低下すると脳の機能が低下するのかという質問がありましたが、血圧が下がって脳の血流が低下すると脳の必要なところに重要なものが届きにくくなります。何が届かなくなるのかというと、ビタミンでもミネラルでもなく酸素です。
このコメントに記者からは、届かなくなるのはブドウ糖ではないかと聞かれました。脳は全体重の2%ほどでしかないのに、全エネルギーの20%ほどを消費する“大飯食らい”の器官です。このために頭を盛んに使う人は多くのエネルギーが必要になり、空腹を感じやすくなります。三大エネルギー源(糖質、脂質、たんぱく質)のうち空腹感につながるのは糖質の一つのブドウ糖です。ブドウ糖は燃焼しやすくエネルギーとして使われやすいので、“脳の働きをよくするためにはブドウ糖が多く含まれる砂糖を摂ろう”という業界のキャンペーンがありました。砂糖はブドウ糖と果糖が1対1の割合で構成されています。
脳が使う多くのエネルギーは、脳細胞が作り出しています。血液中のブドウ糖が不足すると大事なエネルギー源が足りなくなるため、肝臓や筋肉に蓄積されているグリコーゲンを分解してブドウ糖を供給する仕組みが備わっています。この不足することがないブドウ糖を用いて脳細胞の中でエネルギー物質のATP(アデノシン三リン酸)を作り出すためには充分な酸素が必要となります。酸素不足では脳を働かせ、全身をコントロールするための脳機能を維持することができないということです。
ということになると、血流低下になると脳を働かせるためのエネルギーが減って、脳をフル回転させて文章を書くことができなくなることから、血圧を高くても降圧剤を使いたがらない人が出てくるのも理解できないわけではありません。しかし、これによって血栓が詰まって脳梗塞になったのでは元も子もない状態になりかねないので、「仕事を減らしても脳血管は守るべき」という当たり前のコメントをしたところです。

日本人の平均寿命は世界のトップランクです。30年以上に渡って世界第1位でしたが、香港にトップの座を譲り、第2位となっています。それでも日本人の平均寿命は過去最高となっています。
平均寿命は延び続けているものの、平均寿命と健康寿命の差は男性で9年以上、女性で12年以上もあるため、日本人は健康寿命が短くなっているような印象が抱かれることもあります。健康寿命の国際比較のデータ(2015年)を見ると、第1位は日本で74.9歳となっています。これに次いで第2位はシンガポール、第3位は韓国、第4位はスイス、第5位はイスラエル、第6位はイタリア、第7位はアイスランド、第8位はフランス、第9位はスペイン、第10位はカナダの順となっています。ちなみにアメリカは第36位、中国は第41位です。日本を平均寿命で抜いた香港はランク外です。ということは、香港は平均寿命と健康寿命と差が長いということです。
日本人は健康寿命が世界で一番長いということですが、疾病で亡くなる人の割合の高さや重病度から受ける印象とは違っています。平均寿命が延びると、高齢になるほど増える疾病となる人が多くなるので、どうしても患者の数、病気で亡くなる人が増えるのは仕方がないことです。患者の多さは平均年齢の高さも関係しています。
国民平均年齢(中央年齢)のデータ(2015年)をみると、日本は46.35歳と世界第1位です。2位以下はイタリア、ドイツ、ポルトガル、マルティニーク、ブルガリア、ギリシャ、オーストリア、香港、スペインの順で、アメリカは51位、中国は56位となっています。マルティークはフランスの海外県でカリブ海の島で、リゾート移住が多いことから平均年齢が高くなっています。
平均寿命は、その年に生まれた赤ん坊が今の生活環境、経済状態が継続したと想定して割り出した平均余命のことなので、実際の寿命とは一致していません。そのために戦争の後などには急に平均寿命が長くなることがあります。日本も1947年に男性が50歳を超えたのが、3年後に60歳に達したというのは、まさにその好例とされます。
健康長寿は、寿命を全うするまで、できるだけ健康でいる期間を延ばすことによって得られるものです。どれくらい幸せな長生きであったのかを知るためには、平均寿命と健康寿命との差を見ることも必要でしょうが、国民平均年齢の順位と健康寿命の順位を見比べて、順位を高めた理由を探ることも必要ではないでしょうか。

何かの原因があって結果が生じたときに、その原因について話をするために使われるのが「おかげ」と「せい」です。どちらも同じように使われていますが、個人的に使うだけなら大きな問題はなくても、メディアを通じて使われているとなると見逃すことはできません。ゲストとして登場しているタレントや、タレントのMC(番組進行者:master of ceremonies)は、どちらも区別なく使っています。それで終わらず、プロのアナウンサーまでが「せい」と言うべきときに「おかげ」を使っているシーンを、よく見聞きします。
「おかげ」は、御陰と漢字で書くように神仏や他人から受けた恩恵や力添えのことを指します。少なくともよい結果があったときに使う言葉です。それに対して「せい」(所為)はよくない原因・理由によって起こったことを伝えるときに使う言葉です。あなたのおかげで成功した、というのが正しい使い方です。あなたのせいで失敗したという使い方が正しいのであって、悪い結果になったことに「おかげ」を使うのは違和感があるというよりも間違いです。
この話をしたときに、「おかげ」と「せい」を混同していることを指摘されたと思い込んだのか、テレビのディレクターから「お蔭参り」という言葉があるではないか、と反発の意見がありました。この言葉は、ある特殊な世界の方々が逮捕される原因となった人に仕返しをするという意味で使われることがあります。そのために「おかげ」を「せい」のような使い方をしているということです。しかし、お蔭参りは、元々は江戸時代に伊勢神宮に集団で参拝することを指す言葉で、神様のおかげで健康に過ごせている、商売がうまくいっている人が、そのおかげを感謝するために伊勢まで参宮することを指しています。
神社は、お願いに行くところではなく、感謝をしに、お礼をしに行くところだということですが、そのことは置いておくとして、“逮捕されて、それをきっかけに真人間になれたことを感謝して”行うのがお蔭参りの本来の使い方で、「おかげ」を悪いことの意味で使うのを是正する裏付けではないはずです。皮肉の意味で「おかげ」を使っているのです。
「おかげ」と「せい」の使い分けをタレントなどに徹底するのは面倒なので、「のために」という、どちらの意味にもなる言葉を使うように話しているというディレクターもいました。あなたのために客が増えて繁盛している、という使い方と、あなたのために客が増えて混雑して忙しい、という使い方をしているわけですが、「ために」は、本人の受け取りようで、よくもなれば悪くもなるということにもなります。
受け取りようで違うのも面倒なので、「ゆえに」を使ったほうがよいのでは、という話も出ました。「結果」という言葉にしている場合もあります。
成功したら自分のおかげ、失敗したら他人のせい、という考えをする人もいますが、できることなら自分にとっても他人にとっても「おかげ」と言えるような人でいたい、立場でいたいとの思いから、メディア関係者には情報発信をさせてもらっています。

日本メディカルダイエット支援機構は、運動と食事のタイミングによる効果的な体脂肪減少と筋肉増強についての研究成果に基づいて、指導・教育・情報提供を実施しています。筋肉強化の運動というと、器具などを用いる無酸素運動が主になっていますが、「無理なく無駄なく」がモットーの団体としては、比較的簡単に取り組むことができるウォーキングを無酸素運動領域で実施する方法を提供させてもらっています。
ウォーキングは適度な運動の代表的なもので、エネルギー消費を高めて、血液中のブドウ糖、中性脂肪などを適度な状態に保つ効果があることが確認されています。だから、「ただ歩くだけで健康になれるのだから細かなことを言う必要はない」ということを運動科学の研究者から言われたことがありましたが、「無理なく無駄なく」を主張している立場から、個人の状態に合った、できるだけ効率的なウォーキング法を紹介しています。
個人の状況によって具体的な方法には違いはあるのですが、原則的な方法を紹介すると、血糖値を下げたいと願っている人には10〜15分のウォーキングを1日に何回かすることをすすめています。ウォーキングは30分続けないと効果がないというようなことが言われることもありますが、これは30分も続けていると脂肪の燃焼が大きく進んでいくことを指しています。10〜15分のウォーキングでは脂肪は燃焼しないということを言う人もいますが、そんなことはありません。安静時(特に運動しない日常生活)でも糖も脂肪もエネルギー源として使われています。
ウォーキングを始めると急に多くのエネルギー源が必要になることから、燃焼しやすいブドウ糖が優先的に使われるので、割合としては脂肪の燃焼が減っていきます。しかし、平常時に比べれば多くのエネルギー源が使われているので、脂肪も多く燃焼しています。血糖値を下げたい人にとって重要なことは歩き始めてから10〜15分はブドウ糖が多く燃焼しているということです。血糖は血液中のブドウ糖のことで、血糖値が高いということはブドウ糖が多いということで、10〜15分のウォーキングによって血糖値を下げることができるのです。
ウォーキングのタイミングですが、血糖値が上昇するのは食後で、食後30分を過ぎてから歩くことで血糖値の急上昇を抑えることができます。だから、食後の運動をすすめる人もいますが、食後には身体を休めて、消化・吸収をよくするのが原則です。食後の運動で無理がかかる人は、食事の前のウォーキングも考えられます。ただ、空腹時にウォーキングをすると低血糖になる人もいるので、食後30分にこだわらずに、血糖値が高めの2時間以内のウォーキングをすすめています。有酸素運動を続けていると細胞がインスリンを使ってブドウ糖を取り込む能力が徐々に高まっていくので、血糖値が急上昇しやすい人以外は、いつでも運動をしてよいことを伝えています。
血液中の中性脂肪が多い人は、食後に中性脂肪値が高くなる30分のウォーキングがすすめられています。中性脂肪は、脂肪が含まれた食品を食べても血液中で増えていきますが、血液中のブドウ糖が多くなると肝臓で合成される中性脂肪が増えていくことから、血糖値を下げる運動と同じタイミングでのウォーキングがすすめられます。ブドウ糖から脂肪へと燃焼が大きく切り替わるのは歩き始めてから15分すぎであることから、中性脂肪値が気になる人は30分程度のウォーキングが有効となるわけです。

健康づくりの立派な施設を見学させてもらう機会は過去から数えて何度もありましたが、このような施設はずっと続いてほしい、モデル施設として全国に広がってほしいと望むのですが、なかなか叶えられないのが実際のことです。素晴らしい施設は、施設そのもの、施設に導入される設備の有効性と安全性、それを確実に動かすシステム、そして実施できる人がいて初めて威力が発揮されることになります。
このうちの一つでも欠けたら、継続できなくなるどころか、短期間の運営さえもうまくいかなくなりかねません。特に問題となるのはシステムで、これも立派なものを導入することは可能でも、コンセプトがしっかりとしていて、それに基づいたシステムがあり、実現させられる人がいないことには続けたくても続けられなくなります。
日本メディカルダイエット支援機構の理事長が理事を務めていた公益財団法人日本健康スポーツ連盟は、「厚生労働大臣認定運動型健康増進施設」の調査・指導を実施している団体です。数多くのスポーツ施設の中から抜きん出て厚生労働大臣認定を得るためには、複数の条件をクリアする必要があります。その条件は、他の健康づくりの施設にも共通することとなっています。
まずは安全と衛生が確保されていて、施設内の設備はすべての筋肉と機能を鍛えられるものであり、それを使って安全かつ効果的な運動ができるプログラムが存在していることが大切な要素です。そのプログラムも全員に共通して使える大雑把なものではなく、個人対応ができるものが求められます。さらに安全性ということでは、医療機関との連携が重要で、身体機能や生活習慣病などによって通常の運動をすることに懸念を抱かれる人には医師との相談に対応できる体制が整っていることが条件となります。これらのことがシステムとして整備されている上に、これらのことを確実に実施できる人材が重要です。その人材は健康運動指導士(認定は公益財団法人健康・体力づくり事業財団)で、いつ施設に行ってもオープン時間には必ず1人以上の健康運動指導士がいて、プログラムに沿った運動ができる体制になっていることが絶対条件となっています。
ということは、何人かの健康運動指導士がいて、ローテーションを組んで指導できるということで、人材に金をかけている施設でないと、「厚生労働大臣認定運動型健康増進施設」を取得することができないということです。「厚生労働大臣認定運動型健康増進施設」は全国に300施設以上があり、この情報は日本健康スポーツ連盟のサイトを見るか、労働省のサイト内で検索すると出てきます。
こういった施設、設備、プログラム、医療連携、人材が整っていなくても施設を運営することは不可能ではありません。そこで働くスタッフの努力によって、それなりの成果をあげることはできます。それが美談として支えられている施設もありますが、美談は長続きするものではありません。スタッフが年齢を重ねていき、疲れも出てきて、うまくいかないこともあります。この人たちがいるからできる、では続かないので、いつでも誰でもできるようにプログラムを着実に実施し続けられるマニュアルが絶対に必要です。マニュアルが必要になってから作るのでは到底間に合わず、始める前からマニュアルを用意して、実際の運営を通じて変更を加えながら完成を目指していきます。
こういった姿勢があればこそ継続できる体制を完成させて、健康づくりの継続できるシステムを完成させることができると考えます。

「猫に小判」をもじった「下戸にご飯」の話を紹介したところ、この手の話が好きな雑誌編集者から「猫になんとかという面白いネタがありましたね」とのメールが届きました。私たちがよく使うフレーズでは「猫の手は借りたくない」というのもありますが、今回の話は「猫にこんばんは」です。猫に挨拶をしても意味が通じない、つまり話しても内容が伝わらない人のことを言うのに使っています。なぜ、このようなことを聞いてきたのかと問うたところ、私たちが意味する「通じない」ことを言う他のフレーズはないか調べているとのことでした。
もじりの言葉は、これから考えるとして、「馬の耳に念仏」「蛙の面に水(小便)」などの諺が使われています。雑誌の企画としては、“正しいことを伝えようと一生懸命になっても、理解できない人には無駄なこと”というのを打ち出したいということでしたが、伝わらないのは受け手が問題というよりも送り手の問題もあります。日本語の意味を充分に理解できないとか、年齢を重ねていくことで理解力が低下したとか、病気か何かで理解する機能が低下したということはあります。しかし、“よほどの相手”でなければ伝え方さえしっかりしていれば伝わらないようなことはありません。“よほどの相手”を伝える対象として選んだほうに問題があると考えるのが一般的かもしれません。
日本メディカルダイエット支援機構のモットーは「無理なく無駄なく」です。話しても無駄と考えるのではなく、無駄なく伝えるための内容と方法を考えて、場合によっては伝える内容を弱めるなどアレンジを加えるべきです。話し方や話す態度でも伝わり方は随分と違ってきます。自分たちの主張を曲げずに、理解できない人は来なくていい、実践してもらわなくていいということでは、広まるべきことも広まってくれません。「猫にこんばんは」と言って通じないとしても、どんな言葉の言い方をして関心を抱かせ、猫に話しかけたことの目的が達せられればよいと考えます。
これは霞が関のお役人と話していたときに出たことですが、カルシウムでダイエットできることを広められないかと言われたことがあります。カルシウムでやせるとしたら腸の収縮が盛んになって便通がよくなることが普通に考えられますが、カルシウムが不足すると太るというメカニズムは明らかにされています。食事で摂るカルシウムが大きく減ると骨の蓄積されたカルシウムを破壊して血液中に放出するために副甲状腺ホルモンが多く分泌されます。これによって一時的に血液中のカルシウムが多くなると、余分なカルシウムは脂肪細胞にも入り込みます。脂肪細胞にカルシウムが多く入るのは正常な状態ではないので、これを追い出すために脂肪を多く作り出す脂肪酸合成ホルモンが多く分泌され、体内の脂肪量が増えていきます。カルシウムを多く摂ることによって、これを防ぐことができるようになるわけです。
この説明は「猫にこんばんは」となりかねない内容ですが、なぜお役人がカルシウムダイエットまで持ち出そうとしたのかというと、カルシウムの摂取量が大きく低下していて、中でも40代の女性の摂取量が大きく下がっているからです。40代の女性は急に太り始める年齢でもあります。高齢社会の担い手が骨が弱い状態ではいけないので、カルシウムを摂ってもらうための方策を探していたということでした。
目的を達成することが大切で、そのための手段でしかないのに、手段ばかりに目が行ってしまい、目的のほうが進まない、目的を変えるようなことがあってはならないことです。そういった戒めとしたいときに「猫にこんばんは」を使うようにしています。

体質的にアルコールに弱くて飲酒できない人のことを下戸(げこ)と言います。これは古代日本の律令制度の課税の分類からきた言葉で、収入が多い人から大戸、上戸(じょうこ)、中戸(ちゅうこ)、下戸と分けられていました。収入が多い家ほど飲酒量が多く、下戸は飲酒量が少なかったことから、お酒を飲めない人のことを下戸と呼ぶようになったといいます。お酒を多く飲む人のことを上戸と呼んでいます。
上戸の人は飲酒量が増えるとご飯の量が減る傾向があります。傾向があるどころか、飲酒中にはほとんど食べないという人もいます。一般には飲酒のときに食べるものは、つまみと呼ばれます。今では関西のアテ(酒にあてがうもの)も全国区になりつつありますが、つまみもアテも多くの量を食べるという印象ではなく、お酒をおいしく飲むために口に入れるものという感じがあります。飲酒するときでも、しっかりと食べてほしいという思いもあって、つまみでもアテでもなく、“おかず”と呼ぶようにしている栄養関係者が増えています。
三大エネルギー源のうち糖質とたんぱく質は1g当たり約4kcalのエネルギー量がありますが、脂質(脂肪)は約9kcalもあります。これに対してアルコールは1g当たり約7kcalのエネルギー量があります。といっても、これは100%アルコールの場合で、25度(%)だと4分の1の量となります。100mlで比べて見るとワイン(14%)だと約80kcal、焼酎(25%)だと約140kcal、ビール(5%)だと約40kcalとなります。
これだけのエネルギー量があるので、飲酒量が増えたら、ご飯の量を減らさないとエネルギー源の取りすぎになるということで、当然の反応かもしれません。しかし、アルコール飲料には少しは栄養素も含まれているものの、そして赤ワインやビールにはポリフェノールなどの有効成分も含まれているものの、ご飯をしっかりと食べるのに比べると、エネルギー量が多いだけと言えます。
古代の下戸は家の収入が少ないので、ご飯の量は少なかったわけですが、今の下戸は飲酒量が少ないか飲まないことからご飯の量は増える傾向があります。家計の消費支出に占める飲食費の割合をエンゲル係数といいますが、以前はエンゲル係数が高いほど収入が低い証拠とみられていました。しかし、これは家庭での食事が中心であった時代のことで、高収入者ほど外食の回数、外食で使う金額が増えていきます。おかずを外で買って、家庭で食べる人も収入が増えるほど多くなっています。こういうこともあって、エンゲル係数だけで収入をみることはできにくくなっています。
そこで今、食事と収入の関係として注目されているのは米(精白米)の購入量です。米を多く買うほど家庭で食事をする機会が多い傾向があります。お酒を飲むときには、ご飯を減らす傾向があるので、下戸のほうがご飯を多く食べています。このような状態を示す言葉として使われるようになったのが冗談のようですが、「下戸にご飯」です。もちろん、「猫に小判」のもじりですが、これは価値がわからない人のことを指す言葉です。これに対して「下戸にご飯」は価値がないどころか、価値ある言葉です。
お酒ばかりを飲んでいるのではなく、飲酒量を減らして、その分のエネルギー量をご飯で補って、ご飯のおかずの種類を増やしてほしいと願っています。おかずは漢字では御加数と書きますが、これは江戸時代の健康指南書『養生訓』(貝原益軒著)で、おかずの種類を増やすことが健康の秘訣として紹介されています。