投稿者「JMDS」のアーカイブ

やせている人が長生きなのか、太っている人が長生きなのかという議論があります。高齢になると免疫が低下していくので、太っている人のほうが抵抗力は強くて長生きだという考えがあります。太っているといっても程度問題で、どれくらいがよいのかという論文は探しても出てこないのですが、標準体重よりも5%ほどプラスの体重がちょうどよいと考えられています。身長が160cmの人の標準体重は「1.6×1.6×22=56.32」で、約56.32kgが標準体重になります。これの5%増しは約59kgです。ここまでの体重なら健康面では問題がないという計算になります。
病院で入院患者を見ていると、高齢になるほど太っている人が少なくなる傾向があることから、「太っているほうが病人は少なくて長生き」という論拠として使われることがあります。しかし、高齢になると太っている人のほうが早く亡くなる傾向があるので、太っている人が少なくなっているだけ、という考えもあります。
糖尿病の人の場合は年齢と太っていることに関係があるかということですが、太っている人は内臓脂肪が多く、内臓脂肪から血液中のブドウ糖の取り込みを低下させる生理活性物質が多く分泌されてインスリン抵抗性を高めることが知られています。インスリン抵抗性というのは、ブドウ糖を細胞の中に取り込むために必要なインスリンが分泌されていても、インスリンの効きが悪い状態になっていて、血糖値が下がりにくい状態をいいます。そのために太っている人のほうが糖尿病になりやすいのは確かです。
しかし、糖尿病が悪化すると、ブドウ糖を細胞に取り込む能力が低下しているために、全身の細胞が栄養不足の状態になっていて、細胞レベルからやせていって、だんだんと全身がやせていくようになります。そのために「糖尿病は細胞が饑餓状態になる病気」と言っている専門家もいます。
糖尿病になるとやせていく理由として、もう一つ言われているのが、筋肉を作るためのエネルギーの不足です。細胞に取り込まれるブドウ糖が少なくなると、細胞の中にあるエネルギーを作り出す器官のミトコンドリアに取り込まれるブドウ糖が減っていきます。少ない量であっても、これを効果的に燃焼させるようにすればよいわけですが、ミトコンドリアにブドウ糖を取り込むためにはα‐リポ酸が必要になります。これは体内で合成される成分なので若いときにはサプリメントとして摂る必要はなくても、α‐リポ酸は20歳代をピークに合成量が減っていき、体内の蓄積量も減っていきます。年齢を重ねると大きく減っていて、ブドウ糖をエネルギーとする力が下がっていきます。そのために補給が重要となっていきます。
ミトコンドリアの中でエネルギーを作り出すためには、エネルギー産生のエンジンに当たるTCA回路で燃焼を進める補酵素の役割をするコエンザイムQ10が必要になります。糖尿病を予防するため、改善するためには、これらの成分が必要となるので、不安を感じている人はサプリメントとして摂ることも考えたいものです。
α‐リポ酸とコエンザイムQ10については、このサイトの「サプリメント事典」を参照してください。

健康づくりの目玉施策は、一世を風靡したメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)からロコモティブシンドローム(運動器症候群)へと移り、今では認知症対策へと移ってきました。日本メディカルダイエット支援機構が交流する研究者の中には、それぞれの治療施設を流行に合わせたのか、と思えるほど、メタボ→ロコモ→認知症と移ってきた方もいます。メタボリックシンドロームは2008年から始まった特定健診制度に合わせて発表されましたが、「10年ほどの研究で、すでに仕組みがわかり、解決法が確立されたので、自分が活躍できる場に軸足を移した」と言っていましたが、メタボから移る前にやってほしかったことがあります。それは、メタボリックシンドロームが始まるきっかけを明らかにすることです。
メタボリックシンドロームは、内臓脂肪が多く蓄積されることによって、内臓脂肪から分泌される生理活性物質が増え、そのために血圧や血糖値の上昇が見られるようになるもので、血管に負担がかかることから動脈硬化対策として大注目されました。腹囲(ウエストサイズ)は内臓脂肪の蓄積の指針となることから、これを減らすことが第一条件となり、腹囲が基準値以上の人は血圧、血糖値、中性脂肪値、LDLコレステロール値、HDLコレステロール値を正常範囲内に保つことの重要性が示されました。「要は太っていなければよい」という認識をする人が増えました。
これは間違いがないことですが、なぜメタボリックシンドローム対策が提言されたのかというと、人工透析患者が増えすぎて、国の医療費が大きく増えたことが始まりでした。人工透析の医療費は1か月に40万円ほどで、このうち3割負担なら12万円ほどを個人が支払うことになります。透析患者は33万人ほどなので、国の負担は年間1兆6000億円にも及びます。
人工透析は腎臓病が悪化して、腎臓の働きだけでは解毒ができなくなり、血液中の毒素が増えるので、これを週に2〜3回の人工透析によって取り除くというものです。腎臓の機能が低下する原因は、以前は腎臓病が一番でした。それが今では糖尿病の合併症である糖尿病性腎症のほうが多くなり、人工透析を減らすためには糖尿病を減らすことが重要であるということになりました。糖尿病は血管の新陳代謝を低下させ、血管の老化を進めていきます。腎臓で濾過をする部分は血管の一部で、腎臓病よりも糖尿病性腎症のほうが濾過の能力を大きく低下させていきます。
糖尿病の原因を探っていったところ、従来の食べすぎ、運動不足による血糖値の上昇に加えて、内臓脂肪が多く蓄積することによって分泌される生理活性物質が影響していることが明らかになりました。そこで内臓脂肪を減らすと同時に、血管に負担をかける血圧、血糖値、中性脂肪値、LDLコレステロール値を下げ、LDLコレステロール値を増やす作用があるHDLコレステロール値の低下を防ぐことが叫ばれるようになったわけです。
このメタボリックシンドローム対策によって、糖尿病性腎症の患者が減って、人工透析にかかる国の負担が減ったのかというと、2年後には少しは減ったものの、現在ではスタート時よりも増える結果となっています。「この事実を隠すため」という意地悪な分析をしていたジャーナリストもいましたが、そこまでいかなくても、あまり触れてほしくないことであり、そのムードがメタボリックシンドロームの始まりをあやふやにさせたところはあります。

コレステロールは悪玉という考えが未だに広まっているということなのか、食品の表示に「コレステロール“ゼロ”」と書かれているものがあります。そのほとんどは植物性の材料から作られているものです。コレステロールは動物性の食品に含まれている脂肪成分なので、動物性の材料が使われている食品の表示ならあり得ることです。健康食品は見た目では何が使われているのかわからないので、“ゼロ”表示は選択に役立つかもしれません。しかし、ジュースの表示で、それも野菜や果物が材料のものに“ゼロ”表示は無理を感じます。当たり前のことを表示するのは過剰表示でも不当表示でもないと言いたいのかもしれませんが、消費者を惑わすのが不当表示という考え方をするなら、これは問題ありです。
コレステロールは「悪玉コレステロール」と表現されることがあるので、悪いものという印象が抱かれがちです。悪玉コレステロールと呼ばれるのはLDLコレステロールの通称です。LDLコレステロールは低比重リポタンパクといって、コレステロールを全身に運ぶものです。コレステロールは脂肪で、血液は水分なので、水と油の関係から、そのまま血液中に入ると固まってしまい、流れにくくなります。そこで、タンパク質やリン脂質でコレステロールを包むような形でコレステロールを運んで届けています。
このLDLコレステロールが多くなりすぎると動脈硬化のリスクが高まることから悪玉と呼ばれるようになりました。しかし、コレステロールは全身の細胞膜の材料でホルモンや胆汁の原料となっています。コレステロールが不足したのでは生命維持ができなくなります。コレステロールが多いほうが長生きであるとの研究成果もあります。
コレステロールは生命維持に必要であることから肝臓の中で合成されています。合成の材料となっているのは糖質、脂質、たんぱく質です。これらの三大エネルギー源を多く摂りすぎるとコレステロールが多く合成されるようになり、それを運ぶためのLDLコレステロールも多くなります。LDLコレステロールが血液中で多くなる要因は、コレステロールが多く含まれた食品を摂ることではなく、全体的なエネルギー源の摂りすぎだったのです。
LDLコレステロールが多くなると動脈硬化のリスクが高まるのはLDLコレステロールのせいというよりも、LDLコレステロールが活性酸素によって酸化するためです。活性酸素を減らすために、抗酸化成分が多く含まれた色鮮やかな食品を摂ることが動脈硬化対策となります。LDLコレステロールを減らす医薬品を使うなら、同時に抗酸化成分も摂ることがすすめられてよいわけです。
不当表示ということでは、以前に「厚生労働省輸入許可」と商品パッケージに表示した例がありました。また、「消費者庁販売許可」とチラシに入れていたものもあります。海外の食品は厚生労働省の許可がなければ輸入できないので、「輸入許可」は間違いではないのかもしれません。健康食品などは消費者庁が販売にストップをかけたら売ることができないわけで、それを売っているということは許可されたのと同じだから、という理屈ですが、これも無理やり感があります。
当たり前のことを表示して惑わせるようなことは、消費者保護の観点から見逃すことはできないはずです。

ダイエットのデータを取りたいので協力してほしい、という依頼はよくあります。中には、ダイエットの効果が出やすい人を紹介してほしい、という困った依頼がくることあります。ダイエットの効果が出やすいような素材を教えてほしい、出やすい素材の組み合わせを教えてほしい、という依頼ならわかりますが、効果のほどに関係なく、よい結果を出して販売促進に使いたいということです。そういった依頼者には「本当に効果があるものを作ってから試験をしたらよいのでは」とアドバイスをするだけにしています。
というのは、ダイエット業界には“やせ屋”と呼ばれるダイエット商品を使って、しっかりと期待どおりの結果を出してくれるプロが存在しています。私どもに安易に聞いてくるのではなく、頑張って探せば、必ず巡り会うことができます。それくらい業界では有名な存在です。
普通に生活をしていても寝る前と目覚めたときに体重を測定すると800gくらいの差はあるのが普通です。代謝がよい人では夕食をしっかりと食べていても、寝ている間に代謝が進んで、1kg以上の減少は普通にあります。まず、代謝がよくて、最近になって太った人が探されます。依頼を受けてから太ってくれるプロもいて、あるダイエット食品の使用前の体重を測定する2〜3日前から多く食べて、できるだけ動かないようにして、体重測定に臨みます。
大相撲の世界に飛び込むときに体重が足りないからと、死ぬ思いをしながら水を飲めるだけ飲んだ、という話も伝わっていますが、それと同じことをする人までいます。そんなことをすれば体重が2〜3kgも増えたところからスタートすることができます。
もともと太っている人は、脂肪を溜め込みやすい体質で、ダイエット食品の効果が出にくいだけでなく、運動をしても脂肪が燃焼しにくい特徴があります。ところが、適度に太っている人が急に食べて、動かずに太ると、元に戻ろうとする恒常性維持能力が発揮されて、体脂肪の量も元の状態に戻ろうとします。ダイエット食品の広告の注意書きや、テレビ番組のテロップに「バランスの取れた食事と適度な運動を実施しました」などと掲載されていることが多く、ダイエット食品だけでやせたわけではないことが書かれています。
ということは、食事制限と運動によって特にやせやすい人が選ばれるわけです。これだけの運動をしたと書かれていない場合には、“適度”というのは主観であって、実は他の人では続かないような運動をしていることもあります。そんな運動をしなければならないときに耐えられることも“やせ屋”には求められています。一般的には2週間ほどがダイエット期間とされますが、ある特定保健用食品(トクホ)のデータを見ていたら、1.5kgの体重減少が示されていました。詳しい条件を見たら、70kgの人の3か月間での成果で、1か月なら500gです。こんなことは“やせ屋”の皆さんには楽勝の目標です。
さらに詳細を見ていたら、なんと体重は減ったものの体脂肪には大きな変化がなかったものまであり、体脂肪が減ったデータでは体重が増えていたというものもありました。体重が減って体脂肪が減っていないということは筋肉が落ちたということでしょうし、体脂肪が減って体重が増えたということは筋肉運動をしてもらって筋肉を増やしたということです。詳細データは機能性表示食品では消費者庁のサイトに全部出ているので、これを見るのは、ある意味で楽しみでもあります。

外見が若く見える人は、実際に身体の中も若い状態ということが多くなっています。このコーナーで繰り返し、「高齢者の年齢を75歳にする」という提言をしている日本老年学会と日本老年医学会の研究成果について紹介しています。両学会では、現在の高齢者の年齢の65歳を10年(10歳分)引き上げようというのだから、実際の身体的な年齢も10年は若くなっているものと感じている人は多いはずです。
確かに60歳になったときに、自分の親の60歳のときの写真と見比べると、昔の人が老けて見えるのはファッションや女性では化粧のテクニックの差だけではありません。髪の毛ばかりは“若白髪”“若ハゲ”ということありますが、皮膚の張りや艶、シワなどは大きく違っています。
60歳の人を親が25歳のときに産んだとすると、親が60歳に達したのは1992年のことです。この年の平均寿命は男性が76.09歳、女性が82.22歳です。60歳のときに母親が82歳で亡くなると計算すると、その差は22歳で、今の感覚からすると、まだまだ元気な年齢です。そのこともあって自由に動けなくなって、介護が必要になる人は少なく、「入院したら、そのまま……」ということも少なくありませんでした。今は元気な高齢者が多いので、入院しても回復して家庭に戻れるということですが、元気で体力がある分、介護状態になっても長生きできる人が多くなっています。
今から25年前というと、救急車で運ばれる脳血管疾患や心臓血管疾患の患者は病院で治療を受けることができたとしても亡くなることが多いのが実情でした。しかし、医療が進歩して、救急体制が整うことによって命が救われることになっても、その一方で介護状態、寝たきりになる人が増えることになりました。
親の世代は、その親に対して介護らしい介護をした経験がないということですが、時代を経て子供が60歳を超える年齢になった今、介護を受ける高齢者は80歳代前半では約3割、85歳以上では約6割になっています。つまり、60歳の親の年齢が85歳とすると半分ほどは介護をされることになり、その子供は介護をする世代ということになります。
今年(2017年)は戦後72年で、「72÷3=24」となり、3世代分に当たる計算です。それだけ時代が過ぎたということですが、介護する側に回ってみると、親の足腰、内臓機能が若ければ、どれだけ負担が少なくなるかを実感するところです。
こういった実情から考えると、介護される人が元気で介護する人の負担を減らすこと、介護する方も元気でいることが大切で、そのために私たちは元気の源であるエネルギー物質のATP(アデノシン三リン酸)を多く作り出すことの重要性を訴えています。そのエネルギー産生を促進するのが再三紹介している三大ヒトケミカルのα‐リポ酸、L‐カルニチン、コエンザイムQ10です。α‐リポ酸、L‐カルニチン、コエンザイムQ10については、このサイトの「サプリメント事典」を参照してください。

テレビ番組を担当しているディレクターのうち、私たちに質問をしてくる方の多くはテレビ局そのものの社員ではなく、下請けなり契約で番組を制作している会社に所属しています。中にはテレビ局の子会社の制作会社ということもありますが、全国キー局の番組を担当しているのに、なぜ私たちのような団体に質問をしてくるのか疑問を感じたことがあります。その質問の内容も、すでに知っているだろうということ、他でも調べられるようなことが多くなっています。
その一つの理由として考えられるのは、番組の中でコメントを述べてくれる専門家の紹介です。これまで付き合ってきた使いやすい専門家では、いつも同じような顔ぶれなので飽きられることもあります。これは急遽の出演のとき、つまりニュース番組のコーナーのコメントなどでは医薬博士や専門医の肩書きがあっても、言葉が適切かわかりませんが“そのへんのクリニックの先生”で間に合わされることもあって、視聴者の信用性が得られるか不安を感じることもあります。
なぜ、そのへんの先生とわかるのかというと、私たちは大学などの研究機関の発表を常に検索していて、これは「健康情報メール」として毎週発信していますが、医科学の学会にも参加して各学会の共通認識となる発表を見聞きしているからです。そのおかげで、テレビ番組や雑誌記事でトピックスのように取り上げられることが、それほど大騒ぎするような話ではない、ということにも気づいています。これまで学会で発表も発言もしたことがない先生が、共通認識と少しズレた話をしていることもあるので、そのへんのことはディレクターやプロデューサー、その他のメディア関係者にも話すようにしています。
もう一つ理由として考えられるのは、というよりもメディア関係者から何度か言われたことがありましたが、私たちの“切り口”です。本当は“鋭い切り口”と書きたかったこともありますが、同じネタであっても、なるほどと共感が得られる切り口、そんな考え方もあるのかと感じられる切り口を提供しているからです。ディレクターも記者も厳しくて、企画会議のときに採用されるネタを出さないと仕事がもらえないことも多くなっています。テレビのディレクターはネタ探しを、雑誌など目を皿のようにして隈なく見ていっています。その雑誌を書く記者は、新聞を隈なく見てネタ探しをしています。
新聞のネタは役所や公益団体、研究機関などからの発表データが使われているので、私たちの「健康情報メール」は、そのネタそのものとなっています。「探す手間が省けて便利」などと言われると情報発信をしていてよいのかと考えることがないでもないのですが。
同じような研究を行っているはずなのに、研究機関や研究者によって異なった方向や違った方向の結果となることもあります。「健康情報メール」は平成22年の4月から発信しているので、7年半ほどにもなります。これだけ見続けて、その中から選択していると、いろいろなことに気がつきます。中には民意を誘導しているのでは、と感じるようなものを見つけることもあります。
こういった活動をしているので、他とは異なる見方をするようなことになり、これは違った目線で捉えて報道するメディアと共通しているようです。このようなことを書くと、またメディアからの問い合わせが増えるのは承知していますが、これも私たちの役割の一つなので、覚悟をして待つようにしています。

西日本の夏は太平洋高気圧の上にチベット高気圧が重なった状態になったことで、地元地域の人たちが「こんなに暑いのは初めての体験」と言うくらいに暑い夏が続いた一方で、関東では8月の晴れない日が20日以上も続いたのは初めてという寒い夏になったり、台風が長く居座って記録的な大雨が続く、ゲリラ豪雨になったり、雹が降ってきたりと暮らすのにも大変でしたが、食べるものへの影響も大きなものがありました。
野菜は自然の中で栽培するものです。ハウス栽培もあるものの、これも天候が重要となります。日光を浴びる量が少なくなれば育ちが悪くなり、日差しが強ければ育ちがよくなるようなイメージもありますが、畑の中の温度と水分量に影響が出れば育成にも関わってきます。野菜が採れないので価格が高いということばかりにスポットが当てられがちですが、よい環境の中で充分に育つことによって栄養も豊富になっていきます。
日光を浴びる時間によって変化してくるのがビタミンの量です。ほうれん草の育ちが悪いことがテレビ番組で取り上げられていましたが、ほうれん草は、いつでも出回っています。そのために旬がわかりにくくなっています。最も栄養が豊富な時期は11月から2月なので、このことから冬を旬とするのが一般的です。ほうれん草は夏場にはビタミンの量が減ります。食品成分表(正式には日本食品標準成分表)によると、ほうれん草の可食部(食べられる部分)100gに対してビタミンCの量は旬には60mg、旬以外には30mgと記載されています。旬の半分にもなるビタミンCが日照不足によって、もっと少なくなるのは当然に想像がつくことです。
そもそもほうれん草のビタミンCは昭和22年の初版の食品成分表では150mgでした。それが改定のたびに100mg、65mgと低下しています。この65mgは年間の平均値です。今では旬のものが、かつての平均値を下回っているわけです。
日照不足で含有量が低下するのはビタミンだけでなく、ポリフェノールも低下します。ポリフェノールは紫外線に反応して増えていく色素で、トマト、ナス、ピーマン、トウガラシなどの色鮮やかな野菜は日照時間が短くなるほど減っていきます。このポリフェノールは活性酸素を消去する抗酸化成分であるので、これを食べることで私たちの身体が酸化されるのを防いでくれます。緑黄色野菜の魅力はポリフェノールなので、これが減ったのでは、せっかくの健康効果が期待できなくなります。
栄養素が低下している時期には、野菜をたくさん食べて減っている栄養素や成分を補うのがよいといっても、日照不足で育ちが悪いときには価格が高いので、食べる量を増やせとは言いにくい現状があります。となると、この時期だけは不足する栄養素と成分を補うサプリメントの使用も仕方なしという発言も出てくるでしょう。日照の問題だけでなく、そもそも野菜は栄養素が以前に比べて大きく減っているので、これを補うために日常的にサプリメントを摂ることも、当然のように考えなければならないことです。

病院に通っているものの、生活習慣を改めて、食事に注意して運動を取り入れていることで血圧や血糖値、中性脂肪値などが安定してきている人が、それを確認するために病院に行って検査を受けると結果がよくないということは例外の話ではありません。
中には検査数値を気にして、数日前から食事を減らしたり、運動の時間を増やしたりと、医師の指示よりも頑張ったのに、結果がよくないという人もいます。血圧や血糖値は家庭で自分でも測定できるので、この状態なら病院での検査でも大丈夫と思っていても、実際に病院に行って検査を受けると残念な結果ということもあります。
病院に行くだけでストレスがかかるということはあります。いつもとは違った時間に起床して、慌ただしく出かけて、病院に行くことだけでも階段の上り下りや交通機関での移動、通行する人とのすれ違い、周りの人への気遣い、家にいるときとの気温の違いなどストレスを高める要因はいくつもあります。そして、病院に着いたら、手続きが面倒、順番待ちの時間、病人に囲まれた環境、どんな結果になるかの不安もあります。医師や看護師、スタッフの態度でも、それこそ血圧が上がりそうになってしまいます。
「検査数値を上昇させるために、わざとやっているんじゃないか」と思えるような環境や態度のところもありますが、こういったことがあることを医師がわかっていて、検査数値だけを見るのではなく、検査の前の状況を患者に聞くとか、検査当時の気温や湿度を考えるだけでも見方が変わってきます。患者の検査数値の変化に過敏に反応して、結果がよくないと医薬品の種類や量を変えようとする医師の場合には、実際の状態よりも多めの薬が使われてしまうことにもなります。
血圧、血糖値、中性脂肪値などは食事や運動だけでなく、その時々の体調によっても変わってきます。血圧はストレスに反応しやすく、血圧を下げるつもりで食事や運動を変えたことで、かえって血圧が上がることがあります。ストレスによって血糖値が上昇するのも当然のことです。ストレスがかかると心身の負担に耐えるためのエネルギーが必要になってきますが、そのエネルギーとして初めに使われるのはブドウ糖です。血糖値の血糖は血液中のブドウ糖のことなので、血糖値が変化するのは当然のことです。
どんな変化なのかというと、エネルギーとして使われて血糖値が下がるのではなく、逆に上がるという変化です。ストレスがかかると、肝臓と筋肉の中に蓄積されているグリコーゲンが分解されてブドウ糖が血液中に放出されます。グリコーゲンはブドウ糖が組み合わさってできたもので、活動に使われるエネルギーを溜めておくための形となっています。ストレスがかかると血糖値が上昇することがわかれば、検査の前に無理なことをするのはやめたほうがよい、ということがわかります。
慌てて病院に向かって、すぐに検査を受けるのではなく、余裕を持って出かけて、少し休んでから検査を受けることをすすめる人もいます。そのために家を早く出ると、これがストレスとなることもあるので、早朝には病院に行かないようにするといったように、考えるべきことは多々あります。

健康づくりは楽しいことばかりではありません。むしろ楽しいものではないという人もいます。楽しみながら食べてやせられることもあれば、楽しみながら運動をすることもあるでしょうが、食事も運動も正しいとされることを、ずっと続けるのは大変なことです。それでも続けられるのは目的があるからで、一つにはモチベーションがあげられます。
モチベーションは行動を起こすときの原因、つまり動機のことですが、内なる動きによって続ける意欲が湧き上がり、それが途切れないことで、目的を達成するまでやり続けることができます。楽しいことや励まし、名誉などがあげられますが、それよりも利益だという人も少なくありません。
利益というとインセンティブが言われます。インセンティブの元々の意味は目的を達成するための刺激のことですが、今では働いた結果の報奨金のほうがしっくりとくるほど、利益を指すようになってきています。
健康づくりのインセンティブというと、健康になった、健康になるための取り組みに参加した、ということに対して金券や商品券が与えられることがあります。スマートウエルネスコミュニティ協議会は企業と自治体との連携で、「健幸ポイント」を掲げて、一定の行為にポイントを提供して、テスト段階では1年間に最高24,000ポイント(1ポイント=1円)分の金券が提供されるという活動で、3年間でポイントとして自治体が使った分と同等の経済効果をあげています。この場合の経済効果というのは、医療費の軽減です。
医療費は保険がない場合には全額負担となります。条件によって3割負担なり1割負担を本人がしているわけですが、医療機関で支払った分以外は国や自治体が負担をしています。保険を受けるために支払っている保険料は、これに使われているわけで、不足している分は他の税金が使われることになります。自治体は全体の1割分の保険料を負担するのが基本です。健幸ポイントに参加した人の医療費が24,000円ほど減ったということです。
健康づくりに参加して金券をもらうことはインセンティブとなり、さらに健康になったということで個人としても医療費を使わずに済んだので、これにインセンティブがプラスされていることになります。さらにインセンティブがプラスされるためには、金券の使い道が問題です。単なる金券なら何に使ってもよいことになります。例えば、甘いものを我慢して、お酒を我慢したという人が“自分へのご褒美”として我慢していたものを買うということがあります。中には頑張ってもらった金券を孫に何かを買ってあげるために使うということもあります。そのインセンティブがモチベーションになって、健康づくりが続き、健康寿命を延ばして医療費が抑えられるなら、これは意味があることになります。
本来なら金券はベネフィットであると考えています。ベネフィットは幸福につながる利益を指す言葉で、金券が健康づくりに役立つことに使われるのが理想と考えますが、それよりも子供のため、孫のため、妻のため、恋人のためということでモチベーションが高まって継続できる人がいることは事実です。その人によって選べるようにすることを検討すべきだと考えているところです。

今回のテーマの「スポーツ大会で元気な要介護者を増やす」は、スポーツ大会に要介護者を参加させて元気にする、という意味ではありません。スポーツ大会を実施することで要介護になっても元気にいてもらうということで、話の対象としているのは、まだ介護を必要としない健康な高齢者です。要介護認定を受けるというと、身体機能が低下して自由に動けなくなること、内臓機能が低下して生活習慣病を発症していること、そして認知機能も低下して日常生活に支障が出ていることをイメージする人が多いようです。この三つが揃っている人もいます。
年齢を重ねるほど多くなっているのも事実です。しかし、介護予防の一次予防として運動を積極的に取り入れることで、年齢を重ねて介護認定を受けるような状態になっても、どれか一つだけ、できれば認知機能は低下させずに年齢相応に足腰の問題か、軽度の生活習慣病(血圧、血糖値、中性脂肪値が少し高い)で済ませたいとは多くの人が願っていることです。
介護する側が楽になるような状態にして、“喜んで介護する”というような状況に持って行くための方法として、よく言われる健康づくりの基本である栄養・運動・休養のうち、最も注目されているのは運動です。厚生労働省の『介護予防マニュアル』によると、運動は運動器の機能の向上にも役立つとされるものの、特に重きが置かれているのは認知機能の向上です。中でもウォーキングは認知機能の項目の中に入れられており、歩くことが脳に与える好影響が語られています。
介護予防のための運動というと、指導する先生がいて、高齢者は参加する生徒というようなイメージが抱かれがちです。しかし、日本老年学会と日本老年医学会が高齢者の年齢を65歳以上から75歳以上に引き上げることを提案しており、65歳から74歳までは前期高齢者ではなく、“准高齢者”として介護される側から、むしろ介護を担う側になることを期待して示しています。一次予防の運動では、ただ身体を動かすだけではなく、指導する側に回って先生になる、さらに運営に参加して役員になる、団体を細分化して支部長になるといったことも考えられます。
日常的に限られた地域の中で活動するだけでなく、活動の輪を広げて、周辺の地域でも活動する、周辺のグループを集めて大会を開く、この活動を都道府県内に広げ、県境を越えて交流活動をする、やがては全国大会を開催するということも視野に置いています。全国大会の開催の権利は、この活動を始めた地域に与えてモチベーションを高めて継続させていくということも考えられます。
この方法なら、一次予防に生徒として参加する人にも、先生として参加する人にもよい結果となり、そして生徒と先生の家族にとってもベネフィット(幸福につながる利益)を与える“三方良し”の状態(近江商人の売り手良し、買い手良し、世間良しではないですが)とすることができます。さらに、一次予防を呼びかけて応援する自治体にとっても、健康な人が増えることによる医療費の削減、要介護になったとしても軽度で済むようになって、介護する方にも介護される方にもベネフィットを与えることにもなります。
ここまで考えると“○方良し”の丸の中に入るのは、五なのか六なのかわからなくなるくらいに幸せな状態を作り出すことも可能となっていきます。