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「サプリメントは食品なので、いつ摂ってもよい」とされているものの、実際にはタイミングが異なると摂っても吸収されないことがあります。空腹時に摂らなければならないものとしてはα‐リポ酸があげられます。それとは逆に食後に摂らなければならないものとしてはコエンザイムQ10があげられます。それなのに、両方ともダイエットに効果があるということで、一つのサプリメント製品に二つの成分が合わせて使われることがよくあります。空腹時に摂っても食後後に摂っても、どちらかの効果が得られないことになります。
女性誌のライターと話しているときに、「それなら食べているときに摂ればよいのですか」と聞かれたことがあります。空腹時は胃が空の状態で、食後は胃の中にたくさん入っているときだから、その中間の食べている途中で摂ればよいのではと考えたのかもしれませんが、胃の中の状態は食後と変わりがありません。「クスリなら食間に飲むものもあるのに」とも言われましたが、そのライターさんは食間の意味を間違えて理解しているようでした。
医薬品を飲むタイミングの“食間”は、食事と食事の間のことです。ライターさんの考えだと、食間に飲むクスリは食べている途中で箸を置いて、クスリを飲んでから、また食べるということになります。このタイミングは“食中”です。
摂るタイミングが異なるサプリメント素材であっても一緒に摂って問題がなくなる方法としてはシクロデキストリンで包接する方法がありますが、商品の種類としては少数派です。今のところ誰もが買って摂れるというものではなく、その普及には力を入れているところですが、手に入れる方法がないという人のために、別のもので摂る方法も紹介しています。
代謝を促進する三大ヒトケミカルのα‐リポ酸、L‐カルニチン、コエンザイムQ10のうち、空腹時(食前)に摂るものでは、α‐リポ酸とL‐カルニチンが使われたものを選びます。L‐カルニチンは水溶性のため、いつ摂っても吸収される性質となっています。食後に摂るものでは、脂溶性のコエンザイムQ10とL‐カルニチンが使われたものを選びます。ただ、L‐カルニチンはたんぱく質との相性がよくて、たんぱく質が含まれた食品(肉、魚、卵、豆など)を食べるときに摂ることで吸収がよくなります。
α‐リポ酸とL‐カルニチンが使われたものを空腹時に摂る人は、食後にコエンザイムQ10を摂ることで3種類の代謝促進成分を摂ることができます。コエンザイムQ10とL‐カルニチンが使われたものを食後に摂る人は、空腹時にα‐リポ酸を摂ることで3種類の代謝成分を摂ることができるというわけです。
α‐リポ酸、L‐カルニチン、コエンザイムQ10については、このサイトの「サプリメント事典」を参照してください。

自治体の介護予防事業の説明会や実際の事業のための会議に参加して思うのは、介護予防の一次予防のことになると、どうして同じようなことを各自治体でやっているのか、効率的に進めるためにモデルを導入する方法がないのか、ということです。一次予防は前回も説明したように、まだ介護が必要でない高齢者(65歳以上)を対象に、要介護とならないように運動や栄養などの指導を実施することを指します。地域交流として介護施設の中で実施する例もありますが、地域で実施するのが通常で、公共施設やアウトドアで行われるのが一般的です。
自治体が音頭を取って場所を提供するだけでは進みにくく、運動や栄養の指導者、運動の場合は実施するための補助者も必要になります。人だけいても継続的に進めるのは大変で、実際に運動をすることによって、運動を補助する栄養を摂ることによって成果が得られることが明らかにされているプログラムが必要です。栄養の指導は自治体にも栄養士がいるので、なんとかなると考えているところが多いようです。しかし、運動との組み合わせの栄養で、効果を上げる方法となると、充分に理解している栄養士は自治体の場合では少ないようです。
運動のプログラムは運動の専門家に任せればよいと考えるところでしょうが、任せると言われても介護の実態もわからない状態では、的確なプログラムを構築するのは困難とも言えます。こういったことから自治体が介護事業者とスポーツジムやフィットネスクラブの運動事業者を呼んで、両者にリサーチをして意見を聞くなどしていますが、運動を知らない介護事業者と介護を知らない運動事業者では話が噛み合わず、なんとか噛み合ったとしても歩みが鈍く、すぐにも一次予防の運動で要介護者を減らしたい、介護費用を節減したい、医療費の節減まで進めたいという自治体の望みをかなえるには期間がかかりすぎます。
個々の自治体、個々の介護事業者では難しいことなので、介護事業者を取りまとめる団体が、情報発信をして、介護事業者が一次予防の運動を充分に理解して実施する、もしくは充分に理解して運動事業者と協力して実施するということが望まれています。それを実現するといっても、全国的に一斉に始めることは時間も金もかかるのは当然のことなので、一つの地域でモデルケースを作り、それを各地域の実情に合わせてアレンジして、実現可能な形として介護事業者に提供することが近道であると考えています。
そのために連携すべき介護事業の団体と、連携内容については進み次第、徐々に明らかにしていきますが、日本メディカルダイエット支援機構は運動と栄養の組み合わせによる代謝促進の研究、日本人の体質研究、高齢者の身体特徴による運動と栄養の指導の成果を、すべて活かして取り組んでいます。健康運動指導士に対してはサプリメント教育としての実施でしたが、高齢者の運動と代謝、栄養補給について資格認定教育を公益財団法人で実施してきており、まずは身近な自治体と介護事業者、運動事業者に提供し始めたところです。

介護予防は一次予防と二次予防が一般には知られています。一次予防は、まだ介護が必要とは認められていない高齢者(65歳以上)に対して実施されるもので、介護を受けるようなことにならないように運動や栄養の指導が行われます。現在は認知症予防も重要事項となっていますが、運動をすることが認知症予防につながることが研究によって明らかになり、一次予防は運動が中心となり、これを補助するために栄養が語られるようになってきています。
運動の中でも有酸素運動のほうが有効性が高いとの発表があるものの、筋肉トレーニングの無酸素運動にも認知症の改善効果が知られるようになってきていることから、それぞれの運動の効果、両方を組み合わせた効果が期待されています。
二次予防は、すでに要介護の認定をされた高齢者が、これ以上は状態が進まないようにすることを主に実施されるもので、高齢者施設や介護施設で実施されています。運動といっても一次予防のような積極的なものではなく、どちらかといったら緩やかな状態のものが採用されています。
二次予防の内容については、これまで介護施設で実施されてきたことから、介護事業者で充分に対応ができます。自治体の支援を受けて新たな介護施設を設けることが増えていて、介護事業者が受託して運営する例が増えています。自治体から要望されるのは介護と二次予防だけでなく、要介護者以外の一次予防も合わせて実施が求められることが多くなっています。これに対して、運動が中心となるということで二の足を踏んだり、一次予防の部分は外部と連携して実施することも増えています。
外部連携の多くはスポーツジムやフィットネスクラブです。高齢化・少子化が進む中、スポーツジムなどは集客が大変になってきているところも多く、介護予防の一次予防への進出を狙っているところが増えてきています。しかし、運動は得意であっても介護には詳しくないところがまだまだ多く、運動と栄養との組み合わせによる予防となるとお手上げというところも見受けます。
日本メディカルダイエット支援機構の理事長が支援している運動施設には、介護事業者から運動と栄養の組み合わせによる一次予防の実施支援の要望が寄せられています。スポーツジムからの要望は、まだですが、これは私たちが介護予防としての一次予防に取り組んでいることが、まだ広くは知られていないことがあります。
当機構の理事長は、健康と運動を事業とする公益財団法人の理事を務めていたことがあり、運動と介護予防の事業に取り組むことを法人のトップに話したとき、スポーツジムの介護事業参加への協力を要請されました。当機構が運動と栄養の組み合わせによる効果的な運動指導を行っていることを知ってのことです。協力のための新組織を立ち上げることが検討されましたが、スポーツジムの方々に介護の実態、高齢者の特徴、日本人の体質の問題点などを踏まえて運動指導をすることが現状では難しいことがあげられています。
その現状からすると、介護事業者の方々に一次予防の運動と、栄養との組み合わせによる指導法を教育して充実を図ることのほうが早く、確実性もあるのではないかとの議論が始まっています。介護事業者が運動の効果、運動と栄養の組み合わせによる効果を理解した上で、運動事業者との連携を進めていくという考えです。“早く”ということが議論の重要事項となっているのは、高齢化が待った無しの状況で進んでいるからで、高齢化率30%の大台は、あと2〜3年後に迫っています。
すでに要介護となった方々のための二次予防による平均寿命の延伸も大切ですが、まだ介護が必要でない人を要介護にしないように、要介護になる人を減らすために一次予防に取り組んで健康寿命を延ばすことが多くの高齢者を抱える自治体の命題、緊急課題となっているのです。

もういい加減に飽きたとの声が出るくらいに何度も「ヒトケミカル」のことを紹介してきました。以前はネット検索で「ヒトケミカル」と打ち込むと、「フィトケミカルで検索しました」と表示がされて、「ヒトケミカルなんて間違いじゃないのか」とネット検索にも判断されるくらい知られていませんでした。それが今では「ヒトケミカル」の検索で次々と出てきます。これは日本メディカルダイエット支援機構のWEBサイトのおかげではなく、当機構の役員と、その関係者が頑張って研究と普及を進めてきているからです。
健康誌の編集者から「ヒトケミカルをメディカルダイエットと結びつけて発表しているのですか」と聞かれました。ヒトケミカルを紹介したくて、メディカルダイエットと強引に結びつけていると思われたからの発言でしょうが、まったく逆です。メディカルダイエットの研究で行き着いたのがヒトケミカルです。ヒトケミカルの研究者が理事になっていることから、理事の研究をメディカルダイエットとして打ち出しているのではないか、とも言われることがありますが、それも逆で、メディカルダイエットの研究を理解して協力してくれたのが三大ヒトケミカルであるα‐リポ酸、L‐カルニチン、コエンザイムQ10の研究者だったのです。
ここまで話しても、まだ言い訳のように感じるメディア関係者も少なからずいますが。
日本メディカルダイエット支援機構は、医科学に基づいた健康になるためのダイエットの研究と日本人の体質の研究を行ってきました。余分な体脂肪を減らすのがダイエットと考えられていますが、食事と運動によって筋肉を増やすこともダイエットです。これによって体重は増えても、健康のためにはよい状態になっているので、一般的なイメージと違っていても、間違いなくダイエットです。
メディカルダイエットの普及のために、アスリートや健康運動指導士などの指導や、専門家だけでなく一般向けの資格認定も行ってきましたが、たんぱく質を多く摂っても筋肉運動をしても、運動と食事のタイミングによって効果的な筋肉増強法をやってみても、なかなか筋肉が増えない人がいるという悩みがありました。日本人は運動をしても筋肉が増えにくいという体質がある上に、特に高齢者の場合には運動の効果が現れにくくなっています。
その理由を突き止めるための研究を重ねて、無理なく無駄なく効果が上がる方法として細胞でエネルギーを作り出す小器官のミトコンドリアにたどり着き、ミトコンドリア内に糖質(ブドウ糖)と脂質(脂肪酸)を取り込み、燃焼させる働きと同時に、エネルギー物質のATP(アデノシン三リン酸)によって筋肉を増やす働きがあることがわかったからです。
L‐カルニチンには脂質をミトコンドリアに取り込むメインの働きとともに筋肉を増強する働きがあることも確認されていて、L‐カルニチンを摂ることで筋肉を増やして、さらに脂肪燃焼の能力が高まることが知られています。これらの三大ヒトケミカルを有効に使うことで、同じ運動を実施して筋肉増強と脂肪燃焼の両方がかなえられることがわかり、メディカルダイエットの大テーマとしてヒトケミカルの研究に注力してきたのです。
α‐リポ酸、L‐カルニチン、コエンザイムQ10については、このサイトの「サプリメント事典」を参照してください。

毎日更新している「最新情報」ですが、ときどき1日に2本以上が掲載されることがあります。これは、その日のうちに伝えたいことが複数あるということですが、理事長が早朝から動き回って多くの人と会う前日に、よくあることです。別の方と次々に会うのに、同じような話題がのぼることがわかっているので、細かなことは「最新情報」で説明してあるから、そちらを見てほしいということで書いたのが始まりです。掲載から数日して一覧に入ると日付が消えるのでわかりにくくなりますが、この原稿が、まさに2回目の更新です。
理事長は現在、岡山市内に住んでいます。岡山市に隣接する赤磐市に運動と介護予防の施設が建設中で、その開設のためと、地方創生の健康づくりのモデル事業構築のために移り住みました。そして、ときどき東京に戻って、東京でなければならない仕事をしています。今回、話題にのぼることがわかっているのは「一過性黒内症」です。白内障や緑内障という言葉は聞いたことがあるでしょうが、黒内症も眼に起こることで、視野が一瞬暗くなることから一過性と先についています。今の時代に原因は明らかではなく、脳の血流が一時的に低下して視野を明るく保つ機能が低下するものと考えられています。おそらくは脳血管が影響していると思われます。
短い打ち合わせの連続なのに、わざわざ話題にするのは理事長が一過性黒内症になり、わずかにですが仕事に支障が出ているからです。「無理な仕事はやらせないで」という意思表示でもあります。
今のところは一過性の名の通り、数秒から長いときで1分ほどのことです。歩いているときには立ったまま休めばよいので問題はないのですが、一瞬でも見えなくなるとハンドルを握って運転をすることはできません。岡山市内といっても郊外の方で、岡山駅から各駅停車で23分かかるところなのでクルマなしでは生活できないとされる地域です。これを除けば心身には特に問題はないのですが、原因が解明されなければ完治のための治療もできないのが西洋医学で、バランスの取れた食事、適度な運動、充分な休養という当たり前のことをして日々のことをこなしているところです。
一過性という文字がつく病名に、一過性脳虚血発作というものがあります。一過性でサイト検索すると黒内症よりも健忘症よりも先に出てもので、それだけ患者も多いようですが、メディカルダイエットを法人として研究を始めたきっかけが理事長の一過性脳虚血発作でした。これは脳の血流が一時的に悪くなって障害が起こるものですが、24時間以内に症状が消失するのが一過性の特徴です。24時間以上継続したら、これは脳梗塞と診断されます。一過性脳虚血発作は血栓が脳血管に詰まることによって起こるもので、その原因は脂質異常症とされます。血液中の中性脂肪やLDLコレステロールが多くなりすぎることによって大きな血栓ができて、それによって血流が低下した部分に症状が出ます。
しかし、理事長は中性脂肪値もLDLコレステロール値も、そして血糖値も正常範囲内で、問題が起こるような状態ではなかったことから、今まで健康科学情報センターと健康ペンクラブで発信してきた当たり前の健康情報では対応できないのではと考え、両団体の研究部門を統合して日本メディカルダイエット支援機構を立ち上げ、内閣府の認証を得て特定非営利活動法人(NPO法人)として活動を始めました。健康関連の研究の最先端を多くの医師や研究者に知ってほしくて、「健康情報メール」を毎週1回送るようになり、これは8年半も続けています。
一過性脳虚血発作をきっかけに立ち上がった当機構が、次に一過性黒内症をきっかけに何を起こせるのか、果敢にチャレンジしているところです。

糖質制限は、その名のとおり、食事で摂る糖質の量を制限することです。日本人の食事摂取基準(2015)によると1日の摂取エネルギーのうち糖質を50〜65%、脂質を20〜30%、たんぱく質を13〜20%のバランスで摂ることが推奨されています。半分以上のエネルギー量を摂るべきとされる糖質を制限するのですから身体に影響が出ることは当然のように考えられます。
その影響をよい方向で捉えてすすめているのが“糖質制限派”で、「糖尿病は糖質に含まれているブドウ糖によって引き起こされているので、糖質制限をすれば血糖値が安定する」と言います。糖尿病の診断基準となっている血糖値は、血液中のブドウ糖の量を示しているので、身体の中に入ってくるブドウ糖が減れば、それだけ血糖値は下がります。血糖値が下がった状態で血液検査をすれば、低くなるので、糖尿病ではないということになるのかもしれません。
糖質制限によって血糖値が下がったことで、「糖尿病が治った」ということを言っている人もいます。また、中にはインスリン注射を使っていて、それで血糖値が下がっているので甘いものを食べても血糖値が一定よりも上昇しないことから、これを治ったと表現している人もいて、これは困ったものだと思っています。
血糖値だけに注目した話なら、これでよいのかもしれませんが、血糖値は糖尿病の指標であって、本質的なことではありません。全身の細胞はブドウ糖を取り込んで、中にあるミトコンドリアという小器官でエネルギーを作り出しています。ちゃんと取り込めていて、エネルギーとなっていれば糖質を多く摂っても血糖値が大きく上昇することはなく、食事から時間が経過すれば血糖値は下がっていきます。ところが、時間が経過しても血糖値が上昇したままということがあり、これが糖尿病です。細胞に取り込まれなかったブドウ糖が血液中に戻り、血液中のブドウ糖が濃くなった状態が血糖値です。糖尿病の血糖値は食事で摂ったブドウ糖だけを問題にしているわけではないのです。
一般には食事で摂るエネルギー量の半分以上が糖質となっているのは、糖質の中に含まれるブドウ糖が重要なエエルギー源で、すぐにエネルギーとして使われやすいからです。それなのに糖質制限によって身体の中に入ってくるブドウ糖が少なくなると、細胞に取り込まれるべきブドウ糖が、ますます減るようになります。糖尿病は、ただでも細胞がエネルギー不足になっているところに、ブドウ糖の量が極端に減ってしまうと、細胞は飢餓状態にもなります。そして、全身の細胞を正常に働かせ、活動に欠かせないエネルギーが充分に作り出せないことにもなります。
糖尿病で入院すると、ご飯の量が驚くほど多い“糖質無制限”の食事にビックリする人も多いのですが、これはブドウ糖を取り込む能力が低いことから、多くの量を摂ってもらい、エネルギー不足にならないようにするための処置です。身体を動かすのにも、病気と闘うのにもエネルギーが必要です。そのエネルギーを作り出すためのエネルギー源が糖質というわけですが、糖質を摂って、しっかりと燃焼させてエネルギーを作り出すためには、エネルギー代謝を促進するための成分が必要です。それは三大ヒトケミカルと呼ばれるα‐リポ酸、L‐カルニチン、コエンザイムQ10です。どれも体内で合成されるものの20歳代をピークに減少し続ける成分で、糖尿病の人では特に大きく減っています。
となると、やるべきは糖質を無理に制限するのではなくて適正量に控えて、エネルギー源を確保した上で、三大ヒトケミカルを摂るようにすることです。α‐リポ酸、L‐カルニチン、コエンザイムQ10については、このサイトの「サプリメント事典」を参照してください。

納豆の有効性について研究とPRを納豆業界の依頼で実施したことがあります。その後に豆腐業界、豆乳業界からも依頼がありましたが、どれも大豆が材料で、同じような資料で、同じようなことを書けばよかったので、それほど困難な仕事ではなかったのですが、それぞれに特徴があり、納豆には納豆菌という優れた発酵菌があります。発酵させるだけでなく、商品としての納豆になってからも残って、これが腸内の発酵を進めることから善玉菌と同等の扱いがされています。
納豆菌が発酵によって作り出すものも重要で、その中でも注目されたのがポリアミンです。ポリアミンは大豆の中に含まれていますが、発酵によって納豆の中に多く含まれるようになります。ポリアミンが注目されたのは抗酸化性がある上に炎症を抑制する作用があって、寿命を延ばす作用があるとの研究発表が続いたからで、納豆を食べていれば寿命が延びるのでは、健康寿命が延ばせるのでは、と期待されたものです。納豆はPRが功を奏して売り場が広がり、食べる人も増えたのですが、誰もが食べるというものではないこともあって、ポリアミンを摂るなら何が何でも納豆ということにはなりませんでした。
ポリアミンと同様の働きとして今、注目されているのはスペルミジンです。これはチーズに多く含まれ、日本人がチーズを多く食べるようになるのと同じ曲線を描いて寿命が延びてきたこともあって、チーズ人気が高まっています。ここまで聞くとチーズを食べようという気になるかもしれませんが、日本人が多く食べてきたのはプロセスチーズです。プロセスチーズは発酵しているナチュラルチーズを加熱溶解させて成型したもので、乳酸菌は含まれていません。乳酸菌による発酵によってスペルミジンが発生するので熟成、中でも長期熟成させたチーズに多く含まれています。
スペルミジンの有効性は抗酸化、炎症抑制、寿命延伸と、どこかで聞いたような話です。ひょっとすると、と調べてみたら、スペルミジンはポリアミンの一種であることがわかりました。ポリアミンは体内に20種類以上ある有機化合物で、その代表的なものがスペルミジンです。中でもスペルミジンが多く含まれているのが納豆であったので、何のことはない、私たちはスペルミジンのことをポリアミンとして発表していたのです。
そのスペルミジンはナチュラルチーズだけでなく、ユーグレナ(ミドリムシ)にも含まれていることがわかり、ユーグレナ人気からスペルミジンが注目されてきました。もちろんユーグレナにも含まれているのですが、日常的な食品から摂るとなると納豆とナチュラルチーズとなります。チーズには塩分が多いこともあり、日常的に食べるなら納豆に軍配が上がります。納豆は粘り、味、臭いに苦手な人がいますが、これに大根おろしを加えると3つの弱点をカバーすることができます。これは納豆人気に火をつけたテレビ番組のメインテーマでした。

未病の話をしたときに、東洋医学の未病は自覚症状があるのに検査をしても特に原因がみられないものを指すと説明しました。しかし、西洋医学の最新の検査を実施することによって、詳細が判明するようになると、それなりの原因があることわかってきました。その検査の一つにMRI(Magnetic Resonance Imaging:核磁気共鳴画像法)があります。脳や内臓を画像化して詳細に見ることができるので、これまで見逃してきた疾患もキャッチすることができます。
MRI検査によって“隠れ脳梗塞”が発見されるようになり、この状態の人は3人に1人は数年以内に脳梗塞になることが知られるようになりました。“数年”というのは便利な言葉で、数十年ではなく数年ということで10年以下のことです。一般的には3〜4年という印象があるものの、実際にはよくわからないという意味でも使われています。
隠れ脳梗塞は“無症候性脳梗塞”とも呼ばれます。症状がみられないということですが、身体が疲れる、目が疲れる、眠い、めまいがする、ふらつく、頭が痛い、冷える、痺れる、感覚が鈍いといった日常的にも起こることがあり、これが症候状態と感じて検査をすれば発見ができるのでしょうが、無症候と思ってしまうところで発見を遅らせています。
もう一つ無症候として知られるのが“無症候性アルツハイマー病”です。MRIで検査をするとアルツハイマー病の状態になっているのに、アルツハイマー病の特徴である記憶、思考、認知、判断力などの症状がみられないもので、MRI検査をしなければ気づかずに過ごしていたというものです。
無症候性脳梗塞は自覚症状がないのに病変が起こっているもので、これは東洋医学的未病状態であっても、放っておけない状態です。これに対して無症候性アルツハイマー病は検査をして病変が明らかになっているのに自覚症状がない西洋医学的未病状態と同じですが、脳の機能には大きな異常が出ていないので、これは悪い状態とは言えないものです。
無症候性アルツハイマー病を、わざわざ目指すことはないわけですが、アルツハイマーの状態になっても生活に支障がないことから、病気ではなく、むしろ健康と考えることができます。どうしたら、このような状態になれるのかということで、いろいろな調査が行われています。その調査の成果の一つが「ライフスペースを広げること」です。ライフスペースというのは日常的な活動範囲のことで、これが広いということは積極的に出歩き、多くの人と関わり、脳に刺激を受けているということが言えます。
歩かないと歩けなくなる、頭を使わないと使えなくなる、とよく言われます。脳は生きていくのに必要な反応をしようとしているので、出歩く機会が減ると脳も多くの反応をしなくなるので衰えていくようになります。刺激を受けて反応しなければならなくなると、脳で機能が失われていない部分をフルに使うようになり、その部分でアルツハイマー病によって使われていないところをカバーするようになると考えられています。

腸内には約100種類、100兆個以上の腸内細菌が棲息するという話は、今でも当たり前のように語られています。WEBサイトを閲覧して回っていると、この情報は今でも数多く紹介されています。しかし、300種類、300兆個という説が登場し、今では500種類、1000兆個という発表もされています。こんなにも腸内細菌の数が増えた、という話ではなくて、研究によって実態が明らかになってきたということですが、これだけの種類の腸内細菌が誰の腸の中にも存在しているということではありません。
“腸内細菌の多様性”ということが言われます。数多くの種類の腸内細菌が存在していることを指していますが、腸内細菌の種類は人によって大きく異なります。腸内細菌の多様性がある人は太りにくいということで、実は多様性こそがダイエットの決め手という話が広がり、やせている人の便を太っている人に移植するダイエット法までが登場しています。
腸内細菌の多様性のためには何をすればよいのかが気になるところですが、そこで多様性がある人の食べているものが調べられ、多様性がない人、つまり腸内細菌の種類が少ない人が食べているものとの差が注目されています。多様性がある人は、多様性がない人に比べて魚類、野菜、果物、豆類、イモ類、キノコ類、海藻類を多く食べていることがわかりました。要は、食事の洋風化によって多く食べられるようになった肉類、脂肪が多い食事は食べている食品の数が少なくなる傾向があり、多くの種類の食品を食べることが腸内細菌を増やすということです。
腸内細菌はエサに当たる栄養源を摂ってエネルギーを作り出して活動して、増殖もしています。一般には悪玉菌は動物性たんぱく質、脂肪が主な栄養源になり、洋食は悪玉菌を増やしやすくなっています。善玉菌は糖質、食物繊維が主な栄養源となっています。和食を食べる機会を増やすようにすることで善玉菌を増やすことができるということですが、善玉菌といっても100種類なのか1000種類なのかはわからないとしても種類が多いことには違いがないわけで、それぞれの善玉菌が特に好む栄養源があります。ということは普通に考えれば、多くの種類の食品を摂ることが多くの善玉菌を増やすことになるわけです。善玉菌は腸内で発酵を進めるので、腸内での分解も進め、これが体内の栄養成分となっていきます。
江戸時代の健康指南書の『養生訓』で貝原益軒(本草学者・儒学者)は「御加数」という言葉を使って、おかずは数を加えること、つまり多くの種類の食品を食べることをすすめています。これは多くの種類の栄養素を摂ることを意味すると考えられていましたが、腸内細菌の多様性を考えると、腸を元気にして、腸から健康になっていくことを示していると考えることもできるというわけです。
多様性といっても、悪玉菌が好むような動物性たんぱく質と脂肪は、種類を増やせばよいということではなくて、悪玉菌は腐敗によって有害物質を発生させるので、多くの種類を食べれば何でもよいということではないのです。

ダイエット法の情報ほど怪しく感じるものはなくて、科学的な解説がされていると信じてしまいがちですが、正しいことなのか、怪情報なのかの判断は難しいことです。ダイエット情報が正しいかどうかの判断基準として、ありがちなのはダイエット法を語っている先生が太っているか、やせているかを一般の方々は重要視していることです。どんなに素晴らしい研究者で、素晴らしい研究をしている先生であっても、その先生が太っていたら、なかなか信じる気になれないのは当然の反応です。
問題とされるのは、ダイエット法を語っているのがスマートな先生で、やせている先生の情報のほうが信じやすいのは事実です。信じやすいというイメージを活かして、コメントをする先生を選ぶというのはテレビでも雑誌などでも、よくやることです。登場した先生とコメントの内容を見比べて、疑問を感じることもよくあることです。
しかし、ダイエットを専門的に研究している人や情報を収集している人でなければ、実際に研究した成果なのかを知るのは難しいことです。ましてや、その先生が自分で実践してやせたのか、太らないようにキープしているのかを知るのは大変なことです。
私たちが付き合っているダイエット研究の先生方は、どちらかというとスリムという体型ではありません。正直にいって中肉中背という健康で長生きするには理想的な体型にも関わらず、ダイエットを目指している方々には太って見えるようで、「自分が一生懸命に指導しても伝わらない」と嘆いている先生も少なくありません。
ここでいう先生というのは、医師だけでなく管理栄養士や健康運動指導士など幅広くダイエットに関わっている方々のことですが、運動をしている先生は筋肉が多く、見た目にはスリムというよりも大きく見えます。それは健康を保つためにも、代謝を高めて脂肪燃焼を高めるためにもよいことなのですが、見た目の印象からいうとダイエット向きではないようです。その見た目で判断するのは女性に多く、筋肉が少なくてもスリムであればよいということを言うような人に多くなっています。
では、太って見える先生方はダイエット理論に基づいて実践しているのかというと、必ずしも全員がそうでもありません。メタボリックシンドロームの診断と指導が始まったときに、医学系学会の総会・大会で受付時にウエストサイズ(腹囲)を図るということをやったことがあります。メタボリックシンドロームの指導をする立場の人がメタボリックシンドロームの基準に当てはまるようでは困るということがあったのですが、さすがに医学者だけあって、頑張って総会や大会に間に合わせてきました。これを経験して、いかに患者が頑張っているかがわかったという先生もいましたが、学会が終了した後の飲食で驚くほどの食欲を見せていました。
これでは自分が見本になって指導をするのは難しいかと思ったものですが、患者に太って見られると嘆くのではなく、ダイエット法に真実味を持たせるには、まだまだ努力が必要では、とも思ったものでした。