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日本人の健康度は食事の洋風化が進むに連れて高まり、平均寿命が延びたものの洋風化が進みすぎた結果、平均寿命が延び続けている一方で、健康寿命との差が広がっているという“不幸な長生き”を生み出しています。食事の洋風化というのは、伝統的に食べてきた和食から肉類が増え、脂肪が増えて、これが生活習慣病を増やす原因となっていると指摘されています。
洋風化であって、洋食だけを食べている海外で暮らすのと比べると、まだ健康的な食品とされる魚、野菜、豆、海藻などを多めに食べているので、両方の食事のメリットを取り入れることができるのが洋風化した食事ということになるはずです。
今では家庭で洋食が普通に食べられるようになっていますが、平均寿命が延びても生活習慣病は多くなかった昭和30年後半から昭和40年代前半は、家庭で食べる洋食といえばカレーライスが代表的なもので、他にコロッケ、オムレツ、チキンライスくらいで、少し遅れてハンバーグという感じでした。それも毎日のように食べられるものではなく、特別な日、今で言うと“ご褒美の外食”くらいの扱いでした。
その外食である洋食は、フランス料理が代表中の代表と思われがちですが、当時に洋食として出されていたものはカレーライス(店によってはライスカレー)の他にはカツレツが多く、ステーキ(ビフテキ)、エビフライは“高値の華”でした。カツレツはフランス語のコートレットに英語のカットレットが合わさって命名されたと伝えられます。コートレットは牛肉にバターをつけて衣をつけてオーブンで焼いた料理です。カツレツといえば牛肉だったので、今のような豚肉を使ったものはポークカツレツと呼んで、ビーフカツレツと区別していました。
そこから洋食の調理法として広まっていったパン粉を使った揚げ物としてカツレツが登場して、今でいうトンカツの形となっていきました。この他に、シチューがカレーライスと同様の掛け物としてハヤシライスが生まれ、揚げ物とカレーライスという組み合わせのカツカレーが生まれるなどアレンジが進んでいきます。また、オムレツとチキンライスが一緒になったオムライスも登場します。
日本人の料理人が日本人の感覚に合わせてフランス料理をアレンジして作り出したのが洋食ということですが、日本で誕生して日本に定着したということでは、もはや和食と呼べるものとなりました。西洋の食事は料理を食べながらパンを食べるという形が基本ですが、日本の洋食はご飯が一緒に出される、ご飯の上に乗せているという日本の丼物と同じ発想の食べ方となっています。
日本人のアレンジ好きは世界的にも有名で、アレンジ料理は日本の料理として世界に広まっています。酢豚にパイナップルを入れたのも日本人です。エビチリ、回鍋肉は日本の四川料理の名店で、エビマヨは中華の鉄人の横浜の店で誕生しました。天津飯、中華丼、ちゃんぽん、皿うどん、冷やし中華も日本生まれです。今のラーメンは、各店のオリジナルの更新に更新を重ねたもので、拉麺という中国料理がスタートであっても、まったく異なる料理となっています。これも和食といえます。
そもそも中華料理という名称は日本で生まれた中国の料理のアレンジ版で、本場の料理は中国料理です。しかし、日本で食べられる中国料理は、今では日本人の味覚に合う料理となっています。それを食べた中国からのツーリストから中国料理よりもおいしいと言われるまでになっています。中国料理の名店といっても、それが集まっている横浜中華街、神戸南京町、長崎新地中華街は自ら中華街と名乗っているように「中華」、つまり日本版中国料理というわけです。

糖尿病を改善するためには食事療法とともに運動をするように医師などから指導されます。糖尿病は血糖値が上昇しすぎるために血管が傷んでいく病気ですが、血管の変化は徐々に進んでいくので初期段階では気づきにくいのが特徴です。そして、合併症の網膜症、腎症、神経障害が起こらなければ、糖尿病でないのと同じように生活することも可能です。
糖尿病は血糖値を降下させる医薬品を使えば治療できるわけではなく、しっかりとした食事療法をして、運動も続けているうえで医薬品を使わなければ効果は出にくくなっています。そこで血糖値が上昇した人には運動をするように指導されます。よく言われるのが、「適度な運動」です。わざわざ適度と言うのは、無理をして身体を傷めないようにという意味が込められています。糖尿病は、いわば血管が年齢以上に老化していく状態で、運動によって血流が高まり、血圧が高まることがあると、さらに血管を傷める可能性があります。
傷める可能性があるのは血管だけでなく、高齢者の場合には膝を傷める可能性があります。“適度”という言葉が付け加えられていても、過去にスポーツをしたことがある人は、そのときから何年経っているか、どれほど体力が落ちているかを考えずに、いきなり走ったりすることがあります。走らなくても、運動量が大きく減っている人が歩く時間を長くすると膝に負担がかかり、膝を傷めることがあります。そして、膝が痛くなったために充分に歩けなくなり、運動不足から血糖値が上昇するということにもなりかねません。そこで、私たちは身体の状態に合わせた運動プログラムを提供して、身体の状態を見ながら運動量を変化させていく方法を実施しています。そして、できるだけ膝に負担をかけない歩き方、ポールを使ったノルディックスタイルのウォーキングもすすめています。
もう一つ運動によって血糖値が上昇した例があります。これは直接的な関連ではないのですが、ありがちな話です。運動をするときには充分な水分補給を指導しています。運動中には体液と同じような中身であるスポーツ飲料をすすめることがあります。汗で出るのは水分だけでなく、水分とともに塩分やミネラルも失われます。その失われるものを補給すると同時に、運動に必要なエネルギー源の糖質やアミノ酸も補給しようというのがスポーツ飲料です。
ある有名なスポーツ飲料は、病院で使われる点滴から生まれたもので、点滴と同様にブドウ糖が多く含まれています。血液中のブドウ糖は血糖と呼ばれます。血糖値は血液中のブドウ糖の値(量)なので、スポーツ飲料を飲むと血糖値は上昇します。上昇しても運動でブドウ糖は効果的に使われ、エネルギーを作り出してくれるので、血糖値の上昇の心配をすることはないわけです。そんなスポーツ飲料を、運動をするときだけでなく、寝ている間にも汗をかくからといって、寝る前や風呂上がりに飲んでいる人がいました。
糖尿病になると甘いものが制限されますが、スポーツ飲料はブドウ糖が豊富なので、おいしく飲めます。そのために寝る前にスポーツ飲料を飲んで、血糖値が上昇しすぎて、かえって糖尿病を悪化させた人がいたというわけです。

ATP(アデノシン三リン酸)から変化したAMP(アデノシン一リン酸)は魚の旨味成分ということを紹介したところ、当方からエネルギー代謝によって変化したエネルギー物質だと繰り返し聞かされてきたメディアの方々から、すぐに複数の反応がありました。反応は二つに大きく分かれていて、一つはエネルギー物質が旨味成分なんて本当か、というものです。もう一つはATPが多いとおいしい魚になるのか、という反応でした。これは本当の話なので、エネルギーとおいしさの関係について進めることにします。
ATPからリン酸が一つ離れるとADP(アデノシン二リン酸)になり、このときにエネルギーが発生します。ちなみに発生するエネルギー量は人間ではブドウ糖1分子当たり1.54kcalとされています。ADPからリン酸が一つ離れるとAMPとなります。AMPが体内に増えるとエネルギー不足になった結果であることから、エネルギーを多く作り出すように細胞内のエネルギー工場であるミトコンドリアが拡大していきます。これによってエネルギー源(魚ではエサ)を効率的にエネルギー(ATP)に変えていけるようになります。
マグロやカツオのように長い距離を勢いよく泳ぐ大型魚は酸素も多く必要で、エネルギー源をミトコンドリアの中で燃焼させてATPを作り出します。その結果としてAMPが増え、さらに変化してIMPになります。AMPは旨味成分のアデニル酸、IMPはイノシン酸です。
活動が盛んな魚はアデニル酸とイノシン酸が多く、採られて死んだ後には酵素の働きによって旨味成分が増えていくので、当然おいしくなります。
赤身魚の赤みのある身の部分は酸素を多く蓄えるミオグロビンが多いことと、ミトコンドリアが多いことによって赤い色となっています。人間の場合には赤筋は持久力の筋肉で、有酸素運動によって有効に使われるので、多くのATPが作られ、AMPも作られます。それと同じで、赤身魚も旨味成分が多いということです。
では、白身魚はATPが少ないのかというと、そんなことはなくて、あまり動かない無酸素運動でもATPは作られます。その量は10分の1以下です。しかし、白身魚は普段はあまり動かず、エサを採るときや敵から逃げるときには急に激しく動くことができます。一気にパワーを発揮できる白筋と同じです。
大事なときのために貯めておいたATPがAMPになり、IMPになります。全体の量からいうと少ない白身魚ですが、死んでから腐るまでの間に熟成される形で旨味成分が増えていきます。生きているときの旨味成分の多い少ないかが注目されがちですが、熟成期間の旨味成分の増加が大切なので、白身魚は食べるタイミングが重要になってきます。

食品の機能を高めたものは機能性食品として知られています。機能性食品というと今ではエビデンス(科学的根拠)が確認された健康食品が広まってきたことから、この健康食品を指す言葉とされています。しかし、機能性食品の表示制度ができるまでは、通常の食品よりも機能性を持っている食品のことを指していて、健康食品ではなく食品そのものを指していました。例えば、リコピンが豊富に含まれるトマト、βカロテンが豊富に含まれるニンジンやカボチャなどの緑黄色野菜といったものです。
食品そのものには機能があって、その第一は栄養となっています。糖質、脂質、たんぱく質の三大エネルギー源、ビタミン、ミネラル、食物繊維の六大栄養素のことです。栄養素は体内では合成できないものなので食品から摂る必要があります。例外的にビタミンの一部は腸内細菌の発酵によって作られるものもありますが、それで食べずに済むという量ではありません。
第二は味です。おいしいというのは大事な要素で、おいしいさがあるから食欲が湧き、多くの栄養素を摂ることができます。第三が保健機能で、これを凝縮、抽出したのが健康食品の素材となっています。
健康食品には機能性があるといっても、それだけで栄養素が補えるものではなく、味もないということが言われます。つまり、おいしさの機能はないというわけですが、中には、おいしさを感じないわけではないものも含まれています。むしろ、まずいものも少なくありません。非常に機能性に優れているのに、多くを使うと苦みや渋みなど、まずくなって他の成分でカバーすることができなくなることから、仕方なく少ない量にされているものもあります。
脂肪の燃焼には非常に効果が高いL‐カルニチンは味のせいで多くの量が使われないことがあり、それをいいことに少ない量しか使わず、「それでも効果がある」というようなことを語って販売されている例もあります。味よりも臭いの問題で多くの量が使われないものもあります。クリルオイルは南極のオキアミから採れる脂肪酸で、血液サラサラ効果は抜群で、強い抗酸化作用もあるので、血流促進系としては非常に優れています。好ましくない魚臭さがあり、おいしくない健康食品の素材と認識されています。
ダイエット効果が高いブラックジンジャーは刺激的な味で飲みにくいものです。ウコンも茶カテキンも濃いものは苦くて、とてもではないが飲めません。しかし、これらの素材を使った健康食品と飲料は人気となっています。それを可能にしたのがシクロデキストリンです。環状オリゴ糖とも表示されるブドウ糖が環状につながったもので、この中に素材が入ると強い味を感じなくなり、スムーズに摂ることができるようになります。
中に入ったというと、吸収されにくいような印象も抱かれがちですが、むしろ吸収されやすくなります。ちょうどカプセルの中に入って、胃液などで壊されることがない、腸壁に的確に届けられる仕組みになっています。この壊されずに届けるという働きがあるから、胃液で分解されやすい天然型のα‐リポ酸(R‐αリポ酸)を体内に効率よく届ける役割をしているのもシクロデキストリンです。
「健康食品には味がない」などと言わず、味があって濃い状態で摂るには特別の手段が取られていることも知っておいてもらいたいものです。シクロデキストリンについては、このサイトの「サプリメント事典」を参照してください。

「鯛(タイ)は腐っても食べられるのですか」と質問されたことがあります。健康セミナーで肉の脂と魚の油の違いについて話をした後の質問コーナーでのことです。これは“腐っても鯛”という諺(ことわざ)から「腐りかけでも食べられるのか」ということは文章にしたことがありますが、腐っても食べられるのかということは考えたことがありませんでした。結論から言えば、“腐ったら食べられない”です。これは鯛に限った話ではなく、すべての魚に共通することです。
ただ、鯛は腐りにくい魚であることは違いがありません。腐りかけがうまいというのは肉では昔から言われてきたことで、腐る前の熟成した肉は発酵して旨味成分が増えます。魚でも肉でも生きているうちはエネルギー物質のATP(アデノシン三リン酸)が発生していて、ATPからリン酸が一つ離れてADP(アデノシン二リン酸)になるときにエネルギーが発生します。魚が死んだ後には酵素によってADPがAMP(アデノシン一リン酸)になった後、IMP(イノシン酸)となります。AMPもIMPも旨味成分で、AMPはアデニル酸とも呼ばれる細胞の核酸の旨味成分で、イノシン酸は鰹節にも含まれる旨味成分です。
魚は生きているときには免疫によって細菌の活動は抑えられていますが、死ぬと免疫が働かなくなり、死後硬直が始まると有益菌によって発酵するものの、死後硬直が済むと軟化が始まります。この段階では腐敗菌が活躍を始めて、だんだんと腐っていきます。腐敗菌が増えたといっても、すぐに腐るわけではなく、煮たり焼いたりすれば食べることができます。熟成期間は生で食べられます。熟成というのは死後硬直をしている段階で、魚の中でも肉と同じように死後硬直の時間が長いものは熟成が進みやすくなります。
鯛は死後硬直の時間が長く、死んで4時間後から死後硬直が始まり、55時間ほどで軟化が始まります。これに対して鯖(サバ)は2時間後から死後硬直が始まり、10時間ほどで軟化が始まります。そのために“鯖の生き腐れ”と言われます。実際に生きたまま腐るようなことはありませんが、“生鮮魚”の段階で買って、早めに食べるのが原則です。生鮮魚というのは聞き慣れない人もいるかもしれませんが、これは“活魚”と“鮮魚”の間に位置するものです。
活魚は生きたままの魚で、本当の意味で「生きがよい」と言われる状態ですが、活魚は高級店での料理法で、旨味成分が少ないのが特徴です。それだけに元々おいしい高級魚が使われます。鮮魚の中でも活魚に近い状態のものが生鮮魚となるわけですが、鮮魚と呼ばれるのは死後硬直の段階です。死後硬直から軟化が始まったら、これは鮮魚ではなく、「生きが悪い」という状態で、加熱調理の出番です。
そして、腐敗菌が増えすぎたら、これはもう食べるものではありません。魚は水分が多く、死後硬直の後は急激に軟化が進みます。そして内臓やエラなどには細菌が多いために、とにかく足が早い食品であり、鯖などの青背魚に特徴的な不飽和脂肪酸(EPA、DHA)は血液サラサラ成分として優れていても酸化しやすい弱点があるので、とにかく早く料理をして、早く食べることです。

体内の60%ほど水分だと言われています。そんなにも多いのだから運動で汗をかいても、問題はないのではないか、という質問を健康セミナーで受けたことがあります。それと同じ質問を新聞社の記者からされたこともあります。体重が60kgだとすると、その60%なら36kgになる計算なので、2リットル(2kg)の水分が失われても5%ほどの量なので、大したことはないと考えるのかもしれません。
しかし、体内の水分のうち3分の2ほどは細胞の中にある細胞内液となっています。細胞は一定量の水分が保たれていることで正常な働きをします。この水分は失われてはいけない水分なので、この分を引くと体重60kgのうち20kgで、この細胞外液は血液やリンパ液などの水分です。20kgの水分のうち2kgの水分が減るのは大きな変化です。血液中の水分が大きく減ると血液がドロドロになりやすく、血流が低下したり、血栓ができることもあります。
だから水分補給は必要となるわけですが、運動では水分と一緒にナトリウムも排出されるので、ウォーキングの際には塩飴を舐めるなど塩分の摂取も必要とされます。それは正しいことであっても、塩分の摂りすぎには厳重な注意が必要です。それは細胞の水分量が大きく変化する危険性があるからです。
細胞内液にはミネラルのカリウムが多く、細胞外液にはナトリウムが多く含まれています。ナトリウムが濃くなるとナトリウムは細胞内に入っていきますが、そのときにエネルギー源になるブドウ糖やアミノ酸が取り込まれていきます。これは必要なことであり、ナトリウムが細胞に取り込まれると、その分だけカリウムが細胞から出ていきます。ナトリウムには水分を吸着する働きがあるためにナトリウムが多くなるほど細胞内の水分が増えるわけですが、水分の量は少ないだけでなく多くても細胞は正常な働きをしなくなります。
全身の約60兆個の細胞は、それぞれが内部にあるミトコンドリアという小器官でエネルギー物質のATP(アデノシン三リン酸)が作り出されています。このATPが細胞のさまざまな働きを起こしています。このATPを多く作り出されるかどうかは三大ヒトケミカルのα‐リポ酸、L‐カルニチン、コエンザイムQ10の量にも関わっていますが、もう一つ重要なことが一定の水分量であることです。その水分量を増やして細胞を水ぶくれ状態にして働きを低下させるナトリウムです。
ナトリウムは塩化ナトリウムの構成成分で、つまり塩に多く含まれています。塩分の摂りすぎは細胞内の水分を増やすということは、血液中の水分を減らすことにもなります。細胞が働きにくくなり、さらに血流が正常でなくなったら、全身に影響が出ることも当然のように起こります。
塩分の摂りすぎというと高血圧ばかりが言われがちです。高血圧は全身に影響を与えるわけですが、もう一つ全身に影響を与える理由があったのです。

おいしいものとして甘いものと脂肪が多いものを、これまで取り上げてきましたが、もう一つ忘れてはならないのは塩味です。昆布や鰹節で出汁(だし)をとっても、これに塩味が加わらないと本当のおいしさを引き出すことはできません。塩分の摂りすぎは血圧を上昇させることから、おいしい塩味を我慢している人は少なくありません。
加工食品を買うときには塩分量が表示されているので、見比べて塩分量が少ないものが選ばれる傾向があります。しかし、塩分が少ないとおいしく感じにくくなるので、おいしいのに塩分量が少ないものが考え出されています。
しっかりと研究して、それを成功させているならよいのですが、ナトリウム量を表示して、塩分控えめを打ち出しているものがあります。それはなぜかというと、ナトリウム表示だと数値を少なめに見せることができるからです。ナトリウムは塩を構成する一部であって、ナトリウム量が表示されているときには、それを2.54倍したものが塩分量になります。少なくとも表示されている数値が塩分量なのかナトリウム量なのかは確認しなければならないわけです。
塩分控えめであってもおいしく感じるように料理をするテクニックとして、後で塩を振るという方法があります。塩味は舌の表面にある味蕾で感じるので、表面に味がついているだけで塩味をキャッチしておいしく感じます。ところが、塩を先に振ると中に染み込んでいって舌で感じるよりも多くの塩分を摂ることになります。塩を加えて煮込むと完全に中まで染み込んで、より多くの塩分を摂ってしまうことにもなります。
このことがわかったところで、注意をしたいものがあります。それは塩飯です。昔からあるおにぎりを塩だけで握ったものではなく、米飯の加工食品に表示されている「塩飯」です。
おにぎりや弁当のご飯は塩分を強くしたほうが腐りにくくなります。ナトリウムには水分を吸着する作用があり、水分量が減ることによって細菌の繁殖が抑えられて腐りにくくなります。腐りにくくなっても塩味が強くなりすぎると売れなくなります。そこで使われているのが、ご飯を炊く段階で水に塩を加える方法で、中に染み込んでいる割には塩分を感じにくくなります。
食品表示では原材料として「米、塩」と書く必要はなく、「塩飯」とだけ書けばよいので、塩が多いことを伝えなくてもよいことになります。食品添加物を調理後に加える場合には、保存料などと表示しなければならないのですが、塩飯を作る段階で食品添加物を加えた場合には「塩飯」とだけ書いて、無添加であるのと同じに見えるように表示することができます。保存料は細菌の増殖を抑えて、腐らないようにするだけでなく、変質して味が変わらないようにするために使われます。
塩飯が使われていると、おかずの味付けが薄くても全体的に塩分の量が多くなるので、ナトリウムで血圧が上がりやすい人は特に注意しなければなりません。

生活習慣病の予防・改善のために栄養指導を受けると、必ずといっていいほど制限されるのが“おいしい”ものです。おいしいは「美味しい」とも書かれますが、美味の食品・料理は、どうしても食べ過ぎになりがちです。おいしいものを、ついつい食べてしまう生活習慣が生活習慣病を引き起こすとみられているわけですが、この生活習慣病という名称は、100歳を超えても現役医師として活躍して105歳で亡くなった日野原重明先生が命名したと伝えられます。
伝えられているということで、実際には1996年に当時の厚生省(現在は厚生労働省)の健康局長が成人病から生活習慣病に改称しました。成人病の名称は1955年から使われてきました。日野原先生が名付けたのは「習慣病」ですが、生活の習慣が病気を引き起こすことから、この習慣を変えることで予防するという発想は、生活習慣病の考えそのものです。
多くの量を食べることは今では悪いことのように言われますが、時代が時代なら、つまり食べたくても食べられず、栄養が不足していた時代には、これは生き延びるため、生き残るためには重要な生命維持の手段でした。多くの量を食べて、多くのエネルギーを作り出すことは、次の食べ物を見つけて獲得するために重要なことで、余ったエネルギーは脂肪に合成されて体脂肪として、いざという時のために蓄えられていました。この“いざ”という時に備える能力は変わりがないのに、今は“いざ”という時がないので、体脂肪が多い太った状態はよくないように言われています。
一番よいのは、充分に体脂肪として中性脂肪を蓄えておいて、いざ使わなければならなくなったときに効率よく燃焼させて、エネルギーを作り出すことができることです。そのエネルギーを効率よく作り出すために必要となる三大ヒトケミカルのα‐リポ酸、L‐カルニチン、コエンザイムQ10については再三、紹介してきました。これらの成分については、このサイトの「サプリメント事典」を参照してください。
おいしいものは太るということは、おいしいものはエネルギー量が高いということで、脂肪は1g当たり約9kcalと、糖質の約4kcalと比べると少ない容量で多くのエネルギーを蓄えられることから、エネルギーとして使われずに余った糖質もたんぱく質も脂肪も肝臓で脂肪酸に合成されて、中性脂肪として蓄積に回されているわけです。
自由に食べることができなかった時代には、同じだけの量を食べるなら、少しでもエネルギーが多く摂れるものを選ぶことが重要で、エネルギー量が高いものをおいしく感じるのは生き延びるための能力として身についてきたと考えられています。糖質は甘くて、おいしく感じますが、それは脂肪も同じことで、脂肪のサシが多く含まれる霜降り肉はおいしい肉類の代表となっています。安い牛肉に脂肪を注入する加工法があり、これだと目を閉じて食べると高級品のように感じることから、おいしいものを食べている著名人の舌の状態をチェックする方法として使われています。それくらい脂肪は味覚を刺激するものなのです。

肉まんは中華饅頭の具として肉が入ってるものですが、「肉まんなのに豚肉じゃないか」と話している人がいました。これは関西出身の人なら、あるあるの反応で、関西では“肉”といえば牛肉を指します。だから、豚肉を使ったものは、わざわざ「豚まん」と言わないと、牛肉じゃないのかとツッコミをされます。豚まんで有名な551蓬莱のサイトを見ると「豚まん(肉まん)」と書かれています。かつては551蓬莱では牛肉入りの肉まんが販売されていたことがあり、肉=牛肉の文化を示しています。
関西では肉うどんは牛肉が乗っています。全国的に牛丼と呼ばれている煮た牛肉が乗っているのは関西風に言えば「肉丼」ということになるのでしょうが、関東では肉丼というと豚肉がメインで、たまに鶏肉も見かけます。
こんな今さらの話を、なぜ取り上げるのかというと、日本人の体質の話をしているときに、牛肉は豚肉よりも血液がドロドロになりやすく、健康のために減らしたほうがよいと言われても、関西人には無理じゃないかとい話題が出たからです。
関西から関東に進出してきた牛カツは「肉カツ」とは名乗っていませんが、肉のカツといえばとんかつ(トンカツ)があまりに全国的に有名で、「肉カツ」だととんかつ(豚かつ)と勘違いされるので、これは当たり前かと思われます。
豚肉と牛肉の大きな違いは、脂肪酸の割合です。動物の肉には飽和脂肪酸が多く含まれ、血液中で固まりやすいことから多くとると血液をドロドロにするとされます。この飽和脂肪酸が牛肉には多く、豚肉は牛肉に比べると少なくなっています。少ない分だけ多めになっているのは不飽和脂肪酸で、不飽和脂肪酸が多いほど肉質が柔らかくなります。牛肉より豚肉のほうが柔らかいのは食物繊維の量ではなく、脂肪酸の種類が関係していたわけです。不飽和脂肪酸は魚の油や植物油に多く含まれているもので、いわゆるサラサラ系の油です。
同じ肉を食べているのでも、牛肉を多く食べていると飽和脂肪酸の摂取量が増えるわけですが、この話に対して大阪のテレビ局のディレクターから、「そんな脂肪酸が多い上等な牛肉は食べていないから大丈夫」との発言がありました。松坂牛、神戸牛、備前牛などのサシの入った高級な牛肉を食べていないから脂肪摂取は少ないと言っているのでしょうが、これは見える脂肪なので意識して食べ過ぎないようにすることはできても、煮たり焼いたりした肉の脂肪は目立たなくなり、後から加えた脂肪はまったく見えない脂肪となります。
脂肪はおいしくて多く食べがちで、エネルギー量も1g当たり約9kcalと糖質、たんぱく質の約4kcalと比べると2倍以上となっています。飽和脂肪酸のほうが特においしく感じるので“調味料”のように加えられている料理も少なくありません。自分で食材を買って料理をするなら脂肪の割合も量も確認して使えるものの、調理済みのものは、それがわかりません。植物性の油であってもパームヤシから採れるヤシ油は飽和脂肪酸が多い特徴的な植物油で、これが加工品の揚げ油や炒め油に多く使われています。安くて、おいしく作れるからですが、加熱によってトランス脂肪酸が多く発生します。トランス脂肪酸は動脈硬化の要因となるだけに、動物の脂肪でなければ大丈夫、植物の油なら安心だとは言えないわけです。

高齢化が最も高いのは日本です。今は国民の30%には達していないのですが、これは男女平均の話で女性だけに30%に達しています。男女平均で30%に達するのは2020年と予測されています。このことは日本国内にとっては大問題ですが、世界的に見ると大きな問題は指摘されていません。高齢になると外出が減り、消費金額も減り、その分だけ医療費や介護費に回る分が多くなっていくわけですが、日本の高齢化は徐々に進んでいて、海外からの購入量も大きな変化をしていないことから周囲の経済への影響は、それほどではないと見られています。
世界への影響の大きさが懸念されているのは中国の高齢化です。中国は日本に30年遅れで高齢化が進んでいて、2050年には高齢化率が30%に達すると推測されています。2050年に日本が40%に達して超高齢社会と呼ばれるのに対して、中国は高齢化社会が高齢社会と呼び方が変わることで、それほど大きな変化ではないと主張する研究者もいます。しかし、中国の人口は日本の10倍以上です。日本の人口は頭打ちになっても、中国の人口は、まだまだ増え続けます。世界人口の19%が中国の人口です。今では13億人強ですが、高齢化率30%に達したときには14億人にもなります。その14億人の30%は4億2000万人で、日本人の総人口の3.5倍にもなります。
この数字を見て、先に高齢社会となった日本はノウハウが蓄積されているのでチャンスだという人もいますが、チャンスどころかピンチもピンチと訴える人も少なくありません。高齢者の消費が極端に少なくなります。もちろん医療費は増えていくものの、その医療費を日本がもらえるわけではありません。高齢者を支える家族の消費も少なくなります。つまり国内での消費である内需が下がることになり、経済発展が著しい中国の消費が大きく減っていくことになります。
中国の方々の消費というと、爆買い、インバウンドという言葉が浮かんできますが、インバウンドの減少は、それほど大きくはないと発言する経済学者もいます。それは確かかもしれませんが、日本に対するインバウンドの消費量は極めて少ない金額でしかありません。
日本の経済が発展しているなら、それなりの対応ができるかもしれませんが、日本は先に高齢社会に突入して対応力が大きく低下しているところにもってきて、日本の10倍の規模の隣国の景気が低迷したら、どうにもならなくなります。こうなると高齢社会に突入しても消費の低迷が大きくならないようにすることが重要となりますが、高齢者が外出をしないことがすべての始まりなので、高齢になっても出歩けるようにすることが大切になります。
出歩ける人の割合を減らさないようにすることが特に重要になります。高齢になっても自分の力で歩けるようにすること、その割合を増やすことは私たちの活動の大きな目標となっています。その手法を中国にも持っていくことができれば、日本への経済的な影響も抑えることができるはずです。