生活習慣病に関わる検査数値が基準値を超えると、必ずといっていいほど医師などの医療関係者から指導されるのは、それぞれの数値に直接的に関係する栄養成分の制限です。糖尿病なら血糖値を上昇させるのはブドウ糖なので糖質制限、脂質異常症から脂肪酸の量を減らすために脂質制限ということが基本となるわけですが、これは「健康な患者」でいてもらい、できることなら基準値以下にして患者でもなくなるための重要な手段の一つです。
「健康な患者」というのは、基礎疾患と呼ばれる全身に影響を与える血圧、血糖、中性脂肪、LDLコレステロールなどに問題がない人などのことで、これらの数値に問題がなければ病気になりにくく、なったとしても治りやすいということです。
“健康”は自立して生活ができる状態を指しているので、血圧、血糖、中性脂肪、LDLコレステロールの数値が高くても、高血圧や糖尿病と診断されても病気ではなく、健康ということになります。これはWHO(世界保健機関)の定義で、厚生労働省も採用しています。病気とされるのは自立できなくなってからです。
「健康な患者」でいるためには、検査数値で異常が指摘されたときに、すぐに医薬品に頼るばかりでなく、食事の制限にも運動にも取り組むことが必要になります。食事の改善だけでは血圧、血糖値などは下がりにくく、そもそも数値に影響するような生活を過ごしてきたことが原因であるので、この食べる内容は、なかなか変えられないものです。ましてや先の定義から「糖尿病は健康」ということを知ると「おいしくないものは食べたくない」という考えになるのも仕方がないことです。
そこですすめられるのは運動ですが、運動といっても急にジョギングを始めたり、以前にやっていたスポーツを再開させることはありません。まずは運動量を増やすことから始めるべきで、すぐにエネルギーとして消費されやすいブドウ糖、中性脂肪は効果的に減らしていくことができます。
LDLコレステロールは食事で摂ったエネルギー量が多くなると、肝臓で多く合成されることによって増えていくので、食事で増えたブドウ糖、脂肪(中性脂肪)を運動で減らすことで値を下げることができます。運動をするとHDLコレステロールが増えた影響でLDLコレステロールが減ることが知られています。高血圧は興奮しすぎるような運動は数値を高めるものの、“適度な運動”は数値を下げる効果があります。
医師などから運動指導を受けるとき、よく言われるのが、この「適度な運動」です。“適度”と言われても身体の状態や状況、体力、運動経験などによって、できることとできないことがあります。例えば血糖値を下げるなら10〜15分間のウォーキングが効果的です。これならできないことはなくて、1日に何回か短いウォーキングをすればよいわけです。ところが、中性脂肪を減らすためには15〜30分間のウォーキングが必要です。これは有酸素運動によって初めのうちはブドウ糖が効果的に燃焼して、15分くらいを過ぎると脂肪酸が効果的に燃焼して中性脂肪値が下がるというメカニズムが身体の中にあるからです。
しかも、ゆっくりと歩いているのでは効果は低く、身体にかかる負荷が中強度の少し息が弾む程度のスピードが必要になります。30分間も中強度のウォーキングを続けることは不可能という人には、ポールを持って歩くノルディックスタイルの歩行が適しています。クロスカントリースキーのようにポールが後方に大きく送られてグイグイと歩くノルディックウォーキングだけでなく、前方にポールを突いて足と腕の力を使って足腰の負担を減らして歩くポールウォーキングでも、上半身を使うことから中強度の有酸素運動とすることができます。
健康な患者になるため、そして健康な患者にもならないようにするためには、続けられる運動が必要になることから、ノルディックスタイルのウォーキングは生活習慣病対策に用いられているわけです。
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還暦といえば以前は赤いちゃんちゃんこを着て、赤子に還るという意味で、現役から引退、残りの人生を自由に、自分のために生きるという記念すべき60歳の祝いでした。しかし、今では体力的にも精神的にも実年齢(暦年齢)よりも若くなり、「高齢者は65歳からではなく75歳以上に」と日本老年学会と日本老年医学会が提言しています。
それだけ体力がついて、長生きできるようになったのはよいことであっても、健康で、元気でなければ、これからの時代は生き延びていくことはできないと考えます。というのは、“元気でなければ余生が楽しめない”という意味ではなく、元気でなければ親の介護もできなければ、高齢化が急激に進む地域への貢献もできないという意味での考えです。
平均寿命が今ほど長くなかった時代、つまり60歳を超えた人たちの親の世代が高齢者となった今から25〜30年ほど前には、体力が衰え、寝たきりや、そこまではいかなくても介護や生活の世話が必要になってから寿命を迎えるまでの期間は長くて10年ほどでした。身体は元気な状態であるといっても、パーツは年齢が進むにつれて傷んでいきます。足腰が弱くなり、膝の軟骨がすり減ってきて歩けなくなってから寿命までの期間は当然、平均寿命が延びるほど長くなってきます。
自由に動ける期間が健康寿命とされているので、健康寿命と平均寿命の差は長くなります。その差は今は男性が9年、女性が12年となっています。この期間が介護なり、介助が必要な期間となり、少なくとも10年前後は不自由な生活を過ごしながら最期を迎える状況となっています。
介護が必要になるのは何も足腰だけの問題ではなく、生活習慣病が進んで心疾患や脳血管疾患になると、これも自由に動くというわけにはいかなくなります。もう一つ問題となるのは認知症です。認知症につながる脳機能の低下は年齢を重ねるほど発症しやすくなり、女性の場合、平均寿命の87歳になると、なんと半分が認知症になると推定されています。身体的に問題がない状態であっても認知機能の低下は、やはり介護、介助が必要になります。
このような状態で長生きすると、介護期間が20年に及ぶことも珍しくはありません。自身が65歳以上の高齢者に達してから介護する側の立場になると、20年間の介護を終えたときには自身も介護を受ける85歳にもなっています。そこまで身体がもたずに、介護を受ける側になって、さらに親も生きているとなると家の中に二世代の要介護者がいることにもなりかねません。これでは“老老介護”どころの話ではなく、“二世代介護”となってしまいます。
そのときに三世代目の子供が二世代の介護を担ってくれればよいものの、親が大変な介護をしているところを見続けた子供が、果たして親の介護をすると言ってくれるのか、ましてや親も祖父母も介護すると言ってくれるのか、それはまったくわかりません。こうなると自分が介護を受けないで済む状態を保って、どうしても入院しなければならない状態を寿命ギリギリまで延ばすことを考えないわけにはいかなくなります。
生活習慣病にならないようにするのは大変なことであったとしても、生活習慣病の初期段階で止めて、それ以上は進まないようにすることならできます。そのためには食事と運動、そして休養という与え前のことから改善が求められるわけですが、今のような時代にギリギリまで健康状態を保って、元気に最期を迎えるピンピンコロリ、略してピンコロを目指すためには、さまざまな方法を組み合わせて、より効果的な方法、結果がよい方法を取り入れるしかありません。
その方法として日本メディカルダイエット支援機構が研究をして、資格認定講習などで伝えているのが食事と運動のタイミング、食事と休養のタイミング、運動と休養のタイミングによる“メディカルダイエット”の手法です。ダイエットという言葉がついているので、やせる方法と勘違いされることもありますが、ダイエット(diet)は正しい生活、適切な方法を指す言葉で、それが食事では適切な食事や食事療法、運動では適切な運動や運動療法となります。
実践の方法については、このコーナーで徐々に紹介しているところですが、自分のため、家族のため、地域のために介護を受けないで済む“究極の介護予防”を身につけてもらうための活動を私たちは続けていきます。
贈る側も貰う側も嬉しいギフト商品というとフルーツが代表的なものです。フルーツのよさは収穫時期が限られていて、その中でも特においしい時期が決まっています。環境が生育に影響するので地域色が強く、希少価値があり、何といっても価格的に高いということがあげられます。
なぜ高いのかというと、一番の食べ頃に収穫すると店頭で販売できる期間が短くなり、傷みやすく、水分が多いために重いことで送料がかかるうえに、産地が限られていることから運び出す距離が長くなって運送料が高くつきます。
「フルーツ=高級」というイメージがあって、形が悪いもの、形や大きさが不揃いなもの、色が一定でないものは売りにくいというデメリットがあります。売れ残ったものは早く売らないといけないので、“叩き売り”状態で安くされます。叩き売りといえば、バナナの代名詞とされた時代があります。以前はバナナは台湾から常温で船便によって運んできていたので、すぐに売り切らないと、それこそ売り物にならなくなるので早く売るしかなかったのです。
それならバナナは安く売られていたのかというと、決して安いものではなくて以前は高級品でした。果物屋(フルーツショップ)でもメロンと一緒に上段の高級品コーナーに並んでいました。今でこそ入院患者に高級品のメロンをお見舞いに持っていったら、「不治の病なのか」と悩んでしまうというお笑いのネタがありますが、以前はバナナが同じギャグに使われていました。
生のバナナは高いので、乾燥させたバナナチップを食べていたという高齢者の方も多かったはずです。多くの量が作られても売れる量、運ぶことができる量は決まっているので、それ以外のものは乾燥させて保存して、タイミングがよいときに販売されました。乾燥させるので軽くなって輸送費が安くつくのも大きな利点です。
バナナチップは食べやすくするために糖分を多く加えて、甘いお菓子になっていましたが、フルーツを乾燥させたドライフルーツは砂糖を加えなくても充分に甘くて、おいしく食べられます。ドライフルーツなら形、大きさ、色、味の違いなどに関係なく無駄なく加工することができるので、価格が抑えられます。フルーツは安定的に高い価値で販売しようとすると一定の量の栽培が必要になりますが、ドライフルーツは少ない量であっても乾燥させて作り、少量ずつ生産したものを集めて販売できます。
フルーツを乾燥させただけでは腐敗する可能性もありますが、砂糖を加えて(砂糖水に浸けて)甘くすると腐敗しにくくなります。砂糖には水分を吸着する働きがあるので、ドライフルーツが軟らかくなるメリットがありますが、ドライフルーツの周囲の水分が少なくなって菌が繁殖しにくくなります。ドライフルーツに砂糖が使われているのは甘くして食べやすくするためではなかったのです。
ドライフルーツにすると水溶性のビタミンCは減るものの、脂溶性のビタミンAやビタミンE、ミネラルは破壊されずに残り、食物繊維も、活性酸素を消去する抗酸化成分の色素も残ります。これらの成分は水分が抜けることによって凝縮されるので、栄養補給に適した食品となります。皮を剥かずに丸ごと食べられるメリットもあります。なんといってもフルーツに比べると安いので、多くの量を食べることができます。
こういったメリットがあるので、地域の物産を活かした健康づくりの食材にはもってこいです。
足腰に痛みが生じるような状態になることは“痛める”と表現されます。痛めるような状態では、早く治療すれば、痛めたところが傷になって、治りにくい状態になることはないはずです。ところが、治りにくい状態となって傷が残るような状態となって、いつまでも痛みが続くような状態となると、これは“傷める”と表現されます。
これは当たり前の文字の使い分けとしてされてきましたが、テレビ番組のテロップを見ると、「腰を痛めた」と掲載されることが多くなっています。痛めた程度なら、ちょっとした休息、治療で治りそうなものですが、番組の内容に注目していると、どう見ても「傷めた」だろうということも「痛めた」になっています。
私どもがテレビ番組に直接的に関わっていたときとは違うことになっているので、何か私たちが知らないところで国語の用語使い分けが違っていたのか、それとも、メディアの用語辞典が変わっていたのかとも思ったのですが、それはなかったようです。
痛めるは感覚的に痛いという状態が起こっているわけですが、傷めるは痛みのあるなしは関係がありません。痛みを感じなくても関節や筋肉の動きが悪い、動きが悪いために歩きにくい、階段の上り下りがきついというのは傷めるというのがふさわしい表現です。なぜ痛めたところが傷む状態になるのかというと、筋肉に傷がつくような状態になると、それが回復するときに筋肉が神経を巻き込みながら徐々に元に戻っていきます。そのために前の正常な状態ではなくなり、通常の動きをしたときに動きが悪くなったり、痛みを感じるようになります。
実際には痛みを感じているといっても、痛むと傷むは違っています。外的な痛みが生じる原因がなくなったら、少しは痛みが残ったとしても徐々に痛みが解消していくのが痛みです。それに対して、外的な要因がなくなっても痛みが続くのが傷みです。外的な要因はなくなっても、見えない身体の奥に損傷が起こっていれば痛みが続くことになります。損傷という言葉そのままに、傷がついているために痛みが起こるので、これは傷みでなければならないわけです。
ということで、本来は傷みと表現しなければならないのに、痛みと表現されているのは間違いとの結論を出していますが、テレビ番組の多くのテロップは“痛める”“痛む”“痛み”になっています。間違いであっても多くの人が使うようになると、それが正しい使い方になるのは過去にもあったことで、最近では「断然うれしい」というのが「全然うれしい」と使われています。ただ、今でも「すごい」とのコメントに「すごく」とのテロップが被されていて、これと同じように痛みと傷みの使い分けが行われる日が来るのかと楽しみにして待っているところではあります。
私どものセミナーに参加していた方がQ&Aの席で、「歩けなくなったことで、あと9年は生きられることがわかって安心しました」という驚きの言葉を発していました。こんな発言が出るのは、健康寿命を知っている人なら、なんとなく理解できるかもしれません。健康寿命は自立して自由に動ける期間のことで、平均寿命から健康寿命を除いた年月が自由に動けなくなった期間を示しています。
健康寿命の期間は自由に動ける時期で、そこからの不自由な期間は男性で平均9年間、女性で平均12年間となっています。女性のほうが長いのは、平均寿命が長く、自由に動けなくなってからも長生きすることと関係しています。
「あと9年は生きられる」という前向きの発言をする人は、積極姿勢の方で、呑気に考えられる人はストレスが少なくて、それこそ“長生きする”と言われるようです。9年間を言ったということは男性であるわけですが、自由に動けない状態になってから9年間は生きられるということを保証してくれる研究成果ではありません。あくまで平均的な話で、自由に動けることは身体的に健康な状態で、活動的に動けるということは運動量が増えて、血管に悪影響を与える血圧、血糖値、中性脂肪値、LDLコレステロール値を低く抑えることができることとなります。
動けなくなってから平均9年間ということは、歩けなくなった人は9年間よりも余命が短いこととなります。余命というのは今から死亡するときまでの期間のことです。
一生涯の長さは、生まれたときから決まっているものではなく、寿命に影響を与えるような自由に動けない、生活習慣病になった、生活環境が大きく変わって免疫が低下するというきっかけがあったときに、それを受け入れるような生活をするのか、それとも大きくプラスに転換するようなことをするのかによって、まったく違った結果となります。
膝の関節や軟骨を傷めたことによって、自由に動けなくなったことで、それを喜ぶようなことをするのではなく、動けなくなったことに危機感を感じて、健康寿命に影響すること、足腰の傷みによって動けなくなったこと以外に、高血圧、高血糖、高中性脂肪、高LDLコレステロールといった健康寿命に悪影響を与える数値を低めに抑えるように食事や運動に励むようにすることから取り組むべきです。
男性なら9年間、女性なら12年間という平均寿命と健康寿命の差を目指すのではなく、理想は平均寿命と健康寿命の一致、つまり自由に動ける状態で、何も不自由がないまま最期を迎える“ピンピンコロリ”です。もちろん、それが平均寿命の男性で約80歳、女性で約87歳と同じか、それよりも長いほうがよいに決まっています。まだ、充分に歩けるうちに、自由に行動ができるうちに、もっと健康寿命を長くするように活動的に過ごすのが大切だということになります。
運動をすると筋肉が強化され、若返ることができると言われますが、その理由としてマイオカインの働きがあげられています。マイオカインは“若返りホルモン”とも呼ばれていますが、マイオカインは筋肉内で作られます。マイオカインが増えると筋肉が若返るだけでなく、脂肪の分解や骨の強化、血糖値の低下、免疫の上昇、抗炎症、認知症予防の効果もあるということで、住民に運動の機会を増やすことをすすめている自治体などではマイオカインをモチベーション向上の切り口として採用しています。
マイオ(myo)は筋肉、カイン(kein)は作動物質を指していて、その造語であるマイオカインはホルモンというよりも若返り物質と呼ぶのが正しいのですが、全身の筋肉のうちでも下半身で多く作られ、中でも大腿四頭筋(太もも)と下腿三頭筋(ふくらはぎ)で特に多く作られるので、歩くだけでも増やしやすくなっています。筋肉が刺激されればされるほど多く作られるわけではなく、作られる量は決まっているので、無理をする必要はないということも自治体が採用する理由の一つとなっています。
筋肉は特に運動をしなければ減っていきます。その量は30歳以上では1年で約1%、65歳を過ぎると2%ほど減ってくるとされています。筋肉は繊維組織でできていますが、その繊維の数が減っていくのではなく、繊維が細くなっていきます。細くなるということは刺激をすれば太くすることができるわけで、日々の運動である歩行を増やすことで筋肉を増やせるわけです。
では、ただ歩けばよいというわけではなく、マイオカインを効果的に増やすためには筋肉内に酸素を多く取り込むことが必要で、そのための歩行法としてすすめられているのはインターバルウォーキング、つまり普通の速度での歩行と早歩きとを繰り返す歩き方です。
筋肉を増やすには運動を終えて30分以内にたんぱく質を摂ることがすすめられます。筋肉を増やすだけでなくマイオカインも増えることが知られていますが、その効果をさらに高めるために使われているのが三大ヒトケミカルのα‐リポ酸、L‐カルニチン、コエンザイムQ10です。三大ヒトケミカルというと細胞のミトコンドリアの中でエネルギー代謝を行うために必要な成分なので、体脂肪や血糖(血液中のブドウ糖)を減らすことで注目されています。その効果に加えて、ミトコンドリア内でエネルギーを多く作り出すことから筋肉の強化も認められています。
筋肉を強化する物質としてはウルソール酸も知られています。ウルソール酸は植物に含まれている油性物質で、リンゴの皮に特に多く含まれています。日本メディカルダイエット支援機構の理事が代表の会社では地域の特産物のリンゴを用いて、運動をする人のためのサプリメントを開発しています。これをいつ摂るのが効果的なのかの研究が進められており、無理なく無駄のない使い方をするためにはインターバルウォーキングなどの運動と組み合わせた摂取法のプログラムを紹介していきます。
「健康な患者」という一般には聞きなれない言葉が医療機関で使われています。同じ病名、同じ病状で病院に来た患者は同じ状態ではなく、年齢が同じであったとしても健康の度合いには随分と差があります。健康というのは身体的状態と精神的状態の両方を指していますが、医療機関としては同じ患者数なら、できるだけ健康な患者を歓迎しています。それだけ手間がかからず、治しやすいということです。
これは医療機関だけでなく、老人福祉施設や介護施設でも同じことです。同じというよりも、もっと深刻で、同じ年齢で、身体的な状況は同じであっても、健康度が違っていると手間のかかり方が絶対的に違ってきます。これは生活習慣病を抱えている人も同じことで、例えば糖尿病の程度は同じであっても合併症が出にくい状態なのか、他の生活習慣病を引き起こしやすい状態なのかによってケアにかかる時間と手間がまったく違ってきます。
血圧や血糖値、中性脂肪値などが基準値を超えて生活習慣病と診断されると、身体的な状態は同じようなものと考えられがちですが、こうなっても自立して生活できる間は病気ではありません。病気は自立できなくなり、他人の補助がなければ自由に動けなくなることを指していて、これはWHO(世界保健機関)の定義となっていて、これを厚生労働省も採用しています。
病気になる前は健康と定義され、入院していても介護施設に入所していても、自立できていれば健康とされます。つまり、「健康な患者」というのは自立できている患者ということで、この状態の人を病気にしないのが医療機関の役割のはずです。
健康な患者でいるために運動指導を行い、栄養指導を行い、さらに休養の方法とサプリメントの使い方も指導されます。
高齢者の健康度の差は、活動のためのエネルギー量の差でもあります。エネルギーの量が充分であれば、身体の変化への対応力も充分となり、血圧や血糖値などの上昇に対しても対応して下がりやすくなります。医薬品を用いたときにも効果が出やすい状態となります。
充分に食事を食べて、充分に身体を動かしていれば、全身の細胞のミトコンドリアで作り出されるエネルギー物質のATP(アデノシン三リン酸)の産生量が増え、これが活動のエネルギーとなっていきます。高齢になり、患者になると充分には食べにくくなり、充分に動けなくなるのでATPが少なくなります。三大エネルギー源の糖質、脂質、たんぱく質をミトコンドリアの中に効率よく取り込み、効率よく燃焼させるために必要な三大ヒトケミカルのα‐リポ酸、L‐カルニチン、コエンザイムQ10は体内で合成されるものの、20歳代をピークに減少していき、エネルギーを作り出す能力も低下していきます。
この三大ヒトケミカルはサプリメントとして摂って、エネルギー量を増やすことができるので、健康な患者となるためには有効に活用したいものです。α‐リポ酸、L‐カルニチン、コエンザイムQ10については、このサイトの「サプリメント事典」を参照してください。
前回の運転免許の認知機能の説明に続いて、長谷川式認知症簡易評価スケールについて紹介します。医療機関の多くは認知症や軽度認知障害認知機能の判定に長谷川式認知症簡易評価スケールを用いています。このスケールは以下の内容で実施されます。
1 歳は幾つですか? (2年までの誤差は正解)
2 今日は何年の何月何日ですか? 何曜日ですか?
3 私たちが今いるところはどこですか? (正答がないときは5秒後にヒントを与える)
4 これから言う3つの言葉を言ってみてください。 例:a)桜 b)猫 c)電車
5 100から7を順番に引いてください。 100−7は? それから7を引くと?
6 これから言う数字を逆から言ってください。 a)6-5-2 b)3-5-2-9
7 先ほど覚えてもらった言葉(問4の3つの言葉)をもう一度言ってみてください。
8 これから5つの品物を見せます。それを隠しますので何があったか言ってください。
1つずつ名前を言いながら並べて覚えさせる。次に隠す。
(時計、くし、はさみ、タバコ、ペンなど必ず相互に無関係なものを使う)
9 知っている野菜の名前をできるだけ多く言ってください。
(答えた野菜の名前を記入。途中で詰まって約10秒待っても出ない場合には終わり)
それぞれの答え方によって点数がつけられていて、質問の点数を合計して、30点満点のうち何点かで判定が行われます。一般には、21点以上:非認知症、16〜20点:軽度認知障害、11〜15点:中等度認知障害、10点以下:高度認知障害となります。
この判定方法では、記憶力がよい人は優位で、野菜の名前を列挙することから女性の方が優位になっています。また、言葉を覚えるのが得意な国語脳タイプの人、計算が得意な数学脳タイプの人、画像で覚えるのが得意な芸術脳タイプの人は、それぞれ優位となっています。高齢になると心身が疲れたときには記憶が低下しやすく、質問をする医師が早口であったり、立て続けに質問をされると混乱して答えられなくなったり、また問4の3つの言葉をもう一度聞くことを言ってくれるかどうかでも回答率が変わります。
そのために軽度認知障害や、その前兆状態が見逃される懸念もあって、自覚体験と危険因子のチェックを行って、リスクが高い方には早めの対策をしてもらえるように実施されるのが記憶力チェックです。記憶力チェックは、日本メディカルダイエット支援機構と連携して活動している一般社団法人健康・火の用心が実施しています。
75歳以上の高齢者ドライバーは運転の能力の判定として認知機能検査が実施されます。高齢者がアクセルとブレーキを踏み間違えたり、赤信号でアクセルを踏んだり、道路標識を無視したりということが多くなることから、認知機能を確認する検査で危険性がある人をあぶり出して、認知機能に問題がある人には運転免許証の返納を求めていくという制度です。
実際に、どんな検査が行われるのかというと、次の4つの項目です。
1 時間の見当識として年、月、日、曜日、時間を聞かれて正しく返答する
2 手がかり再生として4種類のイラストが描かれた4枚のボードを示され、16種類の中から楽器は、電化製品は、といったように描かれているものを返答する。
3 介入課題として言われた数字を斜線で消していく。
4 時計描画として時計の文字盤に言われた時間を描く。
医療機関で実施される認知機能検査の多くは長谷川式認知症簡易評価スケールという9項目が実施され、かなり記憶力を試されます。それに比べたら簡単な検査で、安心した人もいるかもしれませんが、本来の目的は運転能力があるかどうかの確認で、記憶力で判断できるのかという考えがあります。
運転能力は、アクセルとブレーキの操作、ハンドルの操作に加えて信号や道路標識の認知、他の車両や通行人への反応ができればよいというものではなく、思わぬ反応をする車両や通行人への対応ができなければなりません。
高齢者の歩行者は信号無視、急な飛び出し、左右の不確認が増え、自転車走行中のふらつきなど不規則な行動が多く、高齢社会は高齢者が高齢者に注意をしなければならないので、相当の反射能力が求められます。高齢になると、ただでも注意力、判断力、反射能力が低下していくので、認知機能だけでなく運動の能力が低下しない方法、さらに高める方法も求められます。
そのために効果があるものとして注目されているのがラケットスポーツです。ラケットスポーツは、その名の通りラケットを使って行う球技のことで、ボールやシャトルを行き来させて競うものです。普通にボールを打ち合っているだけでも、ボールが予測しない動きをしたり、対戦相手がフェイントをかけてきたりと、思わない動きがあり、それに即座に対応してボールを打ち返さないといけないので、身体と頭の動きを瞬時にコントロールする能力が求められます。さらに集中力、忍耐力、持続力といった能力も高めることができます。
この能力が、そのまま運転に活かされるので、ラケットスポーツは高齢者ドライバーの運転能力を高めるためにすすめられるスポーツとされています。
ラケットスポーツはテニス、バドミンドン、卓球などがありますが、高齢になってから始めるのは、なかなか大変です。そこですすめられているのが競技の基本は、それらのラケットスポーツと同じであるものの、用具やルールが簡単にできるようにアレンジされたもので、テニスのアレンジ系ではバウンドテニス、パドルテニス、エスキーテニスなどがあります。
NHKの健康情報番組の中で納豆が取り上げられ、美味しく食べられる工夫としてヨーグルトと一緒に食べる方法が紹介されていました。これを見ていた民放のプロデューサーから「時代が早すぎましたね」との連絡がありました。日本メディカルダイエット支援機構の理事長は、以前に納豆ブームを巻き起こしたときのメディアと流通に向けての毎月のリリースを作り、テレビ番組の仕掛けもしていたことから、有名な民放の日曜日夜の番組で納豆がテーマとなったときに、身体によい納豆なのに味などが気になって食べられない人のための工夫の提案をして、番組中に納豆嫌いだったMCに無理なく食べてもらうという企画で成功させたことがあるからです。
その中で、粘りが苦手な人には大根おろしを加え、臭いが気になる人には臭いで打ち消す野沢菜漬けを提案して、味が苦手な人にはヨーグルトがよいと提案したのですが、見た目がよくないなどの理由で別の方法が番組では紹介されました。
納豆にヨーグルトを加えるのは、味の解決もさることながら、納豆の弱点をカバーすることも考えての提案でした。納豆のPRをするときには、納豆はスーパーフードであり、必要な栄養素が含まれているというような書き方をしていましたが、実際には弱点がないわけではありません。ビタミンE、ビタミンK、ビタミンB群は豊富に含まれているものの、ビタミンといえば必ずと言っていいほど出てくるビタミンAとビタミンCは期待できず、これを補うために食べ合わせとして考えついたのがキムチです。
翌年のPRのテーマの納豆○○の看板として納豆キムチを打ち出しました。キムチには納豆菌が多く、これが腸内細菌の善玉菌と同じような働きをします。そのことを意識しすぎたせいか、「納豆さえ食べれば、おなかがスッキリ」という取り上げ方をしたメディアもあって、それは言い過ぎではとの思いから、実際に納豆を食べてもスッキリする方法を提案したいということで、2種類の有益菌の組み合わせにしたわけです。
しかし、本来なら食べやすくて、乳酸菌の宝庫であり、納豆の植物性のたんぱく質とヨーグルトの動物性のたんぱく質の両方が摂れて、さらに納豆の食物繊維が加われば便通の改善にもってこいという考えでした。
ヨーグルトと納豆の組み合わせなら、味だけでなく、粘りも臭いも解消できます。テレビ番組的には、それぞれの難点を別のもので解決というのがよい見せ方ということでしたが、そんなことを言うなら大根おろしも味、粘り、臭いを解決するので同じじゃないかと頑張ってみたのですが、採用されませんでした。
そのときには、あくまで納豆の販売者側のPRで納豆がメインだったので、それにヨーグルトを加えると妙なビジュアルになったのは確かです。ヨーグルトの量を多くして、その中に浮かぶ小豆やドライフルーツのような感じにしたのがNHKの番組で、これはスポンサーの意向を考慮しないでよいことからできたことかもしれません。





