「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、各論のエネルギー・栄養素について説明しています。その中から水溶性ビタミンのビタミンB₁の欠乏の回避の「推定平均必要量、推奨量の策定方法」の続きを紹介します。
〔推定平均必要量、推奨量の策定方法〕
*妊婦の付加量(推定平均必要量、推奨量)
妊婦の付加量を要因加算法で算定するデータはありません。
そのため、「ビタミンB₁の必要量はエネルギー請求量(必要量と同じと考える)に応じて増大する」という代謝特性から算定しました。
すなわち、妊婦によるエネルギー付加量(身体活動レベル「ふつう」の初期の+50kcal/日、中期の+250kcal/日、後期の+450kcal/日)に推定平均必要量算定の参照値0.30mg/1000kcalを乗じると、初期は0.015mg/日、中期は0.075mg/日、後期は0.135mg/日と算定されます。
これらの算定値は、あくまでも妊婦のエネルギー要求量の増大に基づいた数値であり、妊娠期は個々人によってエネルギー要求量が著しく異なります。
妊娠期は特に代謝が亢進される時期であることから、妊娠後期で算定された値を丸めた0.1mg/日を、妊娠期を通じたビタミンB₁の推定平均必要量の付加量としました。
推奨量の付加量は、妊娠後期の推定平均必要量の付加量の設定にあたって算定した数値に推奨量算定係数1.4を乗じると0.189mg/日(0.135mg/日×1.4=0.189)となり、丸め処理を行って、0.2mg/日としました。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕





