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身体のエネルギー代謝は、飲食によって摂取したエネルギー源(糖質、脂質、たんぱく質)が消化・吸収されて、それぞれブドウ糖、脂肪酸、アミノ酸に分解されてから細胞の中のミトコンドリアに取り込まれるところから始まります。

ミトコンドリアで発生したエネルギーは、その細胞の中だけで使われます。電気のようにほかに流れていくことはありません。

神経細胞は長い形をしていて、端まで伝えられた電気信号に応じた神経伝達物質が放出されます。神経細胞と次に情報が伝えられる神経細胞との間には隙間があって、この離れたところを神経伝達物質が伝わり、次の神経細胞を刺激して情報として伝わっていきます。

このように、あたかも神経の電気信号が流れていくように見えても、あくまでも細胞の中だけで処理が行われています。

全身の細胞は、それぞれの部位(臓器や器官など)の役割を果たしていて、その働きは生化学反応によって起こっています。細胞があって、その中に化学物質などがあれば生化学反応が起こるわけではありません。

細胞の一つひとつは、細菌が単細胞で生きているのと同じように、独立して動いているわけですが、その動きのためにはエネルギーが必要になります。

エネルギーは細胞の中で作られて、そのエネルギーを使って細胞の生化学反応が起こっています。その生化学反応によって、ミトコンドリアにエネルギー源が取り込まれて、エネルギー化されています。

つまり、細胞の中で作り出されたエネルギーが、次にエネルギーを作り出すためにも使われているということです。

大きなエネルギーを発生させるためのエネルギー源は脂肪酸ですが、脂肪酸がエネルギー化するまでには時間がかかります。その時間を短くして、多くのエネルギーを作り出すためには、早くエネルギー化されるエネルギー源が必要になります。そのエネルギー源はブドウ糖です。

糖質制限によってブドウ糖が減りすぎると、エネルギー代謝が進みにくくなります。糖質制限をするにしても、あまり減らさないようにすることが大切です。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)

細胞の中にあるミトコンドリアでは、エネルギー源(ブドウ糖、脂肪酸、アミノ酸)を原材料としてエネルギー産生が行われています。

エネルギー産生はミトコンドリアのTCA回路で酸素を使って行われると一般には紹介されていますが、実際にはミトコンドリアの中でTCA回路を使わなくてもエネルギー産生は起こっています。

ただ、その産生量は少なくて、ブドウ糖1分子から2分子のATP(アデノシン三リン酸)が発生するだけです。それに対してTCA回路を経ると、ブドウ糖1分子から36分子のATPが作り出されます。

脂肪酸は、ブドウ糖に比べてエネルギー量が多いので(ブドウ糖1gが約4kcal、脂肪酸1gが約9kcal)、それだけ多くのATPを発生させることができます。

TCA回路でエネルギー物質のATPが作られているといっても、何もないところから、いきなりATPが発生しているわけではありません。ATPはアデノシンという化合物に3つのリン酸が結びついた形をしていて、ADP(アデノシン二リン酸)にリン酸が1つ結びついて作られます。

TCA回路で起こっている複雑な生化学反応は、ADPにリン酸を1つ結合させて、ATPにしているだけです。そして、ATPからリン酸が1個離れるときに約8kcalのエネルギーが発生します。また、ADPからリン酸が1個離れてAMP(アデノシン一リン酸)になるときにも8〜10kcalのエネルギーが発生します。

わずか8kcalであっても、ミトコンドリアは1つの細胞には平均すると300個ほどとされていて、ブドウ糖も脂肪酸もミトコンドリアの中に次々と入ってくるので、たった1回だけでも2400kcalになります。

全身の細胞は60兆個以上とされているので、膨大な量のエネルギーが発生しているはずですが、そんなにも多くのエネルギーが体内で使われていないのは、エネルギーを作り出すためにもエネルギーが使われているからです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)

全身の細胞の中でエネルギー産生を行うミトコンドリアは、糸を意味するミト(mito)と顆粒を意味するコンドリア(chondoria)から作られた用語です。

直径は0.5μm、長さは球形、筒状、紐状などの近いで異なりますが、最も長いもので10μmとなっています。

1μm(マイクロメートル)は1000分の1mm(ミリメートル)なので、いかに小さいかがわかります。

小さくても数が非常に多く、1つの細胞に100〜3000個も存在しています。ミトコンドリアの数が多いのは筋肉、脳、肝臓、腎臓で、多くのエネルギーが必要なところでは数が多くなっています。

それはミトコンドリアで作り出されたエネルギーは、その細胞の中だけで使われるものであって、多くのエネルギーが必要な臓器の細胞では、多くのエネルギーを作り出すためにミトコンドリアが多く存在しているわけです。

非常に数が多いことで、全身の細胞の中のミトコンドリアの重量は10%ほどとなっています。体重の10分の1がミトコンドリアの重さというわけで、いかに生命維持のために重要な器官であるかがわかります。

筋肉、脳、肝臓、腎臓では細胞質(核を除いた部分)の40%がミトコンドリアとなっています。それだけ多くのエネルギーを作り出すことができるといっても、エネルギー源のブドウ糖と脂肪酸を多くミトコンドリアに届けなければ、エネルギー産生が少なくなります。

脳だけは特殊で、エネルギー源はブドウ糖だけです。これは血液脳関門という脳細胞の手前にある関門(ゲート)がブドウ糖以外を通さないようにしているからです。

脂肪酸をエネルギー化させるためには、脂肪酸がミトコンドリアの膜を通過する必要がありますが、その役目をしているのはL‐カルニチンです。脂肪酸はL‐カルニチンと結びつくことによって、ミトコンドリアの膜を通過して、初めて細胞内のエネルギー源となることができるのです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)

エネルギー代謝によって作り出されたエネルギーは、基礎代謝、活動代謝、食事誘発性熱産生代謝の3種類のルートで使われます。使われるエネルギーの割合は、発生したエネルギー量や個人差によって違いはあるものの、ほぼ割合は決まっています。

その割合は一般には基礎代謝が約70%、活動代謝が約20%、食事誘発性熱産生代謝が約10%とされています。

基礎代謝は、生命を維持するために使われるエネルギーのことで、体温、呼吸、消化、吸収、排泄、循環、神経伝達、筋肉の緊張などがあげられます。これは1日中、寝たきり状態であっても使われるエネルギー量です。

最も多いのは体温の維持のためで、一般には基礎代謝の70%が使われます。ということは、発生したエネルギー量のうち約半分(70%×70%=49%)は体温の保持に使われているわけです。

活動代謝は、身体を動かすためのエネルギー量のことで、身体を動かすほど多く使われるようになります。全体の割合は約20%ということに着目すると、いつもの2倍の活動量があったとしても増えているのは20%ほどで、それを補うための飲食の量で増やしてよいのは20%ほどだということになります。

食事誘発性熱産生代謝は、他に食事誘発性熱産生、食事誘発性体熱産生と表現されることがあります。食事をするだけで消費されるエネルギー量で、消化に関わること(噛む、消化液を分泌する、消化したものを吸収するなど)で使われるエネルギー量です。

これは1日に3食を通常の分量を食べたことによるエネルギー量で、ダイエットのために1食を抜いたり、食べる量を減らすと、その分だけ食事誘発性熱産生代謝で使われるエネルギー量は減ることになります。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)

人間の身体の中でエネルギーを作り出し、作り出されたエネルギーを効率よく使っていく一連の流れは「代謝」と呼ばれています。代謝という用語は、「年齢を重ねると代謝が低下する」、「代謝が低下すると同じ食事と運動をしても太っていく」というように使われますが、そのときの代謝は“エネルギー代謝”を指しています。

代謝は、エネルギー源からエネルギーを作り出す異化と、作り出されたエネルギーを用いて身体に必要なものを作り出す同化に大きく分けられています。

異化は、飲食で摂取した糖質、脂質、たんぱく質を胃での消化によって、ブドウ糖、脂質、アミノ酸に分解する消化から始まります。消化されたあと、主に小腸から吸収されて、全身の細胞に取り込まれます。細胞の中にはミトコンドリアというエネルギー産生の小器官があり、その中でブドウ糖、脂質、アミノ酸がアセチルCoAという有機化合物に変化します。

ミトコンドリアの中にはTCA回路という代謝経路があって、アセチルCoAがクエン酸から9段階の変化をして再びクエン酸が作られます。この代謝経路を経ることによって、エネルギー物質のATP(アデノシン三リン酸)が発生します。

発生するといっても、何もないところから、いきなり現れるわけではなくて、他の物質から一部が変化するだけですが、そのことについては別の機会で詳しく紹介します。

TCA回路でATPを発生させるときには酸素が必要で、ATPが発生するときには、ミトコンドリアの中では二酸化炭素と水が発生します。一般に、細胞の中で酸素を取り込んで、二酸化炭素が排出されるというのは、このTCA回路の働きに関係しています。

エネルギー代謝は、基礎代謝、活動代謝、食事誘発性熱産生代謝の3種類に分けられます。この3種類のエネルギー代謝については、次回に説明します。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)

体内で発生するエネルギーは、飲食で摂取したエネルギー源(糖質、脂質、たんぱく質)を材料として、全身の細胞の中で作り出されています。作り出されたエネルギーを使って、身体を構成する成分を作り出したり、身体を働かせていますが、それによって再びエネルギー源をエネルギー化させています。

その仕組みを知って、健康の維持と増進のために何をすべきなのか、効果的にエネルギーを作り出して活用するためには何をすればよいのかを知ることが、エネルギー代謝のキーポイントとなっています。

エネルギー源とエネルギーの相互作用について、身体の中で起こっていることを理解するために、まずは発電の仕組みについて理解を進めてほしいことから、発電機を例に取り上げることにします。

発電は水力、風力、火力、原子力ともに、運動エネルギーによってタービンを回転させることから始まります。水力と風力の発電は位置エネルギーによって回転させ、火力と原子力の発電は蒸気の勢いによって回転させています。

タービンが回転すると電気が発生する仕組みですが、発電機には磁石とコイルが入っていて、コイルの中で磁石を回すことで電磁誘導によって電気が発生します。

そのためには磁石を回転させることが必要で、水力、風力、火力、原子力の発電は、水や風、蒸気によってタービンを回転させています。それとは逆に、磁石の中のコイルに電気を流すとコイルが回転します。これがモーターの仕組みです。

回転によって電気を発生させて、発生した電気で回転をさせる仕組みがあると、半永久的的に電気が発生することになります。この相互作用は人間の身体の場合には、エネルギー源からエネルギーを作り出す流れと、発生したエネルギーでエネルギーを作り出す仕組みを働かせる流れになります。

その仕組みを知って、効果的にエネルギーを作り出して、より健康になるための方法を、これから紹介していきます。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)

エネルギー(Energie)は、「仕事をすることができる能力」を指しています。

これは自然界での出来事も、発電などの作業も、そして身体の中で発生するエネルギーについても同じように考えることができます。

身体のエネルギー代謝を理解して、その促進と有効活用のためには、基本的なエネルギーについて知ることが大切だと考えています。

エネルギーそのものは目で見ることはできないものです。しかし、電気エネルギーであれば、それが存在することは電気測定器を使えば知ることができます。また、電気エネルギーが発生することによって、モーターを動かしたり、熱を発生させたり、光を発生させるといったことを起こすことができます。

エネルギー源である石油などが燃焼してエネルギーを作り出し、その結果として起こることは見ることができるものの、その間に起こっていることとなると、化学式で表すことができる世界であって、どのように変化しているのかを確認するのは難しいことです。

しかし、一般的な理解としては、石油から作ったガソリンが燃焼して運動エネルギーによってエンジンを動かす、ダムに貯められた水が落ちる位置エネルギーが水車を回転させて電気エネルギーを作るということで、よいのかもしれません。

エネルギーは位置エネルギー、運動エネルギー、電気エネルギー、熱エネルギー、光エネルギー、化学エネルギーなどの種類があり、それぞれが姿を変えて別のエネルギーになっていきます。電化製品が電気によって、さまざまな働きをすることが、その例となります。

身体の中では、エネルギー源(糖質、脂質、たんぱく質)を材料として生化学反応によって発生したエネルギーが、体温を保持するための熱エネルギー、身体を動かすための運動エネルギー、神経を働かせるための電気エネルギーなどに変化しています。その身体のエネルギーの変化が、「エネルギー代謝研究」の大きなテーマとなっています。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)

長らく事実のように語っていると、いつの間にか根拠を求められることがなくなり、説明する機会もないということがあります。その卑近な例として、ここで説明しておかないといけないと思ったのが、「フルマラソン1回2400kcal」という数字です。

2400kcalというと、1日に必要な摂取エネルギー量(といっても成人男性)に相当します。これは個人差が大きくて、“だいたいそんな感じ”というくらいで、あまり気にしないのかもしれません。

なぜフルマラソンのエネルギー量を例としてあげているのかというと、「体脂肪を1kg減らすためにはフルマラソン3回分」ということを言いたいからです。

脂肪のエネルギー量は1gあたり約9kcalです。1kgは1000倍なので9000kcalになるのかというと、脂肪細胞の中に蓄積されている体脂肪には水分が含まれていて、その割合は約20%です。そのため、体脂肪1kgは「9kcal×1000g×80%」で、7200kcalとなります。

1日の飲食による摂取エネルギー量が2400kcalだとすると、3日分の食事量に相当するのが体脂肪1kg分になるということです。このことは体脂肪のエネルギー量を示すときに、よく使われているのですが、これを使うと食事を減らすことを推奨しているように思われてしまいます。

中には運動をしないで、食べる量を減らすだけでダイエットをしようという人も出てきます。できることなら、しっかりと食べて、その分は運動をしてエネルギー代謝を高めてほしいことから、運動でのエネルギー消費量を示すようにしています。

1kmを移動するときに消費されるエネルギー量は体重1kgあたり1kcalとされています。

体重が57kgの男性が42.195kmを走った(歩いても同じ)場合には、「57kg×42.195km=2405.115kcal」となります。これが根拠なのですが、身長にもよるものの、運動をして引き締めている人の体重としては妥当なところです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)

小児肥満というと、一般には見るからに太っている子どものことを指すときに使われる用語ですが、中には見た目はスリムで、どう考えても肥満ではないという状態であるのに、体脂肪計(体組成計)で測定すると肥満の領域となっている子どもがいます。医療業界では“スリム型肥満”と呼ばれています。

成長期の子どもは、内臓も筋肉も成長していますが、同時に体脂肪も増えていきます。特に女性は、成長して女性らしい体つきになっていくときには体脂肪が増えています。

成長期に食事の摂りすぎ、運動不足によって体脂肪が増えすぎると太っていくのが普通であるのに、太っていない、むしろやせているのに肥満ということが、なぜ起こるのかというと、エネルギー代謝を促進する筋肉が減っていることが指摘されています。

小児肥満の子どものための効果的な食事指導と運動指導のプロジェクトに加わったときに気づいたのは、スリム型肥満の女児の母親の多くが太っていることでした。

親と離して子どもと話をしたときに、ダイエットのことを聞いています。

小学校高学年から中学生ではダイエットなど必要ないはずと思われがちで、見た目がスリムなら絶対に必要ないと判断されるところですが、スリムな女児がダイエットに励んでいた、それも母親に気づかれないように食べるものを減らしていたという実態がわかりました。

その理由は簡単なことで、多くは「母親のようになりたくない」という微妙な女心(乙女心)からでした。

ダイエット知識がない子どもは食べる量を減らしてしまいますが、その結果として体重が減ったときには筋肉も減っています。知識がない状態では食事を減らすダイエットは続かなくて、食事を増やして体重が元に戻ったときには増えているのは脂肪だけです。

ダイエットをして、リバウンドをして、またダイエットということを繰り返していると筋肉が減って、太りやすく、やせにくい身体になってしまいます。そんな少女にこそ、しっかりと食べて、運動もして、太りにくく、やせやすい体質になる方法を教えたいのですが、なかなか好機がないのが実情です。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕

体内に蓄積された毒素(有害ミネラル)を排出するデトックスは、便や尿に含まれる毒素を積極的に排出することで、臓器の毒素を減らし、最終的には全身の細胞の中の有害ミネラルを排出させようとして実施されています。

デトックスは全身の健康の維持のために行われるものであるはずですが、「ダイエットに効果がある」ということを謳い文句にして普及に努めているクリニックや美容サロンなどがあります。

全身の細胞の中では、ミトコンドリアのTCA回路というエネルギー産生システムの中で、エネルギー源(主にはブドウ糖と脂肪酸)がエネルギー化されています。TCA回路が正常に働くためには、有害な成分が細胞内にないことが必要です。TCA回路の活性化によって、脂肪酸がエネルギー化して減っていくことになります。

TCA回路で発生したエネルギーは細胞の中で起こる生化学反応を起こすために使われています。そのときに細胞の中に有害ミネラルがあると、生化学反応が低下することになり、エネルギーを使って筋肉を増やす、血流を促進するという反応が起こりにくくなります。

これがデトックスによってダイエットが進みやすくなる理由としてあげられていることですが、ダイエットといっても食事を減らすだけでは、食べ物から体内に入ってくる有害ミネラルが減ることはあっても、デトックス効果は高まりにくいと考えられています。

有害ミネラルを細胞の中から排出するためには、健康維持に必須なミネラルが必要で、このミネラルを使って細胞が正常に働くように整えられていきます。食事量を減らして、必要なミネラルが減ってしまったのでは仕方がありません。

それよりも食事でミネラルを多く摂って、運動などによって代謝を高めて、有害ミネラルを排出できる身体にしていくことが重要であると考えています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕