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糖尿病が国民病と呼ばれるようになったのは1970年代のことですが、その当時の患者数は約100万人と推計されていました。新たな調査結果が発表されるたびに増加傾向となり、平成28年(2016年)調査の「国民健康・栄養調査」(厚生労働省)では、糖尿病患者は約1000万人と発表されました。

国民健康・栄養調査では、糖尿病患者は「糖尿病が強く疑われる者」とされていて、一般に“糖尿病予備群”と呼ばれる人は「糖尿病の可能性を否定できない者」とされています。

国民健康・栄養調査では、糖尿病が強く疑われる者はヘモグロビンA1cの値が6.5%以上の者、または医療機関や健診で糖尿病と言われたことがある者を指しています。

糖尿病の可能性を否定できない者は、ヘモグロビンA1cの値が6.0%以上6.5%未満の者となっています。その人数は、平成28年調査では約1000万人と発表されました。

合計で約2000万人ですが、国民健康・栄養調査は成人人口約1億人のうちの推計値であることから「国民の5人に1人が糖尿病か予備群」という衝撃的な結果がメディアなどで盛んに報道されました。

この結果を受けて、「翌年は増えるのか、それとも減るのか」といったことも語られていたのですが、その発表は望めないことでした。というのは、国民健康・栄養調査で“推計人数”(20歳以上、男女計)が発表されるのは5年に1回のことで、それ以外の年は「糖尿病が強く疑われる者」と「糖尿病の可能性を否定できない者」の男女別の割合だけだからです。

平成28年の5年後というと平成3年(2021年)の調査となるわけですが、実際には令和6年(2024年)調査の結果が令和7年12月に発表されました。8年ぶりの発表で、これはコロナ禍の影響で3年間、調査そのものが実施されなかったためです。

令和6年調査では、糖尿病が強く疑われる者は1100万人となりました。これを示して「10%も増加した」と報道したメディアもありましたが、糖尿病予備群は約700万人と30%も減りました。

つまり、糖尿病患者と糖尿病予備群の合計数は約1800万人と、20%の減少となっています。この結果を受けて、「その間に何があったのか?」という疑問を投げかけた一部のメディアもありました。

国民健康・栄養調査は国民全員に調査をするわけではなくて、調査対象は約2万人、そのうちの回答者は約1万人で、その人たちの結果を20歳以上の人口に当てはめたものです。

そもそも国民健康・栄養調査は、国の健康施策の基本とするためのデータであることから、各回の結果に一喜一憂するのではなくて、推移を見て、今後の対策について考えていくことが重要という認識を持つようにしてもらいたいのです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕

「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、各論のエネルギー・栄養素について説明しています。その中から微量ミネラルの銅の「生活習慣病等の発症予防」を紹介します。

〔生活習慣病等の発症予防〕
銅の摂取と糖尿病発症リスクの関連を検討した疫学研究の結果は一致していません。

また、銅の摂取量と高血圧の発症の関連を検討した研究では、1日当たり1.57mg未満の銅摂取では、食事性銅摂取量の増加に伴って高血圧の発症リスクが減少して、それ以上では、食事性銅摂取量の増加に伴って高血圧の発症リスクが増加するとしています。

一方、高齢女性を対象に様々なサプリメントの使用と全死亡率との関連を検討した疫学研究においては、銅サプリメントの使用が全死亡率を上昇させることが認められています。

このことは、サプリメントの使用が推奨量を大きく超える量の銅の摂取につながり、健康に悪影響を及ぼす可能性を示唆しています。

以上より、銅の摂取量が糖尿病や高血圧の発症に関連がある可能性はありますが、推奨量を超える銅の積極的な摂取は、耐容上限量未満であっても健康に悪影響を及ぼす可能性は否定できないと判断して、生活習慣病予防のための目標量(下限量)を定めることは妥当ではないと判断しました。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕

「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、各論のエネルギー・栄養素について説明しています。その中から微量ミネラルの銅の過剰摂取の回避の「摂取状況」と「耐容上限量の策定方法」を紹介します。

〔摂取状況〕
平成30年・令和元年国民健康・栄養調査における日本人成人(18歳以上)の銅摂取量(平均値±標準偏差)は、1.24±0.44mg/日(男性)、1.07±0.39mg/日(女性)です。

〔耐容上限量の策定方法〕
*成人・高齢者(耐容上限量)
血漿・血清銅濃度は、銅の摂取量0.57〜6.9mg/日の範囲で一定となっています。

血漿・血清銅濃度の上昇を直ちに健康被害の発現と見なすことはできないものの、6.9mg/日は参考にすべき数値です。

一方、10mg/日の銅サプリメントを12週間継続摂取しても異常を認めなかったとする報告があります。

以上より、健康障害非発現量を10mg/日とみなして、血漿・血清銅濃度の上昇を起こさないために、不確実性因子を1.5として、耐容上限量を男女一律に7mg/日としました。

なお、欧州食品科学委員会では耐容上限量を5mg/日、アメリカ・カナダの食事摂取基準とオーストラリア・ニュージーランドの食事摂取基準では耐容上限量を10mg/日としています。

*小児・乳児(耐容上限量)
十分な報告がないため、小児と乳児の耐容上限量は設定されていません。

*妊婦・授乳婦(耐容上限量)
十分な報告がないため、妊婦と授乳婦に特別な耐容上限量は設定されていません。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕

高血糖状態が5~10年も続くと、細小血管が高濃度のブドウ糖にさらされ、血管細胞内にブドウ糖が多く入り込み、新陳代謝が弱まっていきます。

このことが糖尿病によって血管の老化が進んで、細小血管(細動脈、細静脈)が傷んでいく大きな要因となっています。

血液中のブドウ糖は、全身の細胞の栄養源であり、それは血管の細胞にとっても同じことです。血液中のブドウ糖が正常範囲であれば、急に血管細胞に多くのブドウ糖が取り込まれるようなことはありません。

ところが、ブドウ糖が多くなりすぎた高血糖状態では、必要以上のブドウ糖が細胞に取り込まれることになり、これは浸透とも表現されています。

ブドウ糖が血液中で多くなりすぎるようなことは、人類の歴史ではなかったことで、むしろ長い歴史の中では飢餓状態のほうが長くなっていました。そのため、ブドウ糖が多いときには、できるだけ取り込もうとする仕組みとなっていきました。

過剰になったブドウ糖は、血管細胞の中では糖アルコールに変化します。この糖アルコールは水成分のようなもので、細胞内に多く蓄積されるようになります。

細胞は一定の水分の割合のときに、正常に働き、新陳代謝も正常に行われます。ところが、糖アルコールが多くなると、その分だけ水が少なくなり、細胞の働きが低下します。

血管の細胞が再生しやすいのは、新陳代謝が盛んに行われているからで、新陳代謝が低下すると再生が間に合わなくなって、血管の老化が進んでいくようになります。

このようなことから、高血糖状態になるほど、その期間が長くなるほど血管が傷んでいくようになって、糖尿病の合併症を引き起こす要因となっているということです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕

毛細血管を通過する赤血球の直径は約8μmで、これよりも細い毛細血管を通過することができるのは、赤血球には弾力性があって、つぶれるようにして通るからだ、と前回説明しました。

これは一つひとつの赤血球が単独で通過する場合のことで、2つの赤血球、3つの赤血球がくっついて固まりになったものは通過できなくなります。

また、通過できたとしても時間がかかるようになって、酸素を全身の細胞に運ぶという、赤血球の役割を充分に果たすことができなくなります。

毛細血管の太さ(直径)は5〜20μmと差があるので、赤血球が2つ以上にくっついても通常と同じように通過できる毛細血管もあります。しかし、全体としては酸素の供給量が減ることになって、多くの酸素が必要な目の網膜や腎臓などは影響を受けやすくなりまる。

目の網膜や腎臓は糖尿病の合併症が起こりやすい部位でもあります。

糖尿病の合併症を説明するときに“細小血管”という用語が使われています。毛細血管と同じものだと説明されることがあるものの、構造としては少し異なっています。

細小血管には平滑筋があって、収縮・拡張して血流を調整する役割があります。それに対して、毛細血管は1層の内皮細胞だけで筋肉がなくて、最末端の組織となっています。酸素や栄養素を送り届けるのは毛細血管です。

細小血管は(細動脈、細静脈)とも呼ばれていますが、細小血管が高血糖状態が続くことで老化していくのは、筋肉細胞があることが大きく関係しています。

血液の状態が健康に影響するというと、“血液ドロドロ”があげられることが多くなっています。細くて弱い血管への影響ということでは、赤血球をくっつけてしまうブドウ糖が多くなりすぎた“血液ベタベタ”も大きな問題があるのです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕

糖尿病になると合併症が起こりやすく、それが治療を困難にさせていることは前回も触れました。その原因として血流が低下して血管の新陳代謝が遅くなることをあげましたが、それは複数の要因によって起こっています。

糖尿病になると血液中のブドウ糖が多くなるものの、それだけで血流が低下するわけではありません。一口に血管といっても、太さには大きな違いがあって、最も太い大動脈は500円硬貨と同じくらいのサイズです。

大動脈は心臓から送り出された血液が最も勢いよく通過するところであるので、太いだけでなく、血管壁は厚くなっています。

一般に血管の太さは約0.5mmと説明されていて、この太さの血管が最も多く、全身に張り巡らされています。0.5mmというと、シャープペンシルの芯の太さです。この太さの血管までは3層構造になっていて、細いようでも丈夫であり、弾力性があります。

最も細いのは毛細血管で、印象としては髪の毛を思い浮かべるかもしれませんが、髪の毛は細くても0.07〜0.08mm(70〜80μm)です。産毛でも約0.03mm(30μm)です。

これに対して毛細血管は0.005〜0.02mm(5〜20μm)と部位によって太さ(直径)が異なります。

毛細血管を通過する赤血球の直径は約8μmで、これよりも細い毛細血管の中を通過することができるのは、赤血球には弾力性があって、つぶれるようにして通っていくからです。

毛細血管は1層だけなので、あまり弾力性はないのですが、赤血球が通過しにくくなって、全身の細胞に送られる酸素が不足するようになる原因の多くが血液中のブドウ糖の過剰です。

詳しくは次回に説明しますが、ブドウ糖が赤血球をくっつけるために、通過できなくなってしまう赤血球が増えてしまうのです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕

「糖尿病で死ぬことはない」とは、検査を受けて高血糖を指摘された人が、よく口にする言葉です。こういった感覚が、糖尿病の受診を遅らせる原因となっています。

糖尿病になったからといって、それだけで亡くなることはないものの、年間の死亡原因を見ると、糖尿病は以前には第10位前後となっていました。

今では順位は下回っているものの、それでも年間に約1万6000人が亡くなり、数としては増えています。

その多くは合併症によるものです。

糖尿病の合併症で亡くなる人の多くは腎症によるもので、これは細くて弱い細小血管がもろくなることによって起こります。

高血糖状態が5~10年も続くと、細小血管が高濃度のブドウ糖にさらされ、血管細胞内にブドウ糖が多く入り込み、新陳代謝が弱まっていきます。

これによって血管の弾力性が失われていくようになり、血流が大きく低下するようになります。

また、赤血球によって運ばれる酸素量が減るために、全身の細胞に届けられる酸素が減り、このことも新陳代謝に影響を与えます。

これは古くなったゴム管がボロボロになっていくのと似た状態であり、ボロボロになったゴム管が元には戻らないのと同じように、血管も高血糖にさらされ続けると、元には戻りにくくなります。

これが合併症の始まりで、この状態が動脈硬化を起こすことになります。この状態になる前に、対策をするのが糖尿病では非常に重要なこととなります。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕

糖尿病は、1型糖尿病と2型糖尿病に大きく分けられます。

1型糖尿病は、膵臓でインスリンを合成するランゲルハンス島のβ細胞が破壊されて、インスリンの分泌が大きく減るタイプで、インスリンを外から与える治療(注射)が不可欠となっています。

破壊の原因としては、遺伝のほかにウイルス感染や、本来は自分の体を守るための免疫細胞のリンパ球が誤って膵臓を攻撃する自己免疫が考えられています。

1型糖尿病は子どもの糖尿病に多く、発症率は5%ほどです。

残りの95%ほどは2型糖尿病が占めています。2型糖尿病は、インスリンを用いなくてもよい場合と、インスリンが必要な場合に分けられます。

2型糖尿病はインスリンの分泌量の減少や、インスリンが分泌されても反応が悪いもので、その原因としては食べすぎ、飲みすぎ、運動不足、肥満、ストレスのほかに、インスリンに反応してブドウ糖の取り込みを進める酵素の働きをよくする作用がある亜鉛やクロムの不足などの生活習慣に起因するものがあげられます。

飲食によって摂る糖質が多くなると、血液中に含まれるブドウ糖が多くなり、ブドウ糖に反応して分泌されるインスリンの分泌量も増えていきます。

膵臓は疲労症状が現れにくい臓器であるために、ブドウ糖が入ってくる間は限界まで働き続けます。

そして、限界に達すると急に膵臓の機能が低下して、インスリンの分泌量も大きく低下していきます。この状態は、改善されにくいため、糖尿病の治療を難しくしています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕

糖尿病の血糖値による判定基準は、日本糖尿病学会によって定められています。

それによると、以下の、いずれかを満たしているものが糖尿病と判定されます。

「空腹時血糖値:126mg/dL以上、食後2時間血糖値:200mg/dL以上」

正常値と糖尿病域の間が境界域で、空腹時が110~126mg/dL未満、食後2時間血糖値が140~200mg/dL未満となっています。
血糖値は血液中のブドウ糖濃度のことで、血液1dL(デシリットル)当たりのブドウ糖の量がmg(ミリグラム)で表されます。

健康な人は早朝の空腹時の血糖値は100mg/dL以下で、食後でも160mg/dLを超える例はほとんどありません。

ヘモグロビン(Hb)A1cは、赤血球の中にあるヘモグロビン(血色素)のうちブドウ糖と結合しているグリコヘモグロビンの割合をパーセントで表した指標です。

グリコヘモグロビンはブドウ糖と結びつきやすく、血液中のブドウ糖が多くなるほどヘモグロビンA1cの割合が高まっていくため、1~2か月間の血糖値の状態を知ることができます。

健康な人のヘモグロビンA1cは4.3~5.8%とされています。

血糖値は食事内容や体調、ストレスなどによって常々変化しています。健康診断の数日前からブドウ糖が多く含まれる糖質の摂取量を少なくすることで、血糖値を低めに抑えることができます。

しかし、ヘモグロビンA1cを測定することで、長期間の血糖値が、どのような状態であったのかを知ることができるため、これが糖尿病の重要な指標とされています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕

糖尿病は膵臓から分泌されるインスリンが減ることによって血糖値が上昇することから始まります。インスリンが多く必要な食生活を続けていると、膵臓が疲弊してインスリンが分泌されにくくなります。

インスリンは肝臓で脂肪を合成したり、脂肪細胞の中に脂肪を蓄積するためにも使われます。脂肪が多く食事、摂取量が多いと体内で脂肪に合成される糖質、たんぱく質の摂りすぎでもインスリンが多くなり、膵臓の働きを低下させることになります。

そのため、糖尿病の治療食では脂肪の量が少ない内容(献立)となっています。

糖尿病食は、普通ならダイエット食、健康食ですが、日常で食べている食事とは違ったメニューが出されることもあります。そのために、好きな料理だけを食べていればよい、というわけにはいかなくなり、これが病院給食の、おいしさを感じにくい要因にもなっています。

糖尿病食では、これまでの糖質とたんぱく質の摂取が急に変化することがあります。それは重症化して、合併症の腎症が現れたときです。通常の糖尿病では、血管を丈夫にするために、たんぱく質の摂取量が増やされます。

ところが、糖尿病性腎症になると、たんぱく質は腎臓に負担をかけるので、極端に減らされます。料理でおいしさを感じるのは、多くはたんぱく質が多く含まれる食品です。

その代わりに、エネルギー不足にならないように、糖質や砂糖が増やされます。そのために食事が全体的に甘くなり、おやつを食事とは別に食べることもすすめられます。

治療食の検食として、私は病院で何度も腎臓治療食を食べたことがありますが、これがずっと続くのは想像を絶する苦しさです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕