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注意欠陥・多動性障害を理解するために、前回の不注意、多動性に続いて衝動性について列記していきます。

◎衝動性
*衝動性が抑えられず、ささいなことで手を出したり、大声を出す

*突然動き出すので周りの人や物にぶつかる

*身体接触を求めてくるとき、力やスピードの加減がわからずに勢いよくぶつかってくる

*相手の話に興味を持つと横から割り込む

*順番を待つのが難しい

*ゲームや競争で一番にならないと気が進まない

*遊びで負けそうになるとルールを勝手に変える

*質問が終わらないうちに出し抜けに答えてしまう

*嫌なことをやられたと思った瞬間に、すぐ手が出てしまう

*乱暴な子、反抗的という目で見られやすい

*目先の楽しみや利益に目が行きやすい

このような注意欠陥・多動性障害がある子どもへのアドバイスとして、以下のことがあげられています。(鳥取県「発達障がい啓発ハンドブック」より)

*注意を高めて集中力を持続させる環境をつくる

*注意や興味を引きつけたり、気づくきっかけを増やす

*多動や衝動的な行動を感情的に叱るのは逆効果

*ほめること、認めることが効果的

注意欠陥・多動性障害を理解するために、それぞれの状態(不注意、多動性、衝動性)について列記していきます。今回は不注意と多動性についてです。

◎不注意
*ルールを守ることが難しい

*物忘れが多く、物をなくしやすい

*何回言っても忘れる

*気が散りやすく、集中力が続かない

*興味があるものに集中しすぎて、切り替えが難しい

*ボーッとしていて、話を聞いていないように見える

*事前によく考えて行動できない

*課題や活動を順序立てて行うことが難しい

*指示は理解できても、従うことが難しい

*行動が他の子よりワンテンポ遅れる

*字が乱れる

*不器用(縄跳びなどが苦手)

*片付けられない

*勉強で細かなところに注意を払わなかったり、不注意な間違いをする

*課題や遊びの活動で注意を集中し続けることが難しい

*気持ちを集中させて努力し続けなければならない課題を避ける

*あまり目立たないために注意欠如・多動性障害であることに気づかれにくい

◎多動性
*落ち着きがなく、授業中でも立ち歩く

*身体を動かすことがやめられない

*手足をそわそわ動かしたり、着席していてももじもじする

*一方的にしゃべる、しゃべり出すと止まらないほど過度にしゃべる

*夢中になると周りが見えなくなる

*遊びや余暇活動におとなしく参加することが難しい

*きちんとしていなければならないときに、過度に走り回ったりする

自閉症スペクトラム障害を理解するために、幼児期の特性について列記していきます。このことから保護者が気づいて、専門医に相談することで発見されることも多くなっています。

注意欠陥・多動性障害(ADHD:Attention-deficit hyperactivity disorder)は、「不注意」「多動性」「衝動性」の3つが特徴的で、身の回りの特定のものに意識を集中させる脳の働きである注意力に問題があり、衝動的で落ち着きのない行動によって生活上の困難に直面している状態を指します。

発達年齢に見合わない多動・衝動性、あるいは不注意、その両方の症状が7歳までに現れ、その対応別の症状の程度によって、多動・衝動性優勢型、不注意優勢型、混合型に分類されます。学童期の子どもには3〜7%存在し、男性は女性より数倍多いと報告されています。男性の有病率は青年期には低くなるのに対して、女性の発現率は年齢を重ねても変化しないと報告されています。

小学生では、多動・衝動性の症状には、座っていても手足をもじもじする、席を離れる、おとなしく遊ぶことが難しい、じっとしていられずにいつも活動する、しゃべりすぎる、順番を待つのが難しい、他人の会話やゲームに割り込むなどがみられます。

不注意の症状には、学校の勉強でうっかりミスが多い、課題や遊びなどの活動に集中し続けることができない、話しかけられていても聞いていないように見える、やるべきことを最後までやり遂げない、課題や作業の段取りが下手、整理整頓が苦手、宿題のように集中力が必要なことを避ける、物忘れや紛失が多い、気が散りやすいなどがあります。

多動症状は、一般的には成長とともに軽くなっていく傾向がありますが、不注意や衝動性の症状は半数が青年期まで、半数は成人期まで続くと報告されています。また、思春期以降に、うつ症状や不安症状を合併をする人もいます。

自閉症スペクトラム障害の成長期の特性について紹介します。前回の幼児期の特性と見比べると、より特性が理解しやすくなります。

*場にそぐわない発言や失礼な発言など思ったことを口に出す

*初対面の人であってもなれなれしい態度で接する

*相手の気持ちを理解し、共感することが難しい

*明文化されていないマナーやルール(暗黙の了解)を理解することが難しい

*日常会話であっても文語体の堅苦しい表現を使う

*相手の表情などの非言語情報から相手の気持ちを汲み取ることが難しい

*言葉を文字通り受け取り、冗談を真に受ける

*相手の返答を待たずに自分の話したいことだけを一方的に話す

*臨機応変な対応が苦手で急な予定の変更や突発的な出来事に適応しづらい

*独特のこだわりがあり、その秩序が乱れると混乱する

*抽象的な話や家庭の話が理解しづらい

*二つ以上のことを同時に実行することが苦手

このような自閉症スペクトラム障害がある子どもへのアドバイスとして、以下のことがあげられています。(鳥取県「発達障がい啓発ハンドブック」より)

*叩いたり、怒鳴ったり、追いつめたりして叱るのは逆効果

*長い文章より簡潔で短い文章にする

*抽象的な言葉よりも具体的な言葉で伝える

*言葉だけで難しい場合は、その人にわかる手段を使って伝える

*否定的でなく、肯定的に伝える

*予定などは事前に伝えておく

ケルセチン配糖体というと、腹部の体脂肪を低減させる特定保健用食品としての緑茶飲料について前回紹介しましたが、ケルセチンには他にも作用があり、これが機能性表示食品にも使われています。ケルセチン配糖体が含まれた機能性表示食品の中には、「中高年が加齢に伴い低下しがちな積極的な気分、生き生きとした気分、やる気を維持する機能があることが報告されています」と表示された製品があります。

「〜報告されています」との表示は、その製品で試験したものではなくて、研究論文を活用したもので、その成分が、同じ量だけ使われると同じ効果があるという前提で設けられた制度です。

精神的な機能が期待されるわけですが、調査対象となっているのは疾病に罹患していない人です。機能性表示食品は病気の人のデータを使うことができないという条件があり、病気の改善効果はないことが前提となっています。

ケルセチンを用いた機能性表示食品の研究論文では、健常な中高年がケルセチンアグリコンとして1日当たり50mg以上を含む食品を摂取することで、CADi2の項目のうちSDS(うつ性自己評価尺度)、やる気スコアについて優位な改善が認められるとの結果が得られています。

CADi2はアプリケーションの名称で、タブレットを用いた認知症の早期発見のツールで、認知機能検査とCADi2で構成されています。CADi2はSDS、やる気スコアで構成されていて、日本うつ病学会のガイドラインにも掲載されている検査法です。

SDSは20問の質問に1〜4点、やる気スコアは14問の質問に0〜3点がつけられていて、意欲の状態が診断されるものです。引用した研究論文では、SDS、やる気スコアともに健常者の範囲にある中高年者を対象にした試験が実施されていて、有意に改善したとの報告があることから、これを科学的根拠しています。

エネルギー源の糖質、脂質、たんぱく質のうち、主にエネルギー代謝に活かしたいのは糖質と脂質です。たんぱく質は身体を構成する重要な成分であり、酵素やホルモン、生理活性物質などの原料であることから、エネルギーとして消費されないことが求められます。しかし、糖質と脂質が不足している状態では、たんぱく質が分解されてアミノ酸となり、エネルギー源として使われるようになります。

このような話を聞くと、糖質と脂質が不足しなければ、たんぱく質がエネルギー源になることはないように思われるところですが、食事の摂取タイミングによっては、たんぱく質がエネルギーとして使われることになります。そのタイミングというのは、夕食から朝食までの間のことで、夕食で糖質と脂質が不足していると、たんぱく質が分解されて、アミノ酸になって、エネルギー化されてしまいます。

糖質制限のブームのために夕食で糖質の摂取が少ない人が目立って増えています。夕食で摂取した糖質は、自律神経の副交感神経によって多く分泌されるインスリンの作用で、肝臓で脂肪酸に合成されるようになります。その作用があることから、夕食での糖質制限が推奨されるのです。

夕食での糖質と脂質が不足していると、アミノ酸がエネルギー化されるために、筋肉を構成するたんぱく質が分解されます。就寝前に計測した体重に比べて、起床直後に測定した体重が800〜1000g減少していると、たんぱく質が減少した結果だと考えられます。これを補うためには、朝食で不足しているたんぱく質を補うことが必要になります。

たんぱく源としては、牛乳、卵、ハム、魚、大豆・大豆製品(納豆、豆腐、味噌、豆乳など)が必要となります。標準的な朝食の和食でも洋食でも、たんぱく質を補うことができる内容となっています。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)

国立長寿医療研究センターが、多価不飽和脂肪酸のDHA(ドコサヘキサエン酸)、EPA(エイコサペンタエン酸)、ARA(アラキドン酸)の摂取量が多いと認知機能に関わる側頭皮質や前頭皮質などの局所脳体積の減少が抑制される可能性を発表しました。

この調査研究は、愛知県大府市・東浦町の地域住民から性・年代別に無作為に選出された40歳以上の中高年者を対象に、医学・心理・運動・身体組成・栄養など多角的な観点から老化・老年病予防策を検討する大規模コホート研究となっています。

魚、卵、肉などから日常的に摂取されるDHA、EPA、ARAは脳のリン脂質の主要な構成成分で、加齢によって脳内の量が減少することが知られています。これらの成分を高齢者が補うことで注意、作業記憶などの認知機能が維持されるとの報告があります。

今回の調査研究に参加したのは認知症の既往や認知機能障害の疑いがなくて、頭部MRI測定などの解析をした60〜89歳の男女810人で、DHA、EPA、ARAを摂取した2年間の局所脳体積の変化量が解析されました。

その結果、ARAの摂取量が多いと前頭皮質の体積変化量の減少が小さく、認知機能低下のリスクも低いことが明らかになりました。DHAとEPAの摂取が少ない集団で、DHAとEPAの摂取が多くなった場合には、側頭皮質の体積変化量の減少が小さいという結果になりました。

日本人は魚介類の摂取量が多いことから、DHA、EPA、ARAの摂取による認知機能の好結果が出にくい国民だと考えられてきていました。しかし、ARAについては魚介類の摂取量に関係なく好結果が得られ、DHAとEPAは調査対象の摂取量に制限があったといっても多く摂取することで好結果が得られています。

農林水産省の食料需給表によると、魚介類の摂取量は1人1年あたりの消費量は2001年の40.2kgから2017年には24.4kgに大きく減少しています。今の日本人は、DHA、EPA、ARAの効果が出やすい食生活になっているということがいえます。

認知症というと記憶力が低下することと考えられがちですが、記憶力にはあまり変化がなくて、判断能力としての認知が低下することがあります。これが新たな問題とされていて、“隠れ認知症”とも呼ばれています。これは認知症の予備群とされる軽度認知障害とは異なるものです。

軽度認知障害は、認知症を判断するテストによって、認知症と診断される状態ではないもの、認知機能が低下している状態を指しています。認知症との違いは、日常生活への影響がないところで、少し記憶力が低下してきた、年相応と見られることから、テストをしないと判定することができません。

このまま認知機能の低下が進むと認知症になる可能性が高いものの、そのままの状態で止まる人もいれば、正常な範囲に戻ることも可能とされています。

軽度認知障害の発現率は13%と推定されていて、認知症予備群は400万人はいると推計されています。この400万人すべてが軽度認知障害ではなくて、このうち250万人は隠れ認知症と推測されています。

2015年には認知症患者が460万人で、「2025年に認知症患者が700万人に達する」と言われて国をあげて対策が取られてきました。わずか10年で1.5倍以上になるとして危機感が煽られてきたものの、あと3年に迫っても、まだ解決策は見えてきません。

明らかな認知症だけでなく、隠れ認知症も含めた認知症予備群を加えると1000万人を超える状況が目の前にきているだけに、何もしないで“座して死を待つ”ようなことであってはいけないはずです。

まだ自分の努力で改善できる軽度認知障害から元の健康な状態になれるように、できることから軽度認知障害にもならないようにすることを願っています。

他人との交流は、認知機能の向上に役立つということは以前から言われてきたことです。ただ交流する機会を増やすだけでなくて、認知機能を高める効果は明らかになっていることに臨みたいというのは、残された時間が、そう長くはないと感じている人が強く望んでいることです。

その方法の一つとして考えたいのは“笑い”の効果です。その例として取り上げるのは東北大学の研究グループによる研究成果で、この研究では介護を受けていない高齢者1万2571人を6年間にわたって追跡調査しています。笑いが起こる状況と、その後の会議の必要性との関連について分析していて、追跡期間中に1420人(11.3%)が新規に要介護認定を受けています。

追跡の結果、夫婦や子ども、孫、友人と接しているときなど他の人と交流しているときに笑う人は、テレビや芝居などの演芸などを見て1人でいるときだけ笑う人に比べて、要介護認定されるリスクが23%低くなるという結果が得られています。

中でもよい結果が現れたのは、友人と一緒に笑うことで、1人でいるときにだけ笑う人と比べると、要介護認定されるリスクが30%も低くなっていました。

笑うことは精神面だけでなくて、腹部に力を入れて息を短く吐く腹式呼吸を繰り返しています。「腹がよじれるほど笑う」という表現があります。「腹の皮がよじれる」というのが正しい表現だという考えもあるのですが、実際によじれるかどうかは別にして、腹筋が激しく動くのは事実で、その分だけ体内に取り込まれる酸素も増えていきます。

1回あたりの換気空気量は胸式呼吸では500mlほどですが、腹式呼吸では2000mlにもなるといいます。くすくすと笑うのではなくて、大声で笑うことは、まず体内の二酸化炭素が排出されて、その出た分に合わせるように酸素が体内に取り込まれます。全身を使うような笑いこそが酸素を取り入れ、これを使って有酸素運動のように多くのエネルギーを作り出すことができるようになります。

大きく呼吸をすることで肺からは生理活性物質のプロスタグランジンが分泌されます。プロスタグランジンには血管拡張作用があります。こういったことも加わって、血流が盛んになって、認知機能を向上させることが期待されているのです。

睡眠は身体の疲労回復だけでなくて、脳の疲労回復にも重要なことです。ただ寝ている時間が長いというだけではなくて、睡眠の質がよくないと脳の疲労も回復しにくくなります。脳の疲労というと精神的な疲れ、うつ症状などが想像されるところですが、認知症の原因物質とされているアミロイドβというタンパク質が脳内に蓄積されやすくなることが知られています。

アミロイドβは脳内で発生しても眠っている間に老廃物として排出されます。すべてが排出されるわけではなくて、徐々に蓄積されていくので、年齢を重ねると認知症が発症しやすくなると考えられています。それだけでなく、高齢になると自律神経の副交感神経の働きが低下して、交感神経の働き過ぎを抑えにくくなることから、熟睡しにくくなり、これが脳の疲労を高めることにもなります。

これに加えて、高齢になると睡眠ホルモンのメラトニンの分泌量が減ることもあげられます。メラトニンの分泌のピークは10代で、睡眠の質が木になる40代では6分の1ほどになり、高齢者では10分の1にも減ってしまいます。

その結果として、睡眠時間が短い、睡眠の質が低下して熟睡できないということも、アミロイドβの排出を遅らせて、蓄積を進めていくようになります。このこともあって、睡眠はアルツハイマー型の認知症のリスクを高めるとされているのです。

睡眠に関する調査は、さまざまな機関で行われていますが、厚生労働省の「健康実態調査結果の報告」(2021年)によると、40歳以上の約9割が「寝付きに時間がかかった」「夜間、睡眠途中に目が覚めて困った」「早く目が覚め、それ以上眠れなかった」といった睡眠に関わる不満を持っていることが発表されています。