視覚と聴覚は到着まで0.5秒の差があるということを前回書きました。この差は脳が調整して、声と口の動きが同時に感じるということを説明して、その調整が私はうまくできないので、声が先に聞こえて、口の動きが遅れて見えるということを書きました。
0.5秒の差というのは、意識をしているわけではなくて、無意識のうちに起こっていることです。意識して行っているようでも、実際には無意識のうちに行われていることを示すときにも0.5秒の差が使われます。
ピッチャーが投球を始めてからバッターがバットを振り出す位置に到達するまでの時間は0.5秒とされています。もちろん、ピッチャーの技量や腕力などによって差はあるのですが、速球と言われる速度では0.5秒ほどで届いています。
これに対してバッターはピッチャーが投げてから、コースに合わせてバットを振っているようでも、バットを降り出すのに0.5秒かかっています。ボールが手を離れてからコースを見極めて、バットを振っていたら、キャッチャーミットにボールが収まってからバットが出ることになります。
そのため、バッターはボールのコースと到達時間を予測して、いわば勘でバットを振っているだけだと言われることがあります。しかし、バッターは意識をしてバットを振っているようでも、実は無意識に振らなければ当てることはできないので、バッティングは無意識の行動だということができます。
それでも普通ならボールに当てることはできそうですが、速球で、大きく変化するボールは勘だけでは当てることができません。大谷翔平投手のボールに当てるのは相当に難しいことになるわけですが、それは大谷投手の併殺(ゴロでの2個のアウト)が極端に少ないことを見てもわかります。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)
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消化をよくするためには消化液を多く分泌させる必要があるわけですが、食べたものの種類と分量に合わせて消化液が分泌されるためには、消化器を正常に働かせるためのエネルギーが必要になります。細胞の中で発生するエネルギーの源になっているのは糖質(ブドウ糖)、脂質(脂肪酸)ですが、これが細胞の中のミトコンドリアで代謝されることによって細胞の中の生化学反応を起こすためのエネルギーとなっています。
細胞の中で作り出されたエネルギーは、その細胞の中でしか使われない“地産地消”のような状態となっています。消化液を正常に分泌させるためには、胃の細胞だけでなく、消化液を作り出している器官、消化のサインを出している神経の働きも正常である必要があり、その働きをコントロールしているのが、それぞれの細胞で作り出されたエネルギーです。
消化液の中には酵素が含まれていて、この酵素はタンパク質です。これは食事で摂ったたんぱく質が材料です。ここでは、体内にあるものをタンパク質、食品に含まれているものをたんぱく質と区別して表現しています。たんぱく質が胃で分解されるとアミノ酸となり、このアミノ酸が肝臓の中で必要なタンパク質になり、その一部が酵素となります。
酵素が多く作られるためには、肝臓の細胞の中で起こるエネルギー代謝が重要になります。代謝が盛んになって、エネルギーが多く作り出されれば、必要な酵素が作られ、消化を盛んにすることができるようになります。このようにエネルギー代謝が高まることが重要ですが、年齢を重ねると消化液の分泌が減っていきます。これを整えるためには、エネルギー代謝を高めるための代謝促進成分が必要になってきます。その成分として、メディカルダイエットの考えに基づいてすすめているのがL‐カルニチンです。L‐カルニチンはミトコンドリアに脂肪酸を取り込むために欠かせない代謝促進成分で、L‐カルニチンを摂取するだけで全身のエネルギー代謝が高まることが確認されています。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)
広く健康に関わる記念日について紹介します。
8月16日 毎月16日は「十六茶の日」(アサヒ飲料)、「トロの日」(カッパ・クリエイト)。
8月17日 ドールがパ(8)イ(1)ナ(7)ップルの語呂合わせで「パイナップルの日」と制定。毎月17日は「減塩の日」(日本高血圧学会)、「いなりの日」(みすずコーポレーション)。
8月18日 オリザ油化(愛知県一宮市)が米は八十八(818)と分解されることから「オリザの米油の日」と制定。日本健康食育協会が米は八十八(818)と分解されることから「健康食育の日」と制定。ビーフン協会(兵庫県神戸市)が米は八十八(818)と分解されることから「ビーフンの日」と制定。小林製薬が歯(8)と歯(8)の間に糸(1)が通っているように見えることから「糸ようじの日」制定。フルタ製菓(大阪府大阪市)がハ(8)イ(1)エイト(8)の語呂合わせで「ハイエイトチョコの日」と制定。
8月19日 政府の交通対策本部がバイク(819)の語呂合わせで「バイクの日」と制定。JAあいち経済連が、いちじくの出回りの7〜10月の19日を「愛知のいちじくの日」と制定。毎月19日は「食育の日」(食育推進会議)、「いいきゅうりの日」(いいきゅうりの日プロジェクト)、「松阪牛の日」(やまとダイニング)、「熟カレーの日」(江崎グリコ)、「シュークリームの日」(モンテール)、「クレープの日」(モンテール)。
8月20日 新九協同(福岡県北九州市)が北九州発祥の元祖生カレーを生んだ総料理長の名を冠した瑠璃カレーの普及を目的に総料理長の誕生日にちなんで「瑠璃カレーの日」と制定。毎月20日は「シチューライスの日」(ハウス食品)、「発芽野菜の日」(村上農園)。
8月21日 北本トマトカレーの会(埼玉県北本市)が、きたもとご当地グルメ開発コンテストが開催された2011年8月21日にちなんで「北本トマトカレーの日」と制定。富澤商店(東京都千代田区)が1877年8月21日に第1回内国勧業博覧会(東京・上野公園)でバターを作る犬力機が出品されたことにちなんで「おいしいバターの日」と制定。毎月21日は「木挽BLUEの日」(雲海酒造)。
8月22日 ベンヌ(東京都世田谷区)の社員が毎月1日の「あずきの日」と8月21日の「おいしいバターの日」の日付を組み合わせて「みんなのあんバターの日」と制定。毎月22日は「カニカマの日」(スギヨ)、「禁煙の日」(禁煙推進学術ネットワーク)、「ラブラブサンドの日」(日糧製パン)。
定年退職をしたあとは家でのんびりと暮らす、孫の世話をするというのは、ある意味で理想かもしれないのですが、急激に変化する時代にあっては、そんな余裕を見せることが難しくなっています。金融庁が年金以外の生活費が老後30年間で2000万円以上も必要であるという発表をしたときに、老後の稼ぎを考えた人が多かったかと思います。
サラリーマンとして給料を得ていた人は、それと同様のことをして収入を得ようと考えがちですが、新たな仕事にチャレンジしよう、それも社会に貢献することで収益も得られないか、という相談を受けることが多くなっています。自分のためだけでなく、社会のためにも力を注ぐという気持ちを起こさせるくらい、日本人は長生きになり、健康度も高まりました。
日本人の平均寿命は男性が81.47歳、女性が87.57歳(令和3年)ですが、77年前の終戦から2年を経て、戦後初めて発表された昭和22年の平均寿命を見ると、男性が50歳を超えて、男女ともに50歳を超えた記念すべき年でした。そのときから比べると30年以上も平均寿命が延びています。これは一世代分の年齢で、それだけ次の世代に伝えるための時間が確保されました。
ただ長生きになっただけでなく、健康面でも向上しています。日本老年学会と日本老年医学会は2017年に、高齢者の定義を65歳以上から75歳以上にすることを提言しました。65歳から74歳は准高齢者として、75歳以上を高齢者とするもので、准高齢者は支えられる側ではなくて、むしろ高齢社会を支える人材となるべきだとしています。その根拠ですが、医学的な調査で、10〜20年前に比べて10年ほども健康度が高まっていることがあげられています。
定年退職をして、自由になる時間が増えた分を社会に貢献してもらいたい、これまでの経験を次の世代に伝えて、社会的にも経済的にも日本を上昇させる原動力になってもらいたいというのが、65〜74歳人口が1740万人にもなった日本の将来を考えると心から望みたいことです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)
1日に必要な摂取エネルギー量を計算する方法を前回は紹介しましたが、その摂取エネルギー量よりも多く食べているのか、それとも同じくらいなのかを知ることが次の段階となります。例えば、1日に1900kcalの摂取がふさわしいという計算になったときに、これまでの自分の食事量が1900kcalならば、これを基本にして減量を目指すなら食事量を減らすか、運動量を増やすことになります。
メディカルダイエットとしては、食事による摂取エネルギー量を減らすのではなくて、運動量を増やすことをすすめています。運動量が増えれば、それだけ体内で発生するエネルギーが増えます。このエネルギーを使って、健康の維持と増進に活かしてほしいとの考えです。食べる量を減らしたのでは、エネルギー代謝に必要なビタミン、ミネラル、代謝促進成分が減ることになって、健康のために必要なエネルギーが不足することになります。
そこで自分が食べている量が、どれくらいのエネルギー量になっているのかを知る必要があり、100kcalの食品の量を把握することになります。ご飯は普通茶碗の軽く1杯(約150g)が200kcalに相当します。パンは5枚切り(関西の厚めの食パン)の1枚が約200kcalとなります。6枚切りだと計算しにくいかもしれませんが、1斤(約600g)が1000kcalなので、6枚切り1枚は約167kcalとなり、バターやジャムを塗ると約200kcalとの計算になります。
麺類は1玉が約300kcalなので、3分の2で約200kcalですが、ついつい1玉を食べがちで、摂取エネルギー量が多くなりがちです。
肉も魚も1切れ(牛肉や豚肉は24〜26g)が100kcal、牛乳はグラス1杯が100kcal、卵は中サイズが100kcalと計算しています。詳細の計算シートはメディカルダイエット講習で教えています。今後はダイエットデザイナーの講習をする中でも伝えていきますが、自分の食べている量を100kcal単位で積み重ねていくと、1日に必要な摂取エネルギー量との差を確認することができるというわけです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)
認知症は病気の範疇ですが、その前の予備群とされる軽度認知障害は、まだ健康回復が可能な状態であることから、未病の状態として扱われています。未病というと、健康と病気の間の状態で、一般には糖尿病予備群といった血糖値が高めの人と認識されています。血糖値が高めで、血液検査を受けても糖尿病域の空腹時血糖値126mg/dl未満、食後2時間値200mg/dlであれば糖尿病ではないけれど正常値(空腹時血糖値110mg/dl未満、食後2時間値140mg/dl)ではないということで、予備群の扱いをされています。
しかし、未病は数字だけで簡単に判断できるものではありません。日本未病学会の定義では、医薬品を使いながらも自力で正常範囲にすることができるのは未病で、自力では正常にすることでできなくて、医療に頼りきりになるのが病気と分類されています。
糖尿病は血糖値が高いことが問題ではなくて、合併症として腎症、網膜症、神経症が起こると、これは医療でなければ治すことができなくなります。合併症がなければ、糖尿病でなかったのと同じように暮らすことができるので、合併症を起こさないようにすることが未病としての対策となります。糖尿病は医薬品(血糖降下剤)を使うときには、食事療法と運動療法が前提となります。ということは、自力での改善の努力なしには治せないということで、まさに未病ということになります。
認知症に対する未病の位置付けの軽度認知障害は、5年以内に50%は認知症に進んでしまいますが、30%は軽度認知障害が続き、20%は健康な状態に戻ることができるとされています。認知症の研究が進む中、この数字も変化するものの、治すことは可能だということです。認知症に進まないための方法として重要となるのは血管の健康であり、その中でも最も重要となるのは糖尿病の予防と改善だとされています。
体内には数多くの神経伝達物質がありますが、脳の機能に大きく影響するのはセロトニンです。セロトニンは必須アミノ酸のトリプトファンから5‐ヒドロキシトリプトファンを経て、セトロニン(5‐ヒドロキシトリプタミン)に合成されます。セロトニンは体内には約10mgがあり、腸内に約90%、血小板中に約8%、脳内の中枢神経系に約2%が存在しています。
セロトニンは脳の神経伝達物質であることから脳幹の縫線核で合成されますが、多く合成されるのは腸内です。腸内細菌の善玉菌の働きによって合成が進むことから、善玉菌を増やすことが重要とされています。しかし、腸で作られたセトロニンは血液脳関門を通過することができません。血液脳関門は血管と脳の間で物質を交換する部分で、脳に有害となるもの、必要でないものは通過させないようにして、脳の正常な働きが保たれています。
それにも関わらず、腸内環境が整えられると脳内のセロトニンが増加して、認知機能が高まることが確認されています。その理由として考えられているのは、セロトニンの前駆体である5‐ヒドロキシトリプトファンのまま血液によって血液脳関門まで運ばれることで、5‐ヒドロキシトリプトファンは血液脳関門を通過することが確認されています。
脳内で合成されるセロトニンと腸内で合成される5‐ヒドロキシトリプトファンを増やすためにはトリプトファンが含まれる食品を摂ることが必要になります。トリプトファンは肉、魚、豆(特に納豆)、チーズ、そば、アーモンドなどに多く含まれています。これらの食品を食べてトリプトファンを多く摂っていれば脳内でセロトニンが多く合成されると一般に説明されていますが、血液脳関門はアミノ酸のバリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、チロシン、メチオニンと共通の輸送体によって脳内に取り込まれます。
バリンはマグロやカツオ、レバー(豚・牛)、牛肉、チーズ、豆腐に多く含まれています。ロイシンはカツオ、レバー(豚・牛)、鶏むね肉、鶏卵に多く、イソロイシンはマグロ、豚ロース、鶏卵、牛乳に多く含まれています。フェニルアラニンは牛レバー、マグロ、鶏むね肉に多く、メチオニンはマグロ、鶏むね肉、豚ロース、豆乳に多く含まれています。ここまでは体内で合成できないために食品から摂取しなければならない必須アミノ酸です。チロシンは体内で合成される非必須アミノ酸で、マグロ、豚ロース、豆腐に多く含まれています。
東京にいたときに理事を務めていた日本健康スポーツ連盟の理事長からの紹介で、認知症の専門医の取材をしたことがあります。連盟の理事長と専門医は、スポーツによる認知症の予防への取り組みを検討していて、それには私が経験してきた臨床栄養やサプリメント科学、予防医学が役に立つのではないかとの思いでの紹介でした。
そのときに専門医の先生から、私の活動について「性格的発達障害」という評価をされました。そのときには、今のようには発達障害児や保護者と直接触れ合う機会はなかったので、理論的な話として聞くだけでしたが、一つに絞った仕事をするのではなくて多方面のアプローチをしないと気が済まないのは注意欠陥・多動性障害と同じで、一つのことに取り組むときには徹底的に集中するのは自閉症スペクトラム障害と同じだという評価でした。
一点集中で成果が出るまで頑張るけれど、ある程度のことがわかると飽きてしまい、他のことを始めるということで、要は気が多いということでした。
そのことは指摘されるまでもなくて、研究全般の評論家であり、ジャーナリストでもあった身からすると当たり前のことで、一つの成果を得ることだけに突っ走っていたら他が見えなくなってしまいます。何が本業かわからないから、評論家やジャーナリストという便利な肩書きがつけられるのです。
性格的発達障害の特性は岡山に移住してからも変わらず、東京にいたときに引き受けていた団体の役員(理事や評議員)は続けていました。私が代表の日本メディカルダイエット支援機構の情報収集と情報発信は以前よりも増えてしまいました。岡山では発達障害児支援のNPO法人と学習障害児支援の一般社団法人で監事となり、新たに設立された(というよりも設立を進めた)発達障害児の保護者支援のNPO法人でも監事となりました。
隙間の時間を見つけては、発達栄養の講習テキストをコツコツと書いてきて、発達障害・学習障害を栄養面でサポートするためのテキスト原稿も200ページ(A4サイズ)まで増えてきました。
原稿を書いていても、次のテーマが浮かんできて、そのことを考えながら原稿を作り続けるという状態で、講習で講師を務めているときに思いついたことがあると話しながらプランを考えるということもしています。こんな脳の使い方が、いつまでできるのか、それが楽しみなのも性格的発達障害の為せる技なのかもしれません。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)
睡眠の質を高めることを表示した機能性表示食品には、グリシンが含まれていることから、速やかに深睡眠をもたらし、睡眠の質の向上(熟睡感の改善、睡眠リズムの改善)、起床時の爽快感のある目覚め、日中の眠気の改善、疲労感の軽減、作業効率の向上に役立つ機能があると書かれています。
深睡眠は寝入りばなの深い眠りのことで、加齢やストレス、体温機能の調整の乱れなどで失われがちになります。表示された機能は、脳波測定によって確認されています。
グリシンは体内で合成される非必須アミノ酸で、一般には睡眠アミノ酸と呼ばれていて、コラーゲンの中に多く存在しています。
試験対象者は日常の睡眠に問題を抱えている男女11人(男性3人、女性8人)、年齢は30〜57歳(平均年齢40.5歳)で、就寝前にグリシン3gと対照食(プラセボ)を摂取した場合を比較しています。実施期間は2夜連続を1セットとして、1週間以上の間隔をあけて2回評価しています。1回目と2回目では対象者でグリシン3gを摂取する人を入れ替えています。
脳波測定を行い、起床後の主観的な睡眠感は睡眠質問票を用いて評価するとともに、日中の眠気は疲労感を測定するVAS(ビジュアルアナログスケール法)、短期記憶能力への作用についてはパソコンを使った作業を行い、注意力を表す反応時間を評価しています。
睡眠、日中の眠気への効果、作業効率に対する影響は、健康な男性10人(平均年齢41.4歳)に対して睡眠時間(平均7.3時間)を75%に制限(平均5.5時間)して、3日続けた際の影響を調べています。
この試験の結果、入眠後の速やかな深睡眠に達して、自然な睡眠パターンへの改善が認められました。主観的な眠りの評価については、熟睡感や爽快感に関する項目では「昨晩の睡眠の満足度」、「眠りのつきやすさ」、「眠りにつくまでの時間」、「床についている間の眠っている時間の割合」は改善され、さらに日中の眠気や短期記憶に関する評価も改善されていました。
試験対象は、睡眠の質に悩みがある人というよりも強制的に睡眠時間を短くした人です。あくまで健康な人であって、睡眠の質は生活習慣病によって低下することが知られているので、そのような人の場合にも同様の結果が得られるかはわからないということです。
脳細胞を除いた全身の細胞でエネルギーを作り出すために欠かせないL‐カルニチンは、細胞内のミトコンドリアに脂肪酸を通過させる働きがあります。L‐カルニチンは体内で合成されるものの、合成のピークが20代前半で、年齢が進むほど脂肪酸の代謝が低下していくことから、年齢を重ねたら同じ食事量、同じ運動量では太っていく要因となっています。
だから、全身の代謝を高めて、健康を維持するために、サプリメントとしてL‐カルニチンを摂ることがすすめられるわけですが、「腸の健康にだけは効果がない」と言われることがあります。
腸は身体の内側にあっても、口から肛門までを一つの筒と考えると、身体の中ではなくて、外側であると認識されています。腸の中には腸内細菌が棲息しています。腸内細菌のうちの善玉菌が多くなり、活発に働くと腸内環境がよくなり、便通もよくなって健康面でも向上していきます。これとは逆に、悪玉菌が多くなると便通が悪くなり、悪玉菌によって発生した有害物質によって健康面では低下していくようになります。
善玉菌、悪玉菌という区別についてですが、菌の中の生化学反応によって健康のために有益な代謝物が作られるものが善玉菌、健康のために有害な代謝物が作られるものが悪玉菌と呼ばれています。代謝物という言葉が使われていますが、全身の細胞の中で行われているエネルギー代謝とは違っています。
細菌は1個の細胞でできていて、単体で活動ができます。それに対して人間の身体には60兆個以上の細胞があって、それらがネットワークを構成して生命維持をしています。そもそも腸内細菌は赤ちゃんが誕生した瞬間には腸内にはいなくて、生まれてから母親や周囲から移ってきたもので、もともとは身体にはなかったものです。
このようなことから腸内環境にはL‐カルニチンは無関係なものと考えられることもあります。しかし、腸内細菌の活動には温度が重要で、善玉菌は腸内が温まることで増殖して、活動も活発になっていきます。腸内を温めるのは血液で、L‐カルニチンが多くあって全身のエネルギー代謝が盛んになることで血液温度が高まっていくので、L‐カルニチンは腸内環境を整えるために重要な役割をしているのです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)





