新型コロナウイルス感染症のために外出自粛、運動不足、家にいる時間の長さによる食べすぎ・飲みすぎ、通院機会や健康診断の減少など、健康面では着実に悪い影響を受けています。その結果を知って、低下の度合いが大きければ、それだけ回復させるための活動も強化しなければならないということは、これまでにも主張してきました。それに共感して、一緒に活動しようという人も増えてきました。
ところが、その活動に勢いがついていません。その最大の原因は、実態がわからないことです。
日本人の食事と健康に関する状態は、厚生労働省による「国民健康・栄養調査」で明らかにされてきました。この調査が始まったのは昭和22年(1947年)のことで、当時は「国民栄養の現状」という名称でした。終戦から2年後のことで、まだ食糧難が続いていた時代で、健康づくりといえば、まずは栄養摂取ということを反映しています。
国民栄養調査に変わったのは平成6年(1994年)の調査からで、平成15年(2003年)に現在の「国民健康・栄養調査」となりました。それ以前は栄養の調査であったのが、健康の調査も行われるようになりました。平成元年(1989年)には、国立栄養研究所が国立健康・栄養研究所に改称されていますが、同研究所が国民栄養調査、国民健康・栄養調査のエビデンスを担ってきていました。その影響を受けて、調査の内容と名称を変えるまでには、かなりの時間がかかったということです。
平成11年(1999年)は、国民栄養調査の大きな変換点でした。それは栄養摂取のデータが男女別に発表されることになったからです。平成10年(1998年)までは年齢層別に、男女を合わせた平均で示されていました。そのときから男女別、年齢別の栄養摂取状況がわかるようになり、栄養対策が大きく進むきっかけとなりました。
昭和22年から、ずっと続いていた調査は、令和元年調査が翌年に発表されたのが最後で、令和2年、令和3年の分は発表されていません。これはコロナの影響で調査が中止となったためです。最も知りたい時期に調査が行われていないので、実態がわからず、対策が取りにくいという状況が続いているのです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)
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最大酸素摂取量の60%の強度の有酸素運動をすることで、運動後の脂肪代謝を高めることができるEPOC(excess post-exercise oxygen consumption)効果は、短時間だけのことではなくて、運動法によっては12時間も効果を高めることができることが研究によって明らかになってきています。
最大酸素摂取量は全力で運動したときに体内に取り込む酸素量のことですが、その60%という最大酸素摂取量が高めの運動をすると、体内への酸素の取り込みの能力が高くなります。この酸素を使って細胞のミトコンドリア内のTCA回路で脂肪酸をエネルギー化していきます。
TCA回路でのエネルギー化が高まったといっても、ミトコンドリアに取り込まれる脂肪酸が減ったのでは、せっかくの有酸素運動によるEPOC効果を活かすことができなくなります。そこで考えたいのがL‐カルニチンによる脂肪酸の取り込みです。L‐カルニチンは脂肪酸と結合してミトコンドリアの膜を通過させるために欠かせない成分で、体内で合成されています。
しかし、合成のピークは20歳代前半で、それ以降は年齢が進むほど合成量が減り、体内の蓄積量も減って、代謝が低下していきます。そこでL‐カルニチンを摂取するという方法がとられます。L‐カルニチンは以前は医薬品の成分でしたが、今は食品の成分としても認められていて、サプリメントとして摂取することができるようになりました。
L‐カルニチンを摂るだけで脂肪酸が多く取り込まれるようになり、TCA回路でのエネルギー代謝が高まることが確認されています。この機能を高めてくれるのがEPOC効果であるので、有酸素運動をするときにはL‐カルニチンの活用も考えたいところです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)
高血圧であっても、血圧が徐々に上がっているときには、これといった症状はみられません。高血圧であるからといって、それだけで死につながるようなことはないものの、高血圧はさまざまな病気を引き起こす原因となっています。
高血圧になると血管が硬くなり、血管の内径が狭くなる動脈硬化になりやすく、心疾患(狭心症、心筋梗塞など)や脳血管疾患(脳出血、脳梗塞など)の危険因子となります。そのため、高血圧は「サイレントキラー」(静かなる殺人者)とも呼ばれています。
心疾患と脳血管疾患は日本人の死因の第2位、第4位となっています。以前は第2位と第3位でしたが、高齢化によって老衰が第3位となったために順位が変動しています。
糖尿病の人は血液中のブドウ糖濃度が高くなった影響を受けて血管がもろくなっているために、高血圧によって腎臓疾患や眼底出血などを引き起こすことが知られています。高血圧の人が糖尿病になると動脈硬化の危険性が2倍以上になるという報告もあります。
塩分によって血圧が上がるナトリウム感受性が高いタイプの人は高血圧の原因の30%ほどとされています。ナトリウム感受性が高くない人は、ナトリウムを多く摂っても、それほど血圧が上昇しない特徴があります。
血圧を上げる要因としては、塩分の摂りすぎのほかに、加齢(男性は60歳以上、女性は65歳以上)、喫煙、ストレス、食べすぎ、肥満、運動不足、過度のアルコール摂取、寝不足、疲労、糖尿病、動脈硬化、寒さ、温度の急変、排便時の力み、遺伝的な体質、タイプA型行動パターンと呼ばれる性格などがあげられます。
タイプA型行動パターンは、せっかち、怒りっぽい、競争心が強い、積極的などの行動パターンで、ストレスを抱え込みやすく、血圧も上がりやすいことが指摘されています。
自律神経の調整は、よく自動車のアクセルとブレーキにたとえられます。アクセルに当たるのが交感神経で、主に興奮作用を担っています。ブレーキに当たるのが副交感神経で、興奮しすぎた臓器などを抑え、心身ともに抑制する働きがあります。
交感神経は身体を活動的にさせるものであるので、分泌や収縮は盛んにさせる働きをするのが原則となっています。ところが、胃と腸は逆に副交感神経によって盛んになっています。そして、交感神経のほうが抑制の働きをしています。交感神経は身体を活発に働かせるためのもので、消化・吸収は逆に身体を働かせるためのエネルギー源を取り込むための働きであることから、副交感神経が担っているわけです。
つまり、消化と吸収を盛んにするためには、副交感神経が盛んに働いてリラックス状態になっている必要があるということで、あまり興奮するような状況で食事をするのは適さないことになります。
消化は胃だけでなく、食べ物を噛むところから始まっています。噛むと唾液が分泌されますが、交感神経は唾液の分泌を抑え、逆に副交感神経は唾液の分泌を盛んにします。興奮しているときには唾液が粘つきやすくなりますが、これは交感神経の働きが盛んになると唾液が増えてくることと関係しています。
交感神経は消化液の分泌を抑え、副交感神経は消化液の分泌を盛んにするわけですが、腸の蠕動運動を起こしている筋肉は交感神経によって動きがゆるやかになるために便秘になりやすく、交感神経は腸の筋肉の動きを盛んにするので便通をよくする作用があります。もともと腸の働きがよくない人の場合には、副交感神経の働きが盛んになると腸の筋肉による蠕動運動が盛んになりすぎて下痢になりやすくなることもあります。
また、交感神経には排泄を抑制する作用があり、逆に副交感神経には排泄を促進する作用があります。そのため排泄の前にはリラックス状態でいられるようにして、そして排泄の時間にも急かされることなく、できるだけ興奮することがないようにすることが大切になります。
骨密度を高める健康食品というと、骨粗鬆症の予防ができる、これが機能性表示食品であれば骨粗鬆症が改善できることを期待してしまいがちですが、実際には予防効果もなければ、骨粗鬆症の治療効果もありません。あったとしても、これを表示して販売することは法律の規制があってできません。しかも誰にでも効果はあるわけではなくて、ある機能性表示食品を例にすると、「健康な閉経後の女性の骨密度を高める」という機能となっています。
「健康な」というのは、機能性表示食品は病気のレベルまで進んだ人を対象にすることはできなくて、この場合でいうと骨粗鬆症という病気の人を対象とすることはできません。
健康な閉経後の女性を対象とした試験は、閉経後には女性ホルモンのエストロゲンが減少して、骨密度が低下することが知られているからです。この骨密度を高めるという結果は、機能性関与成分の枯草菌を含んでいる製品の錠剤を摂取した女性と、含まない錠剤のプラセボを摂取した女性を比較したものです。試験対象者は健康な閉経後女性(50〜69歳)76人を38人ずつ2群に分けて、本製品とプラセボを、それぞれ24週間摂取しています。
全員が最後まで継続したわけではなくて、脱落者は7人いて、試験期間中に抗生物質を使用した8人も合わせて計15人が除外されています。残った61人が製品群31人、プラセボ群30人で試験が行われました。
その結果として、摂取24週間後に大腿骨の骨密度が変化率が有意に上昇したということです。結果が出たのは6か月後ということで、効果を実感しようとしたら、半年は使い続けないといけないというわけですが、その事実を知らずに、途中でやめてしまう人も多いであろうと思います。
メディカルダイエットは、自律神経をコントロールすることによってエネルギー代謝をコントロールすることを基本としています。自律神経の交感神経は身体機能を亢進させる自動車のアクセルのような働きをしていて、副交感神経は身体機能を抑制させるブレーキのような働きをしています。交感神経の働きが盛んになると副交感神経の働きが抑えられ、それとは逆に副交感神経の働きが盛んになると交感神経の働きが抑えられるという関係になっています。
若いときには、交感神経と副交感神経が交互に働きが盛んになり、波のように繰り返しながら大きく切り替わっています。ところが、年齢を重ねるにつれて副交感神経の働きが低下して、抑制が効きにくくなり、興奮状態が長く続くようになります。そのために休んでいる割には心身ともにリラックスできない、眠っていても熟睡が得にくくなり、疲れが取れにくいということも起こります。
副交感神経の働きをよくして、リラックスするには深呼吸がよいと以前から言われてきました。そのメカニズムも解明されて、呼吸に反応する脳の扁桃体は呼吸が早くなると身体が興奮状態になったと判断して、交感神経が強く働くようになり、血管が収縮して血流が低下することから心拍数が上昇します。これとは逆に呼吸が遅くなると扁桃体が沈静化して、血管が拡張して血流が高まることから心拍数が降下します。
そこで深呼吸がすすめられるわけですが、深呼吸をしても思ったよりも肺の中に酸素は入ってきません。肺は独立した袋のようなもので、自力では動くことができません。動かして酸素を多く取り入れて、呼吸数を減らすためには肺の周りの筋肉を動かすことが必要になります。これは呼吸筋と呼ばれ、15種類の筋肉の総称です。
肺を動かすためには胸を開く、肩を上下させるといった運動が必要で、その動きに合わせて酸素が取り込まれ、酸素が充分にあることで扁桃体が副交感神経の働きを盛んにするように働きかけます。このことによって、副交感神経の働きを盛んにして、心身ともにリラックスするように働きかけることができるというわけです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)
健康食品は、あくまで食品であって、ある程度の効能効果(機能性)を表示できる特定保健用食品(トクホ)でも機能性表示食品でも、病名をあげて改善するということを表示することも口で伝えることも禁止されています。というのは、医薬品でないものが、医薬品と同じことを述べるのは法律(医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)で禁止されているからです。
長い名前なので、医薬品医療機器法や薬機法と略して呼ばれていますが、この法律では医薬品が定義されています。その中で注目すべきことは、「人または動物の疾病の診断、治療または予防に使用されることが目的とされている物」「人または動物の身体の構造または機能に影響を及ぼすことが目的とされている物」という部分です。
実際に効果があるかどうかは別として、診断と治療に使われることが目的とされているものばかりか、予防の目的で使われるものも医薬品の役割です。それ以外の食品は、たとえ予防効果があったとしても「予防」をうたって販売することは禁止されています。
“がんの予防”などと病名を出すのは明らかにいけないことですが、このままの生活では“がんの危険性”がありますよ、と暗示的に書くことも法律違反です。健康食品の表示などを規制する「無承認無許可医薬品監視指導マニュアル」では、具体的にチラシやネットに書くだけでなくて、口で伝えることも禁止されています。効能効果を一切述べていなくても、それに関する記事や書籍の一部を引用することも、商品や販売会社がわかる状態では法律違反となります。
効能効果を述べてもよいのは販売と関わらない人の、憲法で認められている表現の自由の範囲だけです。販売をしているのは会社で、話をしているのは個人ということも認められません。純粋な講演会であっても、会場内にチラシや商品が置いてあったら、これも違反となります。
要は、どんな手段を使っても、医薬品と同じこと、同じように感じさせることを表現したら、法律違反となり、承認も許可もされていない偽薬と判断されて、医薬品などを取り締まる厳しい法律で処分されるという制度となっているのです。
メディカルダイエットの中級講習ではダイエットサプリメントの有効性について紹介していますが、それを受ける形で上級講習では健康食品の取り締まりについての法律についても詳しく説明しています。それもあって、健康食品に関わる人は、上級講習で指摘されたくないといって、中級でやめにする人がいるのも事実です。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)
最大酸素摂取量の60%の強度の運動をすることで、運動後の脂肪代謝を高めることができるEPOC(excess post-exercise oxygen consumption)効果は有酸素運動だけでなく、無酸素運動による効果についても研究が進められています。有酸素運動と無酸素運動の、どちらに効果があるのかという研究で、脂肪代謝の割合、効果の継続時間が確かめられています。
有酸素運動では30〜60分の運動を、週に3〜5回実施することで、半日ほどもEPOC効果があり、個人差はあるものの消費エネルギー量は50〜120kcalという有効性が確認されているので、有酸素運動を基本として、これに無酸素運動を加えればよいのではないか、その効果を確認すれば良いのではないか、という考え方をしています。
有酸素運動と無酸素運動を繰り返す方法としてはサーキットトレーニングがありますが、歩くだけでも速歩は無酸素領域の運動となります。これは、なんとか会話ができる速度でのウォーキングとなります。ウォーキングだけでなく、私たちは季節にも気候にも時間帯にも左右されにくいバランスボールを用いたバウンド運動による有酸素運動もすすめています。
バウンドを早く行うことによって、酸素不足になり、これを補うために心拍数が高まって、多くの酸素が全身に運ばれます。筋肉にも送られ、特に大きく動かした筋肉に多くの酸素が運ばれていきます。この酸素を使って、有酸素運動によってミトコンドリア内のTCA回路の脂肪代謝を高めていくということです。
このインターバル式の有酸素運動は、短時間でも効果が得られるので、1日に1回、30分でもよいので続けるようにしたいものです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)
測定をしたときに血圧が正常値であれば、それで安心してしまいがちですが、それだけで安心できるわけではありません。血圧は変動が大きくて、起床して急激に高まる人もいれば、就寝中に高まる人もいます。運動をして肉体的なストレスがかかっているときに血圧がそれほど高まらないのに、精神的なストレスでは大きく高まるという人もいます。
精神的なストレスの影響は思ったよりも大きいのですが、その例としてあげられるのは、普段の血圧は正常であっても医師や看護師の前では血圧が高くなる白衣高血圧です。これは白衣を着た医師や看護師の前で測定すると血圧が上がりやすい状態のことで、緊張感や普段と違う行動(早起きをして医療機関に行ったなど)によって高血圧になる場合を指しています。そのため、白衣症候群と呼ばれる場合もあります。
家庭で測定したときには正常域であったとしても、医師などの前だけでなく、仕事先や通勤途中などの外出しているときに高くなっていることもあるので、家庭での血圧測定に5~10mmHgをプラスした状態と考えたほうが安全ということで、低めの数値を目標としているわけです。
逆に、医療機関などで測定したときには正常な血圧が出るものの、普段の生活では高血圧になっている逆白衣高血圧(仮面高血圧)もあります。
通常では血圧は夜中の2~3時くらいまで下がり、そこから朝に向かって徐々に上がっていくものです。朝の血圧が特異的に高くなる早朝高血圧もあります。この血圧の上昇度合いが大きい場合には、朝10時までに心筋梗塞などが多発しやすいといわれています。
早朝高血圧と並んで危険なものに、夜間になっても血圧が下がらない夜間非降下型があります。普通は降下する夜間に血圧が下がらない、このタイプでは心血管病のリスクが高く、睡眠時無呼吸症候群によく見られます。こういった状態の人は、睡眠時に頻繁に呼吸が止まるために、常に交感神経の緊張が続き、血圧が下がりにくくなっているのです。
人間の身体は、さまざまな機能調整によって正常な働きが保たれていますが、中でも自律神経による調整が最も大きな影響をもたらしています。
自律神経は、環境や身体の状況に応じて、本人の意思とは無関係に自動的に働き、体内を常に最良の状態に保ち続けるための神経となっています。暑いときに汗をかいて体温の上昇を抑えるのも、運動をしたときに心臓の鼓動を早くして筋肉に大量の酸素を送るのも、食後に胃腸の働きを活発にして消化・吸収を促進するのも、すべて自律神経が調整を行っています。
自律神経の調整が正常に行われていれば、活動と休養のタイミングに合わせて全身の機能が保たれますが、自律神経の調整に乱れが生じると、安静にしていなければならないときに心臓の鼓動が高まり、興奮をして休めない、眠れないという不調が起こります。
胃腸の状態では、食事をしたあとにはリラックス状態になって胃液や胆汁が多く分泌され、消化されたものを的確に吸収されるようにしなければならないわけですが、興奮した状態になって胃液が分泌されにくくなって消化が抑えられ、吸収も遅れがちになって腸にも余計な負担をかけるようになります。
自律神経の乱れによる影響は、それぞれの人の弱い部分に現れやすく、腸が弱い人や腸に負担がかかっている人は、便秘や下痢を起こしやすくなります。また、腸内環境を整えるために食事の改善や生活法の改善に取り組んでも効果が現れにくくなっています。
自律神経は、交感神経と副交感神経に大きく分けられています。自律神経は血管に沿って全身の臓器や器官に張り巡らされていて、状況に応じて交感神経と副交感神経が切り替わり、全身をコントロールしています。寒いときには血管が縮んで放熱を抑えるようになり、暑いときには血管が広がって放熱を盛んにするようになるのも、交感神経と副交感神経の切り替えによって行われています。





