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ライオン株式会社は、株式会社日立製作所の日立健康管理センタと協働で、企業における歯科健診の導入と従業員の口腔・全身の健康に及ぼす影響について調査研究を行っていて、その概要については前回(健康デザイン11)紹介しました。

研究の結果、オーラルケア行動(1日の歯みがき回数、フロス使用率、歯科通院率)の実践頻度が増加した従業員では、プレゼンティーズム(心身の不調を抱えながら業務を行っている状態)が有意に改善していました。

歯科健診を導入すると経年的にオーラルケア行動(1日の歯みがき回数、フロス使用率、歯科通院率)が増加することは明らかにされてきました。

それを受けてオーラルケア行動の実践頻度の増加とプレゼンティーズムの関連性を検証するために、オーラルケア行動の実践頻度が増加した群と増加しなかった群(不変群)、減少した群とのプレゼンティーズムの変化が比較解析されました。

その結果、オーラルケア行動が増加した群では、そうでない群と比較して有意にプレゼンティーズムが改善していました。

睡眠や運動などの健康習慣は、プレゼンティーズムとの関連がすでに知られていますが、オーラルケア行動とその他の健康習慣、年齢、性別を考慮した条件でも有意な関連がありました。

そのことから、オーラルケア習慣の改善は、他の健康習慣の改善と同様に、生産性向上に寄与する可能性が示唆されました。
〔健康ジャーナリスト/日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕

歯科健診をきっかけとした口腔の健康が全身の健康に影響を与えることについては多くの企業が実施していることですが、歯科衛生に関わる企業は自社だけの成果に終わらず、外部にも発信し、協力を進めています。

その一つであるライオン株式会社は、株式会社日立製作所の日立健康管理センタと協働で、企業における歯科健診の導入と従業員の口腔・全身の健康に及ぼす影響について調査研究を行っています。

人間ドックと歯科健診をともに受診した日立グループの従業員(7763名)を対象に、問診データからオーラルケア行動と生産性との関連について解析されました。

オーラルケア行動に関する問診は、1日の歯みがき回数、フロス使用率、歯科通院率などで、このほかに唾液検査と口腔内カメラによる撮影が実施されています。

その結果、オーラルケア行動が増加した従業員は、生産性を評価する指標の一つであるプレゼンティーズム(心身の不調を抱えながら業務を行っている状態)が有意に改善していることがわかり、歯科健診をきっかけとしたオーラルケア行動変容が従業員の生産性に寄与することを発表しています。

歯科健診は現在は定期健康診断では義務付けられていませんが、2022年の「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太方針)に、生涯を通じた歯科健診(国民皆歯科健診)の具体的な検討が盛り込まれるなど、歯科健診に注目が集まっています。

しかし、働く人の歯科健診は一部の危険を生じる職場で義務化されるだけで、積極的に歯科健診を取り入れる企業は少ないのが現状です。それは歯科健診を導入した場合の企業側のメリットが認識されていないことが多いからで、具体的な成果をあげた例として、ここで紹介している歯科健診の導入と従業員の口腔・全身の健康に及ぼす影響は高く評価されています。
〔健康ジャーナリスト/日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕

サプリメント(supplement)は、補助、補充、補完といった意味があります。通常の食事では不足する栄養素を補うものがサプリメントと呼ばれていますが、これは英語の「dietary supplement」を略したもので、dietaryは「食物の〜」という意味です。ということで、不足を補う栄養素という意味合いになります。

何が不足しているのかがわかれば、不足している成分(ビタミンやミネラルなど)を摂ればよいわけですが、具体的に何が不足しているかは食事内容をチェックしなければわかりません。そのチェックも、栄養の専門家のサポートによって行われない限りは、不足している成分を正確には知ることができず、不足している量を正確に補うことはできなくなります。

そのため、多くの種類のビタミン、ミネラルが含まれているマルチビタミン(という名称であってもミネラルも含まれている)を使うことが多くなっています。栄養素の種類は合っていたとしても、その量が不足している量を補うことができる状態とは限りません。

そこで、総合的に栄養素を補おうとするときには、栄養素の種類だけでなく、一定の量が含まれているものを選ぶことがすすめられます。栄養補助食品のカロリーメイト(ブロックタイプ)は1箱(400kcal)で一般の栄養摂取の3分の1の量が摂れるように配合されています。

他に栄養バランスがよいものとして、赤ちゃんが飲む粉ミルクがあげられます。これも成長に必要な栄養素の種類と分量が摂れるように調整されています。しかし、赤ちゃん用の粉ミルクは脂肪の含有量が多いことから、これに頼るのではなく、食事の脂肪量を考えつつ、不足する栄養素を補うためのサプリメント代わりに使うことがすすめられます。
〔健康情報流通コンサルタント 小林正人〕

サプリメント、健康食品は医薬品とは違って、診断なしに使うことができて、自力で健康状態を保ち、病気に傾いているような体調を元の状態に戻すことが期待されています。自分の意志と工夫で健康状態に導いていくというのは、“未病”の発想と共通するところがあります。

未病というと、健康と病気の間の状態で、元は東洋医学の発想でした。しかし、今では西洋医学でも研究が進められ、日本未病学会に参加する医師の多くは東洋医学の発想で西洋医学を実施しています。

日本未病学会は、単に健康と病気の間を未病とするだけでなく、自分の力で健康状態に戻ることができる状態としています。疾病の診断がされて、医薬品が使われたとしても初期段階では食事や運動、生活改善によって健康な状態に戻すことは可能です。

医療に完全に頼らなければならない状態になったら、これは病気とされて、もはや自力では健康状態に戻ることはできなくなります。まだ未病の状態にある段階で、少しでも早く対処して、病気にならないようにすること、健康な状態に戻ることができるようにするのが重要であり、そのために利用されるのがサプリメントの役割です。

例えば、血糖値が高くなりすぎて、このままでは糖尿病になるという人は、いわゆる予備群となります。糖尿病と診断されれば治療の対象となり、医薬品も使われます。糖尿病は食事療法、運動療法でも血糖値が下がらない人に医薬品が使われます。医薬品に頼りきりになるのではなく、自分の努力も必要で、その段階であれば健康な状態に戻ることができます。

糖尿病は合併症が発症しなければ重篤な状態にはなりません。糖尿病と診断されても、合併症がない状態は未病と考えることができます。医薬品を使っていても、糖尿病の血糖降下剤の作用機序がない小腸からのブドウ糖の吸収阻害をするギムネマ・シスベスタを使って、医薬品の効果を補助するという使い方もされます。

口腔の健康状態と労働生産性の関連の研究(安達奈穂子医学博士:東京医科歯科大学助教)は、歯科健診を毎年実施している日本の企業の従業員712人を対象に、質問票調査、歯科健診、一般健診・特定健診データを用いて実施されました。

自記式質問票では、全身的な健康では以下の質問をしています。

労働生産性:「歯の不具合による遅刻・早退・欠勤」の有無、プレゼンティーズム(心身の不調を抱えながら仕事をしている状態)として「歯の不具合により仕事に集中できなかったこと」の有無、主観的健康観、健康関連QOL、メンタルヘルス、職業性ストレス、食習慣

口腔の健康:口腔関連QOL、口腔の自己評価、口腔衛生週間、歯科受診行動(かかりつけ歯科医の有無、定期的・継続的メンテナンス受診の有無など)

社会経済要因:学歴、世帯収入、職種、婚姻の有無、子の有無など

歯科健診では、歯式(歯の位置や欠損状態を示すための書式)、う蝕を経験した歯の数、歯周組織の状態

定期健康診断・特定健康診査では、性別、年齢、身長、体重、腹囲、血圧、血液検査、問診、生活習慣(喫煙、飲酒、食習慣)などを聞いています。

その結果ですが、「口腔の不具合による遅刻・早退・欠勤」があったと回答した6.7%は、労働生産性低下の有無であるアウトカム(本質的な成果)では、喪失歯、う蝕を経験した歯の数、口腔関連QOLが低くなっていました。

「口腔の不具合で仕事に集中できなかったことがある」と回答した9.1%は、う歯、喪失歯、口腔関連QOLが低くなっていました。

この結果から、歯の不具合による遅刻・早退・欠勤の有無と口腔関連QOLが低いこと、口腔の不具合で仕事に集中できなかったことの有無と、う歯、う蝕を経験した歯の数が多いこと、口腔関連QOLが低いことの関連が示唆されました。
〔健康ジャーナリスト/日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕

歯の健康状態が保たれていると、心身の健康度も高まり、それが仕事の効率を高めることは以前から言われてきたことで、多くの事業所や研究者によって調査や分析が進められてきました。

歯と口腔の健康状態については、これまでは働き盛りの状態が高齢になったときの口腔の状態に影響を与えることが重要と考えられてきました。しかし、一般の労働者については歯科健診が義務化されていないこともあり、口腔保健が重視されてこなかったのは事実です。また、事業者によっては、口腔の健康が退職後の口腔の健康に影響を与えるという研究結果は、歯科健診を積極的に導入することに結びつかないのは仕方がないことではありました。

産業保健分野では、働く人の健康状態が労働生産性に影響を与えることは以前から知られてきたことで、その中に歯科健診を取り入れることの必要性も検討されるようになってきました。

一般の疾病では発症や治療のための欠勤、遅刻、早退は労働生産性を低下させる要因となっていましたが、最近では欠勤などには現れない疾病による仕事のパフォーマンスや集中力の低下の方が、むしろ労働生産性に大きく影響することがわかってきました。

しかし、口腔の健康状態と労働生産性の関連については、まだ研究途中であり、これからの分野とされてきたところがあります。

この口腔の健康状態と労働生産性との関連について研究発表した安達奈穂子医学博士(東京医科歯科大学助教)は、歯科の健康が全身の健康に影響することを裏付けることに取り組み、口腔の健康状態のうち、どれが大きな影響を与えるのかを明らかにしようとして、歯周病、う蝕(虫歯)、う蝕を経験した歯の数、口腔関連QOLと労働生産性に関連の調査に取り組みました。

その結果については、次回(健康デザイン10)で紹介します。
〔健康ジャーナリスト/日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕

機能性表示食品は、試験によって機能性が確認されたら、それを消費者庁に届け出ることによって機能性を表示して販売することができます。機能性表示食品として認められていない健康食品が、機能性表示食品と同様の表示をしたら厳しく取り締まられます。

機能性表示食品として届け出るのは大変だからと、いろいろと頭を捻って商品を開発しています。その例としてよくあげられるのは“イタドリ”です。イタドリはタデ科ソバカズラ属の多年生植物で、山野や道端に生えている野草です。

イタドリにはオキシアントラキノン誘導体ポリゴニン、エモジンといった薬効成分が含まれ、消化不良、利尿、便秘の改善に効果があることは広く知られています。それと同時に痛みを取る効果があることから“痛取”という呼び名がついたと言われています。

といってもイタドリだけで関節痛や神経痛などを改善するには弱いということで、膝対策用の健康食品なら軟骨成分とともに加えて、イタドリ(痛取)のイメージで有効性を伝えるという、なかなかの存在です。

こういったことができない素材を使ったものは、商品名で工夫をすることになります。例えば、スッキリ茶というのは気分を爽快にするような成分が含まれたお茶なのに、スッキリがスリムになること、便通がよくなることというイメージで捉えられることがあります。

以前に大手の化粧品会社がホワイトローションというローションを出していたのですが、ローションが白くないのにホワイトの名称を使うと肌が白くなると勘違いさせることになるからと指摘されたことがあります。

これを受けて名称を変えるのかと思ったら、ローションの色を白くして名前を使い続けるという画期的な手法に出て、業界を驚かせたことがあります。
〔健康情報流通コンサルタント 小林正人〕

フレイルとプレフレイルが地域的に急増する懸念が抱かれる中、日本生活習慣病予防協会が、医師330名に対してアンケートを実施しています。

メタボ(メタボリックシンドローム:内臓脂肪症候群)が40代に多いことは以前から指摘されていたことですが、その割合(複数回答)が38.5%と多くなっていたことを除くと、フレイル(虚弱)予備群のプレフレイルに関連する症状と状態が増えていて、さらに比較的若い世代にも多く見られるようになっています。

どのような症状と状態かというと、筋力・筋肉量の低下、運動頻度の低下、活力の低下、睡眠不足、人付き合いの減少、うつ症状などで、これらはコロナ禍によって不安視された健康度の低下の要因そのものです。

フレイルが増加していると実感している医師(日本生活習慣病予防協会調査:330名対象)は81.8%(かなり増えている11.8%、増えている31.8%、やや増えている38.2%)にもなっています。

フレイルに該当する症状の患者が増加していると思っているのは、年齢層別にみると(複数回答)男女ともに大きな差はなく、70歳以上では男性は69.3%、女性は68.1%、60代では男性は57.4%、女性は54.8%、50代では男性は36.7%、女性は36.3%、40代では男性は21.1%、女性は17.4%となっています。

60〜70歳以上と比べると、その前の年代は少ないといっても、40代でもフレイルが増えてきているということは、若い世代でもコロナ禍の影響によって、状況が悪化していることがみえてきます。

これから40代が50代、60代となったときには、フレイルによる介護対象者が急増することが考えられます。そして、今後を見据えて、今から対策を始めなければ危機的な状況になりかねないと言える状態になっているのです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕

ステップ運動は左右の足の動きが1歩ずつで1つとカウントするのが基本となっています。これは両足が運動によって刺激されることを目指しているからで、踏み台を使っての上り下りも、ステッパー(踏み込み式の運動装置)で交互に踏み込むのも左右の脚の動きで1と数えます。

一般には足の動きと表現されていますが、正確な言葉の使い分けでは足は足首から下を指していて、脚は骨盤から下の部分(一般的な足というイメージ)を指しています。

これに対して、ウォーキングでは歩数計(万歩計は山佐時計計器の商標)は片足を前に出すたびに1歩がカウントされます。もともとが万歩運動という1日に1万歩を歩こうという健康づくりキャンペーンの支援装置として開発されたので、これは当たり前のことです。

ステッパーでは踏み込み回数のメモリーがついているものがあり、これは左右の踏み込みで1とカウントされるのが基本ではあるものの、歩数計と同じように片脚が動くたびにカウントされるものもあります。

歩数計を装着してステップ運動をすると、歩数と同じ回数が表示されることもあれば、歩数の半分が表示されることもあるわけです。

そのために100回のステップ運動を指示された人が、実は左右で2回と数えて、指示の半分しか実施していないということにもなります。この数え方について、ステップ運動を指示するときに説明してくれていれば、そんなことは起こらないのですが。
踏み台を使ってのステップ運動は、台に向かって右足から始めると、右足が上がった後に左足が上がるので、脚の負荷は右のほうが強くなります。台から降りるときには右足、左足の順になると、やはり右の負荷が強くなります。

そこで同じ足の上り下りは一定の回数を決めて、左右の負荷が同じようになるようにします。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)

厚生労働省の「健康日本21」では、歯・口腔の健康について目標を定めて健康づくりを推進しています。その現状と目標から歯の喪失の防止についてのリスク低減目標を紹介します。

1)敵的な歯石除去、歯面清掃
定期的に歯石除去や歯面清掃などの予防処置、指導を受けることが歯の喪失の防止に重要であることが示されました。5年間の観察で、定期的に歯石除去などを受けた群の1人平均喪失歯数は0.37歯であったのに対して、受けなかった軍の喪失歯数が1.39歯であったとされています。

これらの予防処置は、主に歯科診療所において実施されていますが、歯石除去、歯面清掃に併せて、歯口清掃や喫煙、食生活などに関する保健指導を実施することが、さらに効果的となります。

2)定期的な歯科検診と早期治療
歯科疾患は自覚症状を伴わずに発生することが多く、疾患がある程度進行した時点で症状が生じます。そのため、定期的に歯科検診を受診して、早めに歯科治療を受ける習慣を維持することが歯の喪失を抑制することが明らかにされています。

定期的な診査の間隔については、定期的な歯石除去、歯面清掃も同様ですが、年齢、性別のほか歯の現在歯数、う蝕、歯周疾患の状況などの個人のリスクに応じて、個別に適切な感覚で実施されることが重要となります。

3)その他
高齢者では、歯の喪失や歯周病の進行に伴い、口腔内状況が複雑となり、確実な歯口清掃を行うことが困難となってくるので、個人の口腔内状況にあった歯口清掃が実施できるように、きめ細かな指導・支援を行っていく必要があります。

また、今後、歯肉の退縮によって露出した歯根面に生じるう蝕(根面う蝕)のリスクが増加していくものと予測され、根面う蝕の実態などに関する調査・研究を踏まえながら対策を講じていく必要があります。
〔健康ジャーナリスト/日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕