栄養学の重鎮の体験談に続いて、今回は臨床栄養の重鎮の体験談です。その話を聞くことができたのは、前回の糖尿病患者は尿から糖が多く排出されるので糖を戻してやるという今では、どう考えても違っているだろうという逸話を話したときのことです。臨床栄養の重鎮なので、栄養学の重鎮のことも知っていて、実際に戦後の混乱期の糖尿病患者の食事箋ではあったことも承知していました。
その臨床栄養の重鎮は、大学の医学部を卒業して医師となり、大学病院に配属されたのですが、そのときに教授でもある大先輩の医師から指示されたのは「腎臓患者は尿からタンパク質が排出されるので、食事のたんぱく質を増やす」ということでした。たんぱく質は食品に含まれているものを指していて、タンパク質は体内にあるものを指すというように、ここでは使い分けています。
尿検査で蛋白尿が調べられるのは、尿に含まれるタンパク質の量が腎機能のバロメーターになっているからです。タンパク質は身体にとって大切な構成成分であるので、健康な状態ではタンパク質を排出するようなことはなくて、尿にタンパク質が混ざるようなこともありません。ところが、腎臓の疾患になると、腎臓で濾過をする糸球体をタンパク質が通過して尿に混ざるようになります。
尿蛋白が出る腎臓病としては、糖尿病性腎症、慢性糸球体腎炎、腎硬化症、ネフローゼ症候群があげられます。
糸球体を通過しないはずのタンパク質が通過する状態は、糸球体にも大きな負担になります。そのために尿にタンパク質が出ること自体が腎臓病の進行を早めることになります。そのため、たんぱく質の摂取量を減らすのか腎臓病の食事療法の基本となります。それなのに尿から排出されるので、元に戻そうとするのは足元から掬われた(すくわれた)ようなもので、これは今の常識は間違いかもしれないと思って、常に勉強をして、最新情報を得ることが重要という戒めとなっています。
このことを伝えるために、講習の場で「信じるものは掬われる」という諺もじりをして話をしているのです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)
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モチベーション(motivation)は、やる気、意欲、動機などの意味で用いられて、行動を起こす契機となる刺激や意欲を指しています。
学習意欲を高めて行動に向かわせることでは、モチベーションは学習動機づけと呼ばれます。モチベーションは、内発的動機づけと外発的動機づけに大きく分けられています。外発的動機づけには、同一化的動機づけと取り入れ的動機づけがあり、これに外的動機づけを加えて3つに分類されることが多くなっています。
1)内発的動機づけ
内発的動機づけは、活動に対する好奇心や興味、関心によってもたらされる動機づけで、勉強をすることが楽しい、問題を解くことが面白いから勉強する、新しいことを知ることができるから嬉しい、という行動が該当します。内発的動機づけによる行動は、行動そのものが目的となっているため、他に目的があっての行動ではありません。そのため、学習をするための動機づけとしては、最も望ましい状態とされています。
2)外発的動機づけ
外発的動機づけは義務や強制、賞罰といった外部からの働きかけによってもたらされる動機で、目的を達成するための手段とされます。
ほめること、成績向上などの結果に対して利益(ご褒美)を与えることは悪いことではないと一般には認識されています。その一方で結果が残せなかったことに対する罰は決してよいことではないと認識されています。しかし、外発的動機づけから考えると、外からの働きかけは賞も罰も同様の範疇であって、学習することに対する価値の高さが評価されていないことでは同様であると考えられています。
三大エネルギー源の糖質、脂質、たんぱく質は体内でエネルギーに変換されます。これ以外はエネルギーとなることができません。三大エネルギー源という言葉は、多くの中から代表的な三つをあげたということではなくて、三つですべてということを指しています。
三大エネルギー源の糖質はブドウ糖に、脂質は脂肪酸に、たんぱく質はアミノ酸に分解され、ブドウ糖、脂肪酸、アミノ酸ともにピルビン酸、アセチルCoAを経て、細胞のミトコンドリアの中にあるTCA回路(Tricaboxcylic acid cycle)に入って、9段階の過程を経てエネルギーを発生させます。この細胞の中で作り出されたエネルギーは、細胞の外に電気のように流れて使われるようなものではありません。発生した細胞の中でのみ使われるもので、他の細胞に伝達されることがない、“地産地消”のような性質となっています。
全身には約60兆個以上の細胞があるとされています。全身の細胞は三大エネルギー源を取り入れて、内部でエネルギーを作り出していますが、一つだけ例外があります。その例外が脳細胞です。脳細胞につながる毛細血管には、血液脳関門があり、必要なものだけを通過させて、不必要なものを通過させないという機能があります。この機能によって、余計な成分が脳細胞に運ばれないように調整して、脳が正常に働くようにされています。
三大エネルギー源のうち血液脳関門を通過できるのはブドウ糖だけであることから、脳細胞はブドウ糖しかエネルギー源として使うことができないということです。
疲れたときに甘いものを食べると元気が出るのも、甘いものを摂ると頭の働きが回復してくるのも脳細胞に不足したブドウ糖が補われるからです。重要な脳の唯一のエネルギー源であるのに、糖質制限をしてブドウ糖を極端に減らすようなことが起こると、集中力や記憶力が低下したり、気力が続かないようなことが起こります。それだけではなくて、脳は全身の働きをコントロールしているため、全身の機能に悪影響が出ることになります。
発達障害の自閉症スペクトラム障害、注意欠陥・多動性障害、学習障害ともに、脳には強い負荷がかかっていることが知られています。負荷が強くなるほど脳にはブドウ糖が多く必要になるため、ブドウ糖を不足させることはできないのです。
メディカルダイエットはエネルギー代謝の促進を目的とした手法で、運動と食事、入浴と食事、運動と入浴の組み合わせによってエネルギー代謝を高めることができます。そこにL‐カルニチンを組み合わせることで、さらにエネルギー代謝が高められます。
「運動×食事」のメリットは、空腹時に運動をしたあとに食事をするというタイミングによって得ることができます。
空腹時に運動をすると、血液中のブドウ糖が不足することから、それを補うために筋肉と肝臓の中に蓄積されているグリコーゲンが分解されてブドウ糖として血液中に放出されます。グリコーゲンは多くのブドウ糖がつながった貯蔵のための高分子の糖質です。その後に食事をするとブドウ糖が多くグリコーゲンに合成されて、筋肉と肝臓に蓄えられていきます。
その結果として、血液中のブドウ糖が少なくなって、血糖値が下がります。膵臓からは血糖値に応じてホルモンのインスリンが分泌されますが、インスリンにはブドウ糖を細胞に取り込む作用と、肝臓で脂肪酸を合成させる作用があります。合成された脂肪酸は3個がつながって中性脂肪となります。この中性脂肪が脂肪細胞の中に蓄積されていきます。
そのために運動後の食事は太りにくくなる効果があるというわけですが、運動をすると脂肪細胞の中に蓄積されている中性脂肪が分解されて、脂肪酸となって血液中に放出されます。この脂肪酸は細胞に取り込まれますが、細胞の中のミトコンドリアへの脂肪酸を通過させるのがL‐カルニチンの役割で、L‐カルニチンが豊富にあると血液中の脂肪酸が減っていきます。脂肪酸が少なければ、肝臓で合成される中性脂肪が減るため、太りにくくなるのです。
インスリンの分泌は副交感神経の働きが盛んなときに多くなります。夕食時は副交感神経が盛んに働いている時間帯なので、特に有効となるのは夕食前の運動ということになります。
広く健康に関わる記念日について紹介します。
5月3日 和泉屋(長崎市雲仙市)が卵黄と卵白が5対3の濃厚カステラの五三焼カステラの普及のために五三にちなんで「五三焼カステラの日」と制定。毎月3日は「くるみパンの日」(カリフォルニアくるみ協会)、「みたらしだんごの日」(山崎製パン)。
5月4日 自然に親しむとともにその恩恵に感謝し豊かな心を育む日として国民の休日の「みどりの日」。いいの製薬(神奈川県横浜市)が、こう(5)しゅう(4)の語呂合わせで「口臭ケアの日」と制定。朝日共販(愛媛県伊方町)が全国のしらす漁が解禁になる5月と、しらすのし(4)から「しらすの日」と制定。あじかん(広島県広島市)が立夏の前日の節分に巻寿司を丸かぶりすると幸運が訪れるとされることから「巻寿司の日」と制定。毎月4日は「みたらしだんごの日」(山崎製パン)。
5月5日 国民の祝日の「こどもの日」。ギンビスが創業日で、こどもの日を「たべっ子どうぶつの日」と制定。日本養鶉協会が5月は旧暦の鶉月(うずらづき)、5日は05でたまごと読む語呂合わせから「うずらの日」と制定。北海道水産物加工協同組合連合会が、こどもの日に子孫繁栄の縁起物のかずの子を食べてもらうことを目的に「かずの子の日」と制定。日本気象協会と日本コカ・コーラが立夏に熱中症の注意を呼びかけるために「熱中症対策の日」と制定。キリンビバレッジが午(5)後(5)の語呂合わせで「午後の紅茶の日」と制定。エフネットスポーツ(埼玉県川口市)がフットサルは5人対5人で競うことから「フットサルの日」と制定。日本咬合学会が、こう(5)ごう(5)の語呂合わせで「かみ合わせの日」と制定。毎月5日は「みたらしだんごの日」(山崎製パン)。
5月6日 国際ふりかけ協議会が、ふりかけの元祖とされる吉丸末吉薬剤師の誕生日の1887年5月6日にちなんで「ふりかけの日」と制定。味のちぬや(香川県三豊市)がコ(5)ロッケ(6)の語呂合わせで「コロッケの日」と制定。タカラベルモント(大阪府大阪市)が、こどもの日の翌日を元気なシニアをイメージして「アクティブシニアの日」と制定。山崎製パンがコ(5)ロ(6)ネの語呂合わせで「コロネの日」と制定。毎月6日は「メロンの日」(全国メロンサミットinほこた開催実行委員会)、「手巻きロールケーキの日」(モンテール)、「手巻きロールの日」(モンテール)。
5月7日 キリン・トロピカーナがコ(5)コナッ(7)ツの語呂合わせで「ココナッツの日」と制定。毎月7日は「生パスタの日」(全国製麺協同組合連合会)。
5月8日 フジッコが小(5)鉢(8)の語呂合わせで「小鉢の日」と制定。声総研が、こ(5)え(8=エイト)の語呂合わせで「声の日」と制定。高原のパンやさん(長野県小海町)が、ご(5)はんパ(8)ンの語呂合わせで「ごはんパンの日」と制定。毎月8日は「生パスタの日」(全国製麺協同組合連合会)、「歯ブラシ交換デー」(ライオン)、「にわとりの日」(トリゼンフーズ)、「ホールケーキの日」(一柳)。
5月9日 日本口腔ケア学会が、こう(5)くう(9)の語呂合わせで「口腔ケアの日」と制定。日本呼吸器障害者情報センターが呼(5)吸(9)の語呂合わせで「呼吸の日」と制定。味の素AGFがコ(5)ク(9)の語呂合わせで「コクの日」と制定。伊藤園がゴクゴク(59)の語呂合わせで「健康ミネラルむぎ茶の日」と制定。毎月9日は「クレープの日」(モンテール)。
談合は良くないことであるというのは社会的常識ですが、利益を得る側にしてみれば談合は当たり前という風潮があります。地方の自治体では、物事をうまく進めるための当然の手法としてまかり通っているところもあります。
東京から岡山に移住して、新たな地方創生事業の話が持ち上がり、企画にも加わりました。プロポーザル方式では、企画立案をした立場であっても、競争入札式に選択されるのは当たり前のことですが、選択された後は立案者と実施者が同じということで、自治体の関係者からも住民からも積極的な支援がありました。
こんなに親切にしてもらってよいのだろうか、と思うくらいに手伝ってくれて、一緒に進めてきたことを報告書にまとめて提出して、それが交付金を支給する内閣府にまで報告が行きました。そのことは内閣府の知人を通じても確認しました。初めのプロポーザルの提案内容と報告書の内容があれば、そこから先は同じことの繰り返しなので、複数年の継続事業も簡単に進められるというところまで行ったときのことです。
いきなり「継続事業であるが、受託者は新たに募集する」という、あまり聞いたことがない、というよりも前代未聞の決定が自治体の担当者から告げられました。前代未聞というのは全国レベルの判断であって、ローカルルール(その自治体だけのルール)では当たり前のことということのようです。
新たなプロポーザルの条件は、初めに着手した私たちでは受けられないもので、それを可能にするのは地域の事業者と結びつきがある人だけでした。新たな事業であれば、私たちの企画と実施内容は使われないものと思っていたのに、それは継続させて、要は担当者だけがすげ替えられるというものでした。
事業を受け継いだのは、一緒に手伝ってくれた方々で、自治体のOBで、担当窓口の先輩ということでした。あとになって初めから外部の人間に企画と準備段階をさせて、本番の収益事業は自治体と深い関わりがある方々が人にやらせるつもりだったということがわかり、これこそが「花より団子」ではなくて「端より談合」ということを実体験しました。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)
糖尿病は全身の細胞がエネルギー源のブドウ糖を取り込みにくくなる状態で、中でも脳細胞はブドウ糖が唯一のエネルギー源となっていることから、糖尿病になると脳細胞の活性度が低下して、認知症のリスクが高まることが指摘されています。糖尿病の予防と改善には糖質制限がよいという考え方もあって、実践している人も少なくありません。
糖質制限をして、肝心なブドウ糖が減ってしまったら仕方がありません。ただでも糖尿病になるとインスリンの分泌が低下しているためにブドウ糖の細胞への取り込みが低下しています。それなのに糖質を減らすのは、ブドウ糖不足による脳の機能低下の原因になるとの考えもあります。
糖質制限は、他にも脳の機能低下に結びつくことが懸念されています。それは神経伝達物質のセロトニンが減ってしまうからです。セロトニンは幸せホルモンとも呼ばれています。
神経伝達物質は脳細胞と脳細胞をつないで情報を伝えていく重要な役割をしています。神経伝達物質の中で最も重要なものはグルタミン酸ですが、グルタミン酸が働くためにはブドウ糖が必要になります。ブドウ糖不足になると脳が快感を得にくくなることが報告されています。
認知症は脳の情報伝達が低下だけでなくて、情動(喜び、悲しみ、怒り、恐怖、不安などの激しい感情の動き)が低下することが起こります。この情動に関わる神経伝達物質がセロトニンで、これは必須アミノ酸のトリプトファンから作られます。トリプトファンは肉、魚、卵、乳製品に多く含まれています。
トリプトファンの摂取量を増やせばセロトニンが増えるように思われがちですが、トリプトファンと一緒にブドウ糖が含まれた糖質も必要になります。ブドウ糖によって血糖値が上昇してインスリンが分泌されるとトリプトファンが脳細胞に多く取り込まれるようになるからです。
糖尿病は血糖値が高くなることから膵臓がインスリンを出し続け、それが続くことで膵臓が疲弊して、徐々にインスリンの分泌量が減っていきます。そのために細胞にブドウ糖が取り込まれにくくなり、ずっと血糖値が高い状態となります。
糖質制限ばかりしていると、セロトニンが増えにくくなるので、認知症の原因にもなってしまうということです。
α‐リポ酸、L‐カルニチン、コエンザイムQ10は、どれも医薬品成分であったものが食品成分としても使うことが許可されました。
α‐リポ酸は医薬品成分としてはチオクト酸といい、激しい肉体労働時の補給やLeigh症候群(亜急性壊死性脳脊髄炎)、中毒性(ストレプトマイシン、カナマイシン使用)、騒音性(職業性)の内耳性難聴に使われます。これらはチオクト酸を補うことで改善されることが確認されています。
L‐カルニチンの医薬品はレポカルニチン塩化物といって、カルニチン欠乏症に使用されます。脂肪酸と結びついて細胞のミトコンドリアを通過させる作用があるため、エネルギー産生を高めることができます。
コエンザイムQ10の医薬品はユビキノン、ユビデカレノンといい、軽度な心疾患によって起こる動機、息切れ、むくみなどを緩和させる働きがあります。
α‐リポ酸、L‐カルニチン、コエンザイムQ10は、どれも体内で合成されている成分で、不足するとエネルギー代謝が低下して、さまざまな症状が起こるようになります。不足するものを補うということでは、サプリメントと同様に考えられます。また、食品成分から製造されることもあり、これが医薬品成分から食品成分としても使用が許可された要因となっています。
医薬品成分としてのL‐カルニチンは、サプリメントとしての使用と同様の効果であって、脂肪酸と結合してミトコンドリアの膜を通過させます。医薬品として有効性は充分に得られていて、サプリメントとしての有効性は初めから確認されていました。必須アミノ酸のリシンとメチオニンから体内で合成されることから安全性も高くなっています。このような背景から、有効性、安全性ともに明らかにされた珍しい存在といえます。
日本酒1合のエネルギー量が約189kcalとされているのは、アルコール1gあたりのエネルギー量が約7kcalで、1合は180ml、アルコール同数が15度(%)と計算されているからです。水分の1mlは1gとなっています。計算式は「7kcal×180ml×15%=189kcal」となります。
日本酒の原酒は20度前後で、これなら252kcalになります。最近人気の少しアルコール度数が高めの17度のものでは、214kcalで、約200kcalと計算してもよいくらいの度数となっています。ご飯は茶碗に軽く盛った状態では約200kcalとなります。普通盛りでは216kcalとされることもあるので、日本酒1合は、ご飯1杯分と同じくらいと考えることができます。
日本酒1合はビールでは中ビン1本、ワイン1杯、ウイスキーならダブル1杯に相当します。この分量は日本酒1合換算と呼ばれています。これだけのお酒を飲むなら、ご飯を1杯減らせば摂取エネルギーのバランスがとれることになります。
それなのにダイエット関連の書籍などを見ると、アルコール飲料は体温を上昇させてエネルギー消費されるので太りにくいという説が掲げられています。それは事実で、計算上はアルコール飲料に含まれる糖質のエネルギー量に等しいという説もあって、それほど気にしないでよい、ということも書かれています。
しかし、これはアルコール飲料だけを飲んだ場合のことで、食事をしているときに飲酒をすると肝臓で糖質、脂質、たんぱく質を材料にして中性脂肪を作り出す脂肪合成が促進されます。それによって脂肪が多く作られるようになることを考えると、アルコール飲料に含まれるエネルギー量が蓄積される脂肪の量に影響を与えるといっても間違いではないのです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)
ボイスレコーダーは録音機の言い換えだと一般には認識されているようですが、もともとの意味は周囲の音声を記録して後で聞き返す装置のことで、航空機のコックピット内の音声を記録するものと同じ意味合いです。
重要な打ち合わせに臨むときには、ポケットにボイスレコーダーを入れて出かけていました。これは証拠を残そうというよりも、聞き違いや思い違いがあってはいけないからで、自分の判断が正しかったかどうかを確認するためのツールです。一過性脳虚血発作になったことがあり、自分では気づかない記憶機能の変化があって、間違いを犯してはいけないと思って始めたことです。
医療関係や健康関係のインタビュアーとしての仕事のときも、ゴーストライターとしての取材のときも録音機はテーブルに置いていましたが、打ち合わせのときには記録していることが証拠づくりと勘違いされるなど気を悪くする人がいたので、ポケットに忍ばせる形となりました。
仕事の話がスムーズに進んでいる間はボイスレコーダーの音声を聞き直すことはなかったのですが、今回のテーマの「信じる者は足元を掬われる」というようなことがあったときに聞き直しをしました。聞き直した結果は、相手が「そんなことは言っていない」というのは大概は言っていたことを確認しました。
あとになって「実は言っていたのだが、言っていないと話すしかなかった」と言われたこともあります。それは相手の社内や家族の事情だったりもしたのですが、「言っていない」ということにして済ませることができた人には良かったことであっても、信じて行動して、足元が掬われるようなことになった身としてはたまったものではありません。
東京から岡山に移住して、それも家族ごと仕事があるからということでの移住で、家族の事情か会社の事情かわからないのですが、「コンセプト変更」という一言で仕事を失う結果となった身にとってみれば、「信じる者は足元を掬われる」という気持ちの準備をして取り組むようになった、本当に困った経験でした。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)





