文部科学省の「食に関する指導の手引」では教科ごとの食に関する指導を各論として掲載しています。ここでは体育、保健体育の中学校の食に関連する内容を前回に続いて紹介します。
ウ 分野の食に関連する内容
[保健分野]
(ア)食に関連する内容
2 内容
(1)健康な生活と疾病の予防
健康な生活と疾病の予防について、課題を発見し、その解決を目指した活動を通して、次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 健康な生活と疾病の予防について理解を深めること。
(イ)健康の保持増進には、年齢、生活環境などに応じた運動、食事、休養および睡眠の調和のとれた生活を続ける必要があること。
(ウ)生活習慣病などは、運動不足、食事の量や質の偏り、休養や睡眠の不足などの生活習慣の乱れが主な原因となって起こること。また、生活習慣病の多くは、適切な運動、食事、休養および睡眠の調和のとれた生活を実践することによって予防できること。
3 内容の取り扱い
(3)内容の(1)のアの(イ)および(ウ)については、食育の観点も踏まえつつ健康的な生活習慣の形成に結びつくように配慮するとともに、必要に応じて、コンピュータなどの情報機器の使用と健康との関わりについて取り扱うことにも配慮するものとする。また、がんについても取り扱うものとする。
第3 指導計画の作成と内容の取り扱い
2 第2の内容の取り扱いについては、次の事項に配慮するものとする。
(6)第1章総則の第1の2の(3)に示す学校における体育・健康に関する指導の趣旨を生かし、特別活動、運動部の活動などとの関連を図り、日常生活における体育・健康に関する活動が適切かつ継続的に実践できるよう留意すること。なお、体力の測定については、計画的に実践し、運動の指導および体力の向上に活用するようにすること。
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コロナ禍での行動の自粛は、国民的な健康度に大きなマイナスを残しましたが、その影響は脳にも及びます。他の生活習慣病のように、すぐに検査結果に現れるようなことはないとしても、歩行不足、マスク着用による酸素不足、交流の不足による脳の刺激の不足、血管疾患の増加による認知症の増加など、さまざまな脳への悪影響がありました。
これは感染が収まってきて、出歩けるようになったからといって、短期間のうちに解決するようなことではありません。脳へのダメージはジワジワと進み、その解消も時間をかけないと現れにくいものです。それだけに、脳の健康維持のための活動は、すぐにも始めたいところですが、例えば糖尿病の人がコロナ禍での行動制限から血糖値が上昇しすぎたのであれば、血糖値を下げるために食事療法と運動療法をして、そのうえに医薬品を使うということになるので、実施すべきことは限られています。
ところが、脳の健康状態を保って、認知症を防ぐには数多くのアプローチが必要になってきます。有酸素運動は重要で、脳に多くの酸素を送り込むことは、その酸素を使って脳の唯一のエネルギー源のブドウ糖をエネルギー化させることになります。有酸素運動のウォーキングはエネルギー代謝を高めて、ブドウ糖、中性脂肪、LDLコレステロールを減らして糖尿病、脂質異常症を予防することに役立ちます。これは血管系のダメージによって引き起こされるタイプの認知症の予防につながります。高血圧もウォーキングによって血管の弾力性が高まり、症状を抑えることが知られています。しかし、これ以外にも栄養、入浴、睡眠、リラクゼーション、笑い、脳トレ、習い事など、それぞれの脳機能の改善効果が認められています。さらに健康食品に使われている成分による認知症予防の研究も進んでいます。
こうなると脳の機能を高めて、健康寿命の延伸に負けないくらいの脳の健康寿命の延伸を確保するためには、複数の健康法を学ぶことが必要となります。
多くのことを一から学ぶことは大変なことなので、それぞれの研究成果、実践経験のある団体などの協力を得ることが必要になります。そのためには、聞いて回ることが手間だから、恥ずかしいことだからと考えることなく、「聞くは一時の恥知らず」という勢いで、脳の健康寿命の延伸のための情報を集めて回るのが、コロナ後の健康づくりには重要だと認識しています。
食品に含まれるたんぱく質は20種類のアミノ酸によって構成されていますが、体内で合成される非必須アミノ酸(アルギニン、グリシン、アラニン、セリン、チロシン、システイン、アスパラギン、グルタミン、プロリン、アスパラギン酸、グルタミン酸)と、体内では合成されない必須アミノ酸(バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、リシン、フェニルアラニン、トリプトファン、スレオニン、ヒスチジン)に分類されます。必須アミノ酸がバランスよく含まれる食品は良質なたんぱく質と呼ばれ、これに該当するのは肉類、魚類、卵、牛乳・乳製品、大豆・大豆製品です。
ビタミンとミネラルのバランスを取るためには、推奨量(日本人の食事摂取基準)を満たす必要があります。成人の1日あたりの摂取量は、脂溶性ビタミンのビタミンAは男性が800〜900μg、女性が650〜700μg、ビタミンDは男女ともに5.5μg、ビタミンEは男性が6.5ng、女性が6.0mg、ビタミンKは男女ともに150μgとされています。水溶性ビタミンのビタミンB₁は男性が1.0〜1.2mg、女性が0.9〜1.1mg、ビタミンB₂は男性が1.1〜1.3mg、女性が1.1〜1.2mg、ナイアシンは男性が13〜15mg、女性が10〜12mg、ビタミンB₆は男性が1.4mg、女性が1.2mg、ビタミンB₁₂は男女ともに2.4mg、葉酸は男女ともに240μg、パントテン酸は男性が5mg、女性が4〜5mg、ビオチンは男女ともに50μg、ビタミンCは男女ともに100mgとされています。
ミネラルの1日あたりの摂取量は、カルシウムは男性が650〜800mg、女性が650mg、マグネシウムは男性が340〜370mg、女性が270〜290mg、リンは男性が1000mg、女性が800mg、鉄は男性が7.0〜7.5mg、女性が6.0〜6.5mg、亜鉛は男性が9〜10mg、女性が7〜8mg、銅は男性が0.9〜1.0mg、女性が0.7〜0.8mg、マンガンは男性が4.0mg、女性が3.5mg、ヨウ素は男女ともに140μg、セレンは男性が30μg、女性は25μg、クロムは男女ともに10μg、モリブデンは男性が25〜30μg、女性が20〜25μgとなっています。
エネルギー源の脂肪は体内では燃焼していない、という前回の話を受けて、体内の脂肪が減るのは、どのような仕組みなのかということについて解説します。
脂肪は一般には中性脂肪を指しています。中性脂肪は脂肪酸3個がグリセロール1個と結びついた形をしています。動物性の食品に含まれている脂肪も、体内の脂肪細胞の中に蓄積される脂肪も中性脂肪となっています。このままではエネルギー化することができないので、脂肪酸に分解されてから、全身の細胞の中にあるミトコンドリアに運ばれていきます。ミトコンドリアはエネルギーを作り出す役割をする小器官で、小さなものではあっても数が非常に多く、その重量を合わせると全体重の10%にもなります。それだけ重要な器官だということです。
脂肪酸はミトコンドリアに運ばれると、アセチルCoAに変化します。その後にTCA回路というエンジンのような働きをする部位でクエン酸に変化して、そこからは次々に別の酸に変化していって、一回りするとエネルギー物質のATP(アデノシン三リン酸)が36分子発生します。
このATPがエネルギーとなるわけではなくて、ATPからリン(P)が1はずれてADP(アデノシン二リン酸)になるときにエネルギーが発生します。また、エネルギーが多く必要な状態になると、ADPからリンがはずれてAMP(アデノシン一リン酸)になり、そのときにもエネルギーが発生します。生体の中の化学反応でエネルギーが発生しているということです。
ミトコンドリアのTCA回路で酸が次々に変化しているときには4種類のビタミンB群(ビタミンB₁、ビタミンB₂、ビタミンB₆、ビタミンB₁₂)が必要になります。これが不足するとエネルギー産生が低下することになります。
書字障害の例について、前回に続いて簡単に解説をします。
*バランスのとれた文字を書くことが難しい
文字は全体像をとらえて、上下、左右の文字のバランスを用紙の空間に当てはまるように書くことが求められます。全体像がとらえにくい、記憶したことと手の動きが連動していないとバランスが取れない文字になります。また、姿勢や鉛筆の持ち方のためにバランスがとれないこともあります。
*アルファベットの綴りが困難
小学3年生になるとアルファベットの大文字、小学4年生で小文字を習います。以前は英語教育は中学生の教科でしたが、今では小学5年生から始まります。アルファベットは、ひらがな、カタカナ、漢字とは異なる形で、筆記にも独特の規則性があります。ひらがな、カタカナを形で覚えるだけでなく、その規則性を学んでいればアルファベットも覚えることと書くことができるようになります。曲線が多いことから、鉛筆の動きがスムーズにいかないまま育つとアルファベットの綴りで苦労することにもなります。
*文字を書くときに鏡文字を書く
左右が逆になる鏡文字は、記憶したことを書こうとするときに手の動きがスムーズにいかないことが一つの理由です。視覚の異常から、通常の文字を見ても、それが脳の中で鏡文字になって見える例もあることから、そのような状態なのかを確認する必要があります。
*形態的に似た文字を書き間違える
幼いときには文字の形の認識がしにくく、そのために似た形をした文字(“め”と“ぬ”、“わ”と“ね”)を書き間違えることがあります。通常は1年齢につれて、またよく読むことによって改善されていきます。しかし、文字の形を認識する識字障害があると、読めても書くときに間違える書字障害が生じるようになります。
聞く耳を持つというのは新たな活動をするためには必要な態度ですが、聞いただけでは意味がないのは当然のことです。恥を忍んで聞いたことなのに、それを活かすことができなかったら、聞かなかったことによる恥(聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥)よりも聞いたことが恥にもなりかねません。
平均寿命が延伸して、それにつれて健康寿命も延伸しました。平均寿命と健康寿命の差が男性で約9年、女性で12年以上となっていても、健康寿命が延伸したことに違いはありません。しかし、認知症を含めた脳の健康状態となると、健康寿命のようには伸びてはいません。身体の健康状態は続いていても、脳のほうが追いつかずに、身体が元気な認知症を増やすことになってしまいます。
健康づくりに取り組む各団体の目的の一つに“健脳”を加えてもらい、他の団体と連携して、脳の健康寿命を延伸させることが確認されている方法、その効果が期待されている方法を集めて、一緒に行動しようと提案すると、正面から拒否をするところも出てきます。
自分たちの活動が健康によいと言っているのは脳の健康も含まれている、自分たちの方法だけでも充分に効果があるという考えもあり、「余計なことを持ち込まないでくれ」と言われることもあります。特に何をしてほしいということではなくて、一緒に健脳について学び、それぞれの団体のノウハウを持ち寄って、さらに良い学びの場を作りたいと願っているだけです。
それにも関わらず拒否の姿勢を示すのは、口で言うほどの健脳のことを考えていないのか、エビデンスを得る努力をしていないのかと疑いの気持ちが出てきそうですが、それでも私たちは拒否をするのではなく、いつか一緒に活動できる機会がくることを願って、地道な活動をしています。その地道な活動が健脳のためのノウハウを知るために、各団体の活動の中で得られた経験と実績を見せてもらうことです。
その結果を集めて、健脳活動として堂々と押し出せるようになるまでは、「聞くは一時の恥知らず」の覚悟をもって突き進んでいくだけです。
広く健康に関わる記念日について紹介します。
12月14日 バウムクーヘンのカウカウフードシステムが川村信子(マダム信子)会長の誕生日にちなんで「マダムシンコの日」と制定。
12月15日 1925年12月15日に遊覧バスが初めて運行したことにちなんで「観光バス記念日」と制定。
12月16日 1875年12月16日に初めての製紙工場創業にちなんで「紙の記念日」に制定。毎月16日は「十六茶の日」(アサヒ飲料)、「トロの日」(カッパ・クリエイト)。
12月17日 明治がブルガリアヨーグルトの発売日の1973年12月17日にちなんで「明治ブルガリアヨーグルトの日」と制定。毎月17日は「減塩の日」(日本高血圧学会)、「森のたまごの日」(イセ食品)、「国産なす消費拡大の日」(冬春なす主産県協議会)、「いなりの日」(みすずコーポレーション)。
12月18日 亀屋万年堂が和菓子のナボナの発売日の1938年12月18日にちなんで「ナボナの日」と制定。ライオンが年末の掃除や洗濯の準備を始めるのが12月の第3週が多く、取り組みやすい土曜日を「大洗濯の日」と制定。毎月18日は「防犯の日」(セコム)。
12月19日 毎月19日は「いいきゅうりの日」(いいきゅうりの日プロジェクト)、「熟成烏龍茶の日」(日本コカ・コーラ)、「松坂牛の日」(やまとダイニング)、「熟カレーの日」(江崎グリコ)、「シュークリームの日」(モンテール)、「クレープの日」(モンテール)。
12月20日 ブリは師走の魚で、20日はブ(2)リ(0)の語呂合わせで「ブリの日」と制定。毎月20日は「シチューライスの日」(ハウス食品)、「発芽野菜の日」(村上農園)。
サプリメントや健康食品の機能性の講習の講師をしていますが、講習会場で「サプリメントアドバイザーですか」と聞かれることがあります。私がサプリメント教育に関わり始めたときには、「保健機能食品等に係るアドバイザリースタッフの養成に関する基本的な考え方」という通知が厚生労働省から出されたばかりで、各団体がアドバイザリースタッフの養成の検討を始めたころでした。
国立健康・栄養研究所がNR(栄養情報担当者)、日本臨床栄養協会がサプリメントアドバイザー、日本健康・栄養食品協会が食品保健指導士、日本食品安全協会が健康食品管理士と、それぞれ特徴のある団体が、特徴のある資格認定者を養成しました。この他にも複数の団体が、それぞれ資格認定をしていますが、紹介した4つの資格が質も高く、人数も多いという状況になっています。
NRとサプリメントアドバイザーは合併して、今ではNR・サプリメントアドバイザーとなって日本臨床栄養協会が運営しています。私が教育に関わったNRは名前こそ残りましたが、国立健康・栄養研究所の認定資格ではなくなりました。
長々と書きましたが、質問への答えは「サプリメントアドバイザーではありません」「NRの先生でした」「今のNR・サプリメントアドバイザーには教え子がいます」です。
日本臨床栄養協会がサプリメントアドバイザー制度を立ち上げるときには関係資料を提供しました。というのは、当時の日本臨床栄養協会の副会長の管理栄養士(元日本栄養士会理事長)の研究所に所属していたからです。また、研究所の所長は当時の国立病院栄養士会の会長であり、厚生労働省の栄養士は国立病院出身ということで、「保健機能食品等に係るアドバイザリースタッフの養成に関する基本的な考え方」の通知のための準備委員会にも派遣されていたからです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)
10分のウォーキングを1日に3回行うことで、30分のウォーキングを1回だけするよりも脂肪酸の代謝を高めて、余分な体脂肪を減らす効果があるということについて説明をします。
脂肪酸の代謝は歩いているときにだけ起こっていることではなくて、歩き終わってからも筋肉が温まっている間は続いています。それは脂肪分解酵素のリパーゼが関係しています。リパーゼは筋肉の中にあって、筋肉が温まってくると脂肪(中性脂肪)の分解が盛んになってきます。リパーゼは温かな環境で働きやすくなっているからです。
ウォーキングを終えてもリパーゼによって脂肪の分解が続き、脂肪酸は細胞の中のミトコンドリアに取り込まれて代謝が起こっています。リパーゼの活性は運動後に筋肉の温度が下がってくるにつれて低下してきます。個人差や運動の状態にもよるものの、30分ほどは続いています。
10分のウォーキングだけでも筋肉は温まっていて、脂肪の分解と代謝は30分ほど続きます。これを1日に3回、これを繰り返すと30分の脂肪代謝が3回起こることになります。30分の連続したウォーキングの場合にはリパーゼの特徴が活かされた脂肪の代謝は1回だけです。
もちろん、どんな歩き方をしたのか、どれだけ筋肉に負荷がかかっているのかによって違いはあるものの、少なくとも「10分×3回」のウォーキングは1回だけ30分のウォーキングよりも効果が下回ることはないということです。
だから、長く歩く時間がないからと言い訳するのではなくて、歩けるときには歩くようにするという心がけが体脂肪の減少には大切なことなのです。
文部科学省の「食に関する指導の手引」では教科ごとの食に関する指導を各論として掲載しています。ここでは体育、保健体育の中学校の食に関連する内容を紹介します。
ア 目標
体育や保健の見方・考え方を働かせ、話題を発見し、合理的な解決に向けた学習過程を通して、心と体を一体として捉え、生涯にわたって心身の健康を保持増進し、豊かなスポーツライフを実現するための資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1)各種の運動の特性に応じた技能などおよび個人生活における健康・安全について理解するとともに、基本的な技能を身に付けるようにする。
(2)運動や健康についての自他の課題を発見し、合理的な解決に向けて思考し、判断するとともに、代謝に伝える力を養う。
(3)生涯にわたって運動に親しむとともに健康の保持増進と体力の向上を目指し、明るく豊かな生活を営む態度を養う。
イ 教科の特徴
保健体育科は、体育や保健の見方・考え方を働かせ、生涯にわたる豊かなスポーツライフを実現するための資質や能力、健康で安全な生活を営む実践力およびたくましい心身を育てることによって、現在および将来の生活を健康で活力に満ちた明るく豊かなものにすることを目指す教科です。
特に、保健分野では、保健の見方・考え方を働かせ、健康・安全についての科学的理解を通して、生徒が現在および将来の生活において健康・安全の課題に直面した場合に、的確な思考・判断力などの資質や能力を育成することが重要です。
保健体育科(保健分野)における食に関する指導については、健康に関わる食に関する内容について、科学的に理解させるとともに、健康的な生活習慣の形成に結びつくように配慮することが大切です。





