健康づくりには資格認定講習として健康理論を中心にしたグループと、運動などの実践を中心としてグループがあります。どこもコロナ禍の影響で一時期は活動が緩やかになっていたものの、感染者が抑えられている状況では活動が再開しています。ただし、前と同じようにというような状況ではなく、全国規模で実施されてきたウォーキングのイベントも、参加者を県内だけ、市内と周辺地域に限る、さらに参加人数も制限するという形での再開とはなっています。
私たちが進めているのは実践と講習の組み合わせで、健康づくりの場に参加したときだけでなく、家庭でも継続できる健康づくりの知識を身につけてもらい、ずっと続けてほしいという願いをもって実施しています。
新型コロナウイルス感染症の猛威を経験して、今後の別の感染症の出現を考えると、これまでの健康づくりの手法で対応できるのかという疑問と不安は多くのグループ・団体、そして参加者が抱いていることです。感染蔓延によって、運動不足や通院機会の減少など地域の健康状態が大きく低下しているところでは、大きな不安をもって活動を再開させようとしています。これまでの手法では間に合わないとしたら、何をするべきかという相談も多く受けています。そのような相談は、私どものメディカルダイエットという特殊な健康づくりに取り組んでいるところにも寄せられています。
その対応を伝えるときに、あえて使っている言葉が「聞くは一時の恥知らず」です。もちろん「聞くは一時の恥」をもじったもので、恥を忍んで他人に聞くということだけでなく、たとえ恥知らずと揶揄されようとも国民的な健康度を高めていくためには進んで聞きにいくことが必要だとの考えがあるからです。
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有酸素運動をするとアルツハイマー型認知症を引き起こすタンパク質であるアミロイドβが減ることが確認されています。この変化は、有酸素運動によって血管を新たに作る血管新生因子が脳内で増加して、血流が盛んになることによって起こると考えられています。
AMPキナーゼには細胞にあるインスリン受容体の感受性を高める作用があり、全身の細胞に存在しているものの、特に筋肉から多く分泌されています。有酸素運動をするとエネルギー源としてのブドウ糖の消費が増えることがあげられますが、それに加えてAMPキナーゼもあり、より血糖値が下がりやすくなるわけです。AMPキナーゼは有酸素運動を始めてすぐに増え始めるので、短い時間の有酸素運動でも効果があります。
これに対してt−PAは30分ほどの運動をすると分泌量が増えます。t−PAには血栓を溶かす作用があり、血栓は脳血管を詰まらせて脳血管疾患(脳梗塞、一過性脳虚血発作)の原因となることから、認知機能の維持には重要な因子となります。
軽度認知障害のリスクを高めることとして加齢に加えて脳卒中(隠れ脳梗塞を含む)、心疾患(心筋梗塞など)、糖尿病、脂質異常症(高中性脂肪血症、高LDLコレステロール血症、低HDLコレステロール血症)、高血圧、メタボリックシンドローム、肥満、甲状腺機能障害、頭部外傷、正常圧水頭症、喫煙歴、アルコール・薬物の影響、ビタミンB₁₂欠乏、過度のエストロゲン、テストステロン欠乏、不健康な食生活、ストレスや不安、うつ病、社会的孤立、そしてエクササイズの欠如があげられています。
エクササイズは一般には身体運動として認識されていますが、精神機能や脳機能の向上にも有効となっています。リスクが高い人は、そのリスク(マイナス要因)を減らすことと同時に、有酸素運動の時間を増やすことが重視されています。
健康食品成分の中には、食事で摂取した脂肪に関係するものが多くあります。脂肪が多く含まれたものを食べても、吸収されないようにしようというもので、そのために使われるのは脂肪分解抑制作用と脂肪吸収抑制作用がある素材です。
食品に含まれる脂肪は、中性脂肪という脂肪酸3個をグリセロール(油脂の構成成分)が結びつけた構造となっています。中性脂肪は胃から分泌される脂肪分解酵素のリパーゼによって一つずつの脂肪酸となって、小腸から吸収されます。中性脂肪が分解されなければ脂肪酸は吸収されなくなるので、その分解を抑えようというわけです。脂肪分解を抑制する素材は難消化性デキストリンです。
脂肪吸収抑制に使われる素材には脂肪を吸着する作用があるものが一つで、脂肪の結合を大きなサイズにして、小腸からの吸収を抑制するのはキチン・キトサンです。水溶性食物繊維には胃の中で水分を吸って粘度が高まり、胃の中にある成分を取り込んで吸着する作用があります。この作用は難消化性デキストリンにもあるのですが、中性脂肪を吸着する作用が強いものとしてはチアシードが知られています。チアシードの水溶性食物繊維は全体の34%もあり、水分を吸うと約14倍にも膨らみます。
このような脂肪分解と脂肪吸収を抑制する成分を摂れば、脂肪が含まれた食品を食べた割には脂肪の吸収量を減らすことができますが、それはすすめられる方法ではありません。望ましいのは、体内に取り込んだ脂肪酸を代謝によってエネルギー化させることで、細胞の中のミトコンドリアで作り出されたエネルギー物質は身体を動かすための重要なエネルギー源となります。エネルギー源はエネルギーとして使うことが重要であるとの認識から、どうしても脂肪の吸収を抑えなければならない人以外にはすすめていません。
学習障害の一つの書字障害は、文字を書いたり、文章を綴ったりすることに困難がある状態を指します。バランスの取れた文字を書くことに問題がある、書字に関して誤りが多い、動詞などがうまく使いこなせない、板書など書き写しの速度が極端に遅いもの、考えた内容で書字をすることが難しいものなどが含まれています。
識字(読字障害)があると書くことにも影響が出て、書字障害となることが多く見られます。読むことに困難はなくても文字の形を捉えること、形を正しく覚えておくことが困難で、書字の誤りにつながるという例が目立っています。
〔書字障害の例〕
*年相応の漢字を書くことができない
*書き順を間違える
*書き順を気にしない
*書き文字がマス目や行から大きくはみ出してしまう
*バランスのとれた文字を書くことが難しい
*アルファベットの綴りが困難
*文字を書くときに鏡文字を書く
*形態的に似た文字(“め”と“ぬ”、“わ”と“ね”)を書き間違える
*促音(っ)、撥音(ん)、二重母音(おかあさんの“かあ”)など特殊音節の誤りが多い
*“わ”と“は”、“お”と“を”にように耳で聞くと同じ音(おん)の表記に誤りが多い
*形態的に似た漢字(雷と雪)を書き間違える
*画数の多い漢字に誤りが多い
*漢字を使いたがらず、仮名で書くことが多い
*文字を書く際に余分な点や線を書いてしまう
*句読点などを忘れる
*文章を書くときに助詞などをうまく使いこなせない
*考えた内容を書いて表現することが難しい
*板書など書き写しの速度が極端に遅い
*早く書くと雑になる
新型コロナウイルス感染症を鬼に例えて、鬼退治をすれば、すべてよしとする考えでよいのかという検討をすべきタイミングだと認識しています。経営がうまくいかなかったのを、すべて鬼のせいにして、鬼がいなくなったら、つまり感染症が抑えられる状況になったら、元のとおりの生活が過ごせる、以前と同じ考え、手法で取り組めばよいということを、よく聞かされます。
コロナ禍を経験して、それで意識が変わらなかったのなら、元に戻ることも可能でしょう。しかし、意識は変わっていて、一部の先端を走る人に付き従っていればよいということでは生き残ることができない状況があります。
コロナ禍は被害を受けた人の感覚で、桃太郎の鬼退治に例えるなら退治された側の感覚です。コロナ禍で経済が動かなかったから景気が悪くなったと言われて、これからは消費に走ってもらおうという施策が実行されます。しかし、銀行はバブル期と変わらない収益となり、株価も上昇しています。「売れる→会社が儲かる→株価が上がる」というのが普通であるのに、全体的に売れないから儲かったという会社が出ています。
社員は給料が減ったとしても、お金を使いに外に出ていかない、リモート勤務で時間に余裕があるということで、まだまだコロナ禍(わざわいと言ってよいのか)が続いてほしい、注意喚起している第6波が起こってほしいと願っている人も少なからず存在しているのです。
これこそコロナが鬼だとしたら、「鬼の片棒」を担いでいるようなものです。
ここで急に発達障害のことを書きますが、発達障害者というのは発達障害があるうえに、社会的障壁の影響を受けている人のことを指しています。コロナ禍でいえば感染症という鬼の存在だけでなく、コロナ禍という社会的障壁を取り除かないままできた対策がよくないからコロナ被害者になっていると考えることができます。コロナ後の社会を考えるなら、感染症対策と同時に、もしも再び厳しい状態の感染症が蔓延したときにも被害を最小限に減らすための社会的障壁を取り除くための対策を今から始めるべきではないか、ということで「鬼の片棒」という言葉を使って述べてきました。
健康食品は、今では内容によって分類されていて、特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品があり、この3種類を合わせて保健機能食品と分類されています。保健機能食品は一部であっても成分の機能を表示することができます。といっても、消費者が期待する内容とは異なっていて、例えば栄養機能食品ではカルシウムが骨の強化によいという程度のことです。少なくとも、骨粗鬆症を予防する、改善するというような病気や身体の構造・機能に影響をするようなことを表示することはできません。
保健機能食品以外は、形状が医薬品に近いものであったとしても通常の健康食品と同じ扱いですが、それでも効果を期待させようという意図もあってか「機能性食品」という言葉も使われています。保健機能食品は届出や審査などを受ける必要があるのに対して、その中に含まれないものは食品として扱われます。単なる食品なのに「機能性」という文字が使われていることを指して、厚生労働省のお役人に「“う”の字はいらない」と言われたことがあります。
「きのうせい」の“う”がないと「きのせい」となり、漢字に直すと「気のせい」となります。ということで、お役人が言いたかったのは、機能性がある食品ではなくて、効果があったように感じるのは「気のせい」というレベルだということです。
健康食品や機能性食品と呼ばれるものの中には、形こそ医薬品に似ているものの、効果が感じられないものもあります。身体に影響を与えるような量が含まれていないということですが、そもそも健康食品などを規制する法律(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)には、身体の構造と機能に影響を及ぼすことを目的としたものは医薬品だと定義されています。
効果があってはいけないと定められていますが、それでも消費者に身体によいことを感じてもらおうと、研究・開発に励んでいる製造・販売会社があるのも事実です。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)
ウォーキングを始めて10〜15分はブドウ糖の代謝が先に盛んになり、その後は脂肪酸の代謝が盛んになるということが、エネルギー代謝の特性として一般に伝えられています。その理由としてあげられているのが、脂肪細胞に蓄積された中性脂肪が分解されるまでに、これくらいの時間がかかるからです。運動を始めて、興奮作用があるアドレナリンが放出されると脂肪細胞の中の中性脂肪の分解が始まります。
アドレナリンの放出を早める方法として使われるのが、カフェインが含まれたお茶をウォーキングの30分ほど前に飲んでおくことです。カフェインによってアドレナリンが放出されて、脂肪細胞から中性脂肪が分解された脂肪酸が血液中に出てくるのに、30分ほどの時間がかかるからです。カフェインが多く含まれるのは、緑茶やコーヒーで、烏龍茶は少なめで、ほうじ茶にはあまり含まれてはいません。
緑茶を材料としたトクホ(特定保健用食品)や機能性表示食品には、脂肪酸への分解を進めるものがあり、これを飲むことでも同じような効果が得られます。中には脂肪酸の代謝を高めるものもあるので、こちらはウォーキングの脂肪代謝の効果を高めてくれます。
また、中性脂肪は筋肉の中で脂肪酸に分解されるまでに10〜15分はかかります。筋肉の中には脂肪分解酵素のリパーゼがあって、リパーゼは筋肉が温まると活性が高まっていきます。歩き始めてから筋肉が温まり、リパーゼの活性が高まるのに、10分以上の時間がかかっています。そこで筋肉を温めてから運動をするように準備運動を入念に行うこと、筋肉が温まりにくい寒い季節には厚着をすることもすすめられます。
ウォーキングの効果を高めるための方法は、これまでも紹介してきていて、これからも紹介していきますが、事前の準備も効果を高めるためには有効になるということで、両方を実践することを伝えさせてもらっています。
文部科学省の「食に関する指導の手引」では教科ごとの食に関する指導を各論として掲載しています。ここでは体育、保健体育の小学校の食に関連する内容を前回に続いて紹介します。
〔主な学習内容・活動〕
*体を発育・発達させるための食事について調べ、発表する。
〔指導上の留意点〕
*献立表や、「元気な体に必要な食事」などの資料から、成長期に必要な食品を選択し、なぜ必要かをわかりやすく友達に説明できるようにする。
〔主な学習内容・活動〕
*体を発育・発達させるための運動、休養および睡眠について話し合う。
〔指導上の留意点〕
*体をよりよく発育・発達させるための生活の仕方には、調和のとれた食事、適切な運動、休養および睡眠が必要であることをワークシートに書く。書いたものをもとにグループで話し合うようにする。
*体をよりよく発育・発達させるための生活について、活発に話し合いが行われるよう適宜指導する。
〔主な学習内容・活動〕
*自分の生活を振り返り、適切な運動、調和のとれた食事、休養および睡眠が必要であることが実践できているかを確認する。
*本時の学習のまとめをする。
〔指導上の留意点〕
*ワークシートを基に、運動と食事、休養および睡眠の関係について気づくようにし、今後の生活に生かすように促す。
*学習したことが自分に当てはめるとどうなのかを確認させ、今後のめあてをもつ。
すべてを鬼のせいにされたら、鬼が可哀想になるような結果、ということを前回は書きました。鬼のせいにするのは平安時代からあったことで、平安という用語が使われていても、鬼を登場させないと仕方がないような不安が渦巻く時代でした。
鬼の語源は隠(おぬ)で、元来は姿が見えないもの、この世に存在しないものを意味しています。そこから転じて人の力を超えたものの意味となり、人に災いをもたらすものという意味が定着しました。一般にイメージされる鬼の姿は、見えないものの本性を絵にしただけのもので、実際には人の心の中に存在している、まさに見ることができないものです。
人の力を超えた存在というと、スーパー経営者がイメージされることがあります。国民全体の頑張りを期待する時代から、一部の優れた人が引っ張り、それに多くの人が付き従っていくという時代に変化していきました。そのアイデアと行動力が通じている時代はよかったのですが、コロナ禍のように災害レベルの出来事があると、これまでの意識を変えなければ生き残れないような状況になっています。
このコラムは岡山で書いています。岡山といえば、地元が意識する意識しないに関わらず、桃太郎のイメージがあります。実際に桃太郎のモデルが実在したのかは別として、桃太郎といえば鬼退治が有名です。桃太郎のモデルとされる吉備津彦は古事記、日本書紀に登場する第7代孝霊天皇の皇子で、西道(今でいう山陽道)に派遣され、鬼と称される温羅(うら)と戦って成敗したと伝えられています。これが時代を経て、世間で知られる絵本の世界の鬼退治に変化しています。
鬼退治というのは支配した側の理屈であって、岡山の吉備地方を治めていた温羅にしてみれば吉備津彦は征服者です。征服した吉備津神社に神様として祀られているのに対して、温羅は犬に喰われて、今は吉備津神社の釜の下に首が埋められて、鳴釜神事の吉凶を占うだけの存在になっています。
鬼は退治されるだけの存在なのか、退治をしてしまえば、それで元のとおりに戻っていてよいのか、という今後の意識については次回に続きます。
脳細胞に取り込まれたブドウ糖は、細胞内でエネルギーを作り出す小器官のミトコンドリアに取り込まれます。ブドウ糖はエネルギー源であって、これを材料にしてミトコンドリアの中でエネルギーを作り出す必要があります。そのために必要なのが、ブドウ糖をミトコンドリアに取り込むと同時にミトコンドリアの中での代謝を高める働きがあるαリポ酸です。α‐リポ酸は体内で合成されるものの、20歳をピークに合成量が減り続けます。合成量の不足が年齢を重ねるにつれて代謝が低下していく原因となっています。そのαリポ酸が不足した状態では、ブドウ糖のエネルギー代謝が充分に行われなくなり、これが脳細胞のエネルギー不足にもつながっていきます。
ミトコンドリアの中で起こるエネルギー代謝には酸素が必要で、多くの酸素を取り込む運動は脳細胞の働きの維持と向上に重要な要素となります。
日本神経学会から『認知症疾患治療ガイドライン』が発表されていますが、認知症の予防効果があることとしてウォーキング、サイクリング、階段の上り下りなどの有酸素運動があげられています。
運動をすることによって、生理活性物質が増えることが確認されています。運動をすることによって増える生理活性物質としては、ホルモン(副腎皮質刺激ホルモン、成長ホルモン、テストステロン、エンドルフィン)、神経伝達物質(アセチルコリン、ドーパミン、トリプトファン)、神経栄養因子(BDNF)、酵素(AMPキナーゼ、KAT)、生理活性物質(t−PA)、血管新生因子(VEGF)が知られています。これらの物質は運動時に安静時の1.2〜1.5倍も増えていて、脳内でも同様に増えていると考えられています。
アセチルコリンには脳で記憶を司る海馬の神経細胞新生促進があり、神経細胞が増えることによって記憶力を改善させる作用があります。神経栄養因子のBDNFにも同様の作用が認められています。ドーパミンは意欲や活力を向上させる脳内ホルモンで、アミノ酸のトリプトファンには神経伝達物質のセロトニンを増やす作用がありますが、セロトニンは抗うつ作用があることから抑うつ状態を改善させる作用があります。





