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エネルギー源の糖質、脂質、たんぱく質のうち、主にエネルギー代謝に活かしたいのは糖質と脂質です。たんぱく質は身体を構成する重要な成分であり、酵素やホルモン、生理活性物質などの原料であることから、エネルギーとして消費されないことが求められます。しかし、糖質と脂質が不足している状態では、たんぱく質が分解されてアミノ酸となり、エネルギー源として使われるようになります。

このような話を聞くと、糖質と脂質が不足しなければ、たんぱく質がエネルギー源になることはないように思われるところですが、食事の摂取タイミングによっては、たんぱく質がエネルギーとして使われることになります。そのタイミングというのは、夕食から朝食までの間のことで、夕食で糖質と脂質が不足していると、たんぱく質が分解されて、アミノ酸になって、エネルギー化されてしまいます。

糖質制限のブームのために夕食で糖質の摂取が少ない人が目立って増えています。夕食で摂取した糖質は、自律神経の副交感神経によって多く分泌されるインスリンの作用で、肝臓で脂肪酸に合成されるようになります。その作用があることから、夕食での糖質制限が推奨されるのです。

夕食での糖質と脂質が不足していると、アミノ酸がエネルギー化されるために、筋肉を構成するたんぱく質が分解されます。就寝前に計測した体重に比べて、起床直後に測定した体重が800〜1000g減少していると、たんぱく質が減少した結果だと考えられます。これを補うためには、朝食で不足しているたんぱく質を補うことが必要になります。

たんぱく源としては、牛乳、卵、ハム、魚、大豆・大豆製品(納豆、豆腐、味噌、豆乳など)が必要となります。標準的な朝食の和食でも洋食でも、たんぱく質を補うことができる内容となっています。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)

国立長寿医療研究センターが、多価不飽和脂肪酸のDHA(ドコサヘキサエン酸)、EPA(エイコサペンタエン酸)、ARA(アラキドン酸)の摂取量が多いと認知機能に関わる側頭皮質や前頭皮質などの局所脳体積の減少が抑制される可能性を発表しました。

この調査研究は、愛知県大府市・東浦町の地域住民から性・年代別に無作為に選出された40歳以上の中高年者を対象に、医学・心理・運動・身体組成・栄養など多角的な観点から老化・老年病予防策を検討する大規模コホート研究となっています。

魚、卵、肉などから日常的に摂取されるDHA、EPA、ARAは脳のリン脂質の主要な構成成分で、加齢によって脳内の量が減少することが知られています。これらの成分を高齢者が補うことで注意、作業記憶などの認知機能が維持されるとの報告があります。

今回の調査研究に参加したのは認知症の既往や認知機能障害の疑いがなくて、頭部MRI測定などの解析をした60〜89歳の男女810人で、DHA、EPA、ARAを摂取した2年間の局所脳体積の変化量が解析されました。

その結果、ARAの摂取量が多いと前頭皮質の体積変化量の減少が小さく、認知機能低下のリスクも低いことが明らかになりました。DHAとEPAの摂取が少ない集団で、DHAとEPAの摂取が多くなった場合には、側頭皮質の体積変化量の減少が小さいという結果になりました。

日本人は魚介類の摂取量が多いことから、DHA、EPA、ARAの摂取による認知機能の好結果が出にくい国民だと考えられてきていました。しかし、ARAについては魚介類の摂取量に関係なく好結果が得られ、DHAとEPAは調査対象の摂取量に制限があったといっても多く摂取することで好結果が得られています。

農林水産省の食料需給表によると、魚介類の摂取量は1人1年あたりの消費量は2001年の40.2kgから2017年には24.4kgに大きく減少しています。今の日本人は、DHA、EPA、ARAの効果が出やすい食生活になっているということがいえます。

認知症というと記憶力が低下することと考えられがちですが、記憶力にはあまり変化がなくて、判断能力としての認知が低下することがあります。これが新たな問題とされていて、“隠れ認知症”とも呼ばれています。これは認知症の予備群とされる軽度認知障害とは異なるものです。

軽度認知障害は、認知症を判断するテストによって、認知症と診断される状態ではないもの、認知機能が低下している状態を指しています。認知症との違いは、日常生活への影響がないところで、少し記憶力が低下してきた、年相応と見られることから、テストをしないと判定することができません。

このまま認知機能の低下が進むと認知症になる可能性が高いものの、そのままの状態で止まる人もいれば、正常な範囲に戻ることも可能とされています。

軽度認知障害の発現率は13%と推定されていて、認知症予備群は400万人はいると推計されています。この400万人すべてが軽度認知障害ではなくて、このうち250万人は隠れ認知症と推測されています。

2015年には認知症患者が460万人で、「2025年に認知症患者が700万人に達する」と言われて国をあげて対策が取られてきました。わずか10年で1.5倍以上になるとして危機感が煽られてきたものの、あと3年に迫っても、まだ解決策は見えてきません。

明らかな認知症だけでなく、隠れ認知症も含めた認知症予備群を加えると1000万人を超える状況が目の前にきているだけに、何もしないで“座して死を待つ”ようなことであってはいけないはずです。

まだ自分の努力で改善できる軽度認知障害から元の健康な状態になれるように、できることから軽度認知障害にもならないようにすることを願っています。

他人との交流は、認知機能の向上に役立つということは以前から言われてきたことです。ただ交流する機会を増やすだけでなくて、認知機能を高める効果は明らかになっていることに臨みたいというのは、残された時間が、そう長くはないと感じている人が強く望んでいることです。

その方法の一つとして考えたいのは“笑い”の効果です。その例として取り上げるのは東北大学の研究グループによる研究成果で、この研究では介護を受けていない高齢者1万2571人を6年間にわたって追跡調査しています。笑いが起こる状況と、その後の会議の必要性との関連について分析していて、追跡期間中に1420人(11.3%)が新規に要介護認定を受けています。

追跡の結果、夫婦や子ども、孫、友人と接しているときなど他の人と交流しているときに笑う人は、テレビや芝居などの演芸などを見て1人でいるときだけ笑う人に比べて、要介護認定されるリスクが23%低くなるという結果が得られています。

中でもよい結果が現れたのは、友人と一緒に笑うことで、1人でいるときにだけ笑う人と比べると、要介護認定されるリスクが30%も低くなっていました。

笑うことは精神面だけでなくて、腹部に力を入れて息を短く吐く腹式呼吸を繰り返しています。「腹がよじれるほど笑う」という表現があります。「腹の皮がよじれる」というのが正しい表現だという考えもあるのですが、実際によじれるかどうかは別にして、腹筋が激しく動くのは事実で、その分だけ体内に取り込まれる酸素も増えていきます。

1回あたりの換気空気量は胸式呼吸では500mlほどですが、腹式呼吸では2000mlにもなるといいます。くすくすと笑うのではなくて、大声で笑うことは、まず体内の二酸化炭素が排出されて、その出た分に合わせるように酸素が体内に取り込まれます。全身を使うような笑いこそが酸素を取り入れ、これを使って有酸素運動のように多くのエネルギーを作り出すことができるようになります。

大きく呼吸をすることで肺からは生理活性物質のプロスタグランジンが分泌されます。プロスタグランジンには血管拡張作用があります。こういったことも加わって、血流が盛んになって、認知機能を向上させることが期待されているのです。

睡眠は身体の疲労回復だけでなくて、脳の疲労回復にも重要なことです。ただ寝ている時間が長いというだけではなくて、睡眠の質がよくないと脳の疲労も回復しにくくなります。脳の疲労というと精神的な疲れ、うつ症状などが想像されるところですが、認知症の原因物質とされているアミロイドβというタンパク質が脳内に蓄積されやすくなることが知られています。

アミロイドβは脳内で発生しても眠っている間に老廃物として排出されます。すべてが排出されるわけではなくて、徐々に蓄積されていくので、年齢を重ねると認知症が発症しやすくなると考えられています。それだけでなく、高齢になると自律神経の副交感神経の働きが低下して、交感神経の働き過ぎを抑えにくくなることから、熟睡しにくくなり、これが脳の疲労を高めることにもなります。

これに加えて、高齢になると睡眠ホルモンのメラトニンの分泌量が減ることもあげられます。メラトニンの分泌のピークは10代で、睡眠の質が木になる40代では6分の1ほどになり、高齢者では10分の1にも減ってしまいます。

その結果として、睡眠時間が短い、睡眠の質が低下して熟睡できないということも、アミロイドβの排出を遅らせて、蓄積を進めていくようになります。このこともあって、睡眠はアルツハイマー型の認知症のリスクを高めるとされているのです。

睡眠に関する調査は、さまざまな機関で行われていますが、厚生労働省の「健康実態調査結果の報告」(2021年)によると、40歳以上の約9割が「寝付きに時間がかかった」「夜間、睡眠途中に目が覚めて困った」「早く目が覚め、それ以上眠れなかった」といった睡眠に関わる不満を持っていることが発表されています。

歯周病があると、充分に噛めなくなり、栄養摂取にも影響が出ることから、生活習慣病にも寿命にも、そして認知機能にも影響を与えることになります。

厚生労働省が掲げる“8020運動”は、80歳になっても20本の歯を残すことを目指していますが、これは栄養摂取の問題だけでなくて、噛むことの健康効果、好きなものを食べるために外出できることが健康度を高めるということもあり、認知機能の低下を防ぐことができると報告されています。

海外のデータですが、台湾の50歳以上の歯周病患者9291人と健康な(歯周病がない)1万8672人の10年間の追跡調査を実施しています。その結果、慢性歯周炎のある人は、ない人に比べてアルツハイマー病の発症リスクが1.7倍にもなっていたということです。

アルツハイマー病で死亡した患者の脳組織からは歯周病菌(ジンジバリス菌)が検出されたのに対して、正常な人の脳組織からは検出されなかったという報告もされています。ジンジバリス菌はジンジパインという酵素を発生させますが、その酵素の量が多いほどアルツハイマー病に見られるタウタンパク質(脳に蓄積して神経細胞を死滅させるタンパク質)が多くなっていたといいます。

歯周病は糖尿病との関係も明らかにされています。歯周病が糖尿病を悪化させ、糖尿病が歯周病を悪化させるということですが、糖尿病患者と糖尿病予備群を合わせると国民の5人に1人が該当するという時代だけに、これは脳の健康寿命を延ばすためには重要な情報です。

次に国内での報告ですが、糖尿病患者が歯周病の治療をした結果、炎症の指数が減少して、ヘモグロビンA1c値が低下していたと報告されています。ヘモグロビンA1c値は過去1〜2か月の血糖値の状態を示す検査結果です。

「糖尿病治療ガイドライン2019(日本糖尿病学会)では、2型糖尿病の患者への歯周病治療が推奨レベルAとなっています。糖尿病の合併症といえば、網膜症、腎症、神経障害、足病変、動脈硬化性疾患が五大合併症とされていますが、歯周病は今や第六の合併症と呼ばれるようになっているのです。

健康法については、メディアで嫌というほど流されています。その多くは医師が実践や知識を基にしてコメントをしていますが、どの医師の言うことを聞けばよいのかを迷うことがあります。できれば長生きで、認知機能もしっかりとしている医師の健康法を知りたいと願うところですが、願いどおりにいかないのが現実です。

医師が長生きでないのが一つ目の理由です。医師の平均寿命については、以前には65歳と言われたことがあります。65歳といえば今や定年退職の年齢です。定年退職が60歳の会社であっても、定年延長や再雇用で65歳どころか70歳まで仕事ができる時代が近づいてきました。

全国的な統計は最近はないのですが、岐阜県保険医協会の報告を見ると、2008〜2017年の間に死亡退会した医師の平均死亡年齢は70.8歳となっていました。日本人全体の平均寿命が男性で81歳を超え、健康寿命も72.68歳となっています。

この統計は2019年(令和元年)のもので、その当時の男性の平均寿命が81.41歳であったので、8.73年の差にもなっています。
少なくとも健康寿命の72歳は超えてほしいとのことですが、それにも達していないことになります。岐阜県保険医協会の報告では、年代別では60代で死亡した医師が3割強と最も多く、以前の65歳寿命説も間違いではないような状況です。

それでも70歳まで認知機能がしっかりしてくれていればよいのですが、さすがに、そのような調査は商売に関わることもあって実施されていません。

先ほどの報告書には、医師の生活習慣病についても書かれていて、7割ほどが糖尿病、高血圧症、脂質異常症などがあるとのことです。これらの生活習慣病は認知症のリスクを高めることから、多くの医師が改善をすすめています。

このような結果を知ったら、「長生きしない人の言うことが聞けるか」「自分の生活習慣病も治せない人の言うことが聞けるか」という患者が出てきても仕方がないことです。

肝臓で合成されるコレステロールが増えると、それを全身に運ぶ役割をするLDLが増えてLDLコレステロール値が高くなります。LDLコレステロール値が高い状態が長く継続すると、動脈硬化が進み、血管が硬くなり、狭くなっていきます。

しかし、血管径が約75%狭窄するまでは、そこを流れる血液の量は大きくは変わらず、ほとんど変化もありません。そのため自覚症状が現れにくく、生活習慣を改めることなく過ごしてしまう人も少なくありません。このことが動脈硬化を甘く見て、命を危うくする要因となっています。

胸の痛みや階段の昇り降りでの激しい息切れ、頭痛、めまいなどの動脈硬化の自覚症状が出たときには、血管は75%以上が詰まった状態にまで進行している状態とみることができます。そして、心臓の冠状動脈で動脈硬化が進行すると狭心症、心筋梗塞など、脳動脈の硬化では脳梗塞などになります。

動脈硬化の危険因子(リスクファクター)には、高LDLコレステロール血症、低HDLコレステロール血症のほかに、高血圧や糖尿病、肥満、運動不足、喫煙、ストレスなどがあげられます。これらの疾患や喫煙は動脈の内側の壁を傷つけ、コレステロールの血管壁への侵入がより促進されます。これらの危険因子が当てはまる人は、通常よりもLDLコレステロール値のコントロールが必要であり、これらの危険因子を減らすことが大切となってきます。

また、加齢(男性は45歳以上、女性は55歳以上)、冠動脈疾患の家族歴も危険因子となっています。これらは自分では避けられない危険因子であり、だから自分で避けられる危険因子を減らすようにすることが大切となります。

筋繊維(筋肉細胞)は、白い色をした白筋(速筋)と赤い色をした赤筋(遅筋)に大きく分けられます。
筋肉を増やすためには、白い色をした白筋(速筋)を刺激するほうが効果的とされています。筋肉は基礎代謝の30〜35%を使っています。筋肉量が多い人では38%ほどにも高まります。基礎代謝は生命維持のために必要なエネルー代謝のことで、1日の消費エネルギー量の約70%を占めています。そのうちの30〜35%なので、全体の割合としては21〜24%ほどとなっています。

筋肉量が多いほど多くのエネルギーを使うので、やせることが目的のダイエットでは筋肉を増やすべきだと言われますが、白筋が主にエネルギー源としているのはブドウ糖です。ブドウ糖は、すぐにエネルギー代謝されやすく、筋トレのような無酸素運動でもブドウ糖を使ってエネルギーを作り出すことができます。

これに対して赤筋が主にエネルギー源としているのは脂肪酸です。やせることが目的のダイエットでターゲットになるのは脂肪細胞の中に蓄積されている中性脂肪で、これが分解されると脂肪酸になり、その多くが赤筋の中でエネルギー化のために使われています。体脂肪を減らすための運動なら、酸素を多く取り込む有酸素運動が有効となります。

白筋は主に糖質を代謝させて強い力を短時間のうちに発揮させる筋肉であるので、筋肉に強い負荷がかかる運動をすることによって筋繊維を肥大させていくことができます。

白筋を刺激して筋繊維を肥大させるためには、「高負荷×低回数」が有効で、重いダンベルを使った筋肉トレーニングやスクワット(激しい上下動)などの運動が、これに当たります。

赤筋を刺激するには、「低負荷×高回数」の運動が有効で、ウォーキングやジョギング、身体に無理がかからない適度の筋肉運動などがあげられます。白筋を鍛えるための強度としては最大反復回数の70%ほどがよくて、15回以上行うのが目安となります。赤筋を鍛えるための強度ですが、こちらは最大反復回数の30〜50%くらいが通常です。60%を越えると無酸素運動の領域になるので、50%ほどの強度で長く続けることがすすめられます。

筋肉がブドウ糖や脂肪酸や脂質をエネルギーとして代謝させる筋代謝力は、持久系の運動と同じように「低負荷×高回数」の運動によって高めることができます。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)

アメリカに訪問販売会社の団体の講師として、日本人の体質と食品表示の法律について話に行ったときのこと、日本の医療制度についての質問がありました。日本人にとっては当たり前の制度のように思われても、アメリカは国民皆保険ではなくて、医療費計算の根本が違っているので、日本の医療制度が奇妙に思えているようでした。

日本の医療制度は“出来高払い”です。検査、診察、手術、入院、医薬品まで、かかった費用が医療費となり、このうち保険と対象によって支払う割合が違っています。検査が多くなるほど、手術も多く、医薬品も多く、入院日数が長くなるほど多く支払わなければなりません。これに対してアメリカでは、州によって若干の違いはあるものの、病気の種類と程度、治療法によって金額を定めたマニュアルがあります。

検査と診察によって、病名と治療法を示して、「この病院では○ドルで治療する」ということが告げられます。支払い金額は、そのときに示された金額だけという“定額払い”となっています。病院とすれば、もらえる金額が一定なので、できるだけ金がかからない方法を選択することになります。

できるだけ医薬品を使わず、入院日数を短くするのが“よい医師”です。それに比べると出来高払いでは、無駄なことが許される環境にもなり、薬も多く、入院日数も長くするのが“よい医師” ということになります。

このことを伝えるために、「日本では金曜入院、月曜退院という慣例がある」という話をしました。会場からは感嘆の声があがったのですが、金曜日に入院して治療は月曜日から、金曜日に治療が終わっているのに主治医の診察を受けて退院が許可されるのが月曜日なので、6日間の無駄がある」という真実を伝えました。これに対して、「Crazy!」との声もあがったのも当然の反応です。

というのは、アメリカの平均入院日数は、その当時は5.8日で、それよりも長く無駄に病院にいなければならないのが日本の医療制度の常識だということがわかったからです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)