食事と入浴のタイミングによって体脂肪コントロールする方法は、スポーツ選手の体重コントロールの指導チームに呼ばれたときに偶然のように生まれたものです。随分以前の話ですが、これから女子のレスリングがオリンピックに採用され、階級が少ないために大幅な体重減、もしくは大幅な体重増をしないといけない選手がいるので、それに対して体調を維持したまま理想の体重を実現する方法の研究でした。
そのときのオファーが、同じ体脂肪率の選手について、同じ食事量、同じ運動量で一方の選手は体重を減らし(体脂肪減)、もう一方の選手は体重を増やす(体脂肪は増やさずに筋肉を増やす)ということで、これまでの食事と運動の指導では通用しないとの思いもあって、複数の門外漢も呼ばれました。その中に、栄養の専門家と運動の専門家の両方の推薦を受けた私もいました。
食事で摂ったエネルギー源(糖質、脂質)の吸収を減らし、脂肪合成されて脂肪細胞に中性脂肪が多く蓄積されないようにするためには、消化・吸収のタイミングで運動をして自律神経の交感神経の働きを盛んにすることが実施されていました。食事前に筋肉運動をして交感神経に切り替える、食後にも筋肉運動をして交感神経の働きを維持するという方法でしたが、食事の直前、直後の筋肉運動は実施する選手も大変だし、胃腸の状態にもよくないということで他の方法が検討されていました。
栄養の専門家も運動の専門家も、それぞれの立場での提案をしていましたが、私は専門外ということで入浴による自律神経のコントロールを提案しました。思いつきではあったのですが、試しにやってみたところ、42℃以上の熱めのお湯での入浴で交感神経の働きを盛んにしたあとの食事で胃液とインスリンの分泌量が減り、中性脂肪の蓄積も減らすことができました。
入浴温度を38〜39℃にすると副交感神経の働きが盛んになり、胃液もインスリンも分泌量が増えて、脂肪合成が進むことがわかり、これによって入浴の温度の切り替えで脂肪の蓄積が調整できることがわかりました。
食後の入浴では、交感神経の働きを調整することはできても消化によくないし、胃腸に負担がかかるということで、42℃以上の熱めの温度のシャワーを短時間浴びるという方法に落ち着いています。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)
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食事と運動のどちらを先にするのかによって、同じ食事量、同じ運動量であっても体脂肪の蓄積が異なることは、当時の筑波大学の鈴木正成教授によって学会発表されていました。鈴木先生との出会いはスポーツ選手の体重コントロールの指導チームで、私は病院栄養管理研究所の主任研究員として参加しました。あくまで鈴木理論の栄養摂取の中身を検討する立場であったので、食事と運動のタイミングについては学ぶ一方でした。
病院栄養管理研究所での研究内容は患者に対する臨床栄養であったので、それぞれの人に合わせて摂取エネルギー量を調整する(主に減らす)ことが中心でした。スポーツ選手の場合は、減らすのではなく、エネルギー源の糖質と脂質が含まれた食品を多く食べてもらい、身体を動かすことによって多くのエネルギーを発生させることが中心でした。
この発生したエネルギーは身体を動かすだけでなく、神経伝達にも脳の機能にも、内臓の機能にも使ってもらうということで、健康の基盤になるエネルギーを多く作り出すための方法としてタイミングダイエットの手法が考え出されました。
ここでは簡単に説明しますが、空腹時に運動をすると血液中のブドウ糖が不足するために筋肉の中のグリコーゲンが分解されてブドウ糖が血液中に放出されます。そのあとに食事をすると肝臓で合成されるグリコーゲンが増えて、その分だけブドウ糖が減ります。ブドウ糖の濃度に応じて膵臓から分泌されるインスリンが減り、インスリンによって肝臓で合成される脂肪酸が減ることから、脂肪細胞に蓄積される中性脂肪が減って、体脂肪が減らせるというメカニズムです。
食事をしてから運動をすると、脂肪合成がされたあとに運動をするので、脂肪細胞に蓄積された脂肪を大きく減らすことはなく、筋肉に蓄積されるグリコーゲンを増やすことができます。
この研究成果を、メディカルダイエットの中心にするために、もっと学びたかったのですが、鈴木先生がメディアで有名になったダンベルダイエットに力を注いだことから、あまり研究が進まなくなりました。そこで臨床栄養で関わっていた医学と運動で有名な私立大学のスポーツ医学研究センターとの連携で、独自に食事と運動のタイミングによる体脂肪コントロールを研究して、これがスポーツ選手や若者だけでなく、高齢者や生活習慣病の患者にも使える方法であることがわかりました。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)
資格認定講習の仕組みづくり、講習テキスト作成、講師といった講習に必要な仕事は、特定非営利活動法人日本メディカルダイエット支援機構となってからも続けてきましたが、あくまで実施団体のサポートでした。資格認定制度の構築だけを依頼されることもありました。教育と情報発信は公益活動として収益を得ることが特定非営利活動法人認められても、自主的な資格認定を始めるまでには、もう少し時間がかかりました。
というのは、得意分野の栄養やサプリメントだけでは、メディカルダイエットの看板を掲げることに内容的な不足を感じていたからです。運動科学の研究者との付き合いは、日本健康スポーツ連盟の理事となる前からあり、ウォーキングや筋肉トレーニングの研究をしてきても、これにも不足を感じていました。
そんなときにたどり着いたのがエネルギー代謝の研究でした。臨床栄養の世界では肥満症、糖尿病、脂質異常症(高中性脂肪血症、高LDL血症)への対応はエネルギーコントロール食と呼ばれていて、食事によるエネルギー量を減らすことが中心になっています。これに対して運動科学によるエネルギーコントロールは、食事によって摂ったエネルギー源(糖質、脂質)を運動によってエネルギー代謝を進めることが中心となっています。
食事量を減らし、運動量を増やせば効果的に体脂肪を減らせるということですが、食事を減らしても運動を増やしても効果が表れにくい人は数多くいます。これは食事と運動の量の問題だけではなく、食事と運動の、どちらを先にするかのタイミングによってエネルギー代謝の活性化が異なることが関係しています。その科学的研究の成果を実際に体脂肪コントロールに活用することができることがわかり、さらに運動と入浴、食事と入浴のタイミングによってもエネルギー代謝が異なることがわかりました。
この内容ならメディカルダイエットの考えと合致します。また、タイミングコントロールの手法を伝えて実践してもらうためには、知識を与えるだけでなく、情報も継続的に発信していくことが重要であるとの思いから、会員のフォローをし続ける資格認定方式での実施をしていくことを決意しました。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)
内閣府に特定非営利活動法人の認証の申請では、公益100%の活動で日本メディカルダイエット支援機構の名称で活動できることになりましたが、公益活動だけとなると会費と寄付金などしか収入がなくなります。そこで、公益活動の範囲で収益を得てよい範囲について交渉をさせてもらいました。
公益活動としては教育と情報発信を事業内容として提出していたので、教育と情報発信だけは公益活動として認められました。教育ができるなら、資格認定もできるということで講習テキスト以外にサブテキストを販売することについて相談したら、それは収益事業になるのでできない、という厳しさもあります。
資格認定は社会人になってから日本厨房工業会の厨房設備士、調理技術技能センターの専門調理師の給食用特殊料理、中央労働災害防止協会の産業栄養指導者、日本臨床栄養協会のサプリメントアドバイザー、国立健康・栄養研究所のNR(栄養情報担当者)と、制度構築や講習などに関わってきたことから、教育は得意分野の一つでした。
また、情報発信は、資格認定者への情報発信のほかに、日本厨房工業会の「月刊厨房」、日本臨床栄養協会の「New Diet Therapy」、日本病院調理師協会の「病院調理」、産業栄養指導者会の「産業栄養」、日本健康倶楽部の「健康日本」と経験してきて、これも得意分野としています。
公益100%であっても得意分野が活かせて、教育と情報発信で収益を得ることができるということで、日本メディカルダイエット支援機構の名称を得ることを優先させました。
これに関する収益については、話が持ち込まれたときに会員や関連団体に振って、日本メディカルダイエット支援機構としては、これに関わる広報活動などが発生したときにだけ関わるというスタンスで14年間進めてきました。この公益活動も、2022年の4月からは15年目に入ります。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)
内閣府に特定非営利活動法人(NPO法人)の認証を申請したときに、すんなりと通過しなかったのは“メディカルダイエット”の名称に原因がありました。当時の内閣府には厚生労働省から出向した審議官がいて、たまたま特定非営利活動法人を管轄するNPO室も担当の範囲であったこともあり、さらに審議官は以前からの知り合いだったこともあって、個人的に連絡をもらいました。
そのときに聞いたのは、メディカルダイエットという名称と、提出した事業活動の内容でした。特定非営利活動法人の事業は、特定非営利活動の事業と、特定非営利活動以外の事業に分けられています。特定非営利活動は公益活動のことで、特定非営利活動以外の事業は収益事業です。NPOはNon Profit Organizationの略で、そのまま訳すと収益を得ない団体ということになります。
特定非営利活動の目的と合っていれば収益事業をしてもよいのですが、メディカルダイエットという名称を用いて収益事業をすると勘違いされることがあります。メディカルダイエット印(マーク)の運動器具やサプリメントを販売されると、効能効果を述べているのと同じになるのではないか、という懸念を抱かれていることがわかりました。
私は厚生労働省に関わる仕事をしてきていて、「保健機能食品等に係るアドバイザリースタッフの養成に関する基本的考えについて」という通知にも関わっていました。その流れで、日本臨床栄養協会が通知に基づいてサプリメントアドバイザーの資格認定を始めるときに、同協会の副会長が所長の病院栄養管理研究所の主任研究員であることから養成講習の支援もしていました。また、国立健康・栄養研究所が通知に基づいてNR(栄養情報担当者)の認定を始めたときには法律講師をしていました。
そんな関係から、健康食品やサプリメントを販売する会社の規制にも関わっていたことから、私のことを心配する気持ちもあっての話であることもわかりました。そこで、収益事業を外して、公益活動100%で申請を出し直し、日本メディカルダイエット支援機構は特定非営利活動法人となりました。
ただ、収益活動なしでは、公益活動もできないということで、公益活動であっても収益を得ることができるように相談をしました。その交渉の内容と結果については、次回に説明させてもらいます。このことが私たちの資格認定講習につながっていきます。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)
日本メディカルダイエット支援機構の活動は、その名のとおり、メディカルダイエットの支援です。自らがメディカルダイエットを実施するというよりも、メディカルダイエットに関わる活動をする団体や個人を支援することが目的で設立されました。いくらメディカルダイエットの研究をして、その成果を講習や情報として発信しても、それを活用する人たちに的確に届かなければ目的を果たすことはできません。
その活動のために、特定非営利活動法人(NPO法人)の法人格を得るために、内閣府に認証を求めました。今では全国規模の活動をする団体も都道府県内の活動だけの団体も、都道府県の所管となっていますが、私たちが認証申請をしたときには、所管は内閣府でした。
申請をすれば、あとは認証されるのを待つだけ、もしくは書類に不備がある場合には修正して提出するだけというのが通常のことでしたが、内閣府の担当部署(NPO室)から呼び出しを受けました。用件は団体名のことでした。
役員に医学者がいないのに日本メディカルダイエット支援機構と名乗る理由が聞かれました。役員は運営者であって、会員には薬学博士、病院の管理栄養士、運動科学の研究者などもいて、医学的なダイエットの活動に問題はないと考えていました。また、自分たちが医療行為をするわけではなくて、広く医学・医療に関わる団体の活動支援のために情報提供をすることが第一の活動として“支援機構”と名づけていたので、これも問題はないとの認識でした。
しかし、内閣府の担当は、メディカルは医療を指す言葉で、それを名乗ることに難色を示して、認証のためには名称の変更を持ちかけられました。(実際に言われたのは「名称変更という選択もある」ということでしたが)
内閣府には厚生労働省からの出向も多く、その方面からの意見であることもわかりました。
それを乗り越えて、日本メディカルダイエット支援機構との名称で特定非営利活動法人として認証されるまでの道のりについては次回に説明させてもらいます。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)
メディカルダイエットは、メディカルの立場でのダイエットのことを指しています。メディカルは“医学の”“医療の”と訳されることからわかるように、医学的な裏付けがあるダイエットを意味しています。また、生活習慣病の予防や改善を目的としたダイエットという意味もあります。
生活習慣病は生活の変化(食事量の増加や栄養バランスの変化、運動量の減少)などから、以前と比べると患者は大きく増えています。厚生労働省の「国民健康・栄養調査」によると、糖尿病患者は約1000万人、その予備群の高血糖の人は約1000万人と、調査対象の成人人口(約1億人)の5人に1人が糖尿病か、そのままではいずれ糖尿病になる予備群という状態になっています。また、高血圧患者は約4000万人、高血圧予備群は約2200万人と、こちらは1.6人に1人の割合にもなっています。
生活習慣病や予備群になると、その多くは医師から「やせるように」と言われます。太っていて体脂肪が多くなると、生活習慣病のリスクが高まり、また体脂肪を減らすとリスクが低下します。メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)への取り組みを国が始めたときに、肥満状態の脂肪細胞からは生理活性物質のアディポサイトカインが分泌されて、これが血糖値や血圧を上昇させて、動脈硬化を進めるというメカニズムが示されました。
確かに内臓脂肪を減らすことは生活習慣病の予防と改善には重要事項となっていますが、私たちが目指しているメディカルダイエットは、肥満予防だけでもなく、生活習慣病予防だけでもありません。もう一つの大きな目標があって、それは“エネルギー代謝の促進”です。
エネルギー代謝は脂質(脂肪酸)や糖質(ブドウ糖)を材料にして、細胞のミトコンドリアという小器官の中でエネルギーを作り出すことを指しています。小器官といっても、全身の細胞のミトコンドリアの重量は、体重の10分の1ほどにもなります。
それくらいエネルギー代謝は重要だということで、ミトコンドリアでエネルギーを多く作り出すことによって、内臓脂肪が減るというだけでなく、作り出されたエネルギーを使って、身体の状態を整え、心身ともにより健康になっていくことを提案するのが、メディカルダイエットを団体名としている私たちのメインの活動です。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)
発達障害児、学習障害児の支援をしてきた人(学校や特別支援学級の教師経験者、発達障害児の保護者など)は、なかなか進まない発達障害と学習障害の理解を広めていくための大きな存在として期待されています。いろいろな経験をしてきた人であっても、実際の困難さが理解できないことがあります。それは学習障害の識字障害、書字障害、算数障害のすべてに影響を与える視覚情報処理の異常の状態です。
視覚情報処理が脳の中で正常に行われていれば、普通に書かれたものは普通に見ることができます。ところが、視覚情報処理に異常があると、例えば文字が二重に見える、ゆがんで見える、にじんで見える、文字の大きさが違って見える、文字が動いて見える、左右が逆転した鏡文字に見える、白い紙がまぶしく見える、文字の一部が消える、といったことが起こります。
そのように見えているのは本人から説明を聞くからわかることで、本人以外が見ることはできません。視覚情報処理の異常がある人でも、他の人と同じように見えているわけではなくて、もしも同じことが起こっていたとしても状況が大きくことなり、場合によっては複数の状態が起こっていることもあるので、実際の状況を把握することが難しくなっています。そのような困難さを抱えながら、なんとか文字を読もうとしている苦しさや疲労感などは、理解しろと言うほうが無理だということです。
そのような困難さを理解して学習支援を実施しようとしているのは、私が視覚情報に困難さがあるからです。学習障害の視覚情報処理の異常ではないのですが、閃輝暗点が起こり、これによって視野の一部が見えにくくなることが日に何度も起こっているからです。閃輝暗点は閃輝と暗点があり、前者はキラキラ・ギザギザが視野に広がるもので、後者は暗くなって見えなくなるものです。視野の全部ではなくて一部であることが多く、閃輝の後に暗点が起こることもあります。
その原因は眼球から入ってきた画像を認識する脳の後頭葉の血流が低下するために、情報処理をする部分の酸素が不足することと考えられていて、頭を強く打つと星が見えるという状態に似ています。
私の場合は閃輝だけですが、視野の3分の1ほどがモザイク状になり、それが下側に現れるので、視野の下側の文字が見えなくなります。そのために、状態がおさまるまでに30分ほどは仕事ができなくなります。若いときに多くて、年齢とともに回数が減っていくとされているのですが、私の場合は年齢とともに回数が増え、出ている時間が長くなっています。
この困難さと、学習障害の視覚情報処理による異常による困難さは同じではないことは承知していますが、困難さの理解だけはできると考えています。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)
「善は急げ」は、よいことはためらわずに、ただちに実行することという意味で、チャンスは逃すべきではないということを示しています。体によいものは積極的に食べるべきだし、これ以上食べてはいけないという量だったら食べるのを止めることも即決即断して、健康の維持を優先させることが大切だとの考えがあるからです。
“もったいない”というのは世界に誇るべき日本人の精神性そのもので、MOTTAINAIは今や世界に通じる合言葉となっています。もったいない(勿体無い)精神は素晴らしいことではあっても、食べきれない量の料理をもったいないから捨てるのではなくて食べてしまうというのは、少し違うような気がします。もったいないことになってしまったのだから、次からは食べられる量だけを作る、いつもと同じ量ではなく、そのときの体調などに合わせて作る量を変えて、少なくとも捨てることがないようにするというのが、正しい意味合いだと感じます。
ご飯中心の日本人の口中調味の食べ方は、一人ずつ味わい方が違っています。和食であっても懐石料理などは一品ずつ提供されるか、一度に出されたとしても一つずつ食べられる量が器に盛られています。一つずつ料理が出てくるということでは洋食のコース料理も同じで、それぞれの同じ味の料理を誰もが同じように味わっています。
これに対して中華料理の回転するテーブルの上に置かれた大皿から好きなだけ取って食べる、それも一つの料理を味わったら、お茶やお酒で口の中を整えて、次の料理を食べるということではなく、前の料理の味が残っているところに他の料理を入れて、味を変えて食べるということをしています。
中国式の接待は食べられる量を出すのではなくて、食べきれない料理を出す、残すのが充分に満足したという意思表示ということで礼儀となっています。“善”の気持ちで出してくれたものは慌てて食べないのが基本であるのに、もったいない精神(?)を発揮して、“急いで”無理をしてすべてを食べてしまったら、追加で料理を出されて大変なことになってしまいます。
余計に食べるようなことをすると、これがコロナ禍で低下した国民的な健康度を、さらに低下させることにもなります。では、どのように考えるべきなのか、という話は次に続きます。
全身のエネルギー源のうち20%ほどは脳で使われています。脳は重量としては1.2〜1.4kgで、体重の2〜3%しかないのに、非常に多くのエネルギーが必要です。脳のエネルギー源はブドウ糖だけであり、少なくとも1日に100gのブドウ糖が脳には必要とされています。ブドウ糖の割合が最も高いのは砂糖で、ブドウ糖と果糖が1対1となっています。砂糖でもブドウ糖は半分なので、相当の量が必要だということがわかります。
血糖値が高い状態では膵臓から多くのインスリンが分泌され、それが長く続くと膵臓が疲弊してきて、インスリンの分泌が低下します。インスリンの作用によって細胞にブドウ糖が取り込まれるので、高血糖状態では脳細胞にブドウ糖が充分には取り込まれていないことになります。そのため、脳細胞の中で作られるエネルギーも少なくなり、エネルギーが不足することから脳を正常に働かせることができなくなることが懸念されます。
脳の中でも特にブドウ糖が多く使われ、インスリンも多く必要となっているのは記憶を司っている大脳辺縁系の海馬です。認知症や、認知症の予備群である軽度認知障害の人は海馬のブドウ糖が少なくなっていることが確認されています。また、インスリンの分泌量が少ないと認知機能が低下することも知られています。
糖尿病患者は認知症のリスクが高く、これまでは高濃度のブドウ糖によって血管の老化が進むことが主な原因と考えられていましたが、脳細胞のエネルギー不足も大きな要因となっていることから、糖尿病予防の重要性が知られるようになってきました。糖尿病はインスリンが分泌されにくい体質があり、それに加えて食べ過ぎや運動不足などによって血糖値が上昇して膵臓に負担がかかることが原因とされています。日本人は歴史的に糖質も脂質も多く摂ってこなかったために、国民的にインスリンが分泌されにくい体質があるので、食べ過ぎなどで糖尿病になりやすいという弱点を持っています。





