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「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、各論のエネルギー・栄養素について説明しています。その中から微量ミネラルの鉄の過剰摂取の回避の「耐容上限量の策定」の続きを紹介します。

〔耐容上限量の策定〕
*成人・高齢者(耐容上限量)
南アフリカのバンツー族では、鉄を大量に含むビールの常習的な飲用や鉄鍋からの鉄の混入によって1日当たりの鉄摂取量が50〜100mgとなり、中年男性にバンツー鉄沈着症が発生しました。

この鉄沈着症は、当初、単純な鉄の大量摂取によって生じたと考えられ、1日当たりの鉄摂取量がおよそ100mgを超えた場合に発生すると推定されました。

しかし、現在は、この鉄沈着症にも鉄吸収制御に関わる遺伝子の異常が関わっており、ヘプシジンを中心とした制御機構が十分に機能しなかったために鉄吸収量が増加して、臓器への鉄の蓄積が生じた可能性が高いとする説が妥当とされています。

アメリカ・カナダの食事摂取基準は、貧血治療を目的とした鉄剤投与に伴う便秘や胃腸症状等を健康障害と位置づけ、成人の鉄の耐容上限量を男女一律に45mg/日としています。

一方、EFSAは、鉄剤摂取に伴う急性の胃腸症状等を鉄の耐容上限量設定のための健康障害として用いることを不適切として、耐容上限量を定めていません。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕

日本の医学界で発達障害が正確に認識されるようになったのは1987年のこととされています。

1987年というと、私(筆者)は前年に民間の病院栄養管理HDS研究所に招聘されて主任研究員としての活動を始めたばかりでした。その活動の一つに小児肥満の臨床栄養面での対応がありました。

現在の国立成育医療研究センターは、2002年に国立小児病院、国立大蔵病院が統合されて、大蔵病院の所在地に設立されましたが、当時の大蔵病院の栄養管理室が小児肥満の保護者への栄養指導を担当していました。

病院栄養管理HDS研究所の所長は、現役時代に国立病院の管理栄養士・栄養士のトップを務めていた関係から、小児肥満の栄養指導の結果の取りまとめに協力していました。

臨床栄養の理論どおりに指導すれば結果が出るはずとの考えがあったのですが、子どもの食に対する反応で想定外のことがあり、その対応に参加することになりました。

その対応で経験したのは、単なる食の好き嫌いや家庭の状況だけでなく、子どもの特殊な感性と身体反応があることがわかり、それが肥満や極端なやせにも影響することがわかってきました。

初めのうちは、特殊な例かもしれないと考えられていたのですが、それが発達障害と関係していることがわかったのは2001年以降のことです。厚生労働省発足時(2001年)に、私は業界出向のテストケースとして霞が関にも席を置くようになり、各分野の情報を集積してからのことでした。
〔発達の伴歩:小林正人〕

運動強度が最大酸素摂取量の60%ほどまでの段階では、血中乳酸値濃度が大きく高まることはなく、60%を超えると急激に濃度が高まっていきます。

最大酸素摂取量は全身持久力の指標で、運動をすることによってミトコンドリアに取り込まれる酸素の最大量を示しています。

最大酸素摂取量の60%までであれば、身体に大きな影響を与えることなく、運動を続けることができるわけですが、これを超えると身体の限界に近づきます。

運動をすることは健康度を高めてくれるものの、それは適度な運動量の場合であって、強度が高まり、過度な負担がかかるようになるとマイナス面を出てきます。

その一つの例としてあげられるのは、免疫の低下です。

免疫は、ウイルスや細菌などの異物から身体を守る仕組みのことで、感染症などから免れる能力を指しています。免疫は免疫細胞(白血球、リンパ球)が担っていて、運動不足になると筋肉が衰えることから全身への巡りが低下するために免疫細胞の働きが弱まります。

また、免疫は体温が高まると活性化することから、運動不足では低下しやすく、運動によって体温が高まることによって上昇することが知られています。

運動であれば、身体的な対応力を超えた場合には運動をやめて、休めば回復させることができます。

これに対して、限界点が定まっていることであると、身体的な疲労では済まずに、健康面の危機にもつながります。

これと同じように、自然環境の変化も気づきにくく、自然と向かい合い、変化を的確に知って対応することが重要になるのです。
〔小林正人〕

基礎代謝の分岐点では、無酸素系運動から有酸素系運動の変化が起こっています。

無酸素系運動は酸素を使わなくてもできる運動ということで、酸素を吸わないわけではありません。

解糖系運動とも呼ばれていて、糖質のグルコース(ブドウ糖)を酸素なしでエネルギー化する経路で、代謝の結果として乳酸が発生します。この乳酸が分解されて、エネルギーが発生します。

乳酸は疲労物質と呼ばれていたこともあり、それは乳酸には筋肉を疲労させ、筋肉の動きを低下させることが知られています。

筋肉を限界まで動かすことがないように、身体に備わった機能と考えられています。乳酸はグルコースがエネルギー化させる途中段階の物質であるため、有酸素系運動によって分解して、多くのエネルギーを作り出すことができます。

無酸素系運動は長く続けることができず、長く続けられる運動をしているときには、酸素を取り込んでエネルギー化させる有酸素系運動となります。

そして、多くのエネルギーを作り出した証拠が体温の上昇と、体温を下げるための発汗です。

筋肉は、強度が高い運動をするときに使われる速筋と、強度が低く長く運動をするときに使われる遅筋に大きく分けられます。色の違いから、速筋は白筋、遅筋は赤筋とも呼ばれます。

有酸素系運動であっても運動強度が高くなると遅筋だけでは対応ができなくなり、速筋も使われます。速筋は主にブドウ糖がエネルギー源で、遅筋は主に脂肪酸がエネルギー源となっています。

速筋が働いているときには乳酸が発生しますが、乳酸が多く発生するようになる強度ポイントは乳酸性作業閾値といいます。
〔小林正人〕

徐々に起こっている変化は、あるときを境にして、急激な変化が起こるようになります。そのターニングポイント(分岐点、転機)を、身体の変化から見ていくことにします。

その変化は、目で見ることができないことが多く、誰もが敏感に気づくことができないこともありますが、その変化と仕組みがわかることで、より変化に気づきやすくなります。

人間は酸素を取り込んで、細胞のミトコンドリアでATP(アデノシン三リン酸)を合成しています。

そして、ATPを用いてエネルギーを作り出して生命活動を行っています。ウォーキングなどの有酸素運動を行っていると、徐々に身体が温まり、うっすらと汗をかくようになります。

これはミトコンドリアで酸素を多く取り込んで、エネルギー産生が盛んになってきた分岐点です。

ミトコンドリアは、エネルギー産生の小器官で、直径は0.5μmほどのサイズです。細胞によって100〜2000個のミトコンドリアが存在しています。

全身には60兆個以上の細胞がありますが、すべてのミトコンドリアを合わせると体重の10分の1もの重量になります。

ミトコンドリアが特に多く存在しているのは筋肉と肝臓です。筋肉は全身のエネルギー産生の30%ほど、肝臓も30%ほどにもなっています。

全身のミトコンドリアで発生したエネルギーのうち半分ほどは熱エネルギーに変換されています。

その根拠ですが、体内で発生したエネルギーのうち、生命維持に使われる基礎代謝は70%ほどで、基礎代謝の70%ほどが体熱の維持に使われているからです(70%×70%=49%)。
〔小林正人〕

植物による自然環境を保持する力の低下が人間の健康にも影響する度合いは小さなものであり、気づかないほどの変化かもしれませんが、その影響が積み重なっていくと、元へは戻れないようなことにもなりかねません。

「茹でガエル」という言葉があります。危険が迫っているにもかかわらず、変化が緩やかであるために気がつかず、気づいていたときには手遅れになっているという状況を表しています。

生きたカエルを熱湯に入れると飛び出して逃げ出すのに対して、常温の水からゆっくりと加熱していくと、変化が小さいために危険を察知できず、そのまま茹でられて死んでしまうという警告の逸話です。

問題がある状況下であっても、何も行動を起こさず、徐々に深刻化が増して最終的には破滅的な事態に陥ることは「茹でガエル症候群」と呼ばれています。

変化が起こっていることに気づくためには、自然と触れ合い、感性を鋭くして変化に着目する姿勢が重要であり、気づくことができれば回復力を発揮することができます。

体力があり、免疫力が高ければ病気にならず、健康を維持できると考えられがちですが、センサーが正しく反応しない状態では、本当の心身の変化を知って対応することができなくなります。

自分の心身の変化に敏感になるのと同時に、心身に大きな影響を与える自然環境の変化にも敏感になり、変化に気づいたときに、すぐに反応できる感性を磨くことも重要となります。
〔小林正人〕

ブルーエコノミーは、革新的な思考と意識で新たな価値を生み出すことであり、社会に大きな変化をもたらす活動と言えます。

しかし、これまでの経済成長や快適な生活を生み出すために自然環境に対して、回復しきれないほどの負担をかけてきました。

自然の回復力が発揮されなくなるほど負担がかかるようになった結果は、自然環境の中で暮らしている人間にも大きな負担をかけ、心身の健康を保つことが難しいほどの悪影響が与えられている人も増えてきました。

身体の構造や働きは、自然環境の中で生き抜くために変化をしてきました。

植物は光合成によって成長をしていますが、その原材料となっているのは二酸化炭素と水です。二酸化炭素と水を葉緑体が取り入れて、光エネルギーを活用して、光合成の結果として酸素を作り出しています。

動物は酸素と炭水化物(糖質)、脂肪を取り入れ、細胞内のミトコンドリアで代謝を行い、二酸化炭素と水を作り出しています。

この植物と動物の相互作用が自然環境を作り出し、その中で進化してきた人間の活動を支えてきました。植物による自然環境を保持する力が低下することは、人間の健康にも影響を与えます。
〔小林正人〕

地球温暖化の原因とされているのは温室効果ガスの存在です。

地球の平均気温は14℃前後となっていますが、大気中に水蒸気、二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素、フロンなどの温室効果ガスがないとするとマイナス19℃になります。

太陽光は地面を温めるものの、地表から放射される熱は温室効果ガスがなければ大気外に放出されます。温室効果ガスによって地表から放熱される熱が吸収され、大気が温められています。

産業活動が盛んになるまでは、温室効果ガスは気温を一定に保ち、その環境の中で植物も動物も成長し、進化をしてきました。

ところが産業活動によって温室効果ガスが大量に排出されることによって、大気中の濃度が高まり、熱の吸収が増えたことによって気温が大きく上昇するようになりました。

その中でも気温上昇に最も影響を与えているのは二酸化炭素です。温室効果ガス別の地球温暖化への影響の割合は、二酸化炭素76.7%、メタン14.3%、一酸化二窒素7.9%、フロン類1.1%と報告されています。

これはIPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change=気候変動に関する政府間パネル)によるもので、IPCCは世界気象機関と国連環境計画によって1988年に設立された政府間組織です。

石油や石炭などの化石燃料の燃焼によって排出される二酸化炭素が温暖化の最大の原因とされていますが、植物による二酸化炭素を取り込み、酸素を放出する能力の低下、つまり森林の減少も大きな要因となっています。

二酸化炭素濃度は、産業革命前の1750年の278ppmから2013年には400ppmに、2022年には418ppmと50%も増加しています。

国別の二酸化炭素排出の変化を見ると、熱帯アジアでの森林減少が大きく進み、熱帯アメリカ、熱帯アフリカと合わせて、世界的な排出量が増えています。アメリカの森林減少は20%世紀初めには歯止めがかかり、中国においても森林の過剰伐採による空気汚染、洪水の頻発の影響を受けて森林伐採にブレーキがかかっています。

森林減少の原因としては、伐採、焼畑、森林火災、農地転換、都市化などがあげられています。経済発展・人口増加が進んでいる途上国で森林開発が進んでいることから、今後も森林減少、二酸化炭素増加のリスクが高まることは容易に想像できることです。
〔小林正人〕

ブルーエコノミーは、「自然環境の回復力、人間の自然治癒力の限界を超えない経済活動」であり、その達成のためには持続可能な社会形成に向けた教育の構築が重要となります。

ブルーエコノミーは、革新的な思考と意識で新たな価値を生み出すことであり、社会に大きな変化をもたらす活動と言えます。

しかし、これまでの経済成長や快適な生活を生み出すために自然環境に対して、回復しきれないほどの負担をかけてきました。

自然環境を破壊してでも経済発展を優先させてきた背景には、資源は無限大と考えられていたことがあげられます。しかし、今では「石油は50年で枯渇する」と言われるほど可採年数は短くなってきています。

これは資源としてなくなるわけではなく、埋蔵量は充分であっても採算が合う方法で採掘することができなくなることを踏まえての年数です。石油生産は2030年頃にピークを迎え、その後は減っていく一方になるという考えがあり、これはピークオイル説と呼ばれています。

ピークオイル説では、ピーク以降は生産量が減っていくのに対して、発展途上国で需要量が大きく増え、そのギャップが急速に広がり、危機的な状況になることが予測されています。

このことは世界人口の増加も大きく影響しており、産業革命(1760〜1840年)以降に人口は急速に増加の一途をたどりました。
1950年には25億人、1987年には50億人、1998年には60億人、2010年には70億人となり、2023年には80億人を超えました。2100年には101億人に達すると予測されています。

これまで1位であった中国は14億2570万人となり、インドの14億2860万人にトップの座を譲りました。アジアの人口増は激しく、今では世界人口の60%を超えています。

アジアの人口増加は産業発展の結果であり、産業発展は二酸化炭素の増加と密接に関わっています。
〔小林正人〕

27億年前に光合成を行う藍藻(シアノバクテリア)が海中に誕生して、二酸化炭素と水から酸素が生成されると二酸化炭素はさらに減少して、酸素が増え始めました。

生物が進化して海から陸上に進出すると、植物によって光合成が活発に行われるようになり、酸素は増え続け、数十億年をかけて窒素と酸素を主成分とする現在の大気の組成となりました。

酸素が急速に増えた結果、5億年前の古生代には海洋生物が陸上に進出することができるようになり、中世代の2億3000万年前に人間の祖先である哺乳類が誕生することになりました。

サルからヒトへの進化は200万年前とされ、現生人類のホモ・サピエンスは40万年から25万年前とされています。

古生代の海洋生物の陸上進出が可能になったのは、太陽光に含まれる紫外線の影響を抑えるオゾン層の生成が大きく影響しました。

オゾン(O3)は酸素原子が3個で構成される気体で、地上から10〜50kmの成層圏に多く存在しています。オゾン層と呼ばれるのは20〜25kmで、大気中の酸素が増加するようになってから増えていきました。

酸素の一部は紫外線によって化学反応を起こすことでオゾンに変化します。オゾン層には生物にとって有害な太陽からの紫外線(UV–B)の多くを吸収することから、海で誕生した海洋生物が陸上に進出することができるようになりました。

その奇跡のような変化(進化)は、植物による光合成によってもたらされました。
〔小林正人〕