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国立高度専門医療研究センター6機関(国立がん研究センター、国立循環器病研究センター、国立精神・神経医療研究センター、国立国際医療研究センター、国立成育医療研究センター、国立長寿医療研究センター)が連携して、研究成果として「疾患横断的エビデンスに基づく健康寿命延伸のための提言(第一次)」を公開しています。提言のエビデンスの解説(第2回)を紹介します。
日本人の研究は少ないものの、WHO(世界保健機関)のガイドラインでは、複数のシステマティックレビューなどから、身体活動を促進することが認知機能低下や認知症のリスク低下につながるとされています。国立長寿医療研究センターが実施した臨床研究から、有酸素運動、コグニサイズ(認知課題と運動を同時に行う)、身体活動の促進などを実施することが、認知機能の維持・向上に効果のあることが明らかになっています。
コクランレビューにより報告されたメタ解析より、高齢期において、運動や筋力トレーニングは、筋力の維持・増強や身体機能(歩く速さやバランスなど)の維持・向上に役立つことが示されています。さらに、運動や筋力トレーニングを行うことは、転倒予防にも役立つとされています。
これらの報告で効果の認められた運動の方法として、例えば、有酸素運動や筋力トレーニングがあげられます。専門家による指導のもと、トレーニング機器を用いて行うものや、自身で行うホームエクササイズのようなものなどがあげられます。運動を行う場合は、自身の体調や健康に合わせて無理のない範囲で行い、必要に応じてかかりつけの主治医に相談するなど、安全に充分注意して行う必要があります。
※システマティックレビュー:文献をくまなく調査し、ランダム化比較試験のような質の高い研究のデータを、出版デバイスのような偏りを限りなく除き、分析を行うこと。

日本人の平均寿命が50歳に達したのは昭和22年(1947年)のことで、その当時のアメリカは60歳、北欧は70歳を超えていました。今でこそ世界トップクラスの長寿国の日本ですが、終戦直後は、いわゆる先進国の中では最後尾に位置していたのです。それが2年後には60歳に急に平均寿命が延びています。これは平均寿命が、今の高齢者が何歳まで生きられるかという数字ではなくて、誕生した年齢(0歳)の人が現状の経済状況、生活環境が続いたとすると何歳まで生きられるのかという推定年齢だからです。
平均寿命が延び続ける中で、生活習慣病になる人が増えてきました。一生涯に使う医療費である生涯医療費は年齢が進むほど増えていき、生涯医療費の半分は70歳以降に使われている実態があります。ちなみに生涯医療費の平均は2700万円です。そのうちの2割なり3割を個人として負担しているわけですが、それ以外は国や自治体、保険組合などが負担しています。
日本人の平均寿命が順調に延びている中で、生活習慣病は今ほど多くはなくて、理想的な推移をしていたのは昭和30年代後半でした。健康を維持するために戦前の食事に戻ることをすすめる“粗食派”の人たちもいますが、その時代の平均寿命が短かったことを忘れているかのような主張です。伝統的な日本食を基本として、それに不足している肉や脂肪をプラスすることで血管が丈夫になり、免疫も向上しました。それが今は摂取しすぎで平均寿命の延びを生活習慣病が引っ張るような状態で、自由に行動できる健康寿命と平均寿命の差が男性で9年、女性で12年にもなっています。
日本人の食物繊維の摂取量が、現在の理想とされる量と同じだったのは昭和30年代です。昭和27年(1952年)に学校給食の完全給食が導入され、学校給食は欠食児童対策から教育の一環になりましたが、そこで身につけたバランスが取れた食事が日本人の健康度を高める大きな要因になったことは間違いないと思っています。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)

子どもの健康のための生活面の注意というと誕生後が中心になっていますが、お母さんの胎内にいるときに受けたことが、子どものときだけでなく、生涯にわたって影響を与えることが多くの研究によって明らかにされています。
その研究成果として、国立高度専門医療研究センター6機関(国立がん研究センター、国立循環器病研究センター、国立精神・神経医療研究センター、国立国際医療研究センター、国立成育医療研究センター、国立長寿医療研究センター)が連携して、「疾患横断的エビデンスに基づく健康寿命延伸のための提言(第一次)」を公開しています。その提言のエビデンスの解説から、妊婦に関わる項目を紹介します。
〔3食事2〕
妊娠を予定している男女を対象とした前向きコホート研究で、甘味飲料の摂取量が多いほど妊孕性が低下することが報告されています。また、妊婦を対象とした前向きコホート研究では甘味飲料の摂取が多いほど生まれてきた子どもの小児期の肥満のリスクを増加させることが報告されています。
妊娠中にたんぱく質やエネルギー摂取が不足したり、過剰に摂取すると、子どもが低出生体重児で生まれてくるリスクが増加することが報告されています。日本での観察研究で、たんぱく質を適量摂取している妊婦においては、子どもが低出生体重児であるリスクが低いことが報告されています。
妊婦でも、単独の食物や栄養素だけでなく、食事パターンが重要だと考えられています。米や魚、野菜の多い食事パターンの妊婦の方がパンやパスタなどの麦食の食事パターンの妊婦よりも子どもの出生体重が大きくなることが報告されています。また、地中海式の食事パターンを持つ女性では妊娠糖尿病や生まれた子どものアトピー性皮膚炎のリスクが低下する可能性が報告されています。野菜、果物、豆・種子類、魚介類を多く含み、赤肉・加工肉・揚げ物が少ない食事パターンをとっている妊婦は、そうでない妊婦よりも一貫して早産のリスクが低いことが報告されています。

緑茶にはカフェインが含まれていて、眠気覚ましの作用があります。また、テアニンという旨味成分(アミノ酸)も含まれていて、これはストレス軽減作用が認められています。緑茶は脳を適度に刺激するとともに興奮しすぎないようにするという学習の合間に飲むには適したものといえます。
緑茶には抗酸化成分のカテキンが含まれています。日常的に摂ることができる抗酸化成分の中でもカテキンは抗酸化力(活性酸素を消去する力)が強く、緑茶を飲んでいれば活性酸素の害を心配することはない、と一般には考えられています。
抗酸化成分の多くは植物の色素で、緑茶といえば緑色が特徴であるので、この緑色が濃いほどカテキンが多く含まれるように思われがちです。しかし、実際にはカテキンは無色の成分で、緑茶の緑色はクロロフィル(葉緑素)によるものです。
お茶を何度も淹れ続けても緑色が出ている間は抗酸化作用があると思うのは間違いで、茶葉にお湯を注いでから時間が経過すると抗酸化作用どころが、逆に活性酸素を取り入れているようなことにもなりかねません。というのは、抗酸化作用が強い成分は、体内に入ってから酸化しやすく、抗酸化成分が酸化することによって、人間の細胞が活性酸素によって酸化しないようにされているからです。
茶葉にお湯を注いでから30分もすると、茶葉の酸化が進んでいて、それ以降は酸化したお茶を飲むことになります。お茶は30分以内に飲むことが必要で、一気に多くの量を飲むことができないという場合には、保温容器に早めに注ぎ、封をして酸化が進みにくいようにして、これを飲むことがすすめられます。
お茶は害虫に被害を受けやすいことから農薬が頻繁に使われます。農薬は水に溶ける成分と油に溶ける成分があります。茶葉は外で栽培することから、雨に当たっても農薬が流れないように油に溶けるタイプを使っています。だから、お茶として飲んでも農薬が溶け出て身体に入ってくるようなことはないのです。
しかし、お茶には茶葉のカスが残ります。この中には農薬が残っています。また、茶葉の有効成分はお茶に溶け出るものは少なく、茶葉のほうに多く含まれています。そこで茶葉をミルなどで砕いて、そのまま飲むことがすすめられることがありますが、その茶葉には油に溶ける農薬が残留しているので、この方法は絶対にすすめられません。

目の前で話をしている人を観察すると、口が開いて唇が動いて話している視覚の感覚と、声が耳から入ってきて聞いている聴覚の感覚が一致しているのが当たり前と思われています。遠くに離れていれば目で見えたものから音だけが遅れてくることがわかります。光の速度は秒速約30万kmなので地球と月の間でも2秒で届くことになりますが、音の速度は秒速340mなので、目で見たものと耳で聞くことではズレがあるのは当然のことです。
近くであれば目にも耳にも同時に飛び込んでくるわけで、眼球でとらえた光(画像)と耳の鼓膜でとらえた音は同時にスタートしても、脳で情報をキャッチするまでの時間が違っています。早く届くのは音のほうで、聴覚は耳から入ってきた大脳皮質の上部という近くで音として認識しているのに対して、視覚は目から後頭葉までの距離が長くなっていて、0.5秒のズレがあるとされます。ズレがあるのに、同時に見えて聞こえたように認識されるのは、脳がズレを調整しているからです。
これは脳が正常に成長して、脳の病気や怪我などがなかった場合に身につく能力ですが、発達が不十分だとズレがズレたまま、つまり音が先に届いて、画像が遅れて届くことから、まるで声が先に聞こえて、唇が遅れて動く“いっこく堂”の腹話術の芸のようなことが起こります。いっこく堂の芸は大げさに見えるように、ズレを大きくしているので誰もが、その芸の面白さを認識できます。それと比べると視神経と聴神経のズレは1秒の半分という短さなので、これを正確に芸で表現すると、それこそ見ている人が脳の中で調整して同時にしてしまうので、芸として成り立たなくなります。
日本メディカルダイエット支援機構の理事長は、生まれつきではなく、60歳を過ぎてからズレがズレのままわかるようになってきたので、脳神経そのものの障害か機能の障害によるものと診断されています。このような感覚のまま不便を感じながら生活を続けるしかないのですが、「相手の目を見て話を聞かない」と指摘されるのは本人も承知していて、唇の動きと声のズレが不快に感じたり、場合によっては頭が痛くなるようなこともあり、非常に疲れやすいことから、あえて顔を見ないようにすることがあるからです。

日本メディカルダイエット支援機構の活動は14期目に入りました。特定非営利活動法人の認証を内閣府に申請したときに、電話での説明でも書類の出し直しでもなくて、いきなり内閣府の当時のNPO室に呼び出されました。指摘されたのはメディカルダイエットという名称でした。医師が指導や治療を行うわけではないのにメディカルダイエットで適しているのかということで、なぜメディカルダイエットなのかの説明をしました。ダイエット(diet)は「もともと方針、作戦、戦略といった意味があり、医学や科学に基づいた正しい方針のもとに健康づくりを行うことを目的としている」と話をしました。
それで納得してもらえなかったように感じて、当時付き合いがあった厚生労働省の審議官が内閣府に出向していて、たまたま特定非営利活動法人を所管する部署にいたことから、責任者を紹介してもらいました。そのおかげなの、名称は受け付けるものの、非営利活動だけにすることが提案されました。特定非営利活動法人は非営利活動と営利活動がありますが、メディカルダイエットの名称で収益をあげようとして妙なことが起こらないように(例えばメディカルダイエット印の商品を販売するとか)非営利活動に限るということです。
特定非営利活動法人はNPO法人と略されますが、NPOは「Non Profit Organization」を示していて、直訳すると利益を得ない団体となります。その名のとおりの活動では会費と寄付しか得られないことになります。そこで許可されたのが、講習と情報発信に限っては収益をあげても公益活動とするということでした。
そして、もう一つ認めてもらったのが、メディカルダイエットと冠した資格認定でした。これによってメディカルダイエットをつけた資格を唯一発行できることになりました。
初めて内閣府に申請をしたときには、日本メディカルダイエット推進機構でしたが、講習と情報発信に限られたことで、“支援機構”に変更しました。活動が限られたことから、私たちの臨床栄養や運動との組み合わせによる代謝促進法などの研究成果を活用して一緒に活動しようという団体や企業との連携で進めるために、メディカルダイエットの考えのもとに活動する方々を支援する団体ということを名称で示しました。
一緒に活動する団体や企業の代表に理事に入ってもらい、次の事業に切り替わるときには理事も入れ替わるということで、メディカルダイエットアドバイザーから始まって、上級資格のメディカルダイエットエキスパート、サプリメント情報知識検定、インターバルウォーキング指導者など、さまざまな資格認定を行ってきました。さらにフルーツ&スイーツダイエットエキスパート、抗酸化アドバイザー、児童発達サポーターなどの講習テキストも作成しています。
新たに岡山の人脈と教育栄養学の講習を始めますが、これがどんな資格認定につながるのか、それとも過去の資格認定が新たな姿で再出発することになるのか、どちらにしても私たちは講習だけで終わらず、ずっと情報発信を続けていくことで常に最新の研究に基づいた知識をもって、それを活かして生活していけるような場を目指しています。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)

子どもの健康のための生活面の注意というと誕生後が中心になっていますが、お母さんの胎内にいるときに受けたことが、子どものときだけでなく、生涯にわたって影響を与えることが多くの研究によって明らかにされています。
その研究成果として、国立高度専門医療研究センター6機関(国立がん研究センター、国立循環器病研究センター、国立精神・神経医療研究センター、国立国際医療研究センター、国立成育医療研究センター、国立長寿医療研究センター)が連携して、「疾患横断的エビデンスに基づく健康寿命延伸のための提言(第一次)」を公開しています。その提言のエビデンスの解説から、妊婦に関わる項目を紹介します。
〔2飲酒〕
妊娠中の飲酒については、初期・中期・後期とすべての時期を通して、胎児に悪影響を及ぼすことが報告されています。妊娠中の習慣的な飲酒により引き起こされる胎児性アルコール症候群の症状は多岐に渡りますが、末梢神経障害、歩行障害、言語障害、慢性中耳炎などが特に多く報告されています。
〔3食事1〕
魚介類の摂取により女性は妊娠しやすくなる可能性が報告されています。魚介類やオメガ3脂肪酸摂取により早産および妊娠高血圧症候群のリスクが低下し、また生まれた子どものアレルギー性疾患のリスクが低下する可能性が示されています。
魚介類はよい健康影響を及ぼし、利点が多い食材ですが、一方で自然界に存在する水銀を食物連鎖の過程で体内に蓄積するため、日本人の水銀摂取の80%以上が魚介類由来となっています。また、一部の魚介類については、特定の地域等に関わりなく、水銀濃度が他の魚介類と比較して高いものも見受けられます。水銀に関する近年の研究報告では、低濃度の水銀摂取が胎児に影響を与える可能性を懸念する報告がなされていることから、妊娠中の魚介類の摂食については、厚生労働省から注意喚起がなされています。
厚生労働省が実施している調査によれば、平均的な日本人の水銀摂取量は健康への影響が懸念されるようなレベルではありません。妊婦以外では、すべての魚介類について、現段階では水銀による健康への悪影響が一般に懸念される報告はないため、健康に有益である魚介類をバランスよく摂取し、健康の維持増進に努めることが大切です。

身体を構成する成分の約5%がミネラルで、体内に必要な16種類のミネラルは必須ミネラルと呼ばれます。ミネラルには、骨や歯などの身体の構成成分になるほか、体液に溶けてpH・浸透圧を調整する、酵素の構成成分になる、神経・筋肉の調整をするなどの作用があります。そのため、エネルギー代謝を高めて、脳を含めた全身の働きを調整するには、すべてのミネラルが必要になります。
体内に比較的多い7種類(カルシウム、リン、カリウム、イオウ、ナトリウム、塩素、マグネシウム)は主要ミネラル、少量しか含まれない9種類(鉄、亜鉛、銅、ヨウ素、セレン、マンガン、モリブデン、クロム、コバルト)は微量ミネラルがありますが、微量ミネラルは体内に少量しか保持されていないために、食品からの摂取が減って、体内の蓄積量が不足すると健康面で大きな影響が出ることになります。
ミネラルは主には小腸から吸収されますが、亜鉛の一部は胃から、ナトリウムの一部は大腸からも吸収されます。鉄はビタミンCとの組み合わせで吸収率が高まります。鉄は肉類や魚類などの動物性食品に多く含まれるヘム鉄と、野菜や小穀類などに多く含まれる非ヘム鉄があります。吸収率はヘム鉄が12〜20%であるのに対して、非ヘム鉄が5%前後と大きな差があります。肉や魚が不足しているときには、特にビタミンCが必要になります。
カルシウムはマグネシウムやビタミンDとの組み合わせによって吸収率が高められます。
ミネラルは吸収されたあと、肝臓に運ばれ、他の物質と結合するなどして、全身の必要とされる組織に運ばれます。それぞれの組織はミネラルが補われることによって、本来の機能が発揮されます。ミネラルのうち、マグネシウム、銅、亜鉛、マンガン、セレンは補酵素として働きます。ミネラルには血液中や細胞の内外でイオンとなるものがあり、全身のイオンバランスを保つために使われています。

国立高度専門医療研究センター6機関(国立がん研究センター、国立循環器病研究センター、国立精神・神経医療研究センター、国立国際医療研究センター、国立成育医療研究センター、国立長寿医療研究センター)が連携して、研究成果として「疾患横断的エビデンスに基づく健康寿命延伸のための提言(第一次)」を公開しています。提言のエビデンスの解説(第1回)を紹介します。
身体活動と非感染性疾患、うつ、認知症、運動器の機能低下のリスクとの間には負の量反応関係がみられます。1メッツ・時/日(1日に2〜3分)身体活動が多くなる毎に、これらのリスクが0.8%ずつ有意に低下することが報告されています。また、1日1000歩(10分/日)増やすことができると答えた人の割合は60.8%であることが報告されています。
日本人を対象としたコホート研究では、仕事や運動などからの身体活動量が高くなるほど、がん全体のリスクは低くなることが示されています。さらに、身体活動量が高いと心臓病による死亡リスクも低くなることから、脂肪全体のリスクも低下することが明らかになっています。糖尿病については、世界の81研究のメタ解析で身体活動量が多い群のほうが低い群よりリスクが35%低いことが示されています。
また、日本の前向き研究で、高強度の身体活動や長い歩行時間による糖尿病リスクも低下を示した研究、さらにテレビ視聴時間が長いことによる糖尿病リスクの増加を示した研究があります。高血圧患者に対しての介入研究では、軽度の運動トレーニング群の方が非トレーニング群よりも血圧が低下しました。身体活動量を高く保つことは、健康で長生きするための鍵になりそうです。
611,583人(うつ病患者143,265人を含む)を対象とした研究により、加速度計によって客観的に評価した身体活動量が多い群でうつ病リスクが低下することが示されています。妊娠中に身体活動を増やすことにより、産後うつのリスクが低下することが報告されています。また、子どもの身体活動を増やすことは、うつを軽減する効果があると報告されています。

戦前の日本の食事といえば“和食”で、戦後に“洋食”が家庭にも入り、日本人の食生活は大きく変化した、ということが一般には言われています。そうとも限らないことを知ってはいたのですが、日本メディカルダイエット支援機構で日本人の体質研究をしていることがわかると、どうして対照的なものを例示することが求められてしまいます。和食と洋食、ご飯とパン、魚食と肉食、野菜摂取量の変化、食物繊維の量の差など、目立つデータがないかと必ずといっていいほど聞かれます。
終戦後に国民栄養調査(現在の国民・健康栄養調査)が初めて発表されたのは昭和22年(1947年)のことで、終戦から2年後のことでした。その年からの調査を比較してみると、急激に変化したわけではなくて、まだ同年は東京都だけで学校給食が再開されただけです。このときのことを思い出話として話す人の中には、ララ物資(アメリカからの援助物資)を無償で提供されたと信じている人もいますが、実際には支払いを後にしてもらっただけで、アメリカの余剰物資を買わされていたというのは実際のところです。
昭和27年(1952年)には国民的な食糧事情が改善したことから全国的に完全給食が実施されることになりました。この事実を受けて、教科書の中には、昭和27年を“完全給食元年”としているところもあるのですが、パン、おかず、牛乳の完全給食は都市部だけのことでした。
私が小学校に入学した昭和36年(1961年)には、新潟県の山奥であったことから初めて“ミルク給食”が実施され、弁当持参でミルクだけが給食として出されました。この場合のミルクは脱脂粉乳をお湯で溶いたもので、今の牛乳に比べると美味しくない、臭い、まずいという評判のもので、そのときの体験が根強くて、牛乳が苦手になったという同世代の人も少なくありません。
2年生のときには完全給食が始まりましたが、通っていた学校があったのは山奥といっても商店がある地域で、教育モデル校であったために早かっただけで、周囲の学校で完全給食が始まったのは2年後のことでした。
洋食は学校給食で知り、カレーライスが食べられるようになっても肉が入っている家庭は少なくて、ほとんどが鯨肉でした。豚肉は魚屋さんがバスに乗って都市部に買いに行くというような状況で、まだ冷蔵輸送が整っていないので、ひょっとしたら少し傷んでいたものを喜んで食べていたのかもしれません。
魚の消費量が大きく伸びたのは冷蔵輸送が普及した昭和30年(1955年)以降だったということで、戦後直後から急激に食生活が変わったわけではなかったのです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)