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算数障害というと、いまだに計算ができない、数の概念がわからないという生活に支障をきたすような障害だと勘違いされることがあります。算数障害が含まれる学習障害、その学習障害が含まれる発達障害は知的な能力の低下がないことが基本となっています。計算をするために必要な知的能力はあるものの、その認知に時間がかかり、通常の思考時間、解答時間とされる範囲に当てはまらない場合がほとんどです。
計算をするときに1桁の場合には足し引きは比較的しやすいものの、2桁以上の計算をするときに一の位と十の位を入れ替えることがみられます。これは数字の位置が判別できずに、無意識のうちに繰り返してしまうことが多いため、繰り返して計算をさせても、なかなか改善されないことが起こります。こういった場合には、一の位と十の位の数字を色を変える、数字の色はそのままでもアンダーラインなどで色をつけるといった方法をとるようにします。一の位は赤、十の位は青で示して、一の位の計算では赤と赤を足す、十のくらいの計算では青と青を足すといったようにして、桁の混乱をなくすようにして、計算しやすいようにします。
計算式では桁の計算ができても、文章問題では、どのような計算式になるのか、どこを足したり引いたりすればよいのかを理解するまでに時間がかかることがよくみられます。識字障害がある場合には計算問題が特に苦手で、どうやって数字の問題を読み取るのか、それを計算に置き換えるのかがわからないということにもなります。
この傾向は2桁以上の計算問題を解くときに見られることで、一の位と十の位の、それぞれの桁を明らかにするために、桁ごとに線を引いて(直線、波線、二重線など)区別がつきやすいようにしてあげるようにします。

医薬品には副作用があることが知られています。医薬品単体の副作用はそれほど強いものではなくても、複数の医薬品を重ねて使用すると副作用が強く現れることがあります。同じ医療機関で処方されるときには、そのことを知っているので、一緒に使うことで強い副作用が出ない組み合わせにするのが当たり前のことです。異なる医療機関で複数の処方をしてもらった場合には、強い副作用が出る組み合わせになる危険性もあります。これを避けるために使われているのが「おくすり手帳」です。これに使用しているすべての医薬品が記録されていれば、しっかりとした薬剤師が見れば、強い副作用が出る組み合わせなのか、それとも安心して使えるのかの判断ができます。そして、副作用のリスクが高い場合には、処方をした医師に連絡をして、処方を変えてもらうこともしています。好条件が重なっていれば、一応は安心ができるわけです。
医薬品は薬剤師の制度が整っているのでよいとしても、医薬品と健康食品を組み合わせて使用する場合になると、ここで相互作用の問題が出てきます。相互作用というのは、いわゆる副作用のようなものと考えられることもあるのですが、健康食品に含まれている成分によって医薬品の効果が強く出すぎることがあります。例えば、血糖値を下げる医薬品の働きを強めるような場合で、期待した以上に下げると低血糖の危険性も出てきます。これとは逆に、医薬品の効き目を弱めてしまうような成分が含まれた健康食品もあります。
このような医薬品と健康食品の相互作用を調査研究によって明らかにして、医療機関や保険会社などに提供しているのがアメリカのナチュラルメディシン・データベースです。日本対応版としてデータベースのほかに「健康食品・サプリ成分のすべて」という書籍が発行されています。日本対応版のデータベースは日本医師会、日本薬剤師会の会員には無償で提供されています。
こういったことを医師も薬剤師も目を通して、熟知していれば相互作用は防げるわけですが、医師が診察のときに健康食品に使用を聞くことも少なく、もしも聞かれたとしても患者が医師に何か言われるのではないかと心配して何も言わない、健康食品は使っていないと答えてしまうということもあります。健康食品の使用についての質問は薬剤師からもあってよさそうなものですが、患者が窓口に集中して忙しい時間帯の薬剤師から聞かれるようなことはまずありません。となると、自分で調べて、リスクを防ぐしか方法がないのが現状だということです。

超高齢化が急激に進む中、自治体では増え続ける医療費をまかなうだけの収益が求められてきました。そのために地場産業を押し上げ、それを購入してくれる人を増やすことを目指して、まずは自治体がある地域を知ってもらい、来て体験してもらい、気に入ってもらえたら観光に訪れ、さらには移住して新たな働き手にもなってもらいたいと、広告代理店や旅行会社に随分とお金を使ったという例も多く見聞きしました。
外から入るお金を期待するのは当然のことですが、それと同時に出ていくお金を減らすことも考えて行動すべきだというのが“健康資本主義”の考え方の一つです。地域に高齢者が多いのは、「過去の経験の蓄積が豊富」という広告代理店的な謳い文句ではなくて、多くの医療費がかかっているということは、それを減らす活動があって、その上に外から収益を得る活動があるべきです。
高齢者が積極的に外に出て、活動時間を増やすことは肉体的にも精神的にも大きなプラスになります。認知機能の低下は、身体的に健康な状態が保たれていたとしても、要介護の対象になり、その状態は病気を増やす要因にもなっています。
積極的に外に出る機会を増やす方法として、ウォーキングは簡単に始められて、継続もしやすいことから採用されやすいものです。しかし、感染防止の観点から集団で歩くことは避ける風潮があり、ウォーキング大会も全国的に中止が相次いでいます。これは仕方がないことかもしれませんが、なぜウォーキングというと集団で歩くという発想になるのか、健康度を高めることよりも危険のほうが議論されてしまうのか、ということを考えるべきです。
日本のウォーキングは歩け歩け運動から始まり、日本ウオーキング協会が主管して、大規模な大会を全国各地で開催してきました。健康づくりのために歩こうというきっかけづくりにもなり、それなりの成果はあげられたものの、イベントとしての開催では医療費削減までを考えたウォーキングにはなりません。全都道府県に傘下のウオーキング協会があり、その下に各地域のウオーキング協会や歩こう会などの同好組織があります。そのメンバーは頻繁に歩いているものの、地域の健康づくり、医療費の削減による地域経済の活性化までを考えると住民が日常的に歩く意義を見出す必要があります。
私たちは、歩くことによる医療費削減という経済価値と、そこで得られた金額を次の世代の育成と健康づくりの資本とすることを健康資本主義の考え方から提案させてもらっています。

飲食によって摂取したブドウ糖のうちエネルギー代謝に用いられなかったものの大半は、肝臓でグリコーゲンに合成されて、筋肉と肝臓に貯蔵されます。血液中のブドウ糖が減ってきたときには、グリコーゲンが分解されてブドウ糖になり、全身の細胞で使われるようになります。ブドウ糖は全身の重要なエネルギー源であり、不足させることができないからです。グリコーゲンから分解されたブドウ糖があれば健康面では特に影響がないようにも思われがちですが、一つだけ例外があり、脳細胞はグリコーゲンから変化したブドウ糖を充分に取り込むことができません。
食事によって脳細胞に取り込まれたブドウ糖の保持時間は15時間ほどとなっています。夕方の19時までに夕食を終えると、翌日の朝食までは12時間ほどの空腹時間で、この段階でブドウ糖を補えば脳細胞のエネルギー源が不足することはありません。しかし、朝食を抜くようなことになると、昼食までは17時間もあくことになり、2時間ほどはブドウ糖が不足します。ブドウ糖は急になくなるようなことはなくて、少なくなってくると節約状態になって、次の食事まで機能を低下させて長引かせるようになります。
このために昼食前の2時間ほどは集中できない、勉強がはかどらないということが起こりますが、脳は全身の働きを調整している器官です。1日に2時間の機能低下が長期間続くことによって、全身に影響が出ることが懸念されます。発達障害の人は、脳への負荷が強く、多くのエネルギーが必要となるだけに、ブドウ糖を不足させるようなことは避けなければなりません。
ただし、発達障害児に過剰なブドウ糖を与えることは逆効果を生み出すことにもなりかねません。5歳までの甘味飲料の摂取量が多いほど、将来の肥満のリスクが増加することが小規模な観察研究によって報告されています。甘味飲料にはブドウ糖が多く含まれているので、多量の摂取によって、肝臓で多くの脂肪が合成される結果となります。このほかに、20の研究メタ解析から、子どもの人工甘味料の摂取が多いほど肥満になりやすいこともわかっています。
また、小児期の甘味飲料の摂取によって注意欠陥・多動症リスクが増加すると報告されています。ブドウ糖を過剰に摂取すると膵臓からインスリンが急激に分泌され、そのために一時的に血糖値が下がり、脳の唯一のエネルギー源であるブドウ糖の不足が脳の機能に影響を与えると考えられています。

国立高度専門医療研究センター6機関(国立がん研究センター、国立循環器病研究センター、国立精神・神経医療研究センター、国立国際医療研究センター、国立成育医療研究センター、国立長寿医療研究センター)が連携して、研究成果として「疾患横断的エビデンスに基づく健康寿命延伸のための提言(第一次)」を公開しています。提言のエビデンスの解説(第10回)を紹介します。
乳製品について、メタ解析では、1日あたり牛乳1本(200ml)の摂取で循環器病のリスクが0.9倍に、1日あたり低脂肪乳1本(200ml)の摂取で心疾患のリスクが0.9倍に、それぞれ低下することが報告されています。日本人にとって乳製品は、飽和脂肪酸のみでなく、カルシウムの主要な摂取源ですが、日本人のコホート研究では、乳製品由来のカルシウムの摂取が多いほど脳卒中や脳梗塞の発症、死亡リスクが低下すると報告されています。
子どもでは、無脂肪乳・低脂肪乳のほうがよいかについてのエビデンスは充分にはありません。北米では小児(2歳まで)は全乳を、2歳以上では無脂肪乳・低脂肪乳を摂取することが推奨されています。一方で、2歳以上でも全乳を摂取したほうが血中ビタミンD濃度は高く、肥満率が低いことが報告されています。
たんぱく質の健康影響に関心が高まっている一方で、たんぱく質には動物性と植物性があり、健康への影響には違いがあります。アメリカの医療従事者を対象としたコホート研究から、循環器病の死亡リスクは動物性たんぱく質の多量摂取では増加しますが、植物性たんぱく質の多量摂取では低下するという逆の関連が報告されています。
日本人を対象としたコホートの長期追跡で、たんぱく質の摂取の死亡への影響をみた研究では、摂取総エネルギーで調整後の総たんぱく質と動物性たんぱく質については、摂取割合の多少による死亡リスクとの関係はなかったと報告されています。一方、同様に、植物性たんぱく質では摂取割合が多いほど死亡リスクが低下することが報告されています。これを死因別にみると、総循環器病死亡、心疾患死亡、脳血管死亡では死亡リスクの低下がみられましたが、がん死亡には関連がなかったことが示されています。さらに、総エネルギーに対する3%の赤肉・加工肉由来のたんぱく質を植物性たんぱく質に置き換えると、死亡全体のリスクが34%、がん死亡リスクが39%、循環器病死亡リスクが42%低下し、同様に、赤肉を魚介類由来のたんぱく質に置き換えても、死亡全体のリスクが25%、がん死亡リスクが33%、循環器病死亡リスクが33%低下することが示されています。
日本の研究で、動物性たんぱく質の摂取が多くてもリスクの増加がみられなかった理由としては、欧米と比較して日本では、エネルギー摂取量に対する動物性たんぱく質の摂取量の割合が低いことや、動物性たんぱく質の主な摂取源が、欧米では赤肉・加工肉であるのに対して、日本人では魚介類が多いことが考えられています。

文字を書くことができるのに、鉛筆の芯(ペン先)が思うように動かせなくて書きにくく、そのために書くのに時間がかかり、制限時間内に書けないということもあります。文字は紙とペン先の摩擦によって書かれています。ツルツルした紙だとペン先が滑って書きにくいのは当たり前に起こることです。鉛筆の握りと動かし方がスムーズにいかない段階では、摩擦が強まるように抵抗感がある紙を使い、下敷きも滑りにくくて、ペン先が強く当たるものを選ぶようにします。
文字を書くスペースを上手に使えず、余白との関係もつかめないために、うまく文字が書けないこともあります。文字の見当をつけることを感覚的に覚えられるようになるまでは、罫線が入ったノートや、マス目を使って書いていくようにします。これを繰り返すことで文字のバランスが徐々に整えられていきます。
ノートや試験などの解答用紙は白色が基本ですが、感覚過敏の視覚過敏があると紙の白さが目を刺激して見えにくいために書きにくい、照明が反射して文字が書けないということも起こります。文字が書けるようになるまでは、色のついた紙のノートなどを使って書くことも考えます。
うまく文字を書くことができない場合には、鉛筆の場合には修正するために消しゴムを使うことになります。この消すことに手間取り、書くための時間が短くなり、その焦りによって、ますます文字の形が整いにくいことにもなります。そこで文字が感覚的に書けるようになるまでは、タブレットを使用して、何度も書き直すことができるようにする方法もあります。小学校、中学校のタブレット導入が進んでいる中、事情を説明して覚えるまでは使わせてもらえるように学校や教師の理解を得ることも書字障害の改善には大切なことです。

ウォーキングによる健康づくりについて厚生労働省で会合が行われたときのこと、冒頭に言われて今でも印象に残っているのは「健康な患者」「健康な要介護者」という言葉でした。会合の主催は健康局で、全国の健康の総元締めのようなもので、健康の定義にも関わっているところです。
健康という言葉は、病気の対義語として使われることがあり、病気になって治療を受けている人が患者です。また、高齢になって病気だけでなく身体機能が低下することによって介護が必要な状態になると要介護者となります。この伝から言うと、健康な患者や健康な要介護者という表現に違和感を抱く人は少なくありません。前出の会合でも、この表現がされたときに会場内がざわつきました。
WHO(世界保健機関)は、「健康とは身体的・精神的・社会的に完全に良好な状態であり、単に疾病のない状態や病弱でないことではない」と定義しています。厚生労働省も同様の考えを示しています。病気や病弱、身体機能が低下した状態は、健康ではないということになりますが、では「健康な患者」というのは何を指しているのかというと、まだ自力で、もしくは医療の手助けを得て、健康な状態に戻ることができる人のことです。
一つの病気が発見されたときに、それを克服しようと医療の助けがあったとしても自分の力で取り組もうとすることが求められています。ただ、薬に頼り、一つの病気に関連して他の病気が出てきたら薬を増やす、というような他力本願ではなく、“自力本願”で健康づくりに取り組む人を指しています。医療を実施するには、多くの医療スタッフが必要で、見た目は健康な人と変わらない、まだ自力回復が可能な人なら、入院患者であっても大きな手間はかかりません。それが複数の病気が出て生活機能にも影響がある、足腰が弱り、体力低下しているという状態では大きな手間がかかってしまいます。
これは要介護者についても同じことが言えますが、まだ自力回復できる段階で、できることなら未病の状態で、つまり血圧が高い、血糖値が高いという段階で、高血圧症、糖尿病、心臓病にまで進んでいない状態で健康づくりに取り組むことが求められています。その方法として注目されたのが高血圧、高血糖、脂質異常症(高中性脂肪血症、高LDLコレステロール血症など)の数値を下げるのに効果がある有酸素運動であり、比較的簡単に始められて、足腰の鍛錬にもなるウォーキングだったのです。

「健康食品は臨床栄養の敵だ!」と言われた時代があります。「医療の敵」「病院の敵」と言い換えられることもありましたが、要は、健康食品は治療の妨げになるもので、それを放置しておくのかという考えが医療関係者にありました。健康食品の効能効果を信じた人が、病院に行くのが遅くなったり、医薬品を使うタイミングが遅れることを懸念して、健康食品の効能効果の表現には厳しい制限がかけられています。
健康食品は食品に分類されるので、効能効果を述べることはできないというところから、2001年(平成13年)から保健機能食品制度が設けられ、ビタミン13種類(ビタミンA、ビタミンB₁、ビタミンB₂、ビタミンB₆、ビタミンB₁₂、ナイアシン、パントテン酸、ビオチン、葉酸、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK)、ミネラル6種類(亜鉛、カリウム、カルシウム、鉄、銅、マグネシウム)、脂肪酸1種類(n-3系脂肪酸)については有効性を述べることができるようになりました。
食事で不足しがちな栄養素ということで、アメリカのダイエタリーサプリエントに習って、栄養機能食品はサプリメントと認識されるようになりました。ちなみにサプリメントは補助、補充、補完といったことを意味する言葉です。
2002年(平成14年)には厚生労働省から「保健機能食品等に係るアドバイザリースタッフの要請に関する基本的な考え方について」の通知が発表されました。保健機能食品だけならサプリメントと限られるのかもしれませんが、保健機能食品等と“等”がつけられたことから、いわゆる健康食品も範囲となり、健康食品とサプリメントのアドバイザリースタッフの教育が始まりました。
初めに手をあげた形になったのが日本臨床栄養協会で、サプリメントアドバイザーの名称で認定教育を始めました。この協会は臨床医と病院の管理栄養士・栄養士が会員で、健康食品は敵という認識の会員もいて、定着には時間がかかりました。しかし、他の医療関係者の管理がなされない団体に先に認定を始められて、栄養を補うというサプリメントがゆがめられることがないようにということで、医療関係者がサプリメントアドバイザーを通じて、健康食品・サプリメントの教育、指導、情報発信を行っていくことになりました。
そのおかげでサプリメントは臨床栄養の味方として研究、広報が進められ、どのように補えばよいのかという情報も消費者は得ることができるようになったのです。

里山資本主義は、水と食料、燃料を地元でまかなう安心安全のネットワークづくりを指しています。その象徴として里山が掲げられているわけですが、これに加えたいキーワードとして“健康”を提唱しています。地元の資産を活用して、まずは何があっても、例えば感染症対策として自治体の住民を守るために周囲と遮断されるようなことがあっても、生きていくために必要な生活資源を確保することは当然に必要なことです。
生き抜くための条件が整えば、それでよいというわけではなくて、最低限の生活では健康の維持・増進を求めるのは困難になります。地域の現状と自分や家族の状態に合わせて、どのように活動をすればよいのかを考え、これが正しいと判断したら、そのとおりに実践をすることは健康づくりには必要で、そこまでの活動をすることが、まずは提唱されます。
地域の資産を活かすには、その中での住民が動くだけでなく、周囲の地域から、できることなら裕福な(余裕がある)人たちが暮らす地域から集客して、地域にお金が落ちるようにすることも望まれます。感染拡大で、人口密度が高い地域からの移動は自粛してもらわなければならないご時世には、来てもらわなくても潤うことができるように地域の特産物を通信販売などで購入してもらうことも考えなければなりません。
ただ来てもらう、買ってもらうということでも、お金は回るかもしれませんが、地域の健康に結びつけなければ、健康資本主義を提唱する価値はありません。観光に来てもらう人たちには、地域の健康づくりにつながる資産を活用した運動や健康のプログラムを体験してもらいます。そのプログラムは住民にも提供されていて、一定の効果・結果をもとにして来てもらった方々にも実感してもらいます。そのためには、住民が積極的に参加して、健康度が高められるのが条件となります。その条件をかなえるためには、単に健康教室を開催するのではなく、例えば資格認定、指導者育成などを実施することも提案させてもらっています。
このいった活動で資金が得られるようになったら、それを次の世代の育成に使っていく資本とする、これこそが健康資本主義につながると考えています。

重要なエネルギー源であるブドウ糖と脂肪酸を材料にしてエネルギー産生させるのは細胞の中にあるミトコンドリアです。ミトコンドリアは細胞内の小器官で、一つの細胞に100〜3000個ほど存在していて、その重量は体重の10%ほどにもなります。特に多く存在しているのは筋繊維(筋肉細胞)、肝細胞などです。それほどミトコンドリアは重要な器官であり、多くのエネルギーを作り出すことが必要になります。主としてミトコンドリアの中でエネルギー代謝が行われますが、ミトコンドリア以外でも一部のエネルギー代謝が起こっています。
ブドウ糖のエネルギー代謝には体内に取り込まれた酸素を使わないままエネルギーとする解糖系の代謝と、酸素を使う有酸素系の代謝の2つの系統があります。解糖系の代謝はミトコンドリアの中で、ブドウ糖は酵素の働きによってピルビン酸に変化して、その過程でエネルギー物質が発生します。この場合にはブドウ糖1分子当たり、2分子のエネルギー物質であるATP(アデノシン三リン酸)が発生します。
これに対して有酸素系の代謝では、ブドウ糖1分子当たり36分子のATPが発生します。ピルビン酸は酵素の働きによって補酵素のアセチルCoAに変換され、これがミトコンドリア内のTCA回路(Tricaboxcylic acid cycle)に入ります。TCA回路はミトコンドリア内で起こる9段階の代謝回路で、アセチルCoAはクエン酸に変化して、次々と別の酸に変換されていきます。
このエネルギー代謝を高めるためには、クエン酸が多く含まれる食品を摂ることが有効だとされるのは、TCA回路がクエン酸から始まることに関係しています。クエン酸が多く含まれるのは、柑橘類(みかん、オレンジ、グレープフルーツ、レモンなど)、梅干し、黒酢などです。
TCA回路では、それぞれの酸が酸素との反応によって次々と変化し、二酸化炭素を発生させたあと水と36分子のATPを発生させます。ATPは塩基のアデニンに糖のリボースが結合した形で、これにリン酸が3個結合しています。ATPからリン酸が1分子外れてADP(アデノシン二リン酸)になるときに生体の活動に必要なエネルギーが発生します。ADPはTCA回路でリン酸1個が結びついてATPに合成されます。
ATPは発生した細胞の中でのみ使われるもので、他の細胞に伝達されることがない、“地産地消”のような性質となっています。