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1日に30食品を食べれば健康になれるのか
「限られた食品を食べても健康になれないので、できるだけ多くの食品を食べましょう」ということは日本に限らず、世界的に言われてきたことです。しかし、“30食品”という目標を掲げたのは日本だけです。今でも「健康のために1日に30食品を食べよう」と主張する人はいます。これは間違っているわけではないのですが、「厚生労働省も発表しています」と言われると、これは間違いにもなりかねません。間違いだと断定しないのは
信じる者は“足元を”すくわれる
すくわれるという言葉は、漢字にすると救われると掬われるがあります。信じる者は救われるというのは、何に救われるのかというと、元々の言葉が意味するのはイエス・キリストです。イエスを信じると救われるというのは聖書の中にあることですが、イエスに限らず、救われたいという気持ちになったときに信じたい気持ちになるのは当たり前のことかもしれません。 もう一つの掬われるほうは“足元を”と一緒に使われることが多くて
有酸素運動をしてブドウ糖の取り込みを増やす
有酸素運動をすると脳細胞にブドウ糖が取り込まれやすくなり、ブドウ糖が脳細胞の中で効率よくエネルギーとなり、脳の働きがよくなっていきます。どうしてなのかということですが、有酸素運動をすると細胞内にブドウ糖を運ぶGLUT4という輸送体が細胞膜に近づいてくるからです。GLUT4は普段は細胞の中側にあって、膵臓から分泌されるホルモンのインスリンの刺激を受けることによって細胞膜に近づき、ブドウ糖を取り込みま
甘いものを食べるだけで脳は活性化するのか
頭を使うとき、疲れてきて頭の周りがよくないときに甘いものを食べると、頭の回転がよくなっていきます。これは脳の唯一のエネルギー源であるブドウ糖が補われたからだ、というのが一般にされる説明です。全身のほとんどの細胞は(つまり脳細胞以外の細胞は)ブドウ糖、脂肪酸、アミノ酸をエネルギー源として使っています。しかし、脳細胞はブドウ糖しか取り込むことができないので、ブドウ糖不足は脳で作り出されるエネルギーの発
歩くほど増える1歩の金額的価値
歩くことは健康によい、歩いている人は医療費が少なくなると言われていますが、実際に、どれくらいのメリットがあるのかという話になると、なかなかピンとこない人も多いかと思います。これについて厚生労働省研究班が、生活習慣病予防を目的とした試算をしています。その計算の内容は1歩について、どれくらい医療費が下がるのかというもので、企業に勤める1000人を対象として調査をされています。それによると、1歩あたり0
「朝食抜きは太る」は新常識か
朝食を食べていない人は、国民健康・栄養調査(平成29年)によると男性で15.0%、女性で10.2%となっていて、欠食率が最も高い20代では男性が30.6%、女性が23.6%と、かなり高くなっています。この調査の場合は調査日に朝食抜きであった人の割合で、欠食は食事をしなかった場合だけでなく、サプリメントや栄養ドリンクのみ、菓子や果物、乳製品、嗜好飲料などのみも含まれています。 朝食抜きの理由は、さ
食後に眠くなるのは血糖値の急上昇か急降下か
「親が死んでも食休み」という言葉があります。たとえ親が死んだとしても食事のあとの休養は大切だという意味で、食事をしたあとに働いたり、勉強をしたり、ましてや運動をするようなことがあってはいけないという戒めにもなっています。そんなことを言われなくても、食事をしたあとには、消化のために身体の働きが低下します。活動的になっているときには自律神経の交感神経の働きが盛んになります。胃液の分泌を盛んにするのは副
完全食は本当に完全なのか
おいしく感じないと栄養素の吸収が高まらないという前回の話を受けて、これだけ食べておけば大丈夫という食品や料理はあるのか、という話をします。1日に30食品を食べることがすすめられたことがありますが、これは1つの食品で1日に必要な栄養素を摂ることができないということを示しています。30食品の成否については別の機会にしますが、「これを食べれば1日に必要な栄養素の3分の1が摂れる」というキャッチフレーズで
健康成分が含まれていれば効果があるのか
テレビの料理番組で材料を紹介するときに、必ずといってよいほど食材に含まれている健康効果がある成分について話す管理栄養士がいます。それが事実であれば、特に問題がないように思っているから放送されているのだと思われますが、その健康効果が血圧や血糖値を下げること、血液サラサラとなると、料理に使われる材料の分量が気になってしまいます。どんなに効果がある成分であっても、その量が少なかったら望むような結果を得る
文化性のない食事は“エサ”なのか
食事は「食文化」という言葉が使われるように、文化性が求められます。生命維持や活動に必要な栄養成分を摂るだけなら基本的なエネルギー源(糖質、脂質、たんぱく質)にビタミン、ミネラルなどのサプリメントを加えることでも可能でしょうが、食事には栄養摂取、食品の機能性獲得に加えて、おいしさも重要です。おいしければよいということではなくて、味のほかに見た目、香り、食感、喉越し、胃の満足度なども重要なポイントとな