健康デザイン71 血糖値対策のウォーキング1

運動を始めると、細胞の中では一種のエネルギー不足の状態が起こります。これを解消するために、できるだけ多くのエネルギーを作り出そうとして細胞内のミトコンドリアの中でATP(アデノシン三リン酸)がリンを二つ燃焼させてAMP(アデノシン一リン酸)に変化してエネルギーが作り出されます。

細胞内にAMPが多くなると、エネルギーの枯渇状態を感知してAMPK(アデノシン一リン酸キノーゼ)という酵素が活性化します。このAMPKが指令を出して血中のブドウ糖が取り込まれるという仕組みになっています。

ATP系のエネルギー消費は10秒ほどで終わり、そのあとは乳酸系と呼ばれる無酸素状態でブドウ糖を主にエネルギーとして使う運動となりますが、乳酸系運動は10分ほどしか続かず、そのあとも運動を続けると、有酸素系と呼ばれる脂肪とブドウ糖をエネルギーとして使うエネルギー代謝へと切り換わっていきます。

ウォーキングを始めたときには、平常時に比べると多くのエネルギーを、すぐに作らなければならないので、代謝しやすいブドウ糖が先に使われます。ブドウ糖が中心になって代謝するのは10分ほどです。だから、血糖値を下げるためには、10分間のウォーキングを何度か繰り返す方法がすすめられます。

血糖値が高いことを指摘されて、運動をするように言われると、以前に運動をしていた人は、その運動を再開させたり、走ったりしがちです。しかし、血糖値が高めの人に激しい運動は禁物です。

心拍数が高まりすぎる運動は、心臓や血管の負担が大きくなります。血糖値が高い状態が続いていると血管の細胞が傷みやすくなり、強い負担がかかります。それが合併症のきっかけとなることも考えられます。歩くことは血管にダメージを与えない運動という意味でもすすめられています。

どれくらいのスピードで歩くのがよいかということですが、普通の速度(時速4~5km)でも10分も歩けば、それなりの効果があげられます。しかし、もっと効果を高めようと思ったら、速歩がおすすめです。速歩というのは普段の歩き方よりも20%ほど速く歩くスタスタ歩きのことをいいます。

時速にして7kmほどになりますが、少し息が弾むような速歩でもジョギングに比べて30%ほど消費エネルギーが少ないだけです。つまり、速歩で10分も歩いたほうが血管への負担も少なく、ダイエット効果が高いということです。

運動を行う時間帯としては、血糖値が上昇した食後1時間から2時間後に行うのが最も効果的です。とはいえ、運動は時間帯に限らず行ったほうがよいので、食後に時間が取れない人は、できるときに行うことがすすめられています。
〔健康ジャーナリスト/日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕