作成者別アーカイブ: JMDS

歩くことと走ることを比較するテレビ番組を見たテレビ番組のディレクターから、「歩くよりも走るほうが膝にかかる負荷が少ないので膝間接を痛めにくいというのは本当ですか」という質問メールが来ました。メールには「痛めにくい」とありました。膝の関節、中でも軟骨のダメージは元には戻りにくい状態になるので、これは痛めるではなく“傷める”が正しいと思うのですが、今回のテーマとは異なる話になるので、これはスルーしました。
その番組を、私たちのメンバーの一人が録画していたので、それを見せてもらいました。歩いた場合と走った場合では、膝にかかる負荷は走ったほうが強いのは当然のことです。それにも関わらず、紹介されていたデータは歩いたほうが強い負荷がかかっているというものでした。これまでの常識と異なるので、これは別の番組にも使えるとの思いから、問い合わせをしてきたとのことです。
このデータには、実はマジックがあります。膝への負荷は「強さ×時間」で示されています。走るほうが負荷は強いので、同じ時間なら走るほうが間違いなく負荷が強いことになります。ところが、この番組では「一定の距離を移動する」ということを比較対象にしていました。歩くよりも走るほうが時間は短くなります。膝を使う時間が短ければ、負荷がかかったとしても計算上の負荷は少なくなるという結果は当然のことです。
運動としては、走るのも歩くのも移動が目的ではありません。それなのに移動距離を同じにして計算して、積算される負荷が少ないというのは研究として疑問があり、それを報道することにも疑問があります。走ることを健康づくりに役立てようという人にはよいデータであっても、歩くことを健康づくりの基本に据えて、歩き方によって走ることに負けないほどの健康効果が得られることを普及している日本メディカルダイエット支援機構には、よいデータとは言いにくいところがあります。私たちがすすめている歩き方は、普通歩行と速歩を交互に繰り返すインターバルウォーキングです。

噛むことは消化・吸収を助けて免疫を高める、脳の機能を向上させるなどの健康効果が言われていますが、これらの効果が原則的にタダで得られるのが噛む健康法のよいところです。噛むことに関する健康書籍は歯科医だけでなく内科医も長寿科学の研究者も書いているので、何冊も並んでいる書店もあります。
その中でも人気が高いのは、認知機能を高める効果が紹介されているものです。これらの書籍に共通しているのは、しっかりと噛める人に対するアドバイスで、よく噛めなくなった人は、どうすればよいのかということについては、すべての書籍の目次に目を通してみたのですが、見つけることはできませんでした。
しっかりと噛んだほうが脳にはよいということはテレビの健康番組の人気テーマとなっているので知っている人も増えています。それもあって、しっかりと噛みたいと思っていても、歯の状態、顎の状態で充分に噛むことができない人もいます。そんな人のために、しっかりと噛めない人でも、しっかりと噛んだのと同じような効果が得られる噛み方が紹介されていればよいのですが、これは今の段階では無い物ねだりです。
しっかりと噛めないというのは、ただでも噛まないで済むようなものを食べて、よく噛まないために唾液の分泌量が減るだけでなく、胃液の量も減ります。噛むことによって膵臓から分泌されるインスリンの増えることが確認されています。噛まなくても食べられるものは消化に時間がかからないものだけに、いくら消化液が少なくても吸収が早くなり、血糖値が上昇しやすくなります。血糖値は大きく上昇する、しかしインスリンの分泌量が増えにくいということでは、高血糖状態が続くことになり、糖尿病のリスクを高めることになります。
脳細胞のエネルギー源になるのはブドウ糖だけで、糖尿病になるとブドウ糖の細胞への取り込みが全身で低下することになるので、脳もエネルギー不足となります。脳を正常に働かせるためにはブドウ糖が必要です。糖尿病になると認知症のリスクが高まるのは、このことが原因となっているのです。
こんなことを書いたのは、理事の一人が顎関節症になって、よく噛めなくなって、ほぼ流動食生活をしているからです。血糖値と認知機能のメカニズムからいうと、噛まなくても食べられるものしか受け付けない状態のときには、糖尿病にならないように血糖値の急上昇を抑えるために、ブドウ糖の量をコントロールすることと同時に、ブドウ糖の吸収を遅らせる水溶性食物繊維を摂ることがすすめられます。それは難しいだろうということで、当方の理事が活用しているのはα型のシクロデキストリン(環状オリゴ糖)です。
シクロデキストリンについては、このサイトの「サプリメント事典」を参照してください。

腸内細菌の健康的な割合は、善玉菌2、悪玉菌1、日和見菌7の割合だとされています。これは常識として語られていることですが、「なぜ悪玉菌が必要なのか」という疑問を抱く人は当然としています。その当然のことを、問い合わせてきたメディア関係者がいました。
悪玉菌は大腸菌やウェルシュ菌、ブドウ球菌などの腸内で腐敗を起こす菌で、便秘や下痢の原因となることが知られています。また、インドールやスカトール、アンモニア、硫化水素などの有害物質を作り出しています。悪玉菌が多いと免疫力が弱まり、発がん物質を作り出すこともあり、これだけを見ると必要とは思えないというのも理解できます。
悪玉菌の中でも大腸菌は重要な役割をしています。腸内では腸内細菌によってビタミンの合成が行われています。ビタミンの合成というと善玉菌のビフィズス菌がビタミンB₂、ビタミンB₆、ビタミンB₁₂などのビタミンB群を作り出していることが知られていますが、これらの合成は善玉菌だけが行っているわけではなく、大腸菌もビタミンK、ビタミンB₂、ビタミンB₆、ビタミンB₁₂、ビオチン、パントテン酸、葉酸、ナイアシンを作り出しています。大腸菌が存在していなければ、ビタミンの合成が充分に行われないということです。
食物繊維は、一般には分解(消化)も吸収もされない性質がありますが、分解されないのは胃でのことで、吸収されないのは小腸でのことで、大腸では腸内細菌のおかげで食物繊維が分解されて、その中の成分も吸収されます。
大腸菌は、もう一つ重要な役割をしていて、身体に害をなす病原菌と腸内で戦っています。病原菌は大腸菌と戦って、負けなかったとしても弱まって、これと体内の免疫細胞が戦うことになります。悪玉菌は免疫の維持には欠かせないものなのです。悪玉菌は、ずっと腸内に存在していて、外敵と戦う常在菌となっているわけですが、腸内だけでなく皮膚にも常在菌がいます。その中には有害な菌もいるのですが、これが外敵と戦って、免疫の第一防衛ラインとなっています。
それだけ重要な免疫システムなので、下痢をして腸内細菌が多く外に出されるようなことがあっても、悪玉菌は急速に増えていきます。善玉菌は一定の温度の中で増えるのですが、悪玉菌は温度が低い環境でも増えていきます。一気に増えるのは悪玉菌のほうとなっていて、これも身体を守るためのメカニズムといえます。

ある著名な医学研究者の一般向けの書籍を、テレビ番組の参考資料のためにと読んでいたディレクターから「日本栄養学会の連絡先はわかりますか」と問い合わせがありました。この手の検索はネットですぐにわかりそうなものですが、それをわざわざ聞いてきたのは検索に引っかからなかったからです。その書籍は、私たちのライブラリーにもあったので、日本栄養学会なる団体が発表したというデータが出てきました。それは腸内細菌のビフィズス菌の割合のデータです。
そのデータの出所と内容確認をしようとして連絡先を、ということになったのですが、学会がデータ発表を行うのは、なかなかなくて、大抵は学会の会員の研究データです。そこのところを調べたいというのは当たり前の気持ちです。
日本栄養学会というのは、多くの医科学系の学会や会員の研究者と付き合ってきた私たちも知らない学会名です。栄養の世界で有名なところでは、伝統があって公益社団法人にもなっている日本栄養・食糧学会がトップです。その中から医学系の先生方が立ち上げた日本臨床栄養学会、栄養改善を目的にしたその名も日本栄養改善学会がすぐに思い浮かぶ学会です。どの学会も、私たちの顧問や相談役などが一時期、学会のトップになっていたので、学会発表であったら簡単に調べられることです。
ひょっとしたら詳しい専門分野に絞って研究している学会の発表かとも思い、栄養関係の学会を調べてみました。日本病態栄養学会、日本脂質栄養学会、日本静脈経腸栄養学会、日本外科代謝学会、日本健康・栄養システム学会、日本微量栄養素学会、日本リハビリテーション栄養学会、日本在宅栄養管理学会、日本小児栄養消化器肝臓学会と出てきて、さすがに日本スポーツ栄養学会、日本ペット栄養学会となると違うのではないかと思いつつも、一般社団法人ヒトケミカル研究会の広報のためにリストアップしたばかりだったので、それぞれ調べてみました。
国内の乳業メーカーが学術誌に発表して、それを複数の学会で発表したもので、中には研究発表ではなく、料金を支払って発表させてもらうランチョンセミナーはポスター展示も含まれていました。ということで、どの学会というのではなく、栄養の学会と書くべきところを編集なのか代筆した人が日本栄養学会としてしまい、それが校正者の目も通り抜けて出版されたということのようです。
この話を書きながら、学会発表と書かれていても、どんな学会で、どんな形で発表されたのかで信頼性を正確性が異なってくるので、それには注意したほうがよいとディレクターには話をさせてもらいました。

立派な身体、立派な健康体という表現なら何も違和感はないものの、“立派な病気”という表現をされると、どんな状態なのだろうと疑問符だらけになります。医療や介護の世界では“健康な患者”という表現をされます。病気になっても病状には大きな違いがあり、患者の体力や免疫力にも差があるので、治療する側、介護する側にとっても治すべき疾患、サポートすべき部分以外は健康状態であってほしいと願うのは当たり前のことです。
このことからすると“立派な病気”というのは健康な患者と似たようなものというイメージがあるかもしれませんが、これなら“立派な患者”となるはずです。
“立派な”の使い方として、よくメディアに登場するのは“立派な犯罪”です。立派というのは、ほめられる対象となるもので、犯罪が立派なわけはありません。どうやらメディアでは“はっきりとした”“間違いなく”という意味合いで“立派な”を使っているようです。となると、“立派な病気”というのも間違いなく病気であって、予備群や病気もどきではないということになりそうです。
この立派な病気ということで一つ述べるべきことがあるとすると、糖尿病は“立派な病気か”ということです。“病”という文字がついているので糖尿病は病気というのが普通に認識です。そう説明されても納得する人は多いかと思います。糖尿病は血液検査の結果が診断基準を超えていたら診断されるわかりやすい状態です。わざわざ状態と書いたのは、糖尿病と診断されても初期段階でインスリンが分泌されている状態なら、治療薬を使わずに食事療法と運動療法だけで改善させることができます。これは病気ではなく、自分で病気から元の健康な状態に戻れる、それこそ“立派な病気”と言えるのではないか、という考えをしています。
言葉の間違いを指摘するだけでなく、間違いであっても、それなりに受け入れられて広まっていることをきっかけにして、考えをまとめるということもしていかないといけないのではないかと考えているところです。

ミニトマトとプチトマトの違いについて、テレビ番組で取り上げていました。解説をしていたのは、元カゴメの研究所のトマト博士とも呼ばれる農学博士で、今は大学教授という専門家中の専門家だけあって、的確にコメントされていました。10〜20gの小さなトマトはミニトマトと総称されていて、その中の一種がプチトマトです。プチはフランス語、ミニは英語という違いだけではなかったのです。プチトマトはタキイ種苗が輸入して販売していたミニトマトの固有名称で、現在は販売されていません。ということは、プチトマトは存在していないのに、過去の習慣からプチトマトと呼んでいる人がいるということです。
番組では紹介していなかったのですが、タキイ種苗はトマトの代表ブランドの桃太郎の種を販売している会社で、以前は半分赤くて、半分緑色という段階のトマトでもピンク色で店頭でも長く売れる、しかも甘くて以前のようなトマト臭さがないという品種を世に送り出しました。
この番組を見ていた他局のディレクターから、他に使える野菜の名前に関するネタはないか、との問い合わせがありました。返答したことを、ここで紹介しても、このサイトを見ている人は視聴率に影響を与えるほどではないだろうということで、スナップえんどうとスナックえんどうの違いについて紹介します。
スナップ(snap)はパチンとかポキンという音を立てることを意味していて、アメリカから種が輸入されて広まりました。総称はスナップえんどうです。スナックえんどうはスナックのように食べられるということで名付けられたもので、その名で販売しているのはサカタのタネです。タキイ種苗と並ぶ業界大手です。両名称があるのは消費者が混乱するとのことで農林水産省が統一に動いたことがありましたが、今も両方の名称で販売されています。
もう一つないかとの要望で答えたのは大葉です。刺身や料理の添え物などに使われているのは大葉と呼ばれています。大葉は青紫蘇のことです。紫蘇(しそ)には赤紫蘇と青紫蘇があり、赤紫蘇は梅干しや紅生姜などの色づけに使われるもので、青紫蘇は緑色のまま使われます。緑色のものを、なぜ“青”と呼ぶのかという話は別の機会にさせてもらうとして、なぜ同じものを大葉と青紫蘇と別に呼ぶのかというと、大葉は静岡県の農協が市場に出すために青紫蘇を束ねて流通させたときに大葉という名称を使い、青紫蘇の出荷量は静岡県がトップであることから全国に広まりました。

糖尿病にならないようにするためには、血糖値のもととなるブドウ糖の量を減らすのが一番とされています。茶碗1杯分のご飯に含まれる糖質は角砂糖14個分と書かれていたら、驚かれると思います。そもそも茶碗1杯分の糖質を砂糖と比較するのは間違いで、砂糖はブドウ糖と果糖が1分子ずつ結びついた二糖類なので、ブドウ糖の量は半分です。ということは、血糖値の話をするときには角砂糖28個分ということになるわけです。
このことを知ると、相当の量のブドウ糖が血液中に流れているように思うかもしれません。しかし、血液中のブドウ糖は正常値の場合には角砂糖1個分だけでしかありません。それだけ多くのブドウ糖が細胞の中に取り込まれてエネルギーとなっているということです。では、糖尿病になると、どれくらいのブドウ糖が血液中に流れているのか気になるところですが、その量は驚きの角砂糖1.5個分でしかありません。わずか半個の違いが正常か糖尿病かの違いとなっているのです。
ブドウ糖を多く摂ったから糖尿病になるわけではなく、ブドウ糖を細胞に取り込んでエネルギーとすることができないことが最大の原因です。運動をすれば筋肉細胞が使うブドウ糖が増えるので、それで血糖値が下がりそうな気がするものの、筋肉細胞にブドウ糖を取り込むためには膵臓から分泌されるホルモンのインスリンが必要です。日本人はインスリンが分泌されていても細胞の反応がよくないためにブドウ糖が充分に取り込めないインスリン抵抗性の人が多くなっています。
そのために血糖値が高まりやすく、すると高まりすぎた血糖値を下げるためにインスリンが多く必要になります。これが続くと膵臓に負担がかかりすぎて、インスリンの分泌が急に減るようになります。これが糖尿病の始まりです。
インスリンの分泌が少ないか、インスリンが分泌されていても細胞で充分に使われていないとなると、どうしても血糖値が高くなります。そこで活用したいのが運動です。運動をすると細胞のブドウ糖が不足することから、細胞の中にあるGLUT4というグルコース輸送体が細胞膜に近づいて、ブドウ糖を取り込むようになります。このメカニズムを知ると、運動がいかに大切かということが理解できるようになります。
細胞に取り込まれたブドウ糖が効率的に細胞内のミトコンドリアに取り込まれると、運動をするためのブドウ糖が多く必要になることからGLUT4による取り込みが盛んになります。ミトコンドリアへの取り込みを盛んにするのはα‐リポ酸の中でも天然型のR‐αリポ酸です。
α‐リポ酸については、このサイトの「サプリメント事典」を参照してください。

メディカルダイエットのセミナーで、「ダイエットのためにはダイエタリーサプリメントを飲めばいいのですか」と聞かれました。ダイエットの講習には、サプリメントの項目は欠かすことはできません。サプリメントでダイエットをしてもらうということではなくて、正しいダイエット法に取り組むよりも、サプリメントを摂るだけで済まそうとする人が多く、実はそうではないこと、使うにしても上手に使わないと効果がないどころかマイナスになるということを知ってもらうためです。
サプリメントは補助、補充、補完などを意味する言葉で、何も食事内容で不足する成分を補うものだけを指すわけではありません。それなのにサプリメントは、ほとんどの方が認識するような意味となったのは、アメリカのダイエタリーサプリメント(dietary supplement)の後半部分を切り取って使っているからです。ダイエタリーサプリメントは栄養補助食品を意味するもので、健康補助食品とも呼ばれます。その流れで、ダイエタリーサプリメントは健康食品となり、サプリメントは健康食品とイコールの意味で使われています。
ダイエタリーサプリメントはダイエットのためのサプリメント、健康食品ではなくて、不足する成分を補うものということになるわけですが、そもそもダイエットは多くの方が認識している「やせる」という意味はありません。ダイエット(diet)は作戦、戦略、方針といった意味で、アメリカでは国会はThe Dietです。おもてなしで東京の駅名には英語表記もされていて、国会議事堂前駅の英語表記はnational diet buildingです。
戦略や方針に沿った正しい生活をするのがダイエットで、アメリカで健康のためにダイエットをするというと食事療法を指しています。それと同じ効果がある運動療法もダイエットとされています。少なくとも「やせる」ではなく、ましてや「食べない」という意味ではありません。
健康のために補うものがダイエタリーサプリメントで、その省略形のサプリメントも不足する栄養素を補うものとなります。初めの質問に対する答えですが、ダイエットのためにはダイエタリーサプリメントならよいということではなく、本当にダイエット(健康維持)のためには代謝を促進して、やせたい人はやせるために、太りたい人は太るために、そして筋肉をつけたい人でも内臓を元気にしたい人でも結果が出るサプリメント成分を摂ることが重要です。
その成分として私たちがすすめているのは三大ヒトケミカルのα‐リポ酸、L‐カルニチン、コエンザイムQ10です。α‐リポ酸の中でも私たちが限定的に紹介・推奨しているのは天然型のR‐αリポ酸です。これらのヒトケミカル成分については、このサイトの「サプリメント事典」を参照してください。

日本メディカルダイエット支援機構の理事長が、日本未病システム学会の当時の理事長の推薦で会員になったときのこと、たまたま中国のがん治療の取材に上海をはじめとした大学病院などを訪問する機会があり、「未病の研究をする学会にいる」と話しました。その反応は「なんでそんな古いものを日本で研究しているのか」というもので、中国と日本の未病に対するスタンスを垣間見る機会となりました。
日本未病システム学会は健康と病気の間を未病と位置づけて、病気にさせない医療を研究する団体で、東洋医学と西洋医学の専門家が中心となっています。実際には、東洋医学の未病の発想の中で西洋医学によって対処する方法の研究が盛んに行われています。東洋医学では自覚症状があるのに検査で明らかにならないものが未病の範疇です。西洋医学では検査で異常が発見されても自覚症状がないものが未病の範疇です。
中国の医療は西洋医学が基本ですが、発想が東洋医学で、西洋医学の薬を東洋医学の証に当てはめて、体質と状態によって西洋医学の薬を使い分けています。漢方も同時に使われることはあり、ただ効き目が強い薬ならよいという発想はしていません。その人の体質と現状に最も合った薬がよい薬であって、治療によって状態が変化してきたら、それに合わせて最もよい薬に変えていきます。どんなに優れた薬でも、その人に合わなければ“クスリ”ではなくリスクにもなりかねません。
生活習慣病の糖尿病も高血圧症も脂質異常症(高中性脂肪血症、高LDLコレステロール血症、低HDLコレステロール血症)も、診断基準を超えていても初期段階では特に何も自覚症状はなく、未病の診断そのものです。それでも明らかではないものの体調不良は感じているはずで、その段階で検査をして初期段階を察知して、すぐに対応すれば病気に進まないようにすることは可能で、未病から元の健康状態にすることも可能です。
そのときには弱めの治療薬で済みます。症状が悪化して、自覚症状が現れてから、それを改善するために強い薬を使うとなると自分の体質に合ったものでないと副作用などのリスクも覚悟しなければならなくなります。日本の医療の現状が、体質を考えたものにはなっていないのだとすると、まさに未病の段階で察知するための検査は重要になります。
しかし、検査で血糖値が高いことを指摘されても、半分以下しか受診をしていないという現状を考えると、糖尿病、高血圧症、脂質異常症が進んで本格的な病気になってしまったら、死に向かって一直線で、医療費もかかる一方という事実も同時に伝えなければならないことがよくわかると思います。

私どもの相談役の先生の書籍を読んだネット通信の担当者から、「酒飲みにウコンを飲ますな、という言い伝えがあると書かれているのですが、ウコンは肝臓によくないのでしょうか」という、なかなかの質問がありました。本来なら著者か出版社に聞くべきなのでしょうが、このコーナーで書くことを了解してもらって、返答をさせてもらいました。
「酒飲みにウコンを飲ますな」というのは、ウコンは酒を飲む人には肝臓によくて、効きすぎるので酒の飲みすぎになるから飲ませてはいけないという意味で使われてきました。この言い伝えは、ウコンがよくないとは言っていないのです。ウコンといっても種類があって、生薬に使われる秋ウコンは中がオレンジ色で、それほど有効成分のクルクミンが多く含まれています。秋ウコンのクルクミン含有量は春ウコンの6倍ほどにもなります。
クルクミンはカレーの黄色の成分となっているのですが、一般のカレーに使われているのは春ウコンです。この秋と春の呼び名は花が咲く季節からきています。一般には春ウコンが肝臓によいとして流通していますが、アルコールやアセトアルデヒドの分解に威力を発揮するのは秋ウコンのほうです。
だから本来なら「酒飲みに秋ウコンを飲ますな」とならなければいけないわけです。この新たな言い伝え候補には真実も含まれています。というのは、健康食品を使って健康被害を起こしているとの報告で一番多いのがウコンだからです。悪酔いをしないからといって酒を多く飲むと、肝臓以外にもアルコールの影響が出ます。飲酒の翌日は胃腸の状態がよくないということも、飲酒量が増えると肝臓で合成される脂肪の量が増えるということも当たり前のように起こります。血中アルコール濃度が高まると脳や心臓への影響が高まることも、飲酒によって一時期は下がった血圧が急に高まることも、免疫を低下させることも飲酒の弊害として知られています。
ウコンを飲んで健康被害を起こす例として一番多いのは肝臓です。肝臓がアルコールの分解を優先しているときには、他の機能が低下するようになります。薬や有害物質を分解するのは肝臓の重要な働きですが、ウコンは漢方の生薬の鬱金として使われるだけでなく、日本薬局方という日本の薬のリストにも掲載されている医薬品成分です。飲酒によって機能が低下した肝臓に薬の成分を送り続けたら、肝臓の機能が低下するのは当たり前のことです。
飲酒をしない人の場合には、クルクミンがアルコールとアセトアルデヒドの分解に使われないために、そのまま肝臓に薬の成分を送り込むことになります。ウコンは肝臓によいというのは、あくまで飲酒をする人の場合のことで、酒を飲まない人は肝臓に負担をかけるだけだということを知っておいてほしいのです。