発達特性27 鏡文字の理解

学習障害では“鏡文字”という言葉がよく使われます。鏡文字は逆さ文字とも呼ばれ、書籍やネット情報の多くは「正しく文字が見えているのに左右を逆に書くこと」と説明されています。

その認識のもとに、左利きのせいである、とか、左脳と右脳のバランスが取れていないために誤って書く、といった説明もされているのですが、中には正しく見えていない子ども少なからず存在しています。

正しく見えていないという表現は、本人以外が言う言葉であって、本人にとっては文字を鏡に写して見ているのと同じように左右が逆転して見えています。

こういった状態で鏡文字として見えていることが理解できていないと、正しい筆づかいを教えても解決することはできません。このことは、本人にとっては、自分の目に正しく見えている文字を逆さに書くように強制されていることになってしまいます。

その困難さを理解するためには、教科書に書かれている文字を鏡に写して、その見えたとおりの逆さ文字をノートに書き写してみればわかることです。

空間認識が逆転しているような状態で、見て、書くということを行うと複数の文字を一度に覚えることが難しく、一文字ずつ書き写していくようになります。そのために読むのにも時間がかかり、書くのにも時間がかかり、通常の学習の時間では時間切れにもなってしまうということが起こります。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕