処方箋薬を購入するときには「ジェネリックにしますか」と聞かれます。ジェネリック医薬品は、先発薬と呼ばれるオリジナルと一緒という話をされ、しかも安いのでお得だと言われます。先発の医薬品には20〜25年間の特許期間があり、その期間が過ぎたものが後発医薬品、いわゆるジェネリック医薬品です。先発医薬品とジェネリック医薬品で同じなのは有効成分の種類と量のことで、錠剤やカプセルとしての医薬品全体が、まったく一緒ということではありません。
医薬品の有効成分はコーティーングに使われている成分によって溶けやすさに違いがあります。吸収性にも違いがあって、同じように飲めば、同じように効果があるとは限らないわけです。医薬品は早く吸収されればよいというものではなく、ゆっくりと吸収されることで効き目を長くするタイプのものもあります。血糖値や血圧を降下させる医薬品は吸収が早すぎると、血糖値や血圧が急激に下がって危険になることもあります。
週刊誌でジェネリック医薬品の問題点が取り上げられてから、他のメディア関係者からジェネリック関係の質問が来るようになりました。週刊誌ではジェネリック医薬品の危険性にスポットを当てていたので、別の観点の話をするようにしていますが、どうしても安全性絡みの話が多くなりがちです。
ジェネリック医薬品はオリジナルの先発医薬品よりも安いということは、できるだけ安く作ろうとするのは当然のことです。そこで海外での生産を考えるところも出てくることになりますが、有効成分を海外で作り、それを輸入して国内で医薬品の形にする場合と、もう一つは海外で医薬品を作る場合とがあります。
ジェネリック医薬品の半分ほどは海外での製造で、その多くは中国と韓国だと報道されています。中国の医薬品は、ダイエットのためのサプリメントに医薬品が混入していたことや、強壮薬のニセ薬が販売されていたことがあり、だから中国の医薬品は危険だ、という話の流れになっています。中国で製造されたものが危険というなら、日本国内で販売されているビタミンの多くは中国で作られているので、これも危険だという論法になってしまいます。それ以外にも日本で人気のサプリメントの素材の多くが中国で作られているという事実もあり、さらに日本に輸出しているのは他の国であっても有効成分は中国で製造しているということもあります。
有効成分を作っている国は明らかにされず、最終的に製品にしたのが製造国になるので、表示を見てもわかりません。今回の情報を書く前に、知り合いの薬剤師、薬学博士、飛び込みで調剤薬局にも聞いて回りましたが、どのジェネリック医薬品が海外で作られているかは把握されていませんでした。
こういった事実を伝えて、危険を訴えることは簡単なことであっても、では、どういう対応をすればよいかということを伝えないのでは意味がないと考えます。
一つには先発医薬品を選ぶことですが、価格の問題もあります。そこで考えたいのがオーソライズド・ジェネリックです。これはオリジナルの先発医薬品を製造している製薬会社が、子会社や関係会社に作らせているジェネリック医薬品です。ジェネリック医薬品に、そのような表示がされているわけではないのですが、ちゃんとした薬剤師なら、この程度の知識と情報を持っているので、相談してみる価値はあります。