「地図を逆方向から見る」ということを初めて教えてくれたのは地政学を研究する大学教授で、その教授の初めての一般向けの書籍を手伝ってから、地図があったら逆さにして眺めるのが癖になってしまいました。講習会などで地図が出てきても逆向きになっているということに巡り合うことは長らくなかったのですが、防衛問題の研究会で講師を務めた参議院議員が地図をホワイトボードに逆さに貼りました。
日本の側から大陸を見たときには危機感は伝わりにくいのですが、逆さにして北海度が左側、九州から沖縄が右側になった地図を目にすると、日本の位置と役割、そして危うさが見えてきます。中国大陸側からすると、日本列島は港から太平洋に出ようとするのを邪魔するように長々と横たわっています。北海道の北端の宗谷岬から沖縄本島の南端の喜屋武岬までは3200kmほどですが、北方領土から与那国島までとなると3264kmにもなります。
日本列島と日本の領海が邪魔をしているために太平洋に自由に出ることができないのは韓国も北朝鮮も同じことです。船で日本の領海を通過するのは難しいので、探知されない潜水艦を使うしかないということで、気づかないうちに領海を通過しているということですが、ということは、日本列島のどこにでも急に現れることは可能だということです。
このような国の守りという大きな話でなくても、地図を逆転させて見るということは地域の状態を観察するときにもしています。地図だけではなくて、組織図でも事業のスキーム図でも逆転してみると、正面から見ていたときには気づかなかった弱点が見えたり、強み、改善点が見えてきます。その見えてきたことを活かして、企画書、提案書を書き直すと、より相手のことを考えた内容とすることができます。だから、企画書などを完成させたら、一晩置いて頭をクリアにしてから、逆転の発想で書き直すようにしています。すると、継続させるためにするべきことも見えてきて、そのために必要な人脈である協力者も明確に浮かび上がってくるようになるのです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)