昭和100年問題を回避するための対応、問題が実際に起こったとしてもシステム障害の被害を最小限にするための対応は、随分と進められていると聞いていますが、根本的なところ、つまりデジタル時刻のカウントは古いまま使われていて、改善はされていないのが実情です。
2024年(令和6年)は昭和元年から数えると99年になります。2025年の年明けは昭和99年から昭和100年になる記念すべき瞬間となります。
このバトンタッチがうまくいかない可能性として最大の問題とされているのは日本のコンピュータのデジタル時刻と、それを採用して機器に組み込まれている年の情報のシステムが昭和の元号の2桁表示をベースに構築されていることです。
昭和を西暦に換算して、それに経過した年数を足して、それから令和に換算するという面倒なことをしています。面倒だというのは人間の考え方であって、コンピュータにしてみれば簡単なこと、即座に終了することですが、その仕組みが時代に合っていないと思ってもみないようなことが起こりかねません。
昭和100年問題は、そこが重要なことであって、今でも官公庁や金融機関を中心に公文書では、年を昭和2桁で表現するシステムが存在しています。令和の今もシステム内部では昭和として扱われているのです。
元号で使われるのは1世代の年であるので、99年の間で表現できます。そこが元号のよいところではあるものの、昭和100年になったときには、想定をしていなかった3桁になるので、これを昭和0年と認識することが起きてしまい、デジタル時刻で動いているシステムが正しく動かなくなるシステム障害が懸念されています。
アメリカをはじめとした世界のデジタル時刻は初めから西暦です。1999年から2000年になるときに、2000年を1900年と認識して誤作動を起こすシステム障害が懸念されました。
そのようなことにならないようにするための対応は官民をあげて取り組まなければならないのに、日本のデジタル化は世界から大きく遅れています。しかも政府が少数野党となってデジタル改革の旗振り役が誰なのかわからない状態です。
マイナンバーカード健康保険証への切り替えも、万が一のシステム障害を想定して紙の確認書を発行するという小手先の対応が目立っているのは、昭和100年問題という観点では、ひょっとするとよいことかもしれないと言われるような状況なのです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕