「昭和100年」8 電気が使えなくなった非常時の想定

インターネットの世界と長く付き合ってきて、私たちが1995年のWindows95の時代に想定していたよりも遥かに進歩していることから、「昭和100年問題」では技術的なところに関わることはやめました。

それは専門家に任せて、もしも昭和100年の年数カウントを認識できないために、これまでの30年間に構築してきたシステムが動かなくなった場合、動いてはいるものの充分ではない場合に、社会的にどのようなことが起こるのか、それを想定して、先回りして対応を図っていくのが「昭和100年問題プロジェクト」です。

先回りしての対処までは、私が関係している部門の役割ではなくて、社会的な問題点を把握して、そのための社会的な対応策をあげていくことがミッションとなっています。

コンピュータシステムの年数カウントは正常に働かなくなる状態は、なかなか想像しにくいところであるので、ここでは停電を例にしてイメージすることをすすめています。

停電は以前であれば送電線の一部が切れる、中継器の不具合などのために電気が通じないということで、つなぎ直せばいい、交換すればいいと考えるだけでもよかったのです。ところが、今では送電はシステムの上に乗っていて、システムが正常に働かないと、いくら装置や機器などに問題がなくても停電と同じことになります。

それだけに停電が一部の地域では済まなくて、システムが管理している地域、最悪の場合には全国にも被害が及ぶことが考えられます。その社会的な被害は、世界とつながっている通信、金融、防衛などにも及んできます。

電気が通じないと照明がつかなくて不便、家電が使えなくて不便、水道もガスも電気を使っているので完全にシャットダウンします。緊急事態を知らせようとしても通信が使えないというのは地震や台風などでも経験していることです。

それでも避難所に行けば電気が通じるというのが安心材料ではあったのですが、システム障害によっての停電の場合は、すべてのところで使えなくなり、回復したとしても、いつ元の状態(正常な状態からダメの状態)になるかわからないという状況となります。

この社会的なパニック状態を想像して、今できることをしておくというプロジェクトは着々と進められています。

昭和100年(2025年1月1日0時0分1秒)を迎えて大問題が起こるのかどうかは、あとわずかでわかることだとしても、一般には見えないところ、気づかないところで起こった大問題がスルーされる(隠される)ことがあります。

そのようなことが国民的に知られるようになったときに何が起こるのかをピックアップしていくのもプロジェクトのメンバーに求められていることです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕