本当のことをズバリと言うと波風が立つようなときには、表現をごまかして「〜とされる」「〜と言われる」といった言葉が使われます。最大であることは明らかなのに、その表現をすると文句をつけてくる人がいることが考えられるときには「最大級」という表現で、ぼやかしながらも実は最大なのだよ、と暗に伝えるのは常套手段です。
「こんなことを言うと誤解を招くかもしれませんが」と前置きをしておけば、誤解を招くどころで済まないことも平気で言えるような風潮もあります。そんなことを言ったために、大手外食産業の役員が更迭で済まずに、縁切りまでされた例がありました。
それと似たような感覚で使われているのが、「あくまでも噂話」と断ってから話し始める内容で、聞いているほうの多くは“事実だから噂話という言い方をしている”と察して聞き耳を立てるようになります。これは政治家などが、よく使う手法でもあります。
このコラムのテーマは、“噂話”と言いながら、実は言いたいことがあるということですが、“あくまでも”と断っているのは、あまり詳しく書いたり、固有名詞を出すと書きたいことが書けなくなってしまうことを懸念してのことです。
医療関係、健康関係のインタビュアーとして長く活動してきて、その延長でゴーストライターとしても184冊を書いてきました。すべて他人名義の書籍です。そのうちの150冊は当時は中堅出版社、今は大手出版社の一角を占める会社からの依頼でした。インタビュー記事やレポート、書籍では公式見解的に書いているけれど、本当のことは書けなかったということは数多くありました。しかし、そんなことの中に本来なら伝えるべきことがあります。世間に広まった“名言”を著者の代わりに生み出して書いてきて、それが本人の名言として、しかも本来の意味することと違った伝わり方をしていることも多々あります。
あくまで噂話として読んでほしいと前置きをしながら、伝えるべき、残すべきと考える事実を書き綴っていくことにします。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)