リテラシーという言葉があります。これは英語の「literacy」からきていて、本来の意味は「読み書き能力」です。しかし、実際には、その意味で使われることはあまりなくて、ある特定分野に関する知識や理解能力のことをいいます。また、その知識や能力を有効活用する能力などの意味合いで使われています。
私たちのメディカルダイエットは、ただ言われたとおりのことをすれば健康になれる、というものではなくて、そのメカニズムを知って、身体の仕組みを活かすことで、望むような結果に近づけることができます。そのための方法は言葉や文字などで伝えることになるのですが、理解する能力が重要になります。読解の能力がなければ、せっかくの知識として得たことが活かせないことにもなりかねません。
イメージ的には同じものであっても、微妙なところで根本的に違っていることは勘違いされやすいもので、その間違いのままに他人に説明をして、結果として間違いを広めることにもなります。だから、面倒なようでも、間違いやすいことは、しつこいと言われるくらいに説明をしています。そして、講習後に質問が来るように仕向けることもします。
抗菌力がある商品の研究成果をもって、ウイルスに対する有効性を語っている場面に出くわしたことがあります。いかに細菌に効果があったとしても、それが抗ウイルス作用には結びつきません。そのことは以前は理解しにくいことではあったのですが、これはコロナ禍のプラス面と呼ぶべきなのか、ウイルスに対する知識は随分と広まっていきました。そして、細菌に効果があっても、ウイルスに効果があるとは限らないということも理解されるようになっていきました。
細菌は単細胞で、たった一つの細胞からできています。その一つの細胞だけで生きていくことができます。だから、身近なところで増殖していくことができます。それに対してウイルスは、生命を維持するための器官が欠けているために、他の生物に寄生しないと生きていくことができません。だから、人間に感染して、他の人間へと移っていきます。媒介する人間なり動物がいなければ感染はしないのです。
細菌は、たった一つの細胞なので、破壊するのも簡単です。抗菌力がある商品は、いくらでもあります。抗菌作用があるものを使っていると抵抗力が強くなることはあっても、別のタイプに変化することは原則としてありません。ところが、ウイルスは生き延びるために、どんどんと変化をしていきます。現状のウイルスに対抗できるものが、次の瞬間には対抗できなくなり、新たな対抗策を探さなければならないという厄介さがあります。
それなのに抗菌力があるものを持ってきて、ウイルスにも効果があるというのは無理があります。風邪は細菌によって感染しますが、インフルエンザはウイルスによって感染するものです。リテラシーがあれば、そのように書かれていることは簡単に理解して、間違いを伝えることはないものの、平気で抗菌力があるものがウイルスにも効果があると言ってしまう人が、いまだにいるのは事実です。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)