談合は良くないことであるというのは社会的常識ですが、利益を得る側にしてみれば談合は当たり前という風潮があります。地方の自治体では、物事をうまく進めるための当然の手法としてまかり通っているところもあります。
東京から岡山に移住して、新たな地方創生事業の話が持ち上がり、企画にも加わりました。プロポーザル方式では、企画立案をした立場であっても、競争入札式に選択されるのは当たり前のことですが、選択された後は立案者と実施者が同じということで、自治体の関係者からも住民からも積極的な支援がありました。
こんなに親切にしてもらってよいのだろうか、と思うくらいに手伝ってくれて、一緒に進めてきたことを報告書にまとめて提出して、それが交付金を支給する内閣府にまで報告が行きました。そのことは内閣府の知人を通じても確認しました。初めのプロポーザルの提案内容と報告書の内容があれば、そこから先は同じことの繰り返しなので、複数年の継続事業も簡単に進められるというところまで行ったときのことです。
いきなり「継続事業であるが、受託者は新たに募集する」という、あまり聞いたことがない、というよりも前代未聞の決定が自治体の担当者から告げられました。前代未聞というのは全国レベルの判断であって、ローカルルール(その自治体だけのルール)では当たり前のことということのようです。
新たなプロポーザルの条件は、初めに着手した私たちでは受けられないもので、それを可能にするのは地域の事業者と結びつきがある人だけでした。新たな事業であれば、私たちの企画と実施内容は使われないものと思っていたのに、それは継続させて、要は担当者だけがすげ替えられるというものでした。
事業を受け継いだのは、一緒に手伝ってくれた方々で、自治体のOBで、担当窓口の先輩ということでした。あとになって初めから外部の人間に企画と準備段階をさせて、本番の収益事業は自治体と深い関わりがある方々が人にやらせるつもりだったということがわかり、これこそが「花より団子」ではなくて「端より談合」ということを実体験しました。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)